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『襲来 夜霧のヒスイ』~『カミナリ VS ヒスイ ROUND4(雷霆将来)』


ユグドラ街道


北の大地を目指す者達が必ず通る。エウロペ大陸でも知らないものがいないとされる。大陸の大動脈である。


街道の左右は女神ユグドラシル様の巨大樹に守られ。街道の道は旅するものが、安全にユグドラ街道を通れるように日夜。『始まりの大森林』『セルビア国』の職人達が整備と警備を兼任しているのがユグドラ街道の特徴である。春先になると巨大樹の木から咲く花はエウロペ百景の一つにも数えられる。名所である。


と、『キャッツアイ』を出る前にガルドさんからもらった。

エウロペ大陸観光ガイドに書かれている。ユグドラ街道の紹介文である。


「まさか、異世界に観光名所があるなんて思いもしなかったな」


「そうなのか?勇者時代は色々な所へ行っていたのだろう?」


「ダンジョンとか、ドラゴンの巣穴とか、海竜の渦潮とか、魔王城とか、色々行っていたよ」


俺は死んだ魚の目の様な眼でエスフィールを見た。


「‥‥‥‥もう良い、私が悪かった‥‥‥許せ」


「それにしても本日のユグドラ街道も旅人や行商人やらがいっぱい歩いてるニャア。賑やかニャノウ」


「本当に人が多いな。何かのイベントでもあるのか?」


「オニャエのお陰ニャゾ。セツニャ」


「俺のお陰?どう言うことだ?」


「オニャエが、行方不明になって、それからニャンだったっニャア?大窃盗事件が色々な所で起きてニャア。そのせいで人間側の勢力が落ちたとかニャアとかで」


ヤバい、イヤな汗が出てきた。エスフィールの視線も痛い。


「そんでニャア、落ちた人間側に魔族側は対等な関係を約束させたらしいニャア。そのお掛けでエウロペ大陸の中央の国々は他の勢力にケンカを売れニャくなって静かにしてるってことニャア」


「それとこのユグドラ街道の人の多さに何か関係があるのか?」


「平和にニャったら、ニャったらで今まで兵として働いていた騎士やら兵士ニャンかはああやって土木や鍛治屋ニャンかに転職したりしたのニャア」


「あぁ、それで転職した人達や転職するための旅人がこんなにユグドラ街道に集まっているんだな」


「そう言うことニャア。平和になれば平和になった。なりの新しい問題も出てくるってことニャア」



「‥‥‥‥‥おい、セツナ!」


さっきまで静かにしていたエスフィールが怖い顔をしながら俺に話しかけてきた。腹でも減ったのか?



「ん?どうしたんだ。エス‥‥‥メイエス?」


「セツナ!貴様、気づかないのか?南西から高い魔力を持った者が、少しずつ近づいて来とるのを?」


「高い魔力?」


「ご、ご主人様!!この魔力量はいったい?」


しばらく、(中の整理整頓をしてきます。)とか、言った後。魔法の袋の中に引きこもっていたタマキが現れた。エスフィールが言っていた高い魔力について質問してくる。



「魔王様、この魔力の気配。もしや、あの方では?」


「あの方?誰の事じゃ?私には分からぬが‥‥‥」


「先代魔王様の懐刀の名前は‥‥‥‥」


あれは確か、エスフィールの使い魔の、バベル?、レベル?うーーんと、あっ思い出した。そうそうラベルだ。

普段はエスフィールの護衛の為。姿を隠している筈だが、なんで出てきたんだ?


