『聖抜祭』 ③ temptation (誘惑)
『体育倉庫』
「フーフーフー‥‥‥‥動けません‥‥‥」
「‥‥‥‥許さない‥‥‥」
あの後、直ぐ意識を取り戻した二人の前で。俺は手に持っている鞭を見つめていた。
シュイン!
「どうですか?ご主人様。あの方のご容態は」
「タマキか?‥‥‥‥後、少しって所だな‥‥‥‥やっぱり。ヘファイストス地方に入る。『刀神のルドルフ』さんの所に行くか。海を渡って他の大陸。アリーナの中央大陸『アルトネ大陸』の鍛冶ギルドマスターの『鍛神アマルダ』氏を探しに行くしかないか?」
ピクッ「アリーナ?」ピクッ「トウシン?」
「そうですね。どうします?また、エスフィール嬢とご一緒に行きます?アリーナへ」
「うーん‥‥‥‥いや、今回は一人で行こうと思ってるよ。なんか、最近のエスフィールは此方の生活を楽しんでいるし、忙しそうだしな。後、『武神鎧』の中で何かやってんだろう?」
「あっ!やっぱり。お気遣でしたか?」
「ん?あぁ、俺があげた神煌具『緑樹・霊剣』の『神龍解放』と『武神鎧』の修業でも始めたってところか?」
「まぁ、そんな所ですね。他にも色々、やっているみたいですよ。色々と」
「なら、邪魔したくないな。それに今回は個人的な事だし。麒麟とラファエルも治してやらないといけないしな。やる事多いな」
「そうですね‥‥‥‥どうします?今から向かいますか?」
ピクッ!「今から?」ピクッ!「イチェカイ?」
「いや、『聖抜祭』がまだ、終わってないし。この二人をそろそろ帰してあげないとないけないしな」
ピクッ!「「ニャア?!」」
「では?いつ頃にいます?」
「明日は『聖抜祭』後の振替休日だから。その日に行こう。タマキと俺とだけで」
「わー!うちと二人だけですか!やったー!」
ピクッ「そ、」ピクッ「ソンニャア!」
俺はさっきから不穏な反応をしていると跳び箱の上で寝転がる二人を一瞬だけ見た。その一瞬で見てはいけない所もくっきりと見えてしまったが。
「‥‥‥‥‥あぁ、今回の(‥‥‥)旅は俺とタマキだけで!行く!」
「フェッ?!」「ニャンデエ?」
俺は強い口調であの二人に聞こえる様に声を張って喋った。
「アリーナの魔法世界はとても危険な場所何だ!そんな場所に大切な二人を連れていけるか! (まぁ、君達には天使達の強力な加護があるからよっぽどの事がない限り大丈夫なんだんだが。まだ、連れていくには修業不足ってのが一番の理由だけどな)、それに久しぶりに会いたい人達も入るからな。気ままにあっちこっちの旅しよう!俺とタマキだけで!」
「は、はい!ご主人様!うち、オアシス名物のガルブルーのステーキが食べたいです!それから豊穣の地フレイヤ地方の‥‥‥‥」
「あぁ!中央魔法国にも行こう!新製品の魔道具とか見たいしな!後は南東部の海族の街『ベネチア』にも行ってみたいんだよ!彼処の魚介料理は絶品らしいからな」
ピクッ!「豊穣の地フレイヤ?」ピクッ!「ペネチア?」
「ウキウキウキウキーー!良いですね!良いですね!今回は1人と一匹の放浪の旅ですね!ご主人様!」
「あぁ、気ままな一人と一匹の旅だ!フ○○○ルは連れて歩けないけどな」
「ウキウキウキウキ!!ご主人様とうちだけなら簡易転移魔法で移動もスムーズ!快適旅。勝ち革確定演出です!ウキウキウキウキのキー!」
「うんうん!そうだな!絶体に『幻獣の楽園』にだけは近寄らないが他の所なら何処にでも行ける!あー!明日が楽しみだな。ハハハ」
「ウキウキウキウキ」
俺とタマキは明日から始まる新たな異世界冒険に心踊らせ高笑いをした。
「‥‥‥幻獣の」「‥‥‥‥楽園‥‥‥モフモフ‥‥」
「ヘファイストス地方に行けば。『雷光鞭』も完全復活する。この方にはあっちに入る時、めちゃくちゃお世話になった。何が何でも治してあげたい」
「‥‥‥‥そうですね。その為にご主人様は我武者羅になって。性の魔力残滓をお集めになっていましたもんね」
「そうだな。そう考えるとあの二人にはだいぶ助けられたな。ありがとう二共。お土産。楽しみにしていてくれ」
俺はそう言うとアヤネと委員長に頭を下げた。そろそろ、足を閉じてほしいな。開きぱなしだ。パックリと!
