決起集会
『聖豊中学・体育館』
「おお!いっぱい生徒が集まっているのう。セツナ!」
「うちの2年の生徒ってこんなに居たのか知らなかった」
「お主、自分の関係者以外、他人じゃと思っているタイプじゃなあ?駄目じゃぞ~!もっと周りをみないとのう~、私の様に!フフン」
「‥‥‥‥ヘイヘイ‥‥‥」
聖抜祭が数日後と迫ったある日。体育館に二年生全体で集まり決起集会が開かれていた。
去年までの聖抜祭は全てを力で解決する学校の裏行事的なものだったが。
1年前に起きた『鬼の神無月』と無双ゴリラが暴れた事により、聖抜祭の内容が学校外にまで明るみになり。それなりに大きな問題へと発展したらしい。
それで境地に立たされた学校側は聖抜祭を学祭だと世間では主張し、今年は外部の人間を招いての文化祭形式で行っていくようだ。
「皆様。後、数日で聖抜祭です。盛り上げていましょうね!ニコリ!」
「「「「「おおおお!!!!!!」」」」」
「今日も綺麗ね!アヤネ様~」
「マジて美人で清楚だよな」
「はぁ~、可愛すぎるわ。アヤネ様」
「今はフリーなんだろう?俺、アタックしようかな?」
「お前じゃあ相手にもされないよ。ハハハ」
体育館の壇上では、二年生の中で最大派閥に成長した天王洲 アヤネ (分身)が熱烈な演説を行い。二年生を鼓舞し、それを聴いていた二年生達は思い思いにアヤネへの感想を話しあっていた。
そして、そのアヤネの左右にいる奴等も二年生の顔とも言えるメンバーが揃っている。
アヤネの右側にはアヤネの専属メイドの芽愛さん、雨宮さん。そして、アヤネと同じ生徒会の仲間で可憐な可憐ちゃんである。
次に左側は天馬、清太郎、エリカ、それと去年の聖抜祭で暴れに暴れた『鬼の神無月』事。委員長 (分身)が立っている。
「静かに!静かに!して下さい。じゃないと‥‥‥‥」バキン!
委員長がそう言いながら注意を促した。そして、何が破壊された音がした。
「‥‥‥‥こうなりますよ?ニコリ!」
そして、満面の笑顔を浮かべていた。
「「「「「は、はい!!!!すみませんでした」」」」」
(こ、怖ええ!!!何で鉄の塊が素手で粉々になるんだよ?!)
(去年はあれで多学年を捩じ伏せて、聖抜祭のルールさえ変えちまったんだもんな。‥‥‥‥恐ろし過ぎる)
(イヤ、でも顔はメチャクチャ可愛いよな。それにスタイルも良いし)
(あぁ、神無月 惠様!シュテキ!)
(本当に女子の憧れよね。カッコイイわ!)
(ああいう方はプライベートもステキなんでしょうね。武術の練習で道着を着こなして‥‥‥‥)
(((あぁ、素敵ですわーー!!!)))
(天王洲と神無月か!今年はどっちが代表になってもおかしくなかったな)
(神成の奴は?アイツ、ついこの間まで最大派閥だっただろう?)
(いや、神成は無いだろう。数ヶ月前に生徒会と揉めたせいで。、アイツの派閥は空中分解。天王洲派閥に吸収されたって話だし)
(うわぁ、マジかよ!だから、あそこで例の美人編入生と一緒に居るのか‥‥‥俺、昔、神成に何回か助けてもらったんだがな‥‥‥なんかしてやれないかな?)
