『魔法紋章』
とある『空き教室』
現在、聖豊中学は午後の授業中である。
そして、俺は絶賛サボり中である。
「そうえば、アヤネに昼飯届けてなかったな‥‥‥‥魔法の袋の中に入って確認してみるか」
シュイン!
『黄金の宝物庫』内
「も、もう少し!そうですよ!アヤネ殿!そうお上手!ハァ、ハァ!」
「こ、こうですか?夜叉ちゃん!ハァ、ハァ、ハァ」
‥‥‥‥夜叉の住んでいる建物の空間から若い女の子の乱れた吐息が漏れる聴こえてくる。
「ハァ、ハァ!こんな短時間に魔力の流れを掴むなんて!凄いですよ!アヤネ殿!ハァ、ハァ!」
「そ、そうですか?夜叉ちゃん!ハァ、ハァ!ありがとうございます~!」
ガチャッ!キィィ!
「「?!」」
静かに開け放たれ扉に驚く二人。
「え?」
そして、部屋の中での光景を見て。固まる俺。
「な、何で抱き合ってんだ?君ら?」
「セ、セツナ殿!こ、これは夜叉の魔力残滓をアヤネ殿に肌で感じてもらおうと‥‥‥‥」
「そ、そうです!セツ君!これは夜叉ちゃんの発案でお互いの魔力活性化の為に抱き合って組んず解れつしてただけです」
二人はそう言いながら。抱き合っていた身体を離した。
二人を良く見ているとなんだか火照っているように見える。
「‥‥‥‥魔力活性化ねえ~‥‥‥‥それよりはアヤネ!昼御飯持ってきたから食べる‥‥‥‥」
バチーン!パシッ!
アヤネは自身の右手を勢い良く振り上げたが、俺は左手で直ぐに受け止めた。
「わ、私達のあれを見ておいて。何の反応も無しですか?元許嫁にたいして!」
「いや、君の身体はもう見慣れて‥‥‥‥いや、そういう問題じゃないか。ほら、『魔糸』で新しい服を作ってやるから待っててくれ。えーっと‥‥‥雷魔法『魔雷服』」
「魔、魔糸?な、何ですか?それは!」
アヤネは訝しげに俺の放った。雷魔法を見つめている
「服だよ!服!魔力を込めた糸で簡易的な服を作るんだ」
「服を?‥‥‥‥それにこれがセツ君の魔法でしか?」
「ん?あぁ、この異空間の中なら魔法を使うことができるからな。それを利用してここで1ヶ月。大蛇や他の神霊達に修行を付けてもらってたしな‥‥‥‥」
「修行?」
「‥‥‥‥まぁ、色々とあったんだよ。あっちの魔法世界でな」
「魔法世界!‥‥‥やっぱり!私に隠れて、ユナさんと旅行に行ってたんじゃないですか?!」
アヤネはそう言うとプンスカと怒り始めた。
「旅行‥‥‥では無いな。アヤネには前に言ったけど。あっちでは何回も死にかけたしな」
「し、死にかけたですか?それはいったい?」
アヤネ何か俺に聞こうとした瞬間。
「おしっ!できた。後は魔道札を貼って‥‥‥まぁ、余り詳しくは離せないけどな‥‥‥‥なんか?あれだな。夜叉、アヤネの魔力の流れか?淀んでないか?」
「‥‥‥‥やはり、分かりましたか?セツナ殿」
「あぁ、なんかお腹辺りに魔力が固まってるよな?それが身体中に行き渡ってないというか」
「そうなのです。セツナ殿。あの魔王殿やセツナ殿と違い。アヤネ殿は魔力の流れをやっと掴んだ段階。それを上手く扱えて下りませぬ」
俺達がそんな会話をしていると。
「こ、これがセツ君の魔法?この力が私の中にもあるのですか?」
アヤネが目を輝かせながら俺の手をいきなり掴んできた。
「ア、アヤネ?あ、あぁ、あるよ!アヤネにもただ、今の状態でこのまま行くと。そのうち魔力操作に支障をきたすかもしれない、でも良くする方法も‥‥‥」
「ぜっ!」
「ぜっ?」
「是非、その方法を私に施して下さい!セツ君!」
アヤネはそう言いながら。俺の両手を強く握ったのだ。
「あ、あぁ‥‥‥た、ただ、凄い恥ずかしい思いをすると思うけど。怒んないでくれよ。アヤネ」
「?凄い恥ずかしい思い?」
‥‥‥‥‥そして
「な、何でまた、裸にならないといけないんですか!!!」
アヤネがすっぽんポンに再びなった。
「セツナ殿。もしかして、アヤネ殿に『魔法紋章』を付与するので?」
「おぉ、流石は龍族のご令嬢。魔法学にもちゃんと精通しているんだな」
「えぇ、これでも『ヘスティア』地方で一番大きい『魔法大学』に通ってましたから!」
「そうなのか?あの有名な『魔法大学』にか?それは凄い」
「わ、私をこんなすっぽんポンにして二人だけで分かる話をしないで下さい」
「あ、すみませぬ。アヤネ殿」
「あ、悪い、悪い、アヤネ殿」
「セ、セツ君!ふざけてないで早くその『魔法紋章』というものを終わらせて下さい!こんな姿、恥ずかしくて死んでしまいます」
「‥‥‥何をお嬢様みたいに言ってんだ!アヤネ。家の中だと風呂上がりはあれな姿で歩き回ってるくせに」
「家の中で?!‥‥‥‥アヤネ殿。それは流石にドン引き致します」
「な、何、夜叉ちゃんが入る前で暴露しているんですか?セツ君!あれは、ある種の!」
「変態プレーか?」
「健康療法です!」
「まぁ、いいや、とりあえず、お腹の前に置いている手をどけてくれ。アヤネ」
「はい?わ、私に何をするつもりですか?ここには夜叉ちゃんも入るのですよ!」
「‥‥‥‥君のお腹に『魔法紋章』を書くんだよ。そうすれば契約者である。俺との魔力パスも以前より上手く繋がるから、魔力も練りやすくなるんだよ。ハレンチ」
「ハ、ハレンチ?」
「まぁ、いいや‥‥‥魔糸‥‥‥‥」
俺が自身の魔力で生み出した魔糸に魔力を注ぐと。
シュルシュルシュル‥‥‥ピンッ!ピンッ!
