監視されている
ヘファイストス地方には四季砂漠と呼ばれる砂漠が4つ存在する。
西に存在する。セルゲイ砂漠は気候が安定せず、時たま謎の力が働き、砂漠に雪が積もる。別名は冬砂漠である。
南のセフィーロ砂漠は、各所に憩いの地と呼ばれる場所が点在し、風采な木々が各所に花を咲かせ、人気の観光地にもなっている。別名は秋砂漠。
次に東のサハラ砂漠は春の様な温暖な気候が一年周期をとうして安定している地域である。
ヘファイストス地方の珍しい作物や特産物の栽培はだいだいがこの砂漠で行われている。別名は春砂漠。
そして、最後のガザード砂漠。この砂漠はファブニール海溝に面した砂漠で、初夏の様な高温な気候。夜になると辺りに立ち込める濃霧が特徴である。
また、ヘファイストス地方の主要都市が各所に点在し、海沿いの為、港街もあり、各国との貿易も盛んに行われる。別名は夏砂漠。
このように東西南北の砂漠には『不自然』な春夏秋冬が存在し、ヘファイストス地方の地形や気候を造り上げているのだ。
「‥‥‥‥著作・魔術院・教授アルベド『エウロペ大陸の地形学』より抜粋と‥‥‥‥つうか、アルベドさん。本とか出版してたのかよ!しかも、自費出版とはな」
「セ、セツナ殿!前、前でござりまする!シルバースコーピオンが眼前に現れました!!」
「ん?‥‥‥シルバースコーピオン?うわぁ!なんだ?あのデッカイ蠍の魔獣は!!ぶつかる!ぶつかる!」
「‥‥‥任せろ!夜叉の主よ。『竜凛・桜』」
クロは目の前のシルバースコーピオンの周りに桜色の鱗を出現させ、シルバースコーピオンに向かって放つ。
ズバズバズバズバズバズバ。
「ズズズズ‥‥‥‥‥」スパンッ!
するとシルバースコーピオンの身体はあっちこっちに傷つき、数秒後にシルバースコーピオンは命を落とした。
「‥‥‥‥スゲーな。Bクラスの魔獣をああも簡単に倒すとはな‥‥‥‥」
「ふふふ、もっと誉めるのニャー、夜叉の主よ」
「おお!スゲーぞ!クロ、今日の夜食はシルバースコーピオンのシチューに決定だな」
「‥‥‥‥‥最悪でありまするよ。それは。しかし、セツナ殿」
「なんだい?夜叉巫女よ」
「何故に夜叉が助手席で」
「‥‥‥‥気分だ」
「成る程。では、何故に『アヌビス』まで陸路で移動を転移魔法で行けば直ぐでしょうに?」
夜叉が不思議そうに俺の顔を見る。
「そうだな‥‥‥いちを予定としては目的地の『オアシス』までは転移魔法は極力使わないつもりだ」
「何ですと?それはいったい?」
「‥‥‥‥『ガルクド』で『悪魔』と闘っていこう、何者かの視線を感じないか?その別の場所?空間とかでさ」
「視線ですか?夜叉は何にもですが」
「‥‥‥‥‥ニャー、我は少し違和感は感じ取れたが気にするような事か?夜叉の主よ」
「あぁ、あるな。それに、ガルクドだけじゃない。『イヤトスの街』での夜叉とグレイの闘いも見られていた。あの時は『悪魔』が見ていたが、二人共。ちゃんと認識阻害の魔法を周囲に張っていたにも関わらないのにだ」
「『悪魔』に夜叉とグレイ殿の闘いが?」
「‥‥‥‥成る程。だから、『ガルクドウルク』を出るまでの間。夜叉とグレイとは余り行動を共にしなかったのだな」
「その通りだ。クロ。あの『悪魔』はアルカナNo.15と言っていた。その数字がただ単に強さの序列かはまだ分からないが、あの『悪魔』よりも数字が若い奴に監視されながら旅をするのもリスクだからな」
「転移魔法は次元に干渉する。網を張られた、ヘファイストス地方で転移魔法を使えば」
「罠に嵌まる危険が出てくるということですね」
「正解。『ガルクドウルク』の時は転移する対象も1度に数万や物質も大量にあったが、旅を再開した今ではそうもいかないんだ。敵も馬鹿じゃない。得体の知れない相手に仲間が3人もやられてるんだ。そろそろ、何かしらの動きを見せてきてもおかしくわないさ」
「それで、助手席に夜叉を座らせ。周囲の警戒を強化したのだな?」
「‥‥‥それもある」
「それも?そういえば、最近、アヤネ殿や恵殿といちゃコラ宜しくしておりませぬね?セツナ殿」
夜叉巫女はそう言うと後部座席でいちゃコラしているとアヤネと委員長を見ている。
グレイ?グレイなら車の上でずっと虹色のトシャブツを吐いているよ。
「あぁ、彼女達は新たな扉を開いたんだよ!多様性って奴だよ!多様性!‥‥‥ちくしょー、俺は時代においてかれちまったよ」
「‥‥‥?ク、クロ。セツナ殿とあのお二人に何が?」
「ふむ‥‥あの少女二人もだいぶ魔法の扱いに慣れてきた。夜叉の主が施した。『魔気功』『魔法紋章』『契約の輪』の効果もだんだん薄れてきたのかもしれん」