(止めとけ、止めとけ。下手に関わると逆に迷惑になるからな)
そんな、俺を同情的に見る人達も数人いた。
「しかし、壇上におる。アヤネと惠はカッコイイのう!あんなに堂々として凛としておる!」
「ん?あぁ、そうだな‥‥‥‥うん‥‥‥‥凛としておるわ‥‥‥‥うん」
「じゃな!アヤネも変な状態では無くなっておるし。良かった!良かった!何じゃ、お主。体育倉庫での出来事の後、アヤネを元に戻したんじゃな」
「いや、戻したというか‥‥‥墜ちというか」
「そうか、そうか!これに懲りたら悪戯も程々にするンじゃぞ!セツナよ!」
「ん、あぁ、気を付けるよ。エスフィール」
‥‥‥‥別にアヤネを元に戻してはいない。アヤネと俺の契約パスに純度の高い俺の魔力が流れる様になって、分身の精度が急激に上がり。本物と見分けがつかなくなっただけに過ぎない。
「あの二人がカッコイイ?凛としいる?‥‥‥‥‥皆からはそう見えるのか‥‥‥‥」
人の見え方とは人それぞれ異なるものである。
俺はこの数週間の間で強く思うよになってしまった。
その原因はそう、あの二人の変わって行く過程を傍らで見続けていたからである。
最近は、特に思う。人は変わって行くものだと。
その日の夜『黄金の宝物庫』
夜叉の部屋
「なぁ、そろそろ、一回この中から出ないか?二人共。ずっと入ると息詰まるだろう?」
「‥‥‥‥イヤです」
ボソリと呟く様にアヤネが言う。
「‥‥‥‥なぁ、委員長も‥‥‥」
「嫌よ!帰りたくない」
委員長もこんな感じだ。
「‥‥‥‥‥いや、俺は別に構わないんだけどさぁ。ほら、そろそろ、聖抜祭も近い事だし。いったん、自分の家に帰るなりを‥‥‥‥」
「聖抜祭なら大丈夫ですわ。分身の私が完璧にやってみせますと意気込んでましたし!だから、絶対大丈夫ですわ」
「私の分身もそう言ってたから、大丈夫よ!」
「‥‥‥‥‥いや、でもさあ」
不味い。この二人。この空間の良さに気がつき始めてやがる。地球の技術に加え。エウロペ大陸中から集めた意思を持つ魔道具、神煌具が具現化した神々達によって作られ始めた人類の理想郷。
その利便性にこの二人は気づいてしまったのだ。地球の生活をしつつ、非現実的な魔法を自由自在に使えるこの異空間の存在に。
「‥‥‥ちなみにですが、もし、この異空間から外に出た場合。私達は魔法は使えるのですか?」
アヤネはそう言うと俺にあれを当てたくる。
「‥‥‥‥い、いや、地球には魔力の概念が無いから魔道具以外は‥‥‥使えない‥‥‥ここで君達が魔法を使えるのは‥‥‥‥ここが魔道具の異空間だからだしな」
「‥‥‥では、一歩ここから出れば。この魔法は一度も使えないと‥‥‥」
「嫌よ!」
「やっぱり帰りませんわ!それにセツ君には私達をこの様にした責任を取ってもらわなくてはいけません」
アヤネはそう言うと俺の首筋に手を当ててきた。
「この様にした責任‥‥‥‥‥‥」
俺はそう呟くと、アヤネの顔を見てみた。
‥‥‥‥スポーティーな服の姿に恍惚とした表情の浮かべ、快楽墜ちした○ロゲーヒロインの様な目をしている。
「そうよ!責任取るのよ!神成君」
「うわあぁ!!委員長?!」
俺がアヤネについて考えていると。俺の背中に委員長が迫って来た。
そして、次に委員長を見る。
こちらは体操着を身に付けている。そして、最近の委員長の言動は幼くなり。目は神無月道場で最後に会った時の様な純粋な瞳をしている。とても、あの『鬼の神無月』の異名で全校生徒から恐れられている存在にはとうてい見えない。
「責任取るの神成!!」
いや、委員長‥‥‥‥お胸が際どい位置に。
