夜叉巫女 対 イシスの使い No.1 クロの思惑
カミナリ セツナと刀匠ルドルフが『オアシス・サウス』でスフィンクス達、相手に奮闘している中、『オアシス・イースト』へと向かった夜叉巫女とリップはというと。
「さぁ!存分に殺し会うのよ!私の可愛い傀儡達。その無駄な強さを存分に振るい、殺し会うの。フフフ」
「あぁぁうぅぅ!」
「止めて!アナタ!!!」
「パパ!!正気に戻ってよ!!」
「‥‥‥‥フフフ!やりなさい!そして、意識が戻った時、罪悪感と悲壮感に絶望するのよ!!アハハハ!!!」
イシスの使い。スカラは愉悦の笑みを浮かべ目の前の家族が崩壊する様を見届ける。
「‥‥‥悪趣味な女だ。今回の相手は‥‥‥ニャー」
「はぁ?誰よぉ?!この私を悪趣味な女と罵った馬鹿な。傀儡は‥‥‥って?黒猫?何で黒猫がこんな争い合わせている所に入るのよ?」
「それは貴女の蛮行を止める為ですよ。悪趣味殿」
「はっ?次は誰よ?」
悪趣味女‥‥‥‥もといいスカラは声の主が誰か確かめようと後ろを振り向こうとする。
「我を前に背中を見せるとは‥‥‥‥馬鹿な女だ。黒竜魔法『竜凛』」
黒猫の尻尾。いや、黒竜の強力な尻尾が顕現し、スカラに向かって振り上げられる。
「ちょっと!アンタ!何者‥‥‥‥?!」
スカラが夜叉巫女に話しかけようとした瞬間。
黒竜『クロ』の竜尾がスカラに直撃する。
「ガバァ?!!!!グギイイ?!!!」
メリメリ‥‥‥‥シュン!!
ドゴオオオンンン!!!!
スカラの一瞬の油断が招いた圧倒的な相対し後の初動のミス。
この『オアシス・イースト』の戦いは夜叉巫女サイドが主導権を握る形で開幕したのだった。
「‥‥‥‥な、何だ?あの黒い竜の尻尾は?何処から現れたんだ?」
動揺を隠し切れず、慌て始めるリップ。
「リップ殿。落ち着いて下され。あれはクロの‥‥‥竜種の技なのでご安心を!それよりも、今はあの悪趣味殿に操られている方達をお救いするのが先決です」
「あ‥‥‥あぁ、悪い。そうだった‥‥‥‥とりあえず、俺はさっきの親子を安全な所に連れていくぜ。さっきの衝撃であの操られているおっさんも気を失ってるしな。イーストの館にある。冒険者ギルドに避難させてくるぜ」
「了解致しました‥‥‥と言いたい所ですが。リップ殿は‥‥‥」
「いや、リップ。お前は、夜叉と共にいろ。そして、あの悪趣味女との闘いを近くで見ているのだ」
「はぁ?お前!こんな状況で何言ってんだ?!黒猫!今は、非常事態なんだぞ?!それに皆を避難させないといけないし‥‥‥‥」
「ならば、その役目は我が引き受ける。リップ。お前は『サンクチュア』で新たなる力が欲しいと言ったな?ただの『案内人』は嫌だと言っていた。ならば、夜叉巫女とあの悪趣味女との闘いを見届け、戦闘の仕方を学べ。そして、お前、自身とちゃんと向き合い。強くなれ」
「向き合って‥‥‥‥強くなれ‥‥‥‥だと?」
クロはそう言って、本来の黒竜の姿に戻った。