「なんだ、皆して?なんでそんなに慌ててるんだ?なぁ、セシリア?」


「ンニャ!ソウニャ‥‥‥‥‥セツニャ!この気配は!!あいつニャア!」


「ん?セシリアまでどうした?」


その瞬間。俺達、3人と2匹の前に黒い鎧を纏った。長身の騎士が突如、上空から現れた。


俺はその騎士を見た時、やっと思い出した。魔王軍の三騎士の1人の‥‥‥‥そう、俺はコイツを知っている。幾度とも闘い、ギリギリの中で勝利した相手。


「お、おまえは?!!夜霧の‥‥ヒスイ!」


「ん?!おぉ、やっと見つけたぜ!!カミナリ!!!ん?カミナリだよな?なんか?背?縮んだか?」


夜霧のヒスイ。

魔王軍の三騎士が1人。俺のかつての好敵手だ。


「‥‥‥‥‥な、んでだ?」


「あぁぁん?なんだてえ?聞こえねえょ!」


「何でお前がここにいる?」


「あぁ?!、何でここに俺がいるだと?!俺はな、カミナリ!!!お前を探してたんだ。」


「俺を?」


「行方不明ってようぉ!聞いたときは驚いたが。たく、あのホラ吹き女め!‥‥‥まぁ、今はいい」


「ホラ吹き女?」


「そんなことより、よおぉぉ!!見ての通り。、ここはユグドラ街道だ。人も沢山いるしなぁ!!被害を出したくねぇ‥‥‥場所を変えるぜ!!カミナリ!‥‥‥着いてきなぁ!!」


「‥‥‥‥ああ、わかった」


「お、おい、セツナ!!待て。なぜ、素直に言うことを聞くのだ?いつもなら‥‥‥」


「‥‥‥エスフィール、すまん。行ってくる。ここに居てくれ」



「なに?セツナ!どう言うことかちゃんと説明を」


「メイエス!!!!!静かにするニャア!黙ってセツニャの言うことを聞くのニャゾ。じゃないと。殺され‥‥」


「死ぬかも知れねぇ~な!!なぁ、拳王姫さんよーーう!」


「ぬ?セシリアとも知り合いか?」


「おい、夜霧のヒスイ!!!!目的は俺だろう。早く連れてけ」


「‥‥‥‥‥あぁ、わかった。着いてきなぁ!!」


そして俺はヒスイに連れられ。ユグドラ街道から数キロ離れた誰もいない岩場へと移動したのだった。



▽▽▽▽▽


「この日を待ちわびたぜ。カミナリ!!!柄にもなく山籠りなんかしてな!!」


「‥‥‥そうか!」


夜霧のヒスイは全盛期の俺でも倒すのがギリギリだった。今の俺がどこまでやれるか分からないがやるしかない。


「じゃあ、行くぜ、カミナリ!!!!!!!夜○術抜刀『一の型・百鬼夜行』」


夜霧のヒスイの抜いた刀に黒煙が纏わり着く。


「うし!!いくぜえぇぇぇ!!カミナリ!!!!」


ヒスイはそう叫ぶと俺の方へとどす黒い黒煙の刀を振り下ろした


「雷魔法『雷壁』!!!」


俺はとっさに雷壁を繰り出し応戦するがヒスイの刀の振りでで雷壁がいとも簡単真っ二つになり崩壊した。


「あぁ?!雷魔法だあぁあ?!なんだそれは?!嘗めてんのか?おい!!ごらあぁーーー!!」


「ぐっあぁぁ!!くっ!」


ヒスイの蹴りが俺の腹部に辺り練り込む。俺の体は、岩場の後ろへと飛ばされ、後ろの岩盤を数枚貫通し、ようやく止まることができた。


「おい、本気でやれ!本気で!!じゃないと殺すぞ!!カミナリ!!!!!!!!」


先代魔王軍元幹部『三騎士が1人・夜霧のヒスイ』





カミナリ VS ヒスイ ROUND1(飛来槍・麒麟)


