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『聖抜祭』 ① UNLOCK(解錠)

『聖抜祭』が明日に迫った最後の夜、俺は父が手配してくれた。一人暮らしようの新居に3人で(くつろ)いでいた。


「君ら、本当に明日の聖抜祭に参加しないのか?」


「ではないですわ」


「出ないわ」


コイツら何で俺の新居で、身体をくっ付け合わせて抱き合っているんだ。


「‥‥‥どっちも本番では大事な役割を(にな)ってるんじゃないのか?」


「わ、(わたくし)達の分身ちゃん達が『私達に任せて下さい。ですのでご主人様達は魔法のお勉強頑張って下さい』と言って役割を変わって下さいました」


「‥‥‥ん!‥‥そうなのよ」


「そ、そうか、ならば、さっさとこの新居から早く去るんだ。二人共」


「イヤです」「イヤよ」


くっ!コイツら!最近じゃあ、外では最新の地球生活を満喫し、黄金の宝物庫ではファンタジー100%の異空間で魔法を行使して人生を楽しくエンジョイし始めてやがる。


「‥‥‥‥良いから!さっさと起き上がれ!2人共!」


「い、今は駄目です!そんな!いきなり動かされたら抜けちゃいます!!」


「ウニャアアア!!目指し時計取れちゃう!!神成のバカーー!!」


俺は身体をくっつき合わせて抱き合っている二人を引き離し左腕と右腕に抱き抱えた。その瞬間。


ボトッ!


「‥‥‥‥‥ボトッ?」


「「ニャアアアアア!!!!」」


シュイン!シュイン!


何かが落ちた瞬間。アイツらは逃げるように黄金の宝物庫へと帰って行った。


「‥‥‥‥‥俺の新居のソファーが‥‥‥なんて事に‥‥‥」


‥‥‥‥‥。


そして、次の日。


聖豊中学『体育館』


「それでは皆さん!これより、『聖抜祭・表』の開催を宣言します!生徒一人一人が一丸となって頑張っていきましょう!」


「「「「「おおおおお!!!!一翠院(いっすいいん)チャーーン!!!!!」」」」」


「「「「「三ノ宮クーン!!!!!」」」」」


「「「天王洲様!!!可憐様!!!」」」


「ふん!何でこの僕が新しい会計なんだよ!神成!!!」


「あれが新しい生徒会会計の二年生か!確か二年生派閥の三番目だっけ?」


「そうそう!例の門倉の後任で入ったらしい。あの子の家が金融関係の家系だからピッタリだろうってな」


「あぁ、俺達3年も後、数ヵ月で居なくなるから後輩を加入させるのは正解だろうな。それにあの子。可愛いしな」


そんな話を先輩達がしているのを近くで俺は鎖に繋がれながら聞いていた。


「凄い人気者だな!生徒会長と副会長は!それに2年の美少女3人組もメチャクチャ人気だな。志知難(しちな)の奴。上手く馴染めているな。強制的に加入させて良かった‥‥俺の変わりにバリバリ働け。志知難!これで来年も安心だな!良かった!良かった!」

ガチンッ!ジャラジャラ


「そうじゃのう!セツナ!」

「そうですね!兄さん!」


エスフィールと星奈は元気に俺に鎖を繋いでニコニコだ!


「おい!おい!神成の奴、また、なんかやったのかよ?」


「いや、監視じゃないの?放置してたら、また、何かやらかすし」


「神成君の両脇にいる子達。二人共可愛いね。どっちかが妹さんなんだっけ?」


「そうそう!星奈さんでしょう?時期、生徒会候補。問題行動も起こさない。才色兼備らしいわ。何処(どこ)かの問題児と違って」 


そして、俺達の近くに元神成派閥の同士達が俺の事について話していた。


「お前ら!話してないで。さっさと俺を助けろ!元仲間だろう?」


「五月蝿い(うるさい)ぞ!セツナ」

「大人しくしてください!兄さん」


「いや、今は天王洲アヤネ様に誓いを立てた騎士!」


「俺もだ!」


「じゃあ、私は聖女で」


「私は僧侶」


そう言って元仲間達は俺を抜きにして盛り上がり始めた。


「‥‥‥‥‥俺のかつての求心力何処(どこ)に消えた」


ジャラジャラ


「そんな事より。セツナよ」

「今、何処(どこ)に住んでるですか?」


「何処に住んでるだと?日本に住んでるよ」


エスフィールの口調はいつものままだが星奈のやつは猫かぶりのお(しと)やかお嬢様モードだ。コイツ、家じゃあ、だらしないくせに清楚ぶってるな。


「一通の手紙だけ残して突然、出ていったと思ったら」

「今、何処(どこ)で何をしているんですか?兄さん」


君達の直ぐ近所で暮らしていて、新しい新居も無事に美少女二人に占領された哀れな男だとは決して話したくない。


「都内のホテルに泊まってたんだ。自分を見つめ直す為にな」


「そんな分かり切った嘘をつくな」

「そうですよ!兄さん。兄さんがホテルに泊まって無いことなんて神成派閥の情報網で筒抜けなんですから」


「そうか‥‥‥‥本当は旅に出てたんだ。自分探しの旅にな!」


「そんな分かり切った嘘をつくな」

「兄さんが正規の交通機関を使用した痕跡が無いのは神成派閥の情報網で筒抜けなんですから」


「‥‥‥‥‥そうか調べはついて入るのか‥‥‥パチンッ!」


俺は信じて貰えない悲しみにうちひしがれながら。右手で指パッチンした。そうする事によって‥‥‥‥


ガゴン!


「な、何?あ、明かりが?!」


「お、落ち着け!!電源が落ちただけだ。直ぐに復旧する」


「生徒は(あわ)てず、その場に止まれ!」


俺は、体育館内が騒然し始めたタイミングで自身に巻かれた鎖を外し、拘束を解いた。


「では、エスフィール、星奈。表の聖抜祭を存分に楽しんでくれ。アデュー!っと!去る前に一年の裏の代表位は狩っとくか。その方が後で楽だしな。では、改めて二人共。アデュー!」


『一年生徒席』


「な、何も見えない!何処行ったの!!星奈ちゃーん」


「‥‥‥佐助の情報通り。君が裏競技の代表だったか千葉さん」


「へ?だ、誰?」


「悪いけど。これも快適な学校ライフの為だからさ、許してくれ」


俺はそう言うと彼女の首元に睡眠魔道具を近づけ発動させた。


「この声?セツナさ‥‥‥」バタリ!


「悪いが代表者討伐の証のバッチは貰っていくよ。でも安心してくれ、数分後には睡眠魔道具の効果は切れて起きられるからさ。それでは聖抜祭を楽しんでくれ。そして、神成 セツナはクールに去るぜ!」

‥‥‥‥‥‥数分後。


パチン!


「おっ!電気が()いたいたのう!」


「はっ!兄さんは?‥‥‥‥いない?」


「あんのアホ!!またも雲隠れしたな!!!」


「は、早く探しましょう!被害者が出る前に」


エスフィールと星奈が慌て始めた頃。俺は体育館の外へと無事。脱出できたのだった。

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