二つの種目
ある日の放課後
俺はある男達に会うために部活連の本部室へと来ていた。
ガラガラ!
「ん?なんじゃあ?」「誰だい~?」「何事でござる?」
「おい!アホ共!俺の居ぬ間に聖抜祭のターゲット討伐の代表に俺を選ぶとは!どういう用件だ?!三馬鹿!!!」
「おっ!丁度、良い所に来たでござるな。ポチっとな!」
「そうじゃのう!」「だね~」
ござる。口調の佐助がそう言いながら。何かのボタンを押すと。
「我々をお呼びですかな?会長!」「お呼びとあらば即参上ですぞ!会長殿!」「この命に代えても!ムキムキ!」「ウホウホ!」
おぉ、出るわ!出るわ!ゴリラの群れ。近くから見ると暑苦しさと男臭さしか伝わって来ない。
「おお!我が大切な仲間達よ!そこに入る裏切者を捕らえ!拘束するのだ!」
「えっ?神成殿をですか?‥‥‥それはいったい?」
「何故、神成殿を?」「ウホウホ!」
清太郎の命令に困惑する部活連の兵隊達。
フフフ、そうだろう。俺がまだ、一年の時、どれだけ彼等に手を差しのべてた事か‥‥‥
「我が仲間達よ!其奴は休日の休みの日。金髪の美少女と一緒にショッピングモールでデートを楽しんでおったのだ!我等を差し置いたな!」
「はっ!直ぐに拘束します!会長!!」「全て、吐かせましょう!会長殿!!」「抵抗はしないで下され!!神成殿!!」「ウホウホ!」
「くっ!コイツら簡単に掌を返しやがった!くそっ!」
「何処に逃げるつもりかしら?神成殿!」
「たくっ!また、従業をサボって!」
「なっ?委員長とエリカ?!何で君らがここに?」
部活連の通路に出ようとした瞬間。神無月委員長とエリカが俺の逃亡通路を塞いできた。
「二年生全体の聖抜祭の会議にも参加しないでフラフラとして!いったい何をしていたのかしら?神成君!」
「退くんだ!君達!このままだと俺は筋肉ダルマ達は餌食に‥‥‥」
「もう遅いですぞ!神成殿!」「捕まえましたぞ!神成殿」「ウホウホ!」
ガチーン!
「なに?!鎖だと?!」
「さて!長きに渡り待っていた獲物も無事捕らえた事だし。尋問を開始する!」
「「「「「おおおお!!!!!」」」」」
コイツら!なに、一致団結してんだ?!
「さぁ!被告人!神成刹那の裁判を始める!宜しいか?裁判官殿」
カーン!
「善きに計らえでござる。清太郎検事」
「うむ!では、この者の罪を読み上げます」
「どうぞ!」
何だ?この茶番は?
「先月の10月某日。三ノ宮ショッピングモールにて金髪の超絶美少女とデートを楽しんでおりました。裁判長殿!」
カーン!
「なんと!では、死刑!」
「決断が早いはアホ!証拠を!証拠を提示しろよ!変態忍者!」
カーン!
「では、証拠を提示願います!清太郎検事」
「はっ!裁判長殿。此方が証拠のツーショット写真になります」
「フムフム!成る程、成る程!二人の後ろ姿が写るツーショット写真ですか!成る程!」
「はい!決定的な証拠写真かと!」
カーン!
「被告人を有罪とし!その場での死刑執行を行うでござる!!!シャッハー!!我等が裏切者に鉄槌をくだすでござる!」
「シャッハー!!」「シャッハー!!お覚悟を神成殿!」「シャッハー!!」「ウホウホ!」
部活連の奴等はそう言いながら。各々、何処からか拷問器具を取り出し始めた。
「‥‥‥‥先ずは部屋の電気を消しまして!」
パチン!
「えっ?灯りが突然、消えて?」「って?!ちょっと!何?キャア!」
「そして、委員長を人質に取りまして!フン!」
「な、何でござるか?神成ど‥‥‥‥‥」
ゴチーン!
「そして、最後にアホ裁判官にすり替えてまして」
「ご覚悟を!!神成殿!!シャッハー!!」「この裏切者に制裁を!!シャッハー!!」「くたばれ!神成よ!!シャッハー!!」「お命頂戴!シャッハー!!」「ウホウホ!」
「なっ?!違うでござる!拙者は最高位の裁判官でして!いや、ちゃんと拙者の話を聴くでござる!!!皆の衆!!」
ドガン!バキン!ボコボコ!!!
