殺戮祭開催
夜叉達がこのサンクチュアという場所に来て数時間‥‥‥いえ、もっとでしょうか?
ルドルフ殿のお弟子さんが夜叉達を大きなお屋敷へと案内してくださいました。なんとこの大きなお屋敷。ルドルフ殿の後邸宅との事。流石は名匠と呼ばれているお方です。
かなりの時間が計画したと思われます。
「‥‥‥‥皆様。夜になったというのに。忙しなく働いておりますね。リップ殿」
「あぁ、里の連中はおかしいのさ‥‥‥‥珍しい素材、武器、魔道具何かを手渡されたら。子供もみたいに目を輝かせて働き始めるんだ」
「‥‥‥‥リップ殿はお手伝いしなくてよろしいので?」
「僕はここに来るのは初めてなんだよ‥‥‥‥『案内人』だったからな。『鍛冶屋の里』へ来れるなんてそもそも思ってもみなかった」
「何故?‥‥‥‥悲しい顔をされているのですか?」
「‥‥‥‥『案内人』は若手の鍛冶師が任される重要な役目なんだ。それは僕の様な戦闘も鍛冶職もろくにできない見習いを訓練する為でもある‥‥‥‥それを僕は失敗した」
少し、間を置いてから。リップ殿はゆっくりと『案内人』という役割について話していきます。
「失敗ですか?‥‥‥それどうして?」
「『鍛冶師の里』で働く職人には高い鍛冶技術の他に『強さ』も求められるんだ。武器を使って実在に闘う奴等の気持ちも理解できなければ鍛冶師にあらず。まだ一度もあった事が無い、族長様の教えなんだよ」
「『気持ちを理解できなければ』ですか‥‥‥‥」
リップ殿の話を聞き、夜叉の脳裏にはセツナ殿と初めて会った『スパイング山脈』の光景が浮かび上がりました。
(いざ、尋常に勝負して頂く‥‥‥‥)
おのが力量も分からず。
(少しばかり期待しましたが、お仲間お一人呼んだくらいで何が変わると?)
他者を軽んじ。
(「あ、あ、‥‥‥‥あ、う、あ?」ドサリッ!)
あまりにも無惨に破れた記憶。
「大丈夫です。リップ殿‥‥‥‥夜叉も」
「な?なんだよ!どうしたいきなり‥‥‥‥大丈夫って何がだよ?」
「‥‥‥‥夜叉もリップ殿と一緒です。ここ一番での闘いにぼろ負けし、死ぬ瀬戸際までいきましたが。今は立ち直り、前を向いております」
「確か‥‥‥‥お前って龍族なんだよな」
「いかにも」
「そんな、龍族の奴を倒せるのかよ?‥‥‥お前。もしかして俺に同情して嘘をついて‥‥‥‥」
「いませぬよ。夜叉はセツナ殿‥‥‥‥いえ、セツナ殿達に負けたのですよ」
「セツナ‥‥‥‥達?」
「えぇ、ぼろ負けです。なす術もありませんでした。ですが、そのぼろ負けから色々な事を学び、吸収し、新たな力も、大切な事も学びました」
「新たな力に大切な事わ学ぶ‥‥‥‥」
「はい!ですか、リップ殿。貴方の『案内人』としての失敗は決して失敗ではないのですよ。それは貴方の新たな力になる大切な学びなのです」
「‥‥‥‥新たな力‥‥‥‥大切な学び‥‥‥‥」
夜叉は静かにリップ殿に近づき、彼の両手を掴みました。
「だから、リップ殿。落ち込まないで下され、下を見ず、前を見上げ進んで下され」
夜叉はリップ殿の目を真剣に見つめて、伝えるのでした。
「ぼ、僕は‥‥‥‥前に‥‥‥‥」
リップ殿が何か言いかけた時。
カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!
「『トルソー』達だぁ!!!『トルソー』達がオアシス・中央特区にいる職人や技師の達
以外の‥‥‥‥‥一般人を見境なく殺しまわってるぞ!!!」
カン!カン!カン!カン!カン!
『中央特区』
「おらっよ!死ねや!てめえら!!フンッ!」
ザシュンッ!
「イヤーッ!!!貴方!!!イヤーッ!!!」
スパァーン!!!
「キャアアア!!!」
バタリ‥‥‥‥‥
「ママッ!!ママッ!!!ヤダッ!ヤダッ!!!」
「ハハハ!!!今宵は楽しい無差別大会ってかぁ~!!シャッハー!!!!」
カン!カン!カン!カン!カン!
「『オアシス・ノース』には地を吸うブラッドバッドの群れが!!」
『オアシス・ノース』
「さぁ!好きなだけで吸え!!貴様ら!!」
「ギィギィー」「ケケケケッ!」「ギォギィー」
「やめて!!俺の息子が!!」
「私の血が抜かれる!!!」
「ギォギィー、ギギギ!!!今宵は楽しい無差別殺人ですな!主様!!!」
カン!カン!カン!カン!カン!
「『オアシス・イースト』では冒険者が観光客や一般人を殺し回っている!!」
『オアシス・イースト』
「うあぁ?うあ?!」
グサリッ!
「何で?お前が?」
バタン‥‥‥‥
「‥‥‥‥殺す‥‥‥殺す」
ザシュンッ!
「イヤーッ!!!何で君が私を!!!」
スパンッ!
「フフフ、胴体から真っ二つなんて‥‥‥‥まさに『トルソー』ね!!楽しいわ!!まさかたかだかこんな誘惑にそそのかされるなんてね。ねぇ?●●●様!フフフ」
カン!カン!カン!カン!カン!
