逃しませんよ?貴女も此方側になるのです ① TAMAKI
聖豊中学『体育倉庫』
ドガァッ!バキン!
バシーン!バシーン!
何かをしばき倒す音が体育倉庫内に響き渡る。
「ハァ、ハァ、これに懲りたら同級生を連れ去り監禁するなど二度としないことじゃぞ!セツナ!」
「‥‥‥‥おう‥‥‥」
上半身裸にされた挙げ句にお仕置きをされ、倒れ込んだ俺がそう答えた
「し、しっかし!凄い筋肉ね?セツナ君。なんか新しいスポーツでも始めたの?」
エリカがそんな質問を俺に聞いてくる。
「そ、そんな事よりも先月、一緒に歩いていた。金髪の殿方は誰だったんですか?神成君!」
可憐な、可憐ちゃんが俺の身体を無意識に踏みつけて聞いてくる。
「‥‥‥‥‥‥」
「返事が無い。ただの屍のようじゃ!‥‥‥‥先に帰っておるからのう!セツナ!今夜はエリカと可憐とで神成邸でお泊まり会じゃから宜しくのう」
「‥‥‥‥あい‥‥‥俺も今日は用事あるからな帰れない‥‥‥‥エスフィール‥‥‥」
「用事?‥‥‥分かった。芽愛達にはその様に伝えとく‥‥‥‥もう変な事はするなよ!セツナ!行こう!二人共」
「‥‥‥‥あい‥‥‥‥」
「えっ?もういいの?」「金髪の殿方は?」
「あぁ、可憐!金髪の殿方なら、私の知り合いでもあるからそのうち紹介してやるのじゃ!だから、早くそのショッピングモールとやらを案内してくれ」
エスフィール達は俺が反省したと思い。体育倉庫から出ていき始めた。
ガラガラ!ガゴン!
そして、俺は体育倉庫で一人残された。
「‥‥‥るさ‥‥い‥‥‥」
俺は身体をプルプルと震わせ始める。
「ゆる‥‥‥さ無いぞ!委員長!!いや、神無月 恵!!!絶対にやり返してやる!!あの暴力女!!」
そして、俺は『鬼の神無月』への復讐を心に誓うのであった。
『神成セツナ11歳の頃』
ドガン!
(ふん!これで私の勝ちね。神成!聖豊小周辺は私が貰うから、今後は口を出して来ないで頂戴)
(‥‥‥‥神無月!!いや、惠!!お前、いつも、いつも、俺達の邪魔をしてくれるな。全く‥‥‥)
(当たり前でしょう?何が中学では自分の派閥を作るから。神無月も参加してくれよ!私がそんなのに参加するわけ無いじゃない。神成、ほんと、貴女は昔からおかしな事を言って‥‥‥)
(あ、あの、惠姉さん。神成君。もう、居ませんけど‥‥‥どうしますか?)
(はっ?居ない?嘘?!‥‥‥本当だわ‥‥まさか、鎖で拘束してたのに逃げられるなんて思わなかった‥‥‥まるで忍者ね‥‥‥‥全くもう)
更に一年後。
『神成セツナ12歳の頃』
「フハハハ、まんまとハマったな?神無月!‥‥‥いや、惠!」
「くっ!この私があんな、単純な罠に引っ掛かるなんて!なんたる屈辱!」
神無月が悔悔しそうに俺を見つめていたのを今でも覚えている。
「まさか、あんなヌイグルミで引っ掛かるとはのう」
「愉快だね~!全く~!」
「ニンニン!神無月殿は見た目に反して内面はとても乙女だったのですな?デュフデュフ!では報酬おば!デュフ!」
「おい!佐助!不用意に近づくな!殺され‥‥‥」
「触るな!変態忍者!死になさい!」
「ガボア?!」
「‥‥‥‥はぁー!言わんこっちゃない。神無月は武家の末裔だ!そのせいもあってか。神無月の家の連中は武芸百般を極めている武人なんだぞ」
「だいじょうかあ?!佐助!!」
「ギンギン‥‥‥‥」
「その中でも、この神無月 惠は別格。未来の神無月党首の座に最も誓い存在なんだからな」
「よもや、まぁ、そんな、神無月家のトップシークレットを次々と喋って‥‥‥‥貴女、どれだけ私の事を調べたのよ?」
「おいおい、情報は武器だぞ!神無月 惠!その情報のせいで君はこの学年最後の代表戦に負けたんだからな」
「ふん!あっそう!」
「それじゃあ、今後は俺達の仲間に加わり。その武力を存分に使ってくれ!宜しくな!惠!ハハハハハハ!」
「まるで、悪役のセリフね!神成‥‥‥‥貴方、こんな、ヌイグルミまで用意して。私を罠に嵌めるなんて‥‥‥男として最低よ!」
「そうかい!そうかい!俺、自身は去年の仕返しができたから。満足しているよ!惠!では、また聖豊中学の入学式出会おう!行こう!皆!」
「「おう!!」」「ボウ‥‥‥‥」
「勝つために手段を選ばないなんて。本当、最低だわ!神成君‥‥‥‥まさか、私の大好きなヌイグルミを大量に用意して動きを封じるなんてね‥‥‥最低よ!‥‥‥あぁ、可愛い‥‥‥‥」ギュッ!ギュッ!