パチン!
「あっ!灯りがついた!」「まさに僕に当たるスポットライトだね~!眩しい~」
「シャッハー!!」「シャッハー!!」「シャッハー!!どうだ?神成よ!!これで少しは我々の気持ちが‥‥‥ぬ?!」「シャッハー!!」「ウホウホ!」
「ち、違うでござる‥‥‥拙者は最高位の裁判官で‥‥‥‥ガクッ」
「なっ?佐助?何故、佐助がここに?さっきまで裁判長の席にいた筈では?それに神成の奴は何処に消えおった?!シャッハー!!」
「俺はここだ!脳筋ゴリラ!鎖の鍵位ちゃんと掛けとけよ!じゃあな。皆!」
「なっ!神成君?ここ五階よって!きゃあああ!!」
「待て!神成!!」「セツナ君?委員長を何処に連れてくつもりよ!」「ゆ、許さないでござる!セツナ殿!!」「ははは、まるで怪盗ル○ンだね、!セツナ~」
「「「「「シャッハー!!ウホウホ!!裏切者には制裁を!!」」」」」
「いや、拙者は裏切者では無く!‥‥‥‥ギャアア!!!」
そして、無事に、俺は部活連の本部から脱出する事ができたのだった。
聖豊中学・『体育館倉庫』
ガチーン!
「‥‥‥‥‥ねえ?何なのかしら?この鎖は!神成君」
「ん?拘束してんだけど?委員長」
「いや、拘束してんだけど?じゃないわよ!何よ!この状況は!全く」
委員長はそう言うとバタバタと身体を動かし始めた。
「おっと!大人しく俺の質問に答えてくれれば直ぐに解放してやるから大人しくしてろよ。恵!」
「‥‥‥‥その呼び方。懐かしいはね。神成‥‥‥‥」
俺がそう言うと委員長‥‥‥恵の奴が不適な笑みを浮かべて答えた。
「聖豊中学の入学以来に呼んだからな。元、聖豊小の第一派閥さん‥‥‥」
「そんなのもう、忘れたはね。私の派閥は貴方の派閥に負けて吸収されたんだしね」
恵の眼光が鋭く俺を刺す。
「じゃあ、あの時の誓いも勿論覚えているよな?恵」
「‥‥‥えぇ!敗者は勝者に絶対の忠誠を誓うでしょう?それ位、覚えているわよ!神成」
「そうかい!なら、勝者である俺の質問に答えてもらおうか?恵!」
「何を知りたいのかしら?聖豊小の頂点様は!」
「単刀直入に聞くぞ!何で今年の聖抜は二つの種目が用意されたんだ?何で売上ランキングとターゲット討伐とか意味の分からない種目に決まった?」
「何よ?もっと重い質問になるかと思ったけど‥‥‥期待し過ぎたわね」
恵はそう言うと肩を落とした。
「いや、何で肩を落とすだよ!恵!」
「もっと、大事な事を聞かれると思ったのよ。ユナさんとは上手くやっているかとか。星奈さんに変な虫が付いていないかとかね」
「そこら辺は心配してないさ。君達が近くに入るし。いざって時は数人の仲間がサポートしてくれるように頼んであるからな」
「数人の仲間?そんな、気配、全然感じにられないわよ?」
「まぁ、その話しは後で教えるとして、今は聖抜祭の話だ!何で今年は二つの種目が用意され。代表も二人何だ?」
「あぁ、その事?それは私と清太郎君のせいよ!」
「ん?恵と清太郎のせい?それはどういう事だ?」
「去年の聖抜祭の一年生の代表は清太郎君だったでしょう?」
「あぁ」
「そして、私と清太郎君で全てを力で解決したじゃない?アヤネさんと貴方は全然。参加してくれなかったけどね」
「うっ!それは‥‥‥‥」
去年はアヤネと一緒に過ごしていて、聖抜祭の事など気にしてもいなかった。
「フフフ、まぁ、それでね。私達が原因でね。今年から聖抜祭のルールがガラッと変わったのよ」
「それが売上ランキングとターゲット討伐ってやつか?」
「ええ、そうよ!売上ランキングは用は表の種目ね。政界や財閥のお偉い方を御呼びして、聖抜祭の模擬店や出店、イベント等を楽しんでもらうのよ」
「ほうほう、成る程。それで政界やら財閥に顔が効くアヤネが選ばれたのか!じゃあ、ターゲット討伐とか言うイベントは?」
「あぁ、あれ?あれはね!各学年のターゲットとなる生徒を1名選んで狩るのよ。猟師に追われる兎の様にね」
「はっ?!今なんて言った?狩る?」