「‥‥‥‥『イースト・サウス』は‥‥‥何処からか現れた野生の巨大『スフィンクス』に市場の人々が殺されている」
「イースト・サウス」
「アハハハ、アハハハ、アハハハ」
「来るな!!来るな!!うわあぁぁ!!!」
ドスンッ!!
「‥‥‥‥親方が」
「潰れさたあ!!もう駄目だ!!逃げろ!!!」
「クソッ!雇ってる兵士は何してるんだよ!!」
「オアシス・イーストで殺し会ってるってよ!さっきお偉いさんからの通達が!!」
「アハハハ、アハハハ、アハハハ」
ドスンッ!プチッ!
「あぁぁ!!兄貴!!!」
『オアシス・リバス』
「報告は以上‥‥‥‥『オアシス』は今、前代未聞の危機にさらされています」
カン!カン!カン!カン!カン!
「あいつらが‥‥‥‥『トルソー』達が職人達以外を殺し回ってるだと?」
「‥‥‥‥そんな‥‥‥こんな夜に?」
夜叉達が緊急の連絡を聞いて動揺していると。
シュン!
シュン!
シュン!
「おぉ、夜叉巫女とリップ!やっと見つけた!ここに居たのか」
目の前にセツナ殿達が転移してきました。
「セツナ殿?」「お、お前ら!いったい何処から現れた?」
「そんなの今はどうでもいいだろ!報告は聴いてるな‥‥‥‥たくっ!やり方が『セルビア』の時とそっくりだ。西は滅ぼしたから‥‥‥‥中央特区に北、東、南だと?何の順番だよ」
「あ、あのセツナ殿?」
「ん?あぁ、済まん!今はそれ何処じゃないな。カンナの先生いわく、中央特区には結界が張られていて一般人が出れなくなり、外からは入れないらしい」
「結界だと?何でだ?」
「‥‥‥‥あの蝙蝠男のいやらがせでしょうか?」
「だろうな。全く、最悪の嫌がらせだよ。俺は急いでオアシス・ノースの方へ‥‥‥‥」
セツナ殿がそう言い終え様とした瞬間。
「待って!神成君!」
「お待ちをセツ君!」
恵殿とアヤネ殿が待ったを書けました。
「どうした二人共。今は緊急事態で‥‥」
「オアシス・ノースには私とアヤネで行くわ」
「委員長とアヤネだけで?」
「はい!」
「あの蝙蝠男には因縁もあるし。アイツは一般の人まで殺してるでしょう?許せないわよ!」
「私も恵と同じ気持ちです。今はラファエル様ミカエル様も一緒にいるので‥‥‥‥お願いします。セツ君」
「私達に行かせてくれない?」
アヤネ殿と恵殿はセツナ殿に頭を下げて懇願しました。
「君達‥‥‥‥‥分かった。オアシス・ノースは二人に任せる」
「あ、ありがとうございます!セツ君」
「ありがとう!神成君」
セツナ殿に許可をもらい、嬉しそうに笑うお二人。
「ヤバイと思ったら、直ぐに逃げてくれ!‥‥‥それから、鵺様!」
「ミー、ミー!オウヨ!!!カミナリ様!!!」
元の姿に戻る。鵺君。
「2人は任せます!どうか守って上げて下さい」
「おう!!任せな!さぁ、俺の背中に乗りな!!!行こうぜ!!!」
「はい!」「分かったわ!」
「座礁は設置した転移の場所に出る。気をつけて行ってこいよ。アヤネ、委員長。転移『転送・陣』」
「行ってきます!」シュン!
「勝ってくれわ!」シュン!
「よし‥‥‥次は‥‥」
「『オアシス・イースト』は夜叉と‥‥‥リップ殿、クロとで行きましょう。セツナ殿」
「はっ?僕もか?」
「‥‥‥‥リップも一緒にか‥‥‥分かった」
「リップ殿。大丈夫です。夜叉が貴方を守りまするよ。だから、さっきの夜叉の言葉を思い出して下され。新たなるです!」
「‥‥‥新たなる力、大切な学び‥‥‥」
「はい!この戦いで新たなる何かを見つけましょう。リップ殿」
夜叉は震えるリップ殿の手を優しく握る。
「夜叉‥‥‥ちゃん‥‥‥分かった。セツナ!!夜叉ちゃんと一緒に行かせてくれ」
「‥‥‥‥そうか、夜叉巫女が乗り越えさせるだな‥‥‥そうか」
「聞いてんのか?セツナ!!」
「ん?あぁ、いちをこれを渡しとくぞ。リップ。頑張って来い」
「ん?何だこれ?小さな短剣?」
「では、行ってきます!クロ!」
「あぁ!夜叉の主よ。頼む」
「‥‥‥リップを頼む。転移」
シュン!シュン!シュン!
‥‥‥‥‥。
「中央特区は結界が張られてるなら‥‥‥‥先に行くべきは‥‥‥」
阿鼻叫喚の『オアシス・サウス』
「アハハハ、アハハハ、アハハハ」
暴れ回る。巨大スフィンクス
「もう‥‥‥駄目だ‥‥‥」
「オアシス・サウスは終わりだ」
「アハハハ、アハハハ、アハハハ」
シュン!
「‥‥‥‥‥デカイ。奴だな」
「へ?」「だ、誰だ?!」
「‥‥‥元勇者で‥‥‥今は『担い手』だよ!おっさん達!!!雷魔法『雷霆』」
ドドドドドドドドドドドド!!!
「アハハハ、アハハハ?アハ?!ギャアアアアア!!!」
ドガァン!!
「スフィンクスが‥‥‥」
「ぶっ倒れた?」
「止めさせてもらうぞ!!『トルソー』‥‥‥いや!殺人鬼!!!」
『中央特区』
「‥‥‥ハハハ!!!現れやがったか!!『担い手』野郎!!」