数年前、魔王軍駐駐屯所


「これでトドメだ!夜霧のヒスイ」


「くっくそがぁ!!何でだ?何度、てめぇと戦っても勝てねえんだ?俺はあぁぁぁ!!!」


「‥‥‥‥それは、俺がお前よりも修行したからだろう」


「修行だぁあ?!」


「そうだ、俺に勝ちたかったら。山籠りでして修行してこい。お前の修行が終わった時。その時はもう一度、お前と戦ってやるよ。ヒスイ」



ユグドラ街道近くの岩場


くそ、予想以上に強くなっているな。ヒスイの奴。いや、それもあるが、俺の弱体化もその原因か。


「さっさと立ちやがれ!!カミナリ!!!ただの蹴り一発でノックアウトなんてねえだろう?そろそろ本気度やれ」


「さっきから本気でやってんだよ。くそ!!」


俺はそう言うと。立ち上がり魔法の袋に手を伸ばした。


「タマキーーー!!『飛来槍・麒麟』だあぁぁあ!!!」


一瞬、袋が光ると俺の手の中に一本の槍が握られていた。


神級武器『飛来槍・麒麟』


「‥‥‥‥‥色々と思うところがあるが、まぁ、いいお手並み拝見といこうじゃねえか!」


ヒスイはそう言うと自身の刀を中段に構えた。


「ふぅ、久しぶりに使うな。‥‥‥‥行くか」

俺は『飛来槍・麒麟』を前に出し構える。


こっちの方が今の体格に合っている武器だろう。

素早く動くにはこの武器が最適解だ。


「雷魔法「(まとい)・極」」


俺は呪文を唱えると。飛来槍・麒麟に雷魔法が付与された。


「こっちからいかせてもらう」


「お好きにどうぞ!お前が槍術か。楽しみだ」


〖天王洲槍術・雷激〗


俺は足元の岩盤が抉れるくらい。おもいっきり脚に力を入れ。ヒスイへと向かって走り出した。


「おぉ、くそ、速えぇじゃねえか?!速さなら前とどっこいどっこいかぁ?!」


ヒスイはそう言うと刀に力を込める。


一瞬でヒスイとの間合いを埋め。雷激をヒスイの顔面に叩き込む。その瞬間。


「〖雷昇跿〗(らいぼると)」


ヒスイにゼロ距離から上級者・雷魔法「雷昇跿」を全力で食らわせた。


「ぐあぁぁぁぁ!!!!これは!!!きくぜえぇぇぇ!!」


ヒスイは雷撃の雨を受けながら。叫び始めた。


(くそ、まだまだ余裕そうだな)


その後、最初の一撃ではでは終わらず飛来槍・麒麟をヒスイに当てていく。


「夜○術『弐の型・闇夜(あんや)』」


ヒスイがそう、唱えると暗黒の(もや)が表れ。俺が放出し続ける雷撃を刀が吸収し。俺が発動していた雷魔法が全て霧散と消えた。


「まぁまぁって所だな。‥‥‥速さはあるが攻撃が軽いし威力がねぇな。雑魚には効くが、俺には差程も刺さらねえぞ。カミナリよぅ!!」


「そうかよ!!くそ。‥‥‥昔と立場が逆転したか」


「よっしゃあ!!!今度はこっちからいくぜぇ!!!夜○術『連激・夜桜』」


瞬間。ヒスイは目にも止まらぬ速さで漆黒の刀を俺に振りかざす。


「くっ!!!「回避の型・瞬光」」


『飛来槍・麒麟』に込めていた雷魔法の魔力を自身にも付与。身体能力を数段上げ。ヒスイの攻撃をギリギリで躱していく。


「ハハハハ!!良いぞ、良いぞ!!!カミナリ!!!昔のてめえのスピードの切れが戻って来てる是えええぇ!!そおらああよう!!!」


ヒスイがそう言った後、気合いの一撃を俺へと放った。


俺はその一撃を回避しようとしたが、間に合わずもろに喰らってしまった。


「(知っしまった。回避が間に合わない)ぐっ、ぐあぁぁぁぁ!!」


ドガアァァァァンと岩盤が崩れ崩壊した。幸いな事に雷魔法の魔力を纏わせいたお陰で、左腹部を切られたがまだ動けそうだ。


ヒスイの奴ここの地形そのものを変えるつもりか?


「くそ、相変わらずの馬鹿火力が」


「お褒めに預かり光栄だぜ。カミナリよぅ!!そうだぜ、これだよ。これ。だから、お前との闘いは止められねぇえ止まらねえ!!」


かっぱえびせんかこのやろ!!こっちは必死だってのに。戦闘を楽しむ戦闘恐は相変わらずか。


「‥‥‥‥お褒めに預かり光栄だよ。ヒスイ!それじゃあ、俺はここら辺で帰らしてもらっても‥‥‥」


「ハハハハ!!馬鹿言うなよ。てめぇがもしこの場を去るようならお供の女、2人はただじゃおかねえ!」


「‥‥‥なんだと?」


「女には興味がねえがな。顔もいちいち見て無かったが!てめえのとの闘いが続けられるならなんだってしてやる」


「‥‥‥おまえはやはり狂ってるな」


「ハハハハ!!誉めてるのかカミナリ?!」


「指摘してるんだよ!!!ヒスイ!!!!」


俺は『飛来槍・麒麟』をヒスイに向けて振り上げたが


「‥‥‥‥その技はもう飽きた」 


ヒスイがそう言った瞬間。『飛来槍・麒麟』を片手で受け止め。ヒスイの黒い刀で『飛来槍・麒麟』を真っ二つに叩き切った。


(う、嘘だろう?!!エウロペ大陸でも有数の魔道具の一つだぞ?!それを真っ二つに叩き切るだと?)


