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キャッツアイ


①キャッツアイ



「ここがわっちの地元。猫族の里通称『キャッツアイ』ニャア」


セシリアが高らかに自分の里名を叫んだ。


キャッツアイって。何処かの美女3人組の怪盗か?


「里と言うよりも大都市レベルの場所じゃな。あっちこっちに猫族がおるし。建物もなんじゃあれ?巨木の中に住んでおるのか?セシリア!」


「そのとおりニャア。メイエス!『始まりの大森林』に住む。多くの種族が枯れた巨木をくり貫いた中に家を作り。その中で暮らしていくのニャア」


セシリアが『始まりの大森林』の暮らしについて話し始めた。


「しかもこの数ある巨木にはわっちらが信仰する女神様達の中でも最も慈愛に満ちているという女神ユグドラシル様の加護が着いているニャで枯れて腐ることは滅多に無いのニャ」


「ほう、ユグドラシル様の加護がのう」


そのユグドラシル様の寵愛を最も受けているであろう。エスフィールがボソッと呟いた。


「そうニャア!いい加減な女神アテナ様とは違って。とてもお優しいお方ニャア」


「へぇ~!そうなんですね!ご主人様。ウチ、ちょっと道中で集めた素材を整理したいので袋の中へ戻りますね」


「りょ、了解」


タマキは自身が遣える女神アテナの名前が出てきて。気不味(きまづ)くなったのか。魔法の袋へと避難した。


「遣える女神を間違えると。大変じゃのう」


「そ、そうじゃのう」


エスフィールにつられて。エスフィールの口調が写ってしまった。


「ほれ、おニャエ達。わっちのパパ。猫族の族長に挨拶に行くニャヨ」


ん?コイツ。今、なんて言った?パパ?自分の父親の事をパパと言ったのかセシリアの奴。確かもう15才位だろう。恥ずかしくないのか?


俺は心の中でそう思ったが口に出すとめんどくさそうなので静かにセシリアに付いていくことにした。


「おぉ、セシリア様じゃ」「拳王姫様~!」「人族の方達を連れているぞ。あの方達は誰だ?」

「セシリア様!!お帰り~!遊んで!遊んでにゃあ~!」


セシリアの人気が凄まじく。周りにはあっという間の猫、猫、猫の群れである。にゃあ~、にゃあ~、にゃあ~メチャクチャうるさい。


「お、おい。見てみろ。セツナ!!あの小さい猫族の女の子を見てみよ。小さくて可愛いのう。お、あっちの娘も愛らしいのう。ここはネコネコ天国じゃな」


「‥‥‥そうだな」


エスフィールの頭がネコネコ天国になってしまった。


「皆ニャア~!悪いけど。今は皆ニャに構ってる時間が無いニャア。客人を」族長の所へ案内してる所だから後でにしてくれニャア~!」


「客人?おぉ、それは申し訳ない事をした。すみません。セシリア様。どうぞお進み下さい」


年配の猫族の1人がそう言うと皆、一斉に道を開けてくれた。


「話には聞いたことがあったが、獣人という種族は素直な者達じゃな。気性が穏やかというか」


「んニャア!これもユグドラシル様のお陰にゃあ~。『始まりの大森林』では種族同士で争わなくても豊富な資源で満たされているのニャア。だから、種族同士小さな争いはあっても。人間や魔族みたいニャ、戦争にまで発展する事はまず起こらないのニャア」


