開幕
‥‥‥‥俺は何者でどうして、こんな場所をさ迷っているんだ?
朝から昼までを無意識にさ迷う、小さき頃の故郷をさ迷う‥‥‥‥
では夜は?‥‥‥‥夜は知らない。意識は無い。怖い、怖い。
夜の俺は何をする?何を侵す?
分からない夜明けの後、右手にはいつも血塗れの短剣。左手には黒いフードが一つ。
分からない、分からない、分からない。
夜の俺は何者なのだ?
怖い、怖い、怖い。
精神が侵される。蝕ばわれる。
あぁ、黄金の幼少期よ。あの、火事場での日々よ。
戻りたい。戻りたい。戻りたい。
「何処に入るんだよ‥‥‥‥‥アルケミスト。アマルダ。見えない、見えないよ。人の表情が分からないんだよ!ルドルフさん」
‥‥‥‥‥‥『殺人鬼は苦悩し狂喜する』編
開幕。
ヘファイストス地方。最大の都市『オアシス』
キキイィィッ!!!
ガチャ!
「‥‥‥遂に着いたな。『オアシス』に‥‥‥‥」
「‥‥‥‥はい、『モンスターズ・サンド』の後の『白銀の高原』を抜ける際も、デザートワイバーンの群れや砂塵フィッシュの群れに追われて追われて」
「最後には、めんどくさくなって魔法の袋『黄金の宝物庫』の中に隔離したがな。つうか、こんなかどんだけ広いんだろうな?」
「それは分かりませぬが、最早、その黄金の宝物庫内は神様や神獣様達の理想郷になっているのかもしれませぬ」
「確かに、大蛇やルシファー何か、こっちから頼まなかったら絶対に出てこないしな‥‥‥‥そういえば、ここ数日。アヤネと委員長も外に出てきてないな」
「気になりまするね‥‥‥‥夜叉も心配になってきました」
「だよな‥‥‥よし、魔法の中、見に行ってみるか。今後の方針も話し合いたいな」
「はい」
シュン!シュン!
『黄金の宝物庫』
「アヤネちゃん!!また、溢して!駄目でしょう!!はい!おしゃぶり!」
キュポンッ!
「ウエェェン!ごめんなさいですわ!ラファエルママ!!」
「恵ちゃん!ほらほら~、朝御飯ですよ~」
キュポンッ!
「は、恥ずかしい!恥ずかしいわ!ウリエルさ‥‥‥‥ウリエルママ!!!」
「‥‥‥‥‥何だ?このヤバイ光景は?」
「‥‥‥‥‥ドン引きです。アヤネ殿、恵殿」
「とりあえず、絵面が面白いから動画に残りとくか。エイッ!」
ピッ!撮影、開始します。
その光景は凄まじかった。色々な意味で美しい天使達に柔らかそうなベッドに座らされ。
修道服とメイド服を着た美少女2人がおしゃぶりを咥えさせられ、恍惚の表情を浮かべていた。
とんでもない、羞恥の姿を晒しているのだった。
「ちょっと!あんまり、アヤネちゃんを怒らないの!ラファエル」
「何よ!ルシファー!いくら、無類の子供好きだからって。私の教育に口を出すつもり?他人は黙ってなさい」
「た、他人じゃないわ。この子は、アヤネちゃんは私達みんなの赤ちゃんなんだから」
「チュパチュパチュパチュパ(解放してください!!!)」
おしゃぶりを無理やり咥えさせられて、喋る事ができないアヤネ。
「は~い、恵ちゃんは元気ですね~」
「ンマンマ(離して~)」
地球ではいつも凛としていたあの二人が天使達にかかればただの赤ちゃんに成り下がり好き勝手にされるがままである。
「ど、とうします?セツナ殿。アヤネ殿と恵殿を助けまするか?」
「んーーー、面白そうだし、何か、もう少しで赤ちゃん達のお世話も終わりそうじゃないか?『アヌビス』から『オアシス』の間、魔獣達とずっと闘ってたしな。少し休憩しよう‥‥‥‥お世話されている、あの二人を眺めながらな」
「‥‥‥‥ドン引きです。セツナ殿」
「俺もあの二人に好き放題やられた‥‥‥‥最初の原因は俺だけどな。仕返しだな」
それから、数時間。赤ちゃんプレイでお世話されている、アヤネと委員長を見ながら。『モンスターズ・サンド』で手に入れた素材の整理をしながら終わるのをひたすら待ったのだった。
全てが終わった数時間後。
「可愛いかったわよ!アヤネ!!」
「癒されました!恵ちゃん!!」
喜ぶ、ラファエルとウリエル。
「うぅぅ、一生のトラウマですわ!」
「恥じよ!恥じ!一生の恥だわ」
羞恥心に悶える二人がそんな感想を述べながら、俺達の方へと向かって来る。
「バブ!バブ!バブ!」
「ンマンマンマンマ!」
「‥‥‥‥‥ノリで取ったが‥‥‥‥確かにドン引きだな」
「‥‥‥‥凄い映像ですね。セツナ殿」
「「えっ?」」
「「んっ?」」
俺と夜叉巫女が先程の映像を見ていると、俺達に気づいたアヤネと委員長が。
「けっけっけっ」
「な、な、な、」
「‥‥‥‥よう!二人共」
「‥‥‥お疲れ様です。お二人共」
「「消しなさい!!その映像!!!!!」」
俺のスマホを破壊しようと暴れ始めたのだった。