「くっ!!飛来槍・麒麟!!!最後の悪あがきだ!!『放雷・爆霰』!!!」


俺が言い終えると。ヒスイの周辺が雷光で光。ヒスイへと被弾する。


「うおおお、まじか、くそがあぁぁ!!」


ドガアァァァァントと爆音が岩場に響き渡る。





カミナリ VS ヒスイ ROUND2(ヒスイの過去)



場面変わり。ユグドラ街道


「おい!ラベル。あの黒騎士は何者なんじゃ?さっきのお主の反応からして奴のことを知っておる様だったが?ラベルは元々はお母様と契約しておったのじゃろう。何か知らぬか?」


「魔王さ、‥‥‥‥メイエス殿が知らないのも当たり前です。あのお方は先代魔王カシア様の懐刀と呼ばれた三騎士が1人、夜霧のヒスイ様です」


「夜霧じゃと?それにお主、今、三騎士と言ったか?私が数ヶ月前に就任した時は朝陽殿と昼神殿の二人の騎士しかいなかったぞ?」


「あのお方、ヒスイ様は先代魔王カシア様の死後、誰なにも告げること無く。密かに三騎士を降りたのです」


「三騎士を降りた?どう言うことだ?」


「ヒスイ様は元々、魔王領と人族の戦争に巻き込まれてご両親を失った。戦争孤児です。物心着く頃には魔王軍にて兵士として働いておりました。それを不憫に思ったカシア様がヒスイ様を引き取り。自身の養子にされたのだ」


「先代様があの者を養子に?その話、本当なのか?」 


「はい、本当です。この話は、メイエス様のお母様。エスフィール様とカシア様の側近の極一部しか知らない話です」


「‥‥‥‥そうか。それで?カシア様がヒスイを養子にした後、どうなったのじゃ?」


「はい、ヒスイ様は幼少の頃から多くの武勲を立て。20才という若さで三騎士の1人に数えられる程に出世致しました」


「そんな、凄い者なのに、私もそうだが。何故、ヒスイの存在を周りは知らなかったのだ?」


「それはヒスイ様が余りにもお若かったせいです。メイエス様。以上な程に早すぎた出世ゆえに、妬む者も少しずつ現れ。それを危惧したカシア様が、自身の懐刀としてヒスイ様を人知れず三騎士の1人に選び。夜霧の称号を与えたとエスフィール様から聞いております」


「先代魔王様、直属の部下と言うことか?」


「はい、簡潔に述べるならば。ですのでカシア様が亡くなられる前にカシア様とヒスイ様の間で取り決めがあり。カシア様が亡くなられた後は、人知れず魔王領を去ったと聞き及んでおりました」


「‥‥‥‥なるほど。ならば、現魔王の私が、そのヒスイを知らないのも納得がいく。ラベルよ、教えてくれてありがとう。感謝する」


「はっ!全ては魔王様の為に」


「‥‥‥では、私達もセツナとヒスイの所へ向かおう。最初、ヒスイが現れた時はあのプレッシャーで動けなかったが、セツナが心配になってきた」


「では、魔王様。私の背中にお乗り下さい」


ラベルはそう言うと元の大きさに戻り。私に跪く。


「うむ、では、まず先に、(メイエス、先にわっちが偵察してくるニャア。)と言って行ってしまったセシリアに合流しよう。以前、セシリアに渡した魔力感知の魔道具の気配を追えば、セツナの所へ行けるだろう」 


