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学舎、幻獣、魔王、剣

中央魔法国『魔術院』理事長室


「アルベド先生。そこは昔、教わった事があります」


「む?何?そ、そうか、ならば、別の所を教えよう」


「エルメル先生。ここなんですが‥‥‥‥」


「何?エル・ハイス家のレイナさん」



「おいおい!アホ弟子なんて子達を連れてきてくれたんだい‥‥‥‥あの子達は『魔術院』でやる基礎的な事をだいたい覚えてるじゃないか。あのアルベドが困惑しちゃってるよ。ねぇ?カーリー秘書君」


「り、理事長!良く見ればあの子。数年前に行方不明になった妖狐族のアマテル家のご令嬢じゃないですか?それに隣の子も何年前か消息をたった、ガリアの王族。キルティング・オルゴ・ガリアに瓜二つなんですけど!」


「‥‥‥‥あっちの子は『セルビア』のエルフの貴族、魔王領の将軍家の名前とそっくりな子もいたよ。どの子も今、現在、行方不明中の子ばかりで将来を熱望された子ばかりじゃないか」


「他人の空似でしょうか?」


「さぁ、それをあの子達に聞いたら上手くはぐらかされるし、将来は魔術院に残るかいって聞いたら、『ライニング商会』に入りますの一点張りだよ!あの馬鹿弟子はあの子達にどんな洗脳を施したんだ?全く」


「‥‥‥‥理事長‥‥‥‥良く見たらあの子達の首元。黒い首輪みたいなの付いてませんか?」


「ん?黒い首輪?‥‥‥‥って!あれ『契約の輪』じゃないか!!‥‥‥‥『魔力探知』‥‥‥‥波長は?‥‥‥アホ弟子だって?!何、考えてんだい!あのアホ弟子はああ!!あれじゃあ、あの子達を馬鹿弟子の契約者にしたも同然じゃないか!」


「‥‥‥‥あんな。優秀に育ちそうな子達を、あのトラブルメイカーの元に行かせていいんですか?理事長。将来、何か大きな事件をですね‥‥‥‥」


「いや、それはもう起きてるんだよ。カーリー秘書君。連日のようにね。ハァー、全く。これからどうしたものかなー、色々と此方もサポートした方が身の為かな?いや、子供達を預かった時点でアホ弟子の策略に嵌められたのかな?」


そんな、頭を抱える。マーリンの元へ、1人の獣族の娘がやって来た。


「にゃん、にゃん、にゃーん!おーい!マーリン、今日も魔法について授業してくれにゃあ」


「おや?これはこれは、セシリア嬢。お早うございます」


「にゃあ?‥‥‥‥あ、あぁ、セシリアかい?お早う。今日も君は元気だ‥‥‥‥ね!そうだよ!!」


「はい?」

「にゃあ?」


「セシリア!君は確か、数週間後にヘファイストス地方の『オアシス』で行われる武術大会に出るんだったね?」


「んにゃあ?そうだにゃー、あそこの大会はエウロペ大陸や他大陸からの挑戦者が来るから力試しに丁度良いのにゃ」


「成る程、成る程。ではでは、私もその旅に同行しようとしよう」


「にゃあ?!同行にゃあ?」


「り、理事長?!いきなり何を言ってるんですか?仕事は?」


「仕事なら、アルベド君がいるじゃないか。それに最近のアテナ地方はあそこら辺以外は安定してるし、ガリアと魔王領の争いも無いしね。後の事は‥‥‥『白き獣の会』の子達に任せればなんとかなるかな。うん!決まり!そうと決まれば、直ぐに出発だぁ!セシリア!レッツゴー!」