「‥‥‥許しませんわ‥‥‥自分だけ異世界旅行なんて」「‥‥‥‥それェにニガシャニャイカラ」
「‥‥‥‥‥とりあえず、明日、俺達はアリーナに旅立つから。『聖抜祭』が終わったら。君達は‥‥‥‥」
シュイン!
シュイン!
「はっ?あっこら!人の話を聞け‥‥‥‥って。黄金の宝物庫に戻っちまった‥‥‥まさか明日、着いて来たいとか言い出さないよな?‥‥‥‥あっちは本当に危ないから無理だからなー!二人共!!」
俺は袋の中に向かって叫んだ。
「まぁ、今日の夜にでも。うちが惠さんとアヤネ嬢を神成邸にお連れしときます。分身さん達も良くやってくれましたから何かお礼をしないとですね。そして、うちらは明日から異世界旅行ー!楽しみ!楽しみ!ウキウッキー!」
タマキがそう叫びながら大喜びしている。
「そうだな。あの分身達は中央魔法国に連れてて『スフィアボディ』でもお礼にあげよう」
「おぉ!良いですね!最高の報酬ですね」
「だな!ハハハ (倉庫の中、掃除しないと‥‥‥‥)」
「ウッキッキッキッキー!」
俺達は体育倉庫の中で明日の異世界旅行に思いを走らせ高笑いをしたのだった。
『黄金の宝物庫』
私達は黄金の宝物庫内に戻りました。ですが足がプルプルして身体を起こす事がまだできません。
「ウゥゥ‥‥‥お尻のしたが‥‥‥ヒリヒリします。セツ君!!許しません‥‥‥」
「‥‥‥‥私はお腹の中がジンジンアチュイの‥‥‥‥カミュニャリ‥‥‥絶体‥‥‥ユルシャニャイ‥‥‥」
「あ、貴女達。何処、行ってたのよ!探したのよ!」
「大丈夫ですか?惠?」
「ラファエル様?‥‥‥私達を」「ウリュエル?‥‥‥‥異世界について」
「連れてて下さい!」
「連れてって!!」
私達は必死にお願いしますが‥‥‥‥
「いや、無理でしょ」
「えぇ、無理ですね」
ラファエル様とウリエル様は速攻で私達の必死の懇願を速攻で否定しましたわ。
「「ニャンデエ?!」」
「異世界を開く転移門を開くには莫大な魔力が必要なのよ」
「その通りです。なのでアリーナに戻ろうとしたら、カミナリ様や『大天使長』の様な方でないと地球からアリーナへの行き来も用意にできないんですよ」
「そうそう。それに危なしね!‥‥‥‥でも楽しい所もいっぱいあるのよ!特にフレイヤ様の所なんて食べ物は美味しいし、人気の観光地だしね」
「そうです!そうです!ヘスティア様の地方も良いですよね!『流星の運河』なんてエウロペ大陸の絶景スポットですし」
「莫大な魔力‥‥‥人気の観光地‥でも」
「流星の運河‥‥‥絶景スポット」
「明日が楽しみね!」
「ですねー!」
「「わ、私達も行きたいです!!」」
「「えっ?!」」
ラファエル様とウリエル様のお二人は困った顔をされました。そうです行きたいのです。魔法世界。それは惠も同じ気持ちでしょう。
「駄目でしょうか?」
「叶わない?」
私達は目を潤ませて懇願する。
「うっ!」
「可愛い!!‥‥‥‥どうします?ラファエル様」
「うーん、今のこの子達の力だとねぇ‥‥‥‥ガブガブも呼んで加護をもう一個増やすとか?」
「付与ですか。‥‥‥まぁ、それなら何とかなりそうですね。後はカミナリ様の判断次第ですが」
「まぁ、そうなるわね。だから、二人共。アリーナに行きたいのなら、セツナを説得することね!‥‥‥‥なんなら誘惑っていう手もあるし。頑張って説得してみなさい」
「ですね。では、私達はガブさんを連れてきますのでこれで」
ラファエル様とウリエル様はそう言うと立ち去ってしまいました。
「誘惑して‥‥‥惠!」
「頑張って説得‥‥‥アヤネ!」
私達はそう言うと今後の誘惑計画について話し合うのでした。