「畏まりました。では、セシリア殿の所へ参ります」


ラベルはそう言うと空へと駆け上がり。セシリアの元へと飛び始めた。



場面戻り。崩壊した岩場



「ぐ、は、は、わっはっはっは!!!!やるじゃねえか!!カミナリ!!」


そこには、至近距離から『飛来槍・麒麟』のゼロ距離攻撃を受け、着ていた黒い鎧が砕け上半身裸姿の男が立っていた。


「いやー!!スゲー!『飛来槍・麒麟』と言えばヘファイストス地方で作られた。数えられる「神煌具」の1つだぞ。それを自爆技に使うとは考えもしなかったぜ!」


ヒスイは嬉しそうにしながら、俺を見て笑っている。


「『飛来槍・麒麟』には意志があり、成長する」


俺はヒスイにそう告げた。


「ふん、なるほど。再生型の〖神煌具〗か?なら、あの自爆技にも納得がいくぜぇ!」


(しかし、あれだけの攻撃を喰らって。与えたダメージが黒鎧だけとわな)


「さあ~て!!カミナリ!!!次は何を魅せてくれるんだ?えぇ、おい?!」


ヒスイは餌を欲しがる獰猛な飢えた獣の様な目を俺に向けながら近づいて来る。


「まだまだ、余裕そうだなお前‥‥‥‥」


「あぁ、だったら、もっと俺を追い詰めてみろ。興奮させてクレエぇぇ!!カミナリ!!!」


「‥‥‥‥‥この、変態戦闘恐がっ!」


(右手に「神気」を左手に「魔力」を集中。融合)


「『疾風迅雷』」


「なんだぁ?!その姿は?体に雷魔‥‥」


ヒスイが言い終える前に仕掛ける。


「『疾風迅雷』・放雷・極」


ヒスイの身体の真上に稲妻を落とした。


「くっ!!!くっそがあぁぁあ!!なんて威力だぁ!!さっきの飛来槍の時よりも威力がたけえなあぁ!!おい!言い技もってるじゃねえか!!!カミナリ!!!」


ヒスイはそう言うと俺へと刀を振るう。


「夜○術『参の型・夜の(とばり)』」


その瞬間。ヒスイの刀からどす黒影が現れ周りを覆っていく。


「魔力低減の技だ。お前のその『疾風迅雷』かぁ?!魔力のコントロールが繊細そうだな?!この、夜の帳の中では何分持つかな?」


ヒスイは、楽しそうに笑いながら話してきた。









カミナリ VS ヒスイ ROUND3(鴉)



「夜の(とばり)‥‥‥阻害魔法の一種か?何かか?」


(くそ、あの技が、俺の周囲を囲んでから。上手く魔力が『神気』と交わらないぞ。『疾風迅雷』は繊細な魔力コントロールが必要なんだ。‥‥‥‥ヒスイの奴め!『疾風迅雷』の弱点を一発で見抜いたのか)


「おい、おい、いきなり静かになるよ。カミナリ!!!来ねえのか?!来ねえならこっちからいくぜぇ!!!『百鬼夜行・暗夜』」


ヒスイが刀を振るう。

すると死霊を型どった様な黒い魔力が表れ俺に向かって来る。


「カミナリ!!!避けないと。大変な事になるぜぇ!!イケエェェ!!暗夜」


ヒスイがそう言い終えると。暗夜と呼ばれる死霊が俺に襲いかかってくる。


「『疾風迅雷』・春雷!!!」


俺は春雷で死霊を躱そうとするが、ヒスイの技『夜の帳』のせいで上手く魔力が練れない。


(くそ、攻撃が捌き切れない‥‥‥)