「うにゃー!良く分からないけど!出発にゃあー!!」


「「「「「「待てぇ!!!!、行かせるか!!!!何を1人だけ休暇とろうとしてるんですか?つうか、私、俺達にもよこせ!!!!!」」」」」」


魔術院の教師達が何処からともなく現れ、マーリンにこうぎするが‥‥‥‥


「何を言うんだい!ちゃんと休みならあげてるだろう?それにお給料だってガリアの宮廷魔法師の倍はあげて‥‥‥‥」


「子供達の指導に使う道具が!」

「魔法実験費は?」

「魔道具の研究費込みですか?」

「実戦時の時間外手当てが‥‥‥」


次々に出る給料面以外での不満。


「‥‥‥‥‥分かったよ。今後はライン財団やライニング商会に、フレイヤ地方の『魔法研究所』共。協力して、魔道具やその他もろもろも準備してあげるよ」


「「「「何ですと?ありがとうございます!!!」」」」


「あの馬鹿弟子がまさか、あのライニング商会の名ばかり社長だったんだ。ちゃんと私達に還元してもらわなくちゃね」


「にゃあ?話しは纏まったかにゃあ?マーリン」


「うんうん、纏まった!纏まったよ!セシリア良し!今から楽しい、楽しい旅行の準備を始めよう!アルベドくーん!後はよろしくねーー!」


魔術院・『アルファクラス』教壇


「アルベド先生」


「ん?なんだ?テラ女生徒よ。これから、君達には俺の特別講義をこの先みっちりとだな‥‥‥‥」


「マーリンせ、‥‥‥マーリン理事長が此方に手を振ってます」


「ん?理事長が?また、変な事でも始めたんだろう?皆で手を振ってやりなさい。後、放課後は各自の寮があ

てがわれるから、確認しておくように、『魔術院』は人族中心の学校と思われているかも知れんがそうじゃない。各地方や他大陸からの留学生等、多種多様な者達が集まる学舎だ。覚えておくように!」


「「「「「は~い!!!!!」」」」」



再び『理事長室』


「あらら、此方に気づいたはみたいだけど目的までは察せ無かったようだね。ニッシシ!!」


「どうするにゃあ?わっちはもう直ぐにでも行けるにゃよー」


「おお、流石に旅慣れてるね。セシリアは!行動が早い、早い」


「ほ、本当に行かれるのですか?理事長」


「なんだい?君も一緒に行くかい?カーリー秘書君。女の子3人旅なんてなかなか面白そうじゃないか」


「お、女の子3人?女の子はセシリアさんだけですよね?私は成人してますし、理事長は最早、化石‥‥‥」


「ふんっ!」


「グエッ!‥‥‥」バタリッ!


「にゃー、容赦ないにゃあ‥‥‥」


「この子も付かれてるみたいだし連れていこうか、各先生達には知らせたし、各種お偉いさんには手紙を送ってと」


シュイン!シュイン!シュイン!


「オーケー!!良し、アルベド君に気づかれる前に脱出だっ!行こう!セシリア!!」


「うにゃあーー!!出発にゃあ!!!」


これが後の世に語られる。マーリン大脱走事件の始まりであった。



ユグドラシル地方『幻獣の楽園』


「‥‥‥‥ゴリラ聖女様‥‥‥‥」


「ゴキリ、ゴキリ、何かしら?サーシャ」


「‥‥‥‥カタカタッ‥‥ブルブル‥‥‥天女様‥‥‥」


ニコリッ!

「何かしら?幻獣国・専属魔法師サーシャ」


「‥‥‥そろそろ、帰りたい‥‥‥お家‥‥‥」


「で、では私も」「私達も!!」


ドガアアァンンン!!!!

城のバカデカイ柱が粉々に砕ける音。


「何かしら?幻獣・国特務戦力の3人?」


「‥‥‥‥ブルブル‥‥‥いえ」

「ブルブル、何も」

「‥‥‥‥ありません」


「そうですか?それは良かったです!フフフ」


「‥‥‥‥エリス様。少しやり好きです。4人共。怯えきっております」


「‥‥‥‥‥そうね‥‥‥やりすぎたわ‥‥‥‥ごめんなさい。4人共」


「そう思うならこの国から出せ!エリス!!!」


ドガアアァンンン!!

「駄目です!ギャラハット卿」


「‥‥‥‥エリス姉‥‥‥‥出せ‥‥ゴリラ聖女‥‥‥」


コツンッ!

「駄目よ。サーシャ。そして、誰がゴリラよ!誰が!」


「おーい!聖女エリス殿ここから‥‥‥‥」


ドガアアァンンン!!