「ほ~う。ユグドラシル様の加護か。本当に優秀な女神様なんだな。スゲー羨ましいよ」


俺はポツリとそう漏らした。


「まぁ、女神と言っても色々な性格の女神様がおるからのう。良い悪いは女神それぞれじゃな」


エスフィールはそう言って俺を見てきた。


「俺の女神ガチャ外れたな」


「お~い!そろそろ族長の家に着くのニャア~!何を立ち止まっているニャア」


エスフィールとの会話に夢中で足が止まっていた。

セシリアに呼ばれて急いで後を追った。



「ニャ、ニャ、着いたニャ!着いたニャ!我が家に着いたニャ!」


「‥‥‥‥‥家っつうか」「‥‥‥‥‥巨大樹かのう?」


家と言うには大きすぎるそれは。道中に立ち並んでいた巨木が子供の木々に見える大きさの巨木樹だった。


「エスフィール。君が居た。魔王城よりも大きいよな?」


「あんな、城と比べものにならないくらい大きいのう。セシリアよ。あの巨木樹の中はどうなっておるのじゃ?」


「んにゃ?あの巨木樹の中ニャ?魔法研究院と言って『始まりの大森林』に何ヵ所かある建物ニャア。それに部族同士の話し合いをする為の議会ニャラ色々な施設があるニャア。そんでわっちの家は1番天辺の上にあるニャア」


「巨木樹の中は『始まりの大森林』地域の行政機関みたいなものか?」


「ウニャア。そんにゃものニャア。他の里にも同じ様な巨大樹があって。各里の代表があの中で働いているニャア。行政機関の議長や議決権は3年周期で他の種族に交代していくのニャア。今年までは、わっち達猫族の里『キャッツアイ』が『始まりの大森林』の行政機関の担当ニャア」


「それからもう1つ気になったんじゃが。セシリアの家は巨大樹の天辺に先ほど言っておったが。上まではどうやって行くのだ?」


エスフィールが当然の疑問をセシリアに聞いた。


ンニャ?それなら心配無いのニャア。巨大樹の中には上まで行ける。魔法院製の移動用リフトが設置されていて。魔力を込めれば好きな階に降りられるにゃあ。早速行くニャヨウ~」


セシリアはそう言うと巨大樹の入り口へと向かって行く。俺達もそれに続いて巨大樹へ入って行った。


「中もだいぶ広いな。それに猫族以外の種族も沢山いる」


「当たり前ニャア。『始まりの大森林』は皆のものニャア。わっち達だけで勝手に色々な事は決められないのニャア。皆で話し合って大事な事は決めるのが、ユグドラシル様の教えニャア」


まるで日本の民主主義の様だなと思った。『始まりの大森林』の資源が豊富にあるからこそできるユグドラシル様の教えなのだろう。


「まるで多種族の連合国家だな。地球で言うところのアメリカみたいだ」


「そうじゃのう。私達、人間や魔族の様に戦争を起きないのは、ちゃんと平等に1人1人が生活しておるからなのだろう。財政が厳しかった。魔族側から見れば羨ましくもなるのう」