「だから、狩るのよ!狩!各学年の代表一人を皆でね。それが裏の種目。ターゲット討伐」
「そんなの滅茶苦茶じゃねえか?進学校で行われる事か?」
「何言ってんのよ!去年の聖抜祭だってタガが外れた先輩達を私達二年生が静粛したから、私達二年は校内で好き勝手やれているんじゃない」
「‥‥‥‥まぁ、言われてみればそうだな。清太郎も一年生で部活連の会長やってるしな」
「でしょう?それに清太郎君達が君を選んだのも作戦のうちなのよ」
「俺を選んだのが作戦?それはいったい?」
「君、数ヶ月前に門倉先輩の派閥に喧嘩を売ったじゃない?」
「いや、あれは不可抗力で‥‥‥」
「不可抗力だろうが、あれはもうすぐ卒業する3年達に対する宣戦布告の様なものよ!あれをやられて黙ってられる先輩達なんて現生徒会長と副会長の派閥だけよ。その他の派閥の人達は貴方に復讐してくて仕方ないでしょうね」
「そんな事やってきたら、1人1人潰すまでだけどな」
「でしょう?貴方は性格が腐り切っていても神成家の1人」
性格が腐り切っているのは余計なお世話である。
「だから、普通の学校生活じゃあ手を出せない俺に。聖抜祭の種目を利用して、復讐してこようとしてる奴等がいるって?馬鹿馬鹿しい。そんな事あるわけ」
「だから、入るのよこの学校はそういう人達が少なからずね。だから、そういう人達を誘き寄せて一網打尽にする為に清太郎君達は‥‥‥‥」
「俺をターゲット討伐種目の代表にしてあぶり出そうって作戦か?‥‥‥‥‥アイツら!!友達の皮を被った悪魔だな」
「まぁ、そうとも言えるわね。でも、貴方、別に平気でしょう?こういう荒事。大抵の事はその意味の分からない身体能力で切り抜けられるし。最後は暴力で解決できるんだから」
「言われてみればそうだが、利用されているみたいでムカつくはなんか」
「それもこれも門倉先輩に喧嘩を打った自分のせいでしょう?後ね、もし表の種目で負けてしまっても。裏の種目。ターゲット討伐で勝てば、今年の優勝学年になるみたいだから気合い入れなさいよね?神成!」
「なんじゃそりゃあ?それで他の学年の生徒は納得するわけないだ‥‥‥‥‥」
「納得するわよ!思い出してみなさいよ!この学校の第一の校訓は何?」
俺は恵にそう言われこの聖豊中学の校訓を思い出す。
「‥‥‥‥力でもぎ取れ、ねじ伏せろだな」
「でしょう?だから、そういう事よ。これで貴方が知りたがっていた情報は全て話したわよ!さっさとこの鎖。話しなさい!神成!」
恵はそう言うと手に付けられた鎖をジャラジャラし始めた。
「あ、あぁ、教えてくれてありがとうな!今、外す。拘束して済まなかったな。委員長(‥‥‥)」
「ううん、気にしてないは神成君(‥‥‥)。だって貴方これから‥‥‥‥」
委員長はそう言うと体育倉庫の扉を開ける。
「地獄の拷問を私達に受けるんですもの!神成君」
「セツナ!!貴様!恵に何をしたのじゃあ!」
「何で?体育倉庫?!恵に何をする気だったの?セツナ君?」
「ハ、ハレンチです!それと数ヶ月前のイケメンに合わせて下さい!神成君!」
「‥‥‥‥エスフィールにエリカ?それに可憐な可憐ちゃんがどうしてここに?」
「GPS機能よ。神成君!良かったわね。女の子から拷問のご奉仕を受けれて。バイバイ~」
委員長はそう言うと体育倉庫から離れて行った。
「いや、その前にコイツらにちゃんと説明をしてけ‥‥‥‥」
ガチーン!
「‥‥‥‥ガチーン?!なんだこれ?さっき委員長に着けてた鎖か?」
「話しはあの中でゆっくり聞いてやる。覚悟せい!セツナ!来い!」「全く、いつも、いつも、問題ばっかり起こして!拷問よ!拷問!」
「は、早く、あのイケメンを紹介してくださ~い!」
ガゴン!
体育倉庫の扉が完全に閉まり。
そして、拷問の時間が始まったのだった。
「ギャアアアアアア!!!!」
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