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『魔術院』へと送り出す

数年前の『魔術院』


(アルベド先生!!カミナリがまた変な物を造ってます!)


(何?!奴は何処に居る?被害が出る前にさっさと捕まえて牢屋にぶちこまないと‥‥‥‥)


ドガーン!!ガギーン!ドドドド!‥‥‥‥ドゴオオオオオンンン!!!!


(‥‥‥一足遅かったみたいです。アルベド先生)


(あんの!クソガキ!!!!)



『魔術院・秘密の部屋』


(ケホッ!ケホッ!ケホッ!また、やっちまったな‥‥‥‥しかし、魔法技術と機械技術の融合がこんなに難しいとはな。地球から持ってきた知識が無かったら造ることさえ無理な物ばかりだ)


(何処だ!!カミナリ!!出てこい!!毎日!毎日!貴様という奴は!!!牢屋にブチ込んでやる!!)


(うわぁ、アルベド先生の声かよっ!‥‥‥だが、ここは見つける事は不可能だろうよ。何せここは俺だけの秘密の‥‥‥)


(‥‥‥兄弟子‥‥‥これ何?宝石?‥‥‥)


(いや、サーシャ。それはエンジン技術を利用した‥‥‥何故、お前がここに居る?)


(‥‥‥彼処の扉から入った‥‥‥)


(‥‥‥よし!出てけ!そして、この部屋の事は直ぐに忘れろ!)


(‥‥‥‥通信魔道具‥‥通信魔道具‥‥‥)


(おい!止めろ!居場所を誰かに知らせようとするな!!)


(‥‥‥‥なら、この場所にある魔道具について色々教えて‥‥‥兄弟子‥‥‥そうすればここの場所‥‥‥誰にも教えない‥‥‥)


(‥‥‥‥分かったよ。たくっ!好奇心旺盛な大魔女様はこれだから。えーと、まず、これが電気と魔法力をだな、それからこれが俺の魔力反応で動く。開発中の転移魔道具なんだが‥‥)


(‥‥‥うんうん‥‥‥成る程成る程‥‥‥)



『ガルクドウルク』・ライトニング商会・本部


ふと、魔術院の事を思い出していた。それも現在、アヤネと委員長、『悪魔の淑女』に捕えられていた子供達に魔法の授業を行っているせいだろうか?


「どうしました?カミナリ先生。大丈夫ですか?」


妖狐族(獣族)の女の子。テラが俺を心配そうに見つめる。


「ん?あぁ、大丈夫、大丈夫。少し昔の事を思い出してただけだから」


「そうなんですか?気分が悪くなったら直ぐに言って下さいね。カミナリ先生。テラが直ぐに回復魔法で治してあげます。先生は私達の命の恩人なんですから!」


テラはそう言って俺に微笑んでくれた。

‥‥‥‥‥なんという天使の微笑みだろうか?アヤネの奴も昔はこんなにも純粋だったのにな。

時の流れとは残酷である。まぁ、アイツが変わってしまったのは大体が俺のせいではあるのだが。


「アヤネお姉ちゃん。違うよ!水魔法はこうやるんだよ!ほらっ!」


ドバーン!


「わ、分かって下ります。わ、(わたくし)だってそのくらいできますわ」


「あー、あー、(けい)お姉さんは魔力が乱れすぎだよ!もっと丁寧に扱うだ。カミナリ先生みたいにさーー!2人はカミナリ先生に直に教わってるでしょう?」


「わ、分かってるわ!少し静かにしていなさい!」


アヤネと委員長はライトニング商会で保護した子供達に囲まれ、魔法の手解きをされている。

何故に子供達があの2人に魔法の手解きをしているかというと話しは簡単だ。


『悪魔の淑女』に捕まっていた子供達のほぼ全員が魔法使いの素質を有し、エウロペ大陸中で小さい頃から厳しい魔法の訓練を積んできている子ばかりだからである。


‥‥‥‥あの『悪魔の淑女』は恐らくだが、将来的に自身の障害になり得る存在である子供達を(さら)い、自身の眷属にでも使役しようとしてたんじゃないかと思われる。何せ、相手は本物の悪魔。何をしてもおかしくなかっただろう。


