神無月 VS 蝙蝠 No.2 全てに差が
神成君と共に此方の世界に来て、ずっと魔法の修行をしてきた今ならハッキリと分かる。
彼と『私達』の圧倒的な差。
地球に居た頃は彼との身体能力の差なんて殆んど無かった。
なのに此方では?
魔力、体力、経験、知識、心の膂力
全てにおいて彼が上回っている。
悔しい、悔しい、悔しい!
私は負けず嫌いなのだ。天王洲 アヤネが知識で神成 刹那のライバル的な立ち位置ならば、私は運動や武術の方の分野のライバル。
そんな、私達を此方の世界の彼は赤子の様に扱う。
豊富な経験と多彩な魔法や剣技に、莫大な資金力。
流石は神成財務の後継者だった男の子。此方の世界でも上手くやっている。
眩しい、彼が眩しい。
私達は地球では彼と同等だった。ならば此方の世界でも隣に並び立てるようにしないといけないのよ!
神無月 恵。
「どうした?さっきから静かだが?我が灰の恐ろしい姿に怖じ気づいたか?」
「‥‥‥‥あら、ごめんなさい。相手が弱そうだから、ボーッとしていたわ」
「なっ!貴様!!我が灰は馬鹿にする気か?!食らえ!闇魔法『銅鑼絶』」
蝙蝠男の両翼から数十匹の蝙蝠を出現させる、
「「「「「キィ、キィ、キィ、キィ、キィ!!」」」」」
「北西分に生息する。ブラットバッドじゃないか?!」
「ブラットバッド?何です?それ」
「『死の大地』の洞窟とかに生息している。吸血蝙蝠の魔獣だよ。獰猛な気性で有名な危険度Cの生物だ」
「そんな、魔獣が‥‥‥恵に向けられているなんて」
「加勢しますか?セツナ殿」
アヤネと夜叉巫女が委員長の方を見る。
「‥‥‥‥‥そんな蝙蝠の群れなんて興味ないのよ!火魔法『火淡の陣』」
私の適正魔法は火魔法だった。ミカエルさんとの修行では何かの道具に火魔法の魔力を纏わせて闘う方法を教えてもらった。
『黄金の宝物庫』天使の集落
(アハッ!恵様の得意な魔法は『火』ですね)
(火魔法ですか?数日前にも神成君にそう言われました)
(成る程。成る程です‥‥‥‥フムフム、幼少期から武器の修行もしたいたと)
(あ、あの何ですか?そのカルテ見たいなファイルは?)
(はい?これですか?これは主様から頂いた。恵様の資料ですね)
(はい?私の資料?)
(その通りです!ちょっとした癖から、性格、スリーサイズの全てまで網羅した秘蔵の‥‥‥‥)
(待って、待って下さい。何で神成君がそんなの持っているんですか?)
(安心して下さい。恵様だけではなく、アヤネ様を始めとした聖豊中学の皆さんやアリーナの世界の知り合いの皆さんの分もちゃんとありますから)
(いや、何であるのよ!そんなものが?!)
(アテナ様から頂いた。何かの力の応用らしいですよ。それに私達も普段は暇なので遠隔魔法で外の人々の観察に余念がありませんから)
(なんていう能力の無駄遣いよ!)
(まぁまぁ、そんな小さい事は気にしないで下さい)
(気にするわよ!大きい問題よ!私や皆のプライベートがあ!)
(恵様は武器が得意‥‥‥‥ならば手っ取り早く、『物質付与』の魔法を鍛えた方が強くなれますね。それに慣れたら私を武器化した『双星付与』もやりたいところ)
(って!聞いてないし‥‥‥それに?物質付与?双星付与?)
(まぁ、とりあえず。修行を始めましょう。説明するよりも身体で体験した方が覚えますからね~、これから楽しみです、アハッ!)
‥‥‥‥‥。
その後はミカエルさんの指導による魔道具への付与や火魔法の基本をひたすら反復で練習したわ。
ミカエルさんの指導は厳しく。意識が無くなるまで、容赦なく行われたのよね。
「『火弾・散弾』」
火の弾丸となった私の『火淡』は押し寄せてくる蝙蝠達へと向かって行く。
「ふんっ!そんな小さな魔力の塊など我が灰の可愛い。ブラットバッド達には通用するわけ‥‥‥‥」
「燃え広がりなさい!『爆心』!!!!」
「キィ?」「ぎぃぎぃ?!」「ギャギィ!」
「ぐぎり!」「ギャギィ!」
私の弾は蝙蝠達に着弾し、それと同時に風船の様に破裂した。
「何?貴様!!何をした?」
「‥‥‥‥‥此方の世界は『銃』なんて概念まだ無いんでしょう?それの魔法版よ!!喰らいなさい!蝙蝠男!!神無月流『火天の間合』」
「ぐっ?!いつの間に間合いを?!それ何だ?その火の色?!!!何故、そんな魔力を」
「『火天斬り』!!!」
「ギャギィギャギィ!!!!」
蝙蝠男の叫び声が結界内を駆ける。




