天夜決戦・悪魔の淑女と天使の円舞曲 No.6 聖槍『ロンギヌス』
『ガルクド』上空
天夜の月は天上を座し。一人の少年と悪魔の女を照らす。
「死ねええぇぇ!!クソガキ!!!」
「気性が荒い。女だな!聖魔法『光蹄』」
ガキィン!!
「クソがあああ!!!また、防ぎやがったな?」
「‥‥‥‥黒翼?‥‥‥何だ?お前‥‥‥‥『砂漠の民』や『ファラル族』とは違うのか?」
「そんな低俗な人種と一緒にするならなんて失礼なクソガキね!私はあのお方に選ばれた『大アルカナ』の1人よ。平伏しなさい!」
「『大アルカナ』?死神もそんな事言ってたな。‥‥‥あの時は危うく『大蛇』を殺されかけたが今回の『悪魔』は何をする気だ?」
「私の話を聞いてるか?!クソガキ!!‥‥‥‥つうかお前から‥‥‥‥女神共の力を感じるわね?何故かしら?」
「何でだろうな?‥‥‥‥不思議だな。悪魔の淑女さんよ」
「質問を質問で返すんじゃねえぞ!クソガキ!!突然、現れた分際で淡々としやがって!!」
「此方も突発的なイベントだったんだ。仕方ないだろう?あんたと『殺人鬼』に合流されたら終わりだからな」
「何?『殺人鬼』ですって?‥‥‥‥お前。もしかして、『死神』を倒した奴等の仲間か?」
「俺を倒せたら教えてやるよ。「悪魔」さん」
「‥‥‥‥‥いちいち、癇に触るクソガキだわ!!『暴逆・輪』」
「‥‥‥‥来い!聖槍『ロンギヌス』」
(やれやれです。やっとこのロンギを喚びますか!)
ザシュン!
「ガハッ?!な‥‥‥‥に?私の腹に白い槍が?」
俺の右手には白い槍が現れ、『悪魔』の腹部には遠投された白き槍が深く刺さっていた。
「聖剣はもうないがな‥‥‥‥聖槍やらはまだ持ってるんだよ。『悪魔』‥‥‥‥やはり、『魔窟』‥‥いや、暗黒大陸の者には聖創武器が一番聞くな。『ロンギ』」
「無駄口が多いですよ!ご主人。そもそも、私はヘファイストス様の眷属武器であの方がお選びになった方へ御使いする筈なのに‥‥‥‥‥」
「不思議だな。俺が異世界人だからそれが適用されないだけだが」
「‥‥‥‥分かってんじゃないですか!相変わらず性格が悪い。私達をあんな快適空間に閉じ込めるし。私達を捕まえるさえも、私達の好物でつるし最悪です」
「いや、君達。7の秘宝のうち4つが安寧の地が欲しい。争いに使われるのは嫌だとか言って泣きついてきたから。黄金箱に眠らせてたんだろうが。つうか、他の3体は何してんだ?」
「‥‥‥‥‥寝てます‥‥‥ずっと。惰眠を貪るが如く」
「存外。中での暮らしを楽しんでんだな。お前ら。タマキや『武神鎧』を見習え。アイツら、滅茶苦茶働くぞ」
「それが嫌だから貴方の所に集まってるんですが?ご主人」
俺と『ロンギヌス』がそうな会話をしていると。
「痛いんだよ!ボケがっ!!!あああ!!!クソッ!」
ズボッ!
『悪魔』が腹部の槍を抜き。叫ぶ散らかす。
「まるで悪魔の断末魔みたいです‥‥‥‥」
「みたいじゃ無いだろう?最早、黒翼に角まで生えてきてる。明らかに魔窟に住まう『悪魔族』だろう?あれ」
「‥‥‥‥いや、何か混ざってませんか?‥‥‥‥色々。ごった煮と言うか?統一されてない継ぎ剥ぎというか?」
「継ぎ剥ぎ?‥‥‥‥エキドナみたいなか?」
「いや、そのエキドナは知らないです‥‥‥‥‥統一性の無い何かですか?例えるならキマイラの様な」
「‥‥‥‥‥何者かによって弄られてるって事か?分からん」
「何をさっきからクソ武器と喋ってやがる!クソガキ!!神代魔法(暴)『暴食槍』」
『悪魔の淑女』は奇妙な形状の黒き槍を自身の魔力で作り出した。
「アハハハハハ!!」
「オホホホホ!!」
「槍に口が二つも付いてるな‥‥‥‥‥気持ち悪い笑い声だ」
「いや、気持ち悪いとかのレベルじゃないです。あの武器、地上で使われる代物じゃないでしょう?見た目からして、『魔窟』や『冥界』で使われる。『死猟武器』の類いですよ!あれ」
「『死猟武器』?初めて聞くな。そんな単語」
「アハハハハハ!!」
「オホホホホ!!」
「ご主人も最近、相手にしたばりですよ。『黙示録』の聖杯やら『死神』の大鎌やら。闇の意志が込められた『死猟武器』を」
「はっ?あれってそんな類いに武器だったのか?全然、気づかなかったぞ」
「‥‥‥‥なら、気をつけて下さい。『死猟武器』は狡猾で性格も最悪ですからね。持ち主の影響がもろに武器の形に反映されますし‥‥‥‥目の前の女性は二面性のある人格に‥‥‥破綻した笑いですか?上手く読み取れない」
「何を武器如きが私の性格診断をしてるのやら‥‥‥殺すはクソガキ!本気でね。『双方暴笑』」
「オホホホホ!!殺す!殺す!」
「アハハハハハ!!死ね!死ね!」
「「オホホホホ!!アハハハハハ!!」」
その黒き槍はおぞましい笑い声をあげ向かって来る。
「ひぃ!気持ち悪いです」
「なら、防いでくれよ!聖槍『ロンギヌス』」
「くぅ~!主人選び間違えましたかね‥‥‥‥『ザラキエ』」
ザシュン!ザシュン!
「オホホホホ?!!がぁ?!」
「アハハハハハ?!ぐごっ?!」
黒き槍は動きを止め。静止した始めのだった。