子供達が本物の化物に変えられる前に助ける事ができて本当に良かったと思う。


そんな、彼ら彼女らとも、後数日でお別れである。

魔術院時代に造っておいた転移魔道具を使い、ガルクドウルクから魔術院まで一気に転移魔法で転移し。そのまま、子供達を魔術院へ入学させる予定であるからである。


しかし、本当に子供達。1人1人の魔法適正が高いな‥‥‥‥‥恐らくは各国の王族や貴族の子達なのだうか?言葉の端々から気品の様なものが見て取れる。


「この子供達が無事に魔術院を卒業した時は‥‥‥エウロペ大陸はどうなるんだろうか?少し興味が湧いてきたな」


「セ、セツ君!この子達。私を馬鹿にしてきますわ!叱って下さい!!」

「か、神成君!子達達。凄いマウント取ってくるだけど?この世界の子達は皆こうなの?」


「こら!!カミナリ先生に泣きつかないの!早く、魔法の練習に戻るよ!アヤネお姉ちゃん」

(けい)お姉さんもワガママ言わないの!!メッ!」


「「イヤアァァ!!!」」


少女2人の阿鼻叫喚が『ガルクドウルク』に響き渡った。



翌日。

アテナ地方『中央魔法国・不思議の森』


ブオン!シュン!シュン!シュン!


「‥‥‥‥ここは‥‥‥懐かしいな‥‥‥『アリスの家』か‥‥‥」


「ここは?森ですか?」

「何か?変な感覚ね‥‥‥‥五感にくるというか‥‥‥」


「おっと!そうだった。ここにいると神経をやられるんだったな‥‥‥‥転移魔法・『摩天転移』」


「カ、カミナリ先生!また、転移ですか~!」

「これが救国の担い手先生の転移魔法!!!」

「しゅごい!!」


子供達は目を爛々と輝かせ、転移魔法の魔方陣を観察し始めた。


シュン!



『魔術院・修練場』


シュン!シュン!シュン!シュン!