「そこだな。『暗夜・昇』」


「暗夜」が俺の近くまで来た瞬間。ヒスイが何かを唱え、「暗夜が破裂し。その破裂した黒弾が俺へとぶつけられる。


「く!ぐあぁぁ!!(くそ、痛てぇえぇぇ)」


「さっきの技のお返しだ!ありがたくもらっとけ。ん?何だよ!!おい、今の喰らって『疾風迅雷』って言うのか?それ?維持できなくなってるじゃねえか!!」


ヒスイが言うように『夜の帳』の魔力阻害と『暗夜』の攻撃によって俺の『疾風迅雷』の発動が出来なくなっていた。そして、その場で俺は疼くまっている。


「‥‥‥‥」


ヒスイは何故か静かに俺を見る。


「‥‥‥おい」


「なんだ」


「カミナリ。てめぇ!てめえの懐剣(あいけん)エクスカリバーはどうした?」


「エクスカリバーは‥‥‥『彼女』は俺のとの契約を終えて。今は自由になった」


「お得意の聖魔法は?」


「封印して使えない」


「なんだと?‥‥‥それからその中途半端な魔力総量はなんだ?昔の半分位しかねえぞ?」


「女神との契約」


「昔の恵まれた。体格は?」


「女神の若返りの祝福だ」


「‥‥‥‥」


ヒスイからの質問に答えると。ヒスイはまた静かになる。


「なるほどなぁ!女神の呪いか!」


「‥‥‥ちょっと、待て。女神の呪いだと?!」


「ん?あぁ、エウロペ大陸の各地で崇拝されてい女神達の祝福を『女神の呪い』とか言うバカ等もいるんだよ。特に死の大地の奴等なんかは特になあぁ。」


初めて聞いたぞ。そんなこと!だが、あの、何処か抜けた女神。アテナ様が悪気があって俺に若返りの〖祝福〗を与えたとはとても思え無い。


「まぁ、俺が言うのもなんだがなぁ!女神達は悪気があって祝福をくれる訳じゃないぜぇ。祝福を受けたそいつの行動次第だ。『女神の呪い』とか言う馬鹿がいるだけだからな。てめえの場合は今回、運悪くそうなっただけだろうがな。」


「そうかい。その元凶がお前だろうが。」


俺はヒスイの顔を見上げて毒づく。


「はっはっはっは!!良い顔してるぜ!!カミナリ!!!前とは立場が逆転したな!!おい!!!おらあぁ!!!」


「が、はぁぁぁ!!!」


ヒスイは跪いている俺に蹴りを入れる。


「興ざめだな。そろそろ、終わらせるか。夜○術・奥義『諸行無常・闇』」


刀から一羽の(カラス)が現れる。


「肥大せよ、鴉!!!」


少しずつ、少しずつ。魔力が増えていく。


その鴉は徐々に大きくなる。


「‥‥‥‥アバヨ、カミナリ!!!昔よりは面白みにかけたが。なかなか楽しかったぜぇ!!!」


ヒスイはそう言うと鴉に向かって何かを唱え様とする。


「○○解放・『神代○○』崩来せよ。鴉!!!」


言い終えた瞬間。俺の頭上へと鴉がゆっくり、ゆっくり。落ちてくる。


「本当。周りに人がいない場所を選んで良かったぜ。じゃないと甚大な被害が出るからな。俺は上空で見ているから。俺の技『鴉』の威力を楽しみながら逝きなあぁぁぁ、はっはっは!!!」


ヒスイはそう言うと空へと上がった。


(くそ、飛来槍・麒麟もダメ。『疾風迅雷』も封じられた。おまけにヒスイの奥義技まで落ちてきてる。どうする?くそ!!!)


俺は思案する。


思案するが、時間が無い。


落ちてくる。静かに落ちてくる。


絶望が。


そして、虚しいことに鴉が地上に落下し、辺り一帯が爆音と砂塵に覆われた。









カミナリ VS ヒスイ ROUND4(雷霆将来)



ドガアァァァァンと大地が裂ける。音が鳴り響く。


戦場から数キロ先


「ウニャア~!!物凄い音ニャア!!」


「セシリアーー!!」


「メイエス!!!あっちの岩場から物凄い威力の魔力攻撃が起きてるニャア~!!うわっと!!」


私は先にセツナ達を追っていた。セシリアに追い付いた。爆風の勢いで転びそうになる。


「いったい、何が起きておるのだ?なんだ、あの威力の魔法は?夜霧のヒスイの攻撃か?」


「メイエス様、ヒスイ様は先代魔王軍の中でも5本の指に入る強者でした。今のセツナ殿ではその‥‥‥。」


ラベルがそこで喋るのを止める。


「勝てないと申すか?!セツナが!!くっ!セシリア~!早く来い!!ラベルに乗れ!!このままではセツナが殺されるぞ!!」


私は大声でセシリアを呼んだ。



荒野と化した岩場


「‥‥‥‥‥跡形もなしか。せっかく山籠りまでして、会得した奥義技だったが、カミナリの野郎は耐えられなかったみたいだな!!あの女どもは‥‥‥‥まぁ、興味はねえし!!そのままにしておくか、やることも無くなったし。海を渡って他の大陸にでも行くか。」