エスフィールはそう言うと何かを考えているのか静かになった。


「ンニャ。ンニャ。二人共あの移動式リフトに乗るニャヨ。あれでわっちのパパの所まで行けるニャア。それじゃあレッツゴーニャア」


セシリアに先導され。俺達2人は移動式リフトに乗った。セシリアが水晶の用な魔道具に魔力を込めるとゆっくりと上へ上がって行く。


「おぉ、これは便利だのう。私の城にも是非とも導入したいものじゃ」


「城ニャア?よくわからニャいが。この移動式リフトは魔術院が提供してくれたものニャア。ちなみに製作者は現在、わっちのご主人様のカミナリ様ニャア」


「なんじゃと?!お主、何で黙っとった」


「‥‥‥面倒だからじゃ」


エスフィールがそう叫んだ瞬間。巨大樹のセシリア邸に着いた。


「ここがわっちの家ニャヨウ~。行くニャア、行くニャア」


セシリアがそう言うので俺も。


「行くニャア~!行くニャア~!」


と付いていく。


「おい、貴様、はぐらかすな。ちゃんと説明せい」



俺達がセシリア邸の入り口まで来た時。不意にセシリア邸の大きな玄関ドアが開いた。開いたドアから出てきたのは筋骨隆々のマッチョ猫だった。


「こら~!!セシリア、貴様!また、勉強をサボってほつき歩っていたな。今日という今日は」


「ニャア、パパ。ぢがうニャア~!」


セシリアがそう言った瞬間。セシリアパパ?はセシリアをアイアンクロウで宙えと持ち上げた。


「ギニャアァアア!!!痛いニャア。ゴメンだニャア。でも今日はお客さん、わっちのお客さんを連れてきたニャア」


「なに、お客さん?!セシリアのか?」


そしてセシリアパパは俺達2人を上から見下ろしそう言った。




②祭だ。祭だ。祭だ。




筋骨隆々のセシリアパパが俺達を物珍しそうに眺めている。


「セシリアよ!なんだ。この者達は?」


アイアンクロウで空中に宙ずりに吊るされた。哀れなセシリアが答える。


「パパ。この2人はわっちの新しい舎て‥‥‥‥。ギニャアァアア!!!痺れるニャアアァァァ!!」


その瞬間。セシリアの身体が黄色く発光した。とてもきらびやかで綺麗だ。

コイツとなかなか学習しないものだ。



「おぉ、セシリアよ。いきなりどうしたのだ?逃げ出した事を反省して自ら。雷魔法で己の過ちを只したのか?」


「ち、ぢがうニャア~。パパ。これはセツニャの‥‥‥」


おっとこの猫余計なことを言いそうだ。変なことを言われる前に自己紹介を済ませておこう。


「お初に御目にかかります。猫族・族長殿。俺は元勇者のカミナリ・セツナと言います。こちらは従者のメイエスです。拳王姫 セシリア・アインズ殿とは。元勇者パーティーのメンバーとして魔王討伐の旅を数年共に過ごした間柄です」


「ん?元勇者のカミナリ・セツナ殿?‥‥‥‥おぉ、君が人族と魔族の戦争を終わらせた。勇者カミナリ殿か。そうか、そうか!君がそうなのか!!わっはっはっはっは!君があの」


「はい。セシリア殿には大変お世話になりました。今回もセシリア殿に頼って『始まりの大森林』の道案内を頼んだ次第です」


「おお、そうなのか。おっと!すまん、すまん。ワシも自己紹介しないといけないな。ワシはこの『キャッツアイ』の里の族長で、大英雄『サテュロス』を始祖に持つガルド・アインズと申す。以後、よろしく頼む」


族長、ガルドさんは自己紹介を終えると右手を差し出し握手を求めて来た。俺もすかさず右手を出しガルドの右手を握った。


その瞬間である。


ガルドさんは、物凄い力で俺の右手を握ってきた。力比べのつもりなのだろうか?

俺は反射的に『神気』を右手に発動しガルドさんの右手を握り返した。


「ぬ?おぉ、なかなかの『神気』の技量。‥‥‥おっと、いきなり試すようで済まんかった。カミナリ殿」


「いいえ、こちらもいきなり押し掛けて申し訳ありません」


「勇者カミナリ殿と言えば。無尽蔵の魔力量と聖剣を使い戦う人物と聞いていたが。『神気』の力もかなりあり驚きましたぞ」


「ガルド殿も凄まじい『神気』ですね。さすがは拳王姫セシリア殿のお父上ですね」


「わっはっはっはっは。お世辞でも勇者殿に誉めて頂けるのは光栄ですな。それに後で静かにしている従者のメイエス殿かな?彼女も『神気』とは違い。魔力量は相当な者ですな」


「‥‥‥‥‥ありがとうございます。ガルド殿」


さっきからガルドさんを警戒して、静かにしていたガルドさんはエスフィールを見て。そう感想を述べた。


セシリアと違ってさすが『始まりの大森林』の族長の一角を担う人物。相手を見る審美眼は凄まじいものだ。


「さあさあ、なにもおもてなしは出来ないが遠慮せずに我が家に上がってくれ。おーい!!レベッカよ!!お客人だぁー!準備を頼む」


ガルドさんは家中に響く、大声でレベッカという人物に聞こえる様に叫んだ。


「セシリアよ!何を寝ているのだ。早く、カミナリ殿達を我が家へ案内せぬか」


「ウニャアァ~。わかったニャア~」


電撃でぶっ倒れたセシリアが、か細い声で囁いた。


「皆の者!今日の仕事はもう終わりだ。我が娘。セシリアの友人達が我が里『キャッツアイ』へ来てくれた。セシリアの為にも今日は急ではあるが、祭にする。『始まりの大森林』の他の部族達にも伝えるように伝令を頼む」


