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ラインバッハの懇願

「納車、納車と‥‥‥」


1人で車へと向かっていると。


ガチャ!


「よう!ナルカミ氏。3人の密談は終わったのか?」


車の扉が開き、ラインバッハが車の中から顔を出してきた。


「ラインバッハ‥‥‥あんた、寝てたんじゃないのか?」


「寝ていたよ。さっき迄ね‥‥‥まぁ、有名人同士。楽しい会話をしようじゃないか!」


「‥‥‥‥回りくどい言い合いは良いあんたの目的は何なんだ?元ヘファイストス様の眷属様よう?」


「あぁ、あの龍族の子は『記録の龍氏』かい‥‥‥成る程な‥‥‥‥まぁ、それが知られた事で俺にとっては何の痛手にもならないがね」


「いや、そんな事は聞いてないんだよ。俺達が知りたいのはあんたの本当の目的をだな」


「ヘファイストス様の娘を救い出してくれ!!俺はそれしか望まない」


ラインバッハは‥‥‥‥彼女は先程までの謎めいた雰囲気を捨て去り。真剣な表情になり懇願する。


「‥‥‥‥ヘファイストス様の娘を救いだす?‥‥‥それはどういう事だ?」


「ヘファイストス様の娘『エウクレイア』嬢は現在、『悪魔の淑女』の根城『ガルクド』という場所に幽閉されているんだ。俺は昔、エウクレイア嬢に命を救われた身なのだ。だから、あの時の恩に報いるためにもあの子を救いだしたいのだよ。ナルカミ氏」


「そのエウクレイアという子を救う為に俺達の前に現れたのか?俺達に協力を(あお)ぐ為に?」


「そうだ‥‥このラインバッハ・エゴル一人ではあの『悪魔の淑女』には対抗できんからな。君達をイヤトスの町で見かけた時から君達に近づき。協力してもらうつもりだった」


「七大賢者でも無理な相手と闘えってか?そもそも、俺達の目的地はヘファイストス地方の北部にある『オアシス』だ。この『モニュメント荒野』は通過点に過ぎないん。それをいきなり現れ、『悪魔の淑女』の根城に一緒に行ってくれと言われてもな。オアシスも『殺人鬼』って奴が暴れていてだな‥‥‥」


「ならば教えてやろう。君達がこのまま、オアシスに向かい殺人鬼と相対した時にその殺人鬼の隣に居る存在が悪魔の淑女だとな」


「は?何で悪魔の淑女がオアシスに?‥‥‥‥まさか殺人鬼の仲間なのか?」


「『ラグナログ(神々の黄昏)』っと言ってやれば全て理解できると思うが?」


「ラグナログ!‥‥‥‥あの『死神』と同じ奴が二人同時にオアシスに現れるだと?そんな事になればオアシスは‥‥‥‥ヘファイストス地方は滅ぼされるぞ」


「だから、今なのだよ。ナルカミ氏」


「今?」


「あぁ、今ならエウクレイア嬢を幽閉している『ガルクド』に乗り込み。単騎の『悪魔の淑女』を討てる。そして、エウクレイア嬢を救いだし、その殺人鬼とやらとのオアシスでの合流も防げるのだ」


ラインバッハの口調がやたら熱を帯びている。皆で食事をしていた時の余裕の表情は今はない。


「殺人鬼の悪魔の淑女に合流される前に討つか‥‥‥‥タマキ」


俺は誰も居ない空中に向かって言葉を発した。


「ハイハイ!ご主人様~」


すると―女神―アテナの神獣。タマキが転移魔法で現れた。


「むっ!アテナ様の神獣殿か久しいな」


「ハイハイ、久しぶりです。エゴルさん‥‥‥‥貴女は全然、お変わり無いですね。流石、魔法族」


どうやら2人は知り合いらしい。それもそうか、ラインバッハは元ヘファイストス様の眷属。他の―女神―の眷属関係との繋がりもあるのは当然か。


「お互いな‥‥‥‥今はタマキと呼ばれているのか‥‥‥そうか‥‥‥カシアはもう居ないものな。君は新たな主人を‥‥‥か。時というのはなんとも言いがたいものだな。タマキ氏よ」


「は?ちょっと、まてアテナ様の以前の眷属って先代魔王のカシアなのかよ!その話、詳しく教えて‥‥‥」


衝撃の事実が今明らかになり


「‥‥‥‥カシア様は素晴らしいご主人様でした」


「だな‥‥‥‥悪いがナルカミ氏よ。カシアの話は七大賢者の関係者の中ではなかなかのタブーでね‥‥‥‥今度、タマキ氏が居ない時にちゃんと説明してやるから、今は勘弁願うよ。タマキ氏の心の為にもな‥‥‥だから、頼む」


ラインバッハはそう言って頭を下げる。


「エゴルさん‥‥‥‥」


「‥‥‥‥あ、あぁ、俺もいきなり聞いて済まなかったな。二人共。誰にだって触れられてほしくない話の一つや二つあるものなのにな‥‥‥‥悪い」


「いえいえ、それよりも今は『悪魔の淑女』ですか?その方をどうにかするのが先決なんですよね?ご主人様」



「ああ、そうなんだが‥‥‥‥ここからだと『ガルクド』に着くまでどれ位かかる?」


「ナルカミ氏!」


ラインバッハは明るい表情になり俺を見つめる。


「そうですね‥‥‥‥車でなら5日位で行けますね」


「5日か‥‥‥5日もあればガルクドからオアシスまで迎えるな。そうなれば、悪魔の淑女と殺人鬼が合流しちまう可能が出てくるか‥‥‥‥」


「どうします?車で5日かけて行きますか?」


「いや‥‥‥‥ここは魔力濃度が濃いヘファイストス地方だ。転移魔法が使える‥‥‥夜叉巫女!!!!剣聖グレイ・オルタナティブ!!!来てくれ!!!!」


俺は大声を張り上げて地球から持ってきた家に向かって叫んだ。


スタっ!

シュタッ!


「な、なんだ?カミナリ様よう!拙者はあの知恵の輪をいう遊びをだな‥‥‥」


「や、夜叉はクロと七並べを‥‥‥」


「今から、俺、ラインバッハ、夜叉巫女、グレイの4人で『悪魔の淑女』の根城。『ガルクド』に侵入しに行くぞ」


「‥‥‥今なんと?」

「空耳ですかな?」


「ナルカミ氏よ。今からだと?」


「前は急げた。悪魔の淑女と殺人鬼に合流されたら俺達は積む。それならば速やかに行動し、片方を(ほふ)りに行くぞ。腹を括れ!決戦は今だ。行くぞ!転移魔法『恭兵転移(きょうれいてんい)』」


「はっ?」シュン!

「もうですか?」シュン!

「決断が早いな」シュン!

「朝までに全て終わらせるぞ!」シュン!


そして、俺達4人は『悪魔の淑女』が住む。

『ガルクド』へと転移したのだった。

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