ヒスイは自身の奥義を出し。鴉、攻撃後の場所を見て。何も残っていなかったので油断していた。


ヒスイがいる。空のもっと上空。


「ご主人様大丈夫ですか?その傷が‥‥‥」


「あぁ、大丈夫!あの時、タマキの移動魔法が無かったら死んでいてけどな。傷も今のところ大丈夫だ!」


ヒスイの奥義攻撃の余波を少し喰らってしまい左腕が動かなくなった。


「時間も、体力も無くなってきたな。」


「そっそんな!」


「だが、これはチャンスだ。ヒスイの奴。俺が死んだと思ってボーッとしてる。こっちも今できる最大技をあいつに喰らわせる。タマキ!あれを出してくれ。」


「‥‥‥‥分かりました。死なないで下さいね。ご主人様。」




場面戻り。荒野と化した岩場


「‥‥‥‥そろそろ行くか。なんだ?黒い?粉かこれ?」


ヒスイの周りに何か黒い光の鱗粉が舞う。


「『疾風迅雷』・春雷・極」


「カミナリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!てめえ!!!!!!生きてなのか!!」


ヒスイはまるで無邪気な少年の様に喜ぶ。


「電力粉だそれは、ヒスイ!!雷魔法・『雷神・蘭梅(らんぱ)』。」


その瞬間。上空から暗雲がたちこみ。稲妻の様な落雷がヒスイひ向けて降り注ぐ。


「今だ、タマキ!!!」


俺は雷魔法。発動と同時にタマキに叫ぶ。


「はい、ご主人様!!!いきます!魔力瓶×10本」


タマキがそう叫ぶとヒスイの周りに魔力瓶が次々に表れ、割れた。


「あん?なんだあぁ!!次から次へと!!この瓶!の魔力?!カミナリのかあぁぁ?!!!」


「気づいたか?だがもう遅い。‥‥‥‥‥ヒスイこれで沈んでくれ。『疾風迅雷』・極・雷霆将来!!!」


上空にいた。ヒスイ目掛けて今、できる最大技。極・雷霆将来をヒスイにぶち当てた。


「く、この魔力?!下手したら以前のてめえより!!!!!この、く、くそがあぁぁ!!!!!!!!こんな、隠し球が残ってんなら早くいええええええええ!!!!!く、くそったれれれれれええ!!」


さっきのヒスイの奥義『鴉』とは違う。


上空での雷撃の嵐により。周囲の天気も変わってきた。

雨が降り注ぐ。


「これを待っていた。ヒスイ数分間。雷撃の地獄を味わってみろ。」


「なん、だと?!‥‥‥‥ぐあぁぁぁぁ!!」


ヒスイの奥義は一発火力だった。


だか、俺の出した技『極・雷霆将来』はヒスイのあの時の「鴉」の攻撃力と同等の雷撃を数分?数十分喰らわせ続ける。禁止指定の技だ。


「ぐうぅぅう!!この威力!!!くそ!!!くそ!!!」


「無駄だぞ!お前の体力や魔力を考えて通常の『極・雷霆将来』を貯めて置いた。俺の魔力瓶×10本で威力を底上げしたからな。‥‥‥‥これで倒れてくれ。ヒスイ。仕掛けて来たのは、お前からだ。観念してくれ。」


俺はそう言い終えるとタマキに回復ポーションを渡してもらい。左腕の傷などを治し始めた。


「ご、ご主人様。大丈夫ですか?」


「あ、あぁ、魔力の方は大分減ったが!何とかまだ闘えそうだ。タマキ。保険にこの闇魔法専用の妨害。魔道札をこの、周りに貼ってきてくれ。頼む。」


「わ、分かりました。行って参ります。ご主人様。」


タマキはそう言うと、急いで魔道札の結界を貼りに行った。


そして直を容赦なくヒスイの周りには『極・雷霆将来』が浴びせ続けられている。


「く、くぞがあぁぁぁ、!!い、意識が!!」


「まだ、倒れないか。魔王軍幹部は伊達じゃないな。」


俺は雷の嵐が消えるまで。ヒスイの近くで色々な準備をしながら。『極・雷霆将来』が消えるのを待った。



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