「畏まりました。族長様」「セシリア様のために」

「今日はお祭りよ~!」「狼族やオーガの民にもこの事を伝えねば」


族長 ガルドさんの伝令により。今日の仕事を中止して『始まりの大森林』全体でのお祭りが催される事になった。


「族長の一言だけで『始まりの大森林』の全ての住人が休みになるなんて、日本じゃ、考えられない事だな」


「いや、日本どうこうじゃあるまい。魔王領でもまず。考えられぬ。それだけ、この地に暮らす人々は心に余裕があるというじゃ、それとあのガルド殿のカリスマがあっての事じゃな。同じ当事者としてあの者から学べることは数多くありそうじゃな」


「なるほど。セシリアと違って。偉大な人なんだな」


「そうニャア!パパは物凄い偉大なパパニャンだぞ。数年にエウロペ大陸でかれる大陸会議にも『始まりの大森林』の代表として、一度出席したことがあるのにゃあ」


のびていた筈のセシリアがいつの間にか起き上がり。元気になっていた。度重なる電撃祭に身体が耐性を得てしまったのかもしれない。これは少し雷魔法の威力を調整しなくてはいけないな。


「ほーう!あのガルド殿は大陸会議に出たことがあるのか?それはすごいのう」


「そうなのか?」


「うむ、私の先代魔王様である。カシア様も数回で大陸会議に出席されていたが。あの大陸会議、事態。その国や地域の代表が集まる。エウロぺ大陸の一大行事じゃからな。『始まりの大森林』はかなりの数の多種族がおる。その代表に選ばれたガルド殿は本物と言うことじゃな」


「へ~!そんな凄い人の娘がこのセシリアとはな。ガルドさんも大変だ」


「ニャンだと?!セツニャ。昔から思ってたがニャア。わっちの扱いがセツニャの場合は軽すぎるのニャア。改善するニャア」


セシリアはそう言うと俺の頭をポコポコ軽く叩いてきた。


「セツナ、お前、昔からセシリアに対して雑な扱いをしてきたのか?」


「そうニャア!メイエス!わっちが昔、セツニャを本気で怒らせた時はダンジョンの奥深くに置いてかれそうになったことやドラゴンの巣に置き去りにされたことがあるのニャア。あれは死ぬかと思ったのニャア」


「セツナ!お前、昔から鬼畜だったのじゃな」


エスフィールがいつものようにドン引きしている。だんだん慣れてきた。


「あぁ、あったな!そんなこと君が俺の大切にしていた作りかけの魔道具をこっそり持ち出したあげく。壊して平気な顔で帰してきた時は聖剣をぶっぱなしてやろうかとも考えたよ」


「どっちもどっちでろくでもないのう。勇者パーティーメンバーとは皆。そのような集団なのか?」


エスフィールがそんな事を聞いてきた。それを聞いた。俺とセシリアはお互いの目を合わせ。

「まぁ、そうだな。」「ンニャ、ンニャ、そうニャア」


俺達、2人は同時に同じ感想を言った。


「なニャゃらわっちとセツニャはまだ、マシな方ニャァョ」


「そうだな。まだ、会話が成立する分。全然ましだ。脳内お花畑の聖女やナルシストの帝国騎士なんて俺達の話すら聞かないからな。なぁ、セシリア!!」


「ウニャア!あの二人は特にヤバいのニャア。魔王討伐の旅の時も四六時中一緒にいたがニャア。だいたい、働かないで自分語りをしていたニャア」


「君も大概だろう。まぁ、君の場合は場の空気に耐えきれなくなって。そこら辺にいる魔物を遊び半分で狩ってきて。俺に素材提供してくれていたぶん。幾分にもましだがな」


「ンニャ、ンニャ。あいつらとはもう余り関わりたくないのニャア」


「それはそうだな(笑)」


しばらくすると『始まりの大森林』に住む。各族長らしき人達や住民達が猫族の里『キャッツアイ』に集まった。気がつけば。その数は万を軽く超す人数で数えきれなくなり。日本のハロウィンの渋谷の様な混雑だ。


