夢で会いましょう
ザンッ!ズバズバズバズバ!
鋭利な短剣を怯える女性の首元へと刺した。その後は幾度となく、狂気の短剣を突き刺し続ける。
「ガアァ?!や、止め、て‥‥‥‥グワアアラ、グワアアラ、‥‥グワアアラ‥‥グワ?‥‥‥」
女性の姿に変えられていた砂漠の魔獣は弱々しく何かを叫んだ後、静かに息を絶えたのだった。
「‥‥‥くそが、また、替え玉の魔獣かよ!‥‥‥これで何回目だ?おい!」
「今回で5回目でございます。主様」
「‥‥‥どいつの差し金だあぁ?それにこの魔獣は『ラミア』じゃねえか‥‥‥コイツを擬態させて声まで変えるとは、なかなか凝った事してくれるじゃねえか?何処のどいつかわからん。『邪魔者』め!」
「左様ですな。何かを隠してる?それとも時間稼ぎでしょうか?主様」
「裏の顔の俺がそこまで知るかよ。表の顔の野郎は使えねえしな‥‥‥つうか、アイツはやる気があるのか?おい?!」
「さぁ?私は分かりませぬな。表の彼には興味がありませんので」
「ふん‥‥‥だな。しょうがねえ、引き続き借りを続けるぞ。さっさと目的の場所を見つけて『神煌具』聖域を破壊するぞ」
スゥー‥‥‥
「‥‥‥‥はい、主様。御身の意のままに」
スゥー‥‥‥
1人の『殺人鬼』と1人の『蝙蝠』は闇夜の夜へと静かに暗闇へと消えていった。
砂漠の都『アヌビス』
『ラインホテル』
「おぉ、流石は一流ホテル。出てくる料理も旨いな、スカサハにデールよ」
「はい、霊‥‥‥レオン様。その通りですな。まさか、あの少年から貰った。魔道札を受付に見せただけで、このようなホテルに案内されるとは思いませんでした」
「それ程に彼‥‥‥救国の担い手殿の影響力があるという事なのでしょう?それにあの大金。あんな、大金を直ぐに用意できるなんて。普通ではあり得ないことね?デール大臣」
「‥‥‥ふむ。少年からたんまりと換金したガリア金貨だがな‥‥‥‥一度、魔力の歪みを少し感じる。何処か遠く、違う場所から運ばれて来た形跡が見え隠れするな」
「転移?ですか?お父様」
「‥‥‥‥そうかもしれぬ」
「ですが、転移は召喚術や契約者召喚等の現代では限定的にしかできず、転移魔法じたい、神話時代に失われたと聞いておりますが?」
「それが可能なのだ。7の秘宝『黄金の宝物庫』と契約するか、七聖―女神―アテナ様に気に入られ眷属になり、その叡知の一端を授かるかすればな」
「ならば、あの担い手殿は―女神―アテナ様の眷属ということでしょうか?」
「それは分からぬ。がっ!我と少年には縁が生まれた。また、いつか運命が交差するだろう。その時は敵か味方かは分からぬがな」
「ですか‥‥‥‥‥あら?」
「どうしましたか?スカサハ様」
「彼にかけた‥‥‥魔除けが‥‥‥反転している?」
『アヌビス』朝
「チュンチュン、チュンチュン」
ガバッ!
ん?
んん?
んんん?
んんんん?
「あれ?下に違和感が‥‥‥あれ?」
一般的な殆どの男性の朝は、自身が一番膨張する場所が大きくなっているというが‥‥‥‥
「何だと?‥‥‥あれ?あれれ?あれが立たない?」
ん?
んん?
んんん?
んんんん?
シュン!
「あぁ、やっぱり、反転は‥‥‥‥あれ?していないのね?‥‥‥‥でも何でかしらね?立ってないなんて」
「はぁ?だ、誰って!‥‥‥スカサハさん?」
「‥‥反転していないって事は‥‥貴方‥‥‥もしかして‥‥‥」
「もしかして、何ですか?」
「恋の病気になってしまってないかしら?私、夢魔やらのハーフだから、色々分かるのだけど。でも、私には普通に反応してくれているわね‥‥‥‥ちょっと触るわよ‥‥ふむふむ、うーん、一時的な魔力暴走かしらね?‥‥‥‥魔力の混乱が見え隠れしてる」
「はっ?!なっ!ちょっと!」
スカサハさんは俺のお腹辺り『丹田』だったか?辺りを触り始めた。
「『チャクラ』はあらゆる力の源なのよ。『アフル』‥‥‥」
シュン!
昨日の宝石魔道具店の時の様に一瞬、光が眩しく光った。
「また‥‥‥この光か?」
「これで収まるわ、貴方には2度も命を救われてる、お父様も貴方を気に入り始めたわね‥‥‥夢の中で私と会える様に『仮契約』しておいたわ。何かあったら夢で相談に来なさい!救国の担い手殿‥‥‥‥ではまた。夢の中で」
シュン!
「何?消え‥‥‥‥った?っていうより残像?‥‥‥‥いや、分身か?それより、俺のあれ、恋の病気ってどういう事ですか?スカサハさーん!!」
そして、俺の恋の病気とやらは収まり、今後はスカサハさんと夢の中で会える事になったらしい。
「朝から何だったんだ?‥‥‥‥夢でも見てたか?‥‥‥‥寝直そう」
バタリッ!
そして、俺は再び眠りに落ちた。
ちなみに、アヤネと委員長はここ数日の俺への悪戯(赤ちゃんプレイ)をラファエルとウリエルに見つかり、お仕置きをされている最中である。
『黄金の宝物庫』天使の集落
パアーン!
「少し目を離したら、まーた変な性癖を増やして!全く!このアホアヤネ!反省しなさい!」
パアーン!
「バ、バブ!ご、ごめんなさいですわ!ラファエルママ!」
パアーン!
「恵様。あまり、カミナリ様を甘やかさない様に!分かりましたか?」
パアーン!
「バ、バブ!わ、分かりました!ウリエルママ!!ニャアアアア!!!」
二人の少女の叫び声が黄金の宝物庫内に響き渡ったのだった。




