中央特区(セントラル)
『オアシス・中央特区』
「おぉ、ここには何回か来たことあるが。やっぱり高い塔だな『ブラック・チャペルタワー』は」
「お、おい!女顔!何でセントラルに来たんだよ!それだけじゃない。サウスの出口門や、イーストの冒険者ギルドにノースの貿易港何かに行きやがって。何考えてるんだ」
「‥‥‥何だ?男の娘よ」
「誰が男の娘だ?!」
俺達は『鍛冶屋の里』へと向かう為にオアシス・サウスで旅商人や業者達を集め、ある場所を知ってるかを聞いていた。
すると大声を上げて姿を現れたのは、この男の娘こと
リップ君んである。
「君には関係ないだろう。リップ君‥‥‥ (転移魔方陣設置)」
‥‥‥‥シュン!
「お、お前!今、何やったんだ?」
「お前じゃない、俺の名前はナルカミだ。馴れ馴れしいぞ。リップ」
「何、親しくしはじめてるんですか?セツ君」
「何、仲良くなってるのよ!神成君」
クソッ!コイツら!神獣達にお悩み相談でもしたのか?天使達にあやされる前の状態に戻ってやがる。
「リップって!セツ君・神成だって馴れ馴れしいぞ!」
「だぁー!名前をごちゃごちゃさせるな!俺はカミナリだ!もしくはセツナ!呼ぶならどっちかにしろ!男の娘リップ」
「カミナリにセツナ?‥‥‥‥じゃあ、セツナにするぞ!よろしくな、セツナ」
「いきなり、下の名前とか‥‥‥‥まぁ、いいか、各特区への仕込みは終わったしな」
「おい!無視するな!セツナ」
「何だ?男の娘リップ君」
「‥‥‥‥いつまで、中央特区に居るつもりだよ。あの場所へ行きたいんじゃないのか?」
リップはそう言ってオアシス・ウエスの方向を指差した。
「リップ君。何事も前段階の準備が大切なんだよ。子供にはまだ、分からないと思うがな」
「僕は今年で15才だぞ!これでも成人してるんだ。それに明らかにセツナの方が年下に見えるぞ」
リップのやつ。俺を見た目だけで年下と判断しやがったな。俺は―女神―アテナ様によって全盛期の肉体と歳を奪われ4~5年分は若返っているんだよ。『女神のギフト』によってな。
それにこの世界は長命種と呼ばれる者達もいる。魔法族やエルフ、妖精何かもそうだ。
「‥‥‥‥さては君、このヘファイストス地方から一方も出たことが無いだろう?」
「はぁー?何言ってんだ。馬鹿にしてるなー!あるぞ!ある!ある!バリバリ、外の世界に出た事はあるぞ」
「ほーう!じゃあ、アテナ地方の東の地方は何処か分かるか?」
「ふん!そんなの簡単だ!フレイヤ地方に決まって‥‥‥‥」
パコーン!
「痛てえぇーー!!なんで僕の頭にチョップするんだ!」
「不正解だからだよ、お間抜けさん!エウロペ大陸の地理位ちゃんと学んどけ!ほら、この本を貸してやる」
そう言って懐から。ラインバッハに無理やり渡された。ラインバッハの直筆サイン入り本をリップに渡した。
「‥‥‥‥‥何々、『ラインバッハの地政学』‥‥‥‥何だこの汚いラクガキみたいなサインは?僕の方がもっと上手く書けるぞ」
「なら、本人にちゃんと伝えといてやるよ。リップ」
俺とリップが漫才をしている頃。
『ブラック・チャペルタワー』内部
「凄いですね。オアシスの何処からでも見える高い時計塔の中がこんなに綺麗な場所なんて」
「見て見て!アヤネ、夜叉ちゃん!あれ、ガラス細工でできたシャンデリアだって!説明板に書いてあるわ!‥‥‥‥‥って?何で私、ここの世界の文字が読めるの?ていうか、ここの世界の文字を見たの初めてなんだけど?!」
委員長が張りのある声で何かを言っている。幼児退行→調教→快楽堕ち→バブみに目覚め→天使達のバブみに堕ち→クロのメンタルケアを受けた事により、地球の頃の凛とした委員長に戻ったのか喋りもハキハキしているような気がする。
「あぁ、それはセツナ殿のお陰ですよ。私達が付けている僕の証。『契約の輪』を通じて契約者達は長であるセツナ殿の知識をリンクして得ることができるのです。例えば言語の読みや書き等はお二人が此方に来た際には直ぐに覚えていたのはその為です」
「まぁ、全てはアテナ様の権能のお陰なんだけどな。俺はそれを上手く利用しているだけに過ぎない」
「セツナ殿!あれの設置。終わりましたか?」
「順調にいったよ。後は夜になる前に『鍛冶屋の里』に行ければ最高なんだけどな」
「『契約の輪』をこんな美少女3人組に付けているだと?ふざけるなよ!何でこんな女顔が!」
ぶつぶつと何かを呟いている、リップ。
「何をぶつぶつと。そんな事よりも最後の目的地。オアシス・ウエスに向かうぞ。リップ!案内してくれ」
「くそ!僕の方が絶対に可愛いのに!何であんな子達が」
等とぶつくさ言っているが、コイツはあれがちゃんと付いた男の娘である。
さっき、一緒にトイレに行ったから間違いない。
「‥‥‥‥ほら、西特区に行くぞ!早くしないと時間が無くなっちまう」
ポカーン!
「痛い!クソー!また、殴ったな?セツナ!!」
俺はそう叫ぶリップを無視してオアシス・ウエスへと向かうのだった。