「凄い数だな」


「お祭りになるといつもこうニャア。わっち達『始まりの大森林』の民は、とにかくお祭りが大好きニャからな。どうかニャア?セツニャ、メイエス!気に入ったかニャア?」


「あぁ、とても賑やかで良い所だな。この『始まりの大森林』は。私も気に入ったぞ」


「俺も昔、転移魔法で少ししか来たことがなかったから。この地域の人達と交流が出来てすごく嬉しいよ」


「ンニャ、ンニャ、それはそれは良かったニャーー!」


そんな感想を述べた。俺達はガルドさん家の見晴らしの良い場所で、『始まりの大森林』でしか食べられない祭料理や伝統料理をセシリアのお母さんであるレベッカさんに作ってもらい。セシリアと勇者パーティー時代の話をエスフィールに語らいながら。堪能した。



『始まりの大森林』入り口近く。


「ねぇ、ねえシーア君。本当にここにカミナリ先輩入るの?」


「うーん。まだ、わからない。でもマーリン先生はこの『始まりの大森林』の何処かに愛弟子は隠れ潜んでるから連れてきてって言ってたから。何か証拠を掴むまで帰れないよ」


「だよねぇ、何でマーリン先生ももう、いなくなった。カミナリ先輩を必死に探してるんだろうね?」


「それは僕には分からないよ。とりあえず、『始まりの大森林』には明日の朝、入ろう。夜の『始まりの大森林』は魔物の魔境と化すからね」


「了解で~す。じゃあ、おやすみなさい」


「あぁ、お休みって。寝るの早すぎだろう。まったく。しかし本当にカミナリ先輩はこんなところにいるのか?いたら早く連れて帰らないとな。そうすれば、カミナリ先輩の作りかけのカミナリシリーズもかなり進展するだろうし」


そう言ってスゥーと暗闇に消える少年と気だるげに立ちながら眠っている少女は姿を消した。








③幕間・セシリアとの出会い


ここは『始まりの大森林』


わっち、セシリア・アインズは齢10才にして拳闘技大会で優勝し。更にこの5年間の間。同世代の『始まりの大森林』に住むニャつらには負けることはなかったのニャア。

調子に乗ったわっちは。わっちのパパで族長のガルド・アインズに向かって言い放った。


「パパ!!突然ニャけど!武者修行の旅に出るニャン!」


「なに?!武者修行の旅?!‥‥‥‥まぁ、良い薬になるか。」


「ニャンか言ったかニャア?」


「いや、なんでもないぞ。武者修行の旅。良いではないか楽しんでくるよいいぞ」


「わかったニャア~!わっちなら余裕ニャのニャア。行ってくるのニャア~!」


そしてわっちは『始まりの大森林』を意気揚々と後にし旅に出たニャア。

それからは自由気ままに猫族らしく旅をし、道中で出くわす盗賊や魔物を倒したわっちは、外の世界の連中もわっちの敵ではないと分かり。


増長したわっちは人族が治める国。エウロペ大陸最大の国にあるガリア帝国へと向かうことにしたのにゃあ。


ガリア帝国へ向かう途中で世界各国から集みゃるガリア帝国主催の世界剣拳技大会を知り。


わっちはその大会に出るためにガリア帝国へと続く長い道のりを歩いていたのにゃあ。


「‥‥‥‥しニャったニャア~!道を間違えたニャアァァ。もう、空も暗くにゃってきたしどうするかニャア」


わっちは道の真ん中で途方に暮れていたにゃあ。


「ちょっと、近い、近いから。離れてくれないか君?」


「そんなこと言わないで下さい。○○様。私がお嫌いですか?」


「いや、嫌いとか、嫌いじゃないというかの話の前に君と出会ってまだ数日しか経っていないだろう?なのに、こんなに引っ付かれると色々困るんだよ。て、ん?」


ガリア帝国へと続く長い道中の真ん中で薄暗くなるか。男女のバカップルがイチャイチャしながら。わっちの方へとあるって来たのニャア。早く消えるのニャア~。


「‥‥‥‥、そこの猫族?の君!こんな、薄暗くなる道場でどうしたんだ?」


バカップルの1人である男の方が話しかけてきた。

さっきから男の方に項垂れてこちらを睨み付けている、銀髪の小娘だけじゃ飽きたらず。わっちにまで手をかけるつもりかニャア?