「あぁ、多分な」
俺はクロの推測に頷く。
「効果の薄れですか?それはいったい?」
「『魔気功』は契約者との魔力リンクを円滑にする効果がある。『魔法紋章』は魔力回路の強化、代償に契約した相手に強い意識が向くようになる。それで夜叉巫女にも付けている『契約の輪』は本来なら、相手を縛る魔道具だが、俺はそうはしていない。パートナーである契約者達が動きやすいように色々な力を付与しているんだよ」
「あぁ、そのお陰である程度の状態異常や魔法力の強化の恩恵を受けている」
「そうだ。俺の方も日増しに増していく魔法総量のいい捌け口になって助かってるんだ。だから、チャンスがある時は神獣や仲間になりそうな人には契約者になるよう頼んでるんだ」
「えぇ、あの将来有望な子供達にも事情を説明した、皆、ご主人様の僕になりたいと言って。『契約の輪』を首元に装着してくれましたよ。ウキウキウキウキ。将来が楽しみですね。ご主人様。ウキウキウキウキ」
タマキがいきなり、魔法の服(黄金の宝物庫)から勢いよく出てきと思ったら、邪悪な笑みを浮かべて説明し始めた。
「‥‥‥‥タマキ、お前!!あの子達に『契約の輪』を俺に相談も無しに付けたのかよ」
「えぇ、変な虫が寄り付かないようにしておきました」
「変な虫?‥‥‥‥あぁ、中央魔法国の『魔法学術会』の奴らか?」
「いえいえ、その他にもいっぱいですがね。あんな優秀な子達です。『魔術院』を卒業した時には、周りの大人が放っておきませんよ。政治の道具にされるに決まってます」
「‥‥‥‥かつての俺の様にな。成る程、だから、あの子達に『契約の輪』を付けたのか」
「ウキウキウキウキ、そうです。未来の悲劇に備えました。ご主人様」
「‥‥‥‥なら良い。君も色々と疲れたろう?チータラやるから『アヌビス』着くまで、袋の中で休んでろ。今回は『ロンギヌス』も外に出してるから大丈夫だ」
「‥‥‥‥あれ?気づいてましたか‥‥‥‥フワァ~、じゃあ、お言葉に甘えて少し寝ますね~、皆さん。おやすみなさい」
「あぁ」「御休みです~」「ゆっくりしてろ~」
シュン!
タマキはそう言うと魔法の袋『黄金の宝物庫』の中へと戻って言ったのだった‥‥‥‥
夜・『ガザード砂漠』避暑地エリア・デザーサンド
「スッゴい!砂漠の真ん中にこんな、大きな湖があるなんて!」
「本当ですわ!夜景が綺麗ですね。恵」
「‥‥‥‥そうね。アヤネ」
「‥‥‥‥御二人ともが見つめあっておりまする」
「多様性だな。夜叉よ」
デザーサンドのプールビーチで水着姿の3人の美少女が楽しそうにしている一方。
「‥‥‥‥『神気・雷』・『雷槍』」
ドガアアァンンン!!!
「ほう!これはなかなか‥‥‥‥だが、腕力が足りんな!!カミナリ様!!!オルタナ・地剣術『地斬り』」
スバアアアン!!
「それはもう見たつうの!!グレイ!!『疾風迅雷・槍円』」
ゴゴゴ!!ズバアンン!!!
「ふふふ、成る程。成る程。カミナリ様は魔法もなかなかだが、武器の扱いもかなりのものなのだな。ワハハハ!」
「そりゃあ、どうも!!!剣聖様よう!!!」
ガキイィィンン!!
「‥‥‥‥何あれ?」
委員長が俺とグレイの練習稽古を見て唖然としている。
「組み手です。恵殿。二人共楽しそうですね」
「組み手?あれが?殺し合いじゃなくて?」
「はい!双方、手加減されながら闘ってますね。後で夜叉も混ぜてもらいまする~」
「セツ君は‥‥‥‥あんなに動けたんですか?魔法使いじゃ?」
「そ、そうよね」
アヤネと委員長が俺達の闘いを見て驚愕している。
「まぁ、―女神―の眷属ならば、あれ位は‥‥‥‥御二人も数年すれば色々できまするよ~、だから、頑張って今は修行です。修行」
「‥‥‥数年後」
「修行ですか‥」
夜叉巫女のそんな一言を聞きながら、少女二人は俺達の闘いを見つめている。
そんな彼女達を俺は一瞬見た。もし、俺が何者かにやられてしまい、彼女達に危害が加えられそうになった場合はタマキの転移魔法。『強制転移』で地球に返す事はタマキに頼んである。
「‥‥‥‥全盛期の身体に戻れれば嬉しいが‥‥‥‥それは叶わぬ夢だな。今は手持ちの力で道を切り開けか!!」
ガキイィィンン!!
「ワハハハ!良い打ち込みだ!カミナリ様!!!」
ゴキイィィンン!!
気分転換で始めたグレイとの闘いは思いのほか、楽しくリフレッシュできた。それを見つめるアヤネと委員長の浮かない顔が少し気になったが、今はグレイとの試合に集中することにしよう。