「よし!無事に到着!流石は『アリスの家』魔力濃度が濃いから転移も上手くいったな。」


「‥‥‥‥ここが?魔術院?」

「何あれ?大きなお城?」


アヤネと委員長が魔術院の周りを見渡している。

そして、子供達はというと‥‥‥‥


「ここがカミナリ先生が居た。魔術院‥‥‥」

「私が入る筈だった場所‥‥‥」

「まさか、本当に入学できるなんて‥‥‥思わなかったね。シル」

「そうだね!エル」


各々が色々な感想を述べいた。


「あれ~?本当に来たよ!アルベド君!!!」


「‥‥‥‥まさか、手紙通りに転移魔法で戻って来るとは‥‥‥」


「よし!着いた!じゃあな、皆!魔術院での勉強、頑張ってくれ!さようなら!!」


「待ってたよ!クソ弟子!!」

「待て!クソガキ!!」


俺が転移魔法を発動した瞬間。目の前に2人の魔法使いが姿を現したのだった。


「‥‥‥‥帰るぞ!2人共。ガルクドウルクへ!!」


「は、はい!セツ君」

「ねぇ?何でそんなに急いでんのよ」


「目的は果たした。後は帰るだけだ‥‥‥さようなら、魔術院」


「って!返すわけないでしょう!馬鹿弟子!!さっさと魔術院に戻ってくる」


「貴様!!我が娘。サーシャを何処にやった!!吐けっ!!貴様!!」


詰め寄る。魔術院の学園理事長『マーリン理事長』と副理事長の『アルベド先生』が俺の胸ぐらを掴み取る。


「‥‥‥‥お久しぶりです。お二人共、そして、お会いしましょう。さようなら」


「待て!こら!!『セルビア』『スパイング山脈』『カマの街』『ガルクド』について報告したまえよ!馬鹿弟子!!」


「サーシャは!サーシャは今、何処にいるのだ!!馬鹿生徒!!」


「あ、あれがご高名な白の術師マーリンと隻王のアルベド」

「本物だー!本当に魔術院に来たんだー!」

「何であんなに怒っているの?」


子供達がざわつき始めた。


「子供達が見ていますよ。先生方、ここは大人の対応をしてもらわないと困りますね」


「‥‥‥君、後で覚えてなよ」


「後で吐かせるからな!カミナリ!!」


2人はそう言って俺の胸ぐらを離した。


「コホンッ!やぁ、やぁ、君達。初めまして、私は『魔術院』の理事長ことマーリン先生だよー!宜しくねー!いやー、この馬鹿弟子の推薦でこんなに有能そうな子達が沢山来てくれるなんてとても嬉しいよ」


「俺は副理事長のアルベド・アルディージャだ。今は魔法使いの子供が少ない。君達の入学を心から感謝しよう」


おうおう、出たよ。入学前の良い人アピール。

これに騙されて入学後地獄を見る奴等を俺は散々見てきたな。

各いう俺もその1人なのだが。


「‥‥‥‥大丈夫そうだな」


俺は一言そう漏らす。


「そんな、事よりもあの銀髪の可愛らし方は何方ですか?セツ君!‥‥‥あら?私の身体が」


「光ってるわね‥‥‥何で?」


「じゃあな!皆、ここでしっかりと勉強するだぞ!マーリン先生!アルベド先生!今回の旅が無事に終わったらまた来ます」


「あっ!こら!!どさくさに紛れて逃げるな!アホ弟子!!」


「カミナリ!!何処に行く気だ!!サーシャは何処にやった!!」


「サーシャなら、多分、ユグドラシル地方に居ると思いますよ、アルベド先生」


「何?ユグドラシル地方だと?」


「えぇ、それにサーシャとは『契約の輪』で繋がってるんで無事ですよ」


「なんだと?『契約の輪』だと?貴様!それはガリアの変態共が使う魔道具ではないか!!」


「‥‥‥‥ヘファイストス地方の旅はまだ続きそうかい?愛弟子」


「はい、『オアシス』まで行きます」


「オアシス‥‥‥なら、ルドルフが無事だったら伝えといてくれるかい?助けに行けなくてごめんってね」


「了解です。必ず伝えておきます。後、これは子供達に必要なお金と物質もろもろです」


ドガーンッ!!!


「君?このお金と物質‥‥‥‥過保護過ぎないか?」


「何かあれば中央魔法国にある『ライトニング商会』支部に連絡を入れて下さい」


「ん?ライトニング商会?‥‥‥ライトニング?‥‥‥馬鹿弟子!!それって君の?」


「おっ!もう時間みたいですね。では、また会いましょう。二人共、さようなら。じゃあな、皆!」

シュン!


「さ、さようなら」シュン!

「へ?もう帰るの」シュン!


「「「「さようなら!!カミナリ先生アヤネお姉ちゃん、(けい)姉ちゃん」」」」


「うーん。また、逃げられちゃったか‥‥‥馬鹿弟子め。聞きたい事が沢山あったのに!全く」


「ユグドラシル地方?ユグドラシル地方だと?‥‥‥‥まさか?『幻術の楽園』ではあるまいな?サーシャよ」


こうして、俺達は魔術院を後にし、ヘファイストス地方へと転移魔法で帰還したのであった。

これも以前、―女神―アテナ様から授かった新たな力『魔眼』の力で以前よりも魔力位置や場所をスムーズかつ正確に知ることが出来るようになったからだが、それは『オアシス』に着いてから実戦で説明したいと思う。

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