「セツ君の財力なら。今の状態でも私達二人を養う位。簡単にできますものね~!なんたってセツ君の総資産は‥‥‥」
アヤネは俺の耳元に顔を近づけ、ヒソヒソと囁く。
「き、君!何でそれを知って‥‥‥んん?」
アヤネは俺の唇に指を当てて。俺の話を遮った。
「私もあの額を見た時はビックリしましたわ。セツ君。これで老後まで幸せに暮らせますね。私達は‥‥‥‥フフフ」
妖艶に笑うアヤネ。
「神成!責任!!」
委員長は委員長で俺の背中で身体を上下させ始めた。
だから、あれが見えて‥‥‥‥
「フフフ、良い感じに調教が進んでますね?惠さん」
「ちょ、調教?!君?委員長に何をしてるんだ?」
「なにをですか?‥‥‥‥ナニとはこれの事ですか?」
アヤネはそう言うと委員長に近づき。委員長の胸を鷲掴みにした。
「何処触ってるのよ!アヤネ」
「何を触ってるんですよ。惠さん‥‥‥‥本当にここまで調教するのに時間をかかりましたね。最初は暴れていたので苦労しましたわ」
「い、委員長がこうなったのは君の仕業か?アヤネ。だったら早く元に戻して‥‥‥‥」
「いいえ、惠さんは最初っからこうでしたよ。そうですね。タイミングとしてはセツ君に始めてお仕置きされた時位でしょうか?」
「お、俺のお仕置きの後だと?じゃあ、あの幼い言動は何なんだよ?!」
「‥‥‥‥多分ですが、小さい頃からの神無月家の英才教育のストレスの反動ではないかと」
「ストレスの反動?」
「はい‥‥そして、最近になって魔法や快楽等の新しい体験をした事で。言動が幼くなってしまったんだと思います‥‥‥‥ねぇ?惠さん!!」
「ううう!!!そ、そうなのー!!!」
「お、おい!乱暴にするなよ!嫌がって‥‥‥‥いない?‥‥‥‥何であんなに嬉しそうにしてんだ?委員長は」
そうなのである。顔は天井を向き。顔はアヤネの様な恍惚とした表情わ浮かべ。息は荒くなっていた。
「フフフ、これが『鬼の神無月』と言われる。彼女の真の姿ですよ!セツ君。私はこんな状態の惠さんをこのタイミングで返すなんて信じられませんわ」
どこ触ってンだ!アヤネ!
「た、確かにな‥‥‥もう少し落ち着いてから帰ってもらった方が良いかもな」
「でしょう?フフフ、良かったですね。惠さん!」
「な、何があああ?!」
「あらあら、こんなに喜んじゃってますよ!可愛らしい。ネコちゃんですわ。ヨシヨシです」
アヤネはそう言いながら、委員長の頭を撫でた。
しかし、数日前まではあそこまでカッコ良く、凛としていた委員長がここまで快楽墜ちしてしまうとは‥‥‥アヤネは委員長にどんな調教を施したのだろうか?
ふと、今の委員長の状態を見てみる。
‥‥‥‥身体は火照っていて艶やかかだ。
そして、体操着を着て、顔は恍惚の表情。幼少の時に会った時の男勝りだった頃とは。全く違う姿である。
「あらあら~!すっかりネコちゃんですね!惠!フフフ」
最早、さん。付けも無くなったか‥‥‥
「‥‥‥では、私や、惠がこの異空間に居させてもらう報酬として。惠を好きな様にしても良いという報酬を着けますわ。セツ君」
「ニャ、ニャウイ‥‥‥」
「い、委員長を好きな‥‥‥様に?」
「勿論、私も報酬として含まれます。どうですか?私達を住まわせるだけで美少女二人を好き放題できるんですよ?セツ君。なんなら、今からでも‥‥‥‥ねぇ?惠!貴女もお願いしなさい」
「シャ、シャイ!お、お願い!神成!私、まだここに居たいのーー!」
うおっ!何だこのお願いの威力は?
「ダ!」
「ダ?」
「駄目じゃないぞ!委員長!好きなだけ此処に居てくれ。」
俺はその場のテンションで彼女達の滞在期間を伸ばす事を決めたのだった。