そうして俺は聖豊小を卒業する前に神無月 惠との覇権争いに勝利するのであった。
もし仮に神無月‥‥‥委員長との勝負がつかず。中学に上がっていたら。俺、アヤネ、委員長の三派閥で聖豊中学の覇権を争っていただろうと俺は思った。
再び『体育倉庫』
「許さん!許さんぞ!神無月 惠!俺にターゲット討伐の代表を押し付けた挙げ句。俺をエスフィール達にボコボコにさせるとは!許さん!許さん!」
ポワ~ン!
「やり返したいですか?」
「こ、この声は?何処から?誰だ?」
「復讐したいですか?従えたいですか?」
「だ、だから、誰なんだ?」
「ウキウキ!!そんな、貴方の願いを叶えましょう!ウキウキ!」
そこに悪魔(女神)の遣いが降臨した。
「あ、貴方は?神の遣い?」
「ウキウキ!そう!私は神の遣い。TAMAKI!貴方の復讐をお手伝いするものです」
「TA、TAMAKI?何処かで聞いたことがあるような?無いような?」
「そんな、事はどうでも良いのです!私は貴方にあの神無月という少女に復讐したいか聞いているのです?ウキウキ!!」
TAMAKIは邪悪な笑みを浮かべ俺に問うてくる。
「お、俺は‥‥‥」
「俺は?何です?ウキウキウキウキ!」
「俺は神無月 惠にやり返したい!力を貸してくれ!TAMAKI!」
神そのお返事をお待ちしておりました!ご主人様!ウキウキ!ウキウキウキウ!
TAMAKIはそう叫ぶと高笑いを浮かべるのであった‥‥‥‥
『とある空き教室』
ガラガラ!
「神成君から、監禁の事で謝りたいから空き教室まで来てってスマホに連絡あったけど‥‥‥‥まだ、来てないのかしら?」
委員長はそう言いながら、空き教室の中を見渡し始める。
「よう‥‥‥‥委員長。良く来てくれたな」
俺はそう言って、教室の角から現れる。
「あっ!居た!神成君。何なのいきなり?私に謝りたいって連絡をくれたみたいだけど‥‥‥」
「‥‥‥‥あぁ、さっきは悪かったな。委員長。いきなり、連れ出してしまって」
「いや、良いわよ!別に貴方の奇行なんて今に始まった事じゃないし」
「き、奇行だと?‥‥‥‥まぁ、いいか。それより本当に済まなかった。反省したよ」
「そう!それなら良かった。これに懲りたら、変な行動は控えることね。それじゃあ‥‥‥‥」
「あぁ、気を付けるよ!だが、まずは貴様に天誅を降す!」
「はっ?何を訳の分からないことをいきなり言って‥‥‥‥」
「今に分かる!TAMAKI様!出番です!」
「はい!は~い!喚ばれて飛び出て邪、邪、邪、邪あーん!失礼しますよ!武の天賦持ちさん!人材ゲット!!!」
ガチーン!!!
「はっ?誰の声?それに何なのこれ?黒い首輪?!」
本来、タマキの姿は一般の人間には見えない。タマキ自身が許可した人間しか、タマキを認識する事はできないのだ。
「終わりだよ。委員長、さぁ、お仕置きの始まりだ!」
シュイン!
「はっ?神成君。貴方何を?言って‥‥‥‥」
シュイン!
「ウキウキウキウキ!さぁ、人材育成の始まりですね!!ご主人様!ウキウキ!」
シュイン!
そうして、俺達は魔法の袋の中(黄金の宝物庫)に委員長こと。『神無月 惠』と共に入って行ったのだった。