「誰が聖女ですか!トリスタン!!」


「トリス!!!!!」


「相変わらずのおしどり夫婦ね。イゾルテ‥‥‥はぁ、羨ましい」


「‥‥‥‥男には容赦ないんだな!君は」


「そんな事ありませんわ。ギャラハット卿。私は相手をちゃんと選んで叩いてますので」


聖女エリスとサーギャラハット卿がそんなやり取りをしていると。


ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!

「ウオオオオオ!!!」

「ワオオオオ!!!!」


「ただいま!エリーー!!」


ガシッ!っと。、聖女エリスの身体に抱きつくのは現在、行方不明中のガリア帝国、王女『アリス』姫である。


「アリー!!お帰りなさい。どうでした?収穫の方は?」


「うん!順調、順調。幻獣の子達も人獣化を出きるようになってきてるし、作業もかなり早くなってるわ」


「そうですか、それは良かった」


「‥‥‥‥‥エウロペ大陸、最大の国家『ガリア帝国』の王女が野生化してるなんて大陸中に広まったらただ事じゃないな‥‥‥」


「あの、アリス姫があんなに逞しくなってるよ!ハニー!」


「えぇ、私よりも筋肉がモリモリね!トリス」


「‥‥‥‥環境は人を変える‥‥‥‥」


「はっ?!ラブラブオーラが直ぐそこに?!そこ、イチャイチャしないで下さい!後、別に捕まえてる訳じゃないんだから怯えないで下さい!」


「「ヒ、ヒイイイ!!!!」」


「己えええ、恨むよ、セツナ!!!この裏切り者!!!!今度あったら覚えてろよ!!!」


サーギャラハット卿の悲痛の叫びがフェンリル城に響き渡った。



アテナ地方『魔王領』オリエンタル・メイス


「ユナの魔力を遠くで感じたですか?」


「は、はい!魔王代理様」


「ふむ‥‥‥‥数週間前にはヘファイストス地方で事件がありましたしね。担い手君がまた、来たんじゃないですか?レオンハルト」


「そ、それなら、安心なのですが『魔法会』からの報告では隣の大陸。『アルトネ大陸』から感知したとの事で、それに魔王様の魔力残滓は独特なものなので間違えようもないとの事です」


「アルトネ大陸?あの剣が優遇される国の?‥‥‥‥ユグドラ家とオルガリアにでも手紙を送ってみましょうか?」


「て、手紙ですか?な、成る程、そうすれば安否も分かりますね」


「えぇ、本当にアルトネ大陸にいるのなら少し修行の旅をさせるのもありですかね~」



フレイヤ地方『オッタル』


「あの、馬鹿があぁぁ!!何をしてるかと思えば国を1つ落として、部族の土地を取り戻したらしいぞ!あの、馬鹿があぁぁ!!」


「‥‥‥‥グレイが出てって数ヶ月。やっぱり暴れ始めましてね。師匠。どうしますか?」


「ぐっ!アイツばかりチヤホヤされおって!許せん!許さんぞ!」


「し、師匠?」


「お、おお!済まない!‥‥‥‥‥七大賢者のラインバッハが近くで見張ってるのだろう?それに、あの馬鹿は早々に間違えん!これは奴に剣を教えた俺だから分かる」


「ならば、数人の間者を送って同行と居場所だけでも分かるようにしておきましょう。フレイヤ地方の『豊穣祭』も近いですし、剣聖が不在だと面子に関わりますので」


「あぁ、そうしてやれ‥‥‥‥後は、グレイの仲間達の為に、幾人か『ヘスティア地方』に先回りで行かせておけ」


「ヘスティア地方ですか?それはどういう事でしょう?師匠」


「‥‥‥‥まだ、分からんがな。用意だけはしておけと―女神―フレイヤ様から(みことのり)の信託があった。それだけだ」


「フレイヤ様からですか‥‥‥‥分かりました。近衛の中から精鋭を旅だたせます」


「あぁ、頼む」


「はい!」


「‥‥‥‥全く。最近はあっちこっちで事件が起こってばかりだな。勇者の失踪をきっかけに得た仮初の平和もそろそろ消えいくか‥‥‥‥‥」



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