天夜決戦・悪魔の淑女と天使の円舞曲 No.1 鏖殺の剣と龍
悪魔の淑女・根城『ガルクド』
「‥‥‥月が綺麗ね。エウクレイア‥‥‥貴女もそう思わなくて?」
「‥‥‥バメット。そんな質問はいいから私を早く殺してよ。あんたと一緒の部屋に居るなんて耐えられないの」
「‥‥‥‥あら?そう!それは良かったわねぇ!!!」
「ぐっ!」
ドガアァァン!!!
「貴女のお母様‥‥‥‥って、いっても貴女はヘファイストスの分身したいな者だったわね。贋作ちゃん」
「‥‥‥ウゥゥ、違う私は贋作じゃない‥‥‥‥エウクレイアって言う。お母様から頂いた名前があるの‥‥‥‥」
「はぁ~、五月蝿いわね。贋作は‥‥‥ガザード砂漠の神殿で捕らえた時は使えると思ったのに。肝心のヘファイストスが何も動こうとしないし。まぁ、情報を流した事で著名なラインバッハ・エゴルが釣れたから良しとするしかないわ」
「‥‥‥‥ラインバッハ?‥‥‥‥ラインバッハが来てるの?」
「でしょうね。確か、あの冒険家さんの本にも書いてあったわね。『エゴルとエウクレイアの旅路』だったかしら?ベストセラー何でしょう?貴女とラインバッハの二人旅が書かれた本は?私は読んだ事すらないけどね。読むより、誰かを陥れる方が楽しくてしょうがないわ」
「だから、エウクレイアを叩くの?」
「当たり前でしょう?!この贋作があぁ!アハハハ!!!」
バシーン!
「痛い!痛いよ!!誰か助けて!!!」
「誰も来ねえよ!贋作!!ここは私の国。私が王!私が神なんだよ!贋作!!アハハハ!!」
『ガルクド』上空
シュン!シュン!シュン!シュン!
「おぉ、着いたな」
「これが転移魔法か?興味深いな」
「いきなり!」「過ぎまする!!」
俺達は転移魔法で『ガルクド』まで一瞬で到着した。
「それで?お願いした身としてだかな‥‥‥作戦は考えているのか?ナルカミ氏よ」
「‥‥‥‥作戦は無いな」
「何?無いだと?お前!言葉次第ではただじゃ済まさな‥‥‥‥」
「だが、明日の朝日が昇るまでには全てを片付けるぞ!グレイ!クロ!」
「うむ!」
「ここに居るが?」
「好きに暴れまくれ。だが、エウクレイアという女性だけは傷付けるなよ。それ以外は建物を破壊しようが人を何をしようが咎めたりしない。何せここは盗賊のアジトだからな」
「好きか‥‥‥‥それはそれは、久しぶりに生き物を切るか‥‥‥ワハハハ!行ってくる」
「我も行こう!主よ」
「ん?何?」
「ここが廃墟になっても本当に良いのだな?」
「好きにしろ!金品や貴重品は先に行かせたタマキが今、現在。かき集めてるだろうしな」
『ガルクド』宝物殿
ガチャガチャガチャガチャ
シュン!シュン!シュン!シュン!
「いやー!流石、『モニュメント荒野』を縄張りとしているだけありますね。金銀財宝てんこ盛り。魔道具もてんこ盛り。根こそぎ頂きますね。ウキウキウキウキ!」
再び『ガルクド』上空
「‥‥‥‥相変わらず。抜けてがないな。では‥‥‥行ってくる!」
クロはそう答えると黒猫状態から大柄な黒竜へと姿を変えていった。
「ギャオオオオオオ!!!!!全てを破壊する!!!」
『ガルクド見張り台』
「な、なんだ?!こんな、夜、遅くに化物の雄叫びか?」
「スフィンクスでも出たか?それともアヌビスか?」
「お、おい!怖いこと言うなよ。それを言うならヘファイス蠍とかだろう?」
「いや、そっちも嫌だぞ‥‥‥しかし、何の騒ぎだ?こりゃあ‥‥‥」
「開戦の狼煙だとも!見張りの方々よ。地剣術『死剣』」
「はっ?誰だお前‥‥‥」ザシュン!ボトリ‥‥‥
「お、おい!なんて事しやが‥‥‥」ザシュン!バタバタ‥‥‥
複数人いた見張りはあっという間に肉塊へと変貌してしまう。
「フレイヤ地方にも貴殿らの悪行は伝わっていたとも。『シルクロ旅団』の者達よ」
「だから、主は好きにしろと言ったのか‥‥‥『段空龍牙召』‥‥‥‥鏖殺せり!」
クロは放つ‥‥‥‥万人が死せる。竜の砲撃を‥‥‥そして、それが開戦の合図となり。『悪魔の淑女』との闘いの火蓋が切られたのだった。