「なんニャ?オミャエ?!新手のナンパかニャア~!わっちはそこのアホそうな銀髪女とは違うニャア」


「もしもし?!猫族の貴女!!出会い頭にちょっと失礼ではありません?」


「こんニャ、道のど真ん中で男にベッタリくっ付いて離れない女ニャは。アホ以外何があるのニャア?」


「な、何ですか!その言い方はまるで私が頭お花畑みたいじゃないですか?」


「ウニャ、ウニャ!自覚があるのかニャア?だったら、まだ少しは救いがあるかもニャア。ニャ、ニャ、ニャ(笑)」


「‥‥‥‥許しません」


わっちが挑発したことで銀髪女はぶちギレ。何かの呪文を唱えると。銀髪女の手から細やかな装飾がされた錫杖が現れたのにゃあ。


わっちも風魔法『風壁』を発動して銀髪女に備え動き。一触即発の状態に陥ったのニャア。


「や、やめろ、やめろ。2人共。出会っていきなり闘おうとするな。全く。君も頭を冷やせ○○○」


「で、ですが○○様。最初に言ってきたのは猫族の彼女です」


「わかった。わかったから少し落ち着いてくれ。それに君も‥‥‥‥」


わっちよりも年が2、3才程上に見える男はわっちの『風壁』を見るなり押し黙った。


「な、なんニャア?いきなり黙って?怖くなったかニャア?」


「‥‥‥いや、なんでもない。先ほどは○○○が失礼な事を言った。申し訳ない。話しは変わるが君はかなりの『神気』使いのようだね」


驚いたことに『始まりの大森林』の中でもごく一部しか知られていない。『神気』についてコイツは知っているみたいニャッタ。


「おニャア、わっちと同じ『神気』使いにゃのか?」


「あぁ、良かったなんだが、○○○の代わりに俺が相手をしよう。相手をしてくれたらこちらの食料を君に提供する。どうかな?」


「‥‥‥‥まぁ、それでいいニャア!どうせ、わっちが勝つしニャア!食料の提供と言わず。どうせなら負けた方は勝った方の手下になるのはどうかニャア?」


「‥‥‥、君がそれで良いならそれで行こう」


「わかったニャア!それじゃあ、さっさと終わらせて。手下にご飯を作らせるのニャア~!」


私は勢いよく。男に突っ込み。完膚なきまでにボコボコにされたのニャア。


「‥‥‥‥‥おニャア、女の子相手に容赦無さすぎにゃあ?!馬鹿ニャのか?」


「敵対したら徹底的にやるのが俺の流儀なんだ。君が言ったとおり。今から君は俺の手下だ。今後はよろしく頼む」


「ウニャア~!悔しいが負けたならしょうがないニャア~!」


「頭を垂れなさい」


さっきまで静かに様子を見ていた。銀髪女がボソッと発言した。


「うるさいニャア。銀髪女ニャア。おにゃが頭を垂れなさいニャア。」


「また、貴方は○○様に負けたのにその様な口を。」


「だから、やめろ二人共。あぁ、そうだ。君、名前は何て言うんだ?」


「ンニャ。わっちの名前はセシリアニャア」


「じゃあ、セシリア早速なんだか命令するぞ」


「ハイハイニャア。負けたからには従うのニャア」


「では、今日はここで野宿をする。その時は3人でご飯を食べよう」


「ニャア?それだけかニャア?」


「あぁ、それだけだ。今後も色々よろしく頼む」


「わっわかったニャア。よろしくなのニャア~」


それがわっちとセツニャの初めて出会いだったのニャア。


「始まりの大森林」の巨大樹の上でメンバーは違うけど。3人で食事をしていると。最初にセツニャと出会った事をなんとなく思い出したのニャッタ。










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