っと!アヤネの手足を縛りあげる
「はぅ?わ、私の身体が勝手に?!」
「直ぐ終わるからじっとしててくれ‥‥‥‥夜叉、ちょっと。ラファエルの所に行って来てくれないか?この紙を持ってさ?」
俺はそう言うと夜叉に1枚の紙を渡した。
「これをですか?‥‥‥‥!分かりました!直ぐに参ります」
ガチャ!
夜叉は扉を開け。ラファエルの居る所まで行ってしまった。
「夜叉ちゃん?何処に行くのです?セ、セツナ君と2人っきりに‥‥‥」
「動かない。アヤネ」
「くッ!なんたる屈辱うぅ!あのセツナ君にこの私がぁ‥‥‥」
「これも魔力を上手く使うためだろう?‥‥‥それに前より君の身体は発育してるし綺麗だぞ!」
「ちょ、ちょっと!そんな、まじまじといつ見たんですか?」
「ハイハイ‥‥‥よし!できた!魔糸解除」
シュルシュルシュルシュル
「キャアア!!」
「おっとと!大丈夫か?アヤネ」
魔糸をいきなり解除したせいでアヤネが体勢を崩して俺の膝上へのダイブしてきた。
「あ、ありがとうございます。スウゥゥ?!か、痒い?!」
「‥‥‥‥アヤネ。もしかして、俺に接触した瞬間。俺に攻撃しようとしただろう?」
「ハ、ハイ!」
しようとしたのかよ!
「とりあえず、その機能は今度から自動で発動しないように契約内容を変えとくよ」
「そ、そんな事もできるんですか?」
「あぁ、俺は万能だからな~」
「そ、そうやって、また、調子に乗ると失敗しますよ!私の時の様に!フンッ!」
アヤネは怒る。俺はそれに心当たりがある。
俺はアヤネを自身の膝の上に乗せる。
「ちょ、ちょっと?何を?」
「アヤネ!君、俺に怒ってるんだろう?」
「はい?い、いきなり何を言って、そ、それに今は私は裸で!」
アヤネはそう言うと身体をバタバタさせ始めたが、俺はアヤネののお腹を抑えて逃がさない。
「もしかして、前にアルと‥‥‥アルディスとレストランで食事してたのを見たせいで怒ってるのか?アヤネ」
俺はそう言うとアヤネのお腹を擦る。
「そ、それは!‥‥‥ちょ、お腹、擽ったいです!」
「その反応‥‥‥やっぱり、見られてたのか?」
そう言うと。俺はアヤネの首顔を近づけた。
「‥‥‥‥もしかして嫉妬したのか?アヤネちゃん」
「は、はい?な、何で私がそのアルディスさんに嫉妬なんて‥‥‥‥」
「そうか‥‥‥‥アヤネ」
「な、何ですか?‥‥‥」
「まぁ、なんだ、色々とごめん。もっと、早く君が怒ってる事に気づくべきだったよ。済まなかった」
「セ、セツ君‥‥‥い、いえ、私もこの1ヶ月。アルディスさんですか?その方の事を考えてずっとイライラしてました‥‥‥‥それでセツ君に拷問するなんて、バカでしたね。私」
「‥‥‥‥まぁ、今回はお互いの悪かったってことで‥‥‥‥魔力紋‥‥‥‥解放‥‥‥これで許してくれとはいわないが‥‥‥‥これでアヤネも魔法が使えるようになるよ」
「はい?今、なんて言いました?セツ君?!!!」
『魔法紋章』を解放したせいか。アヤネの身体が発光し始めた。
「じゃあ、昼飯やら、ここに置いとくからな。アヤネ‥‥‥‥」
アヤネはお尻をこちらに向けてうつ伏せの状態でビクビクしている。
「‥‥‥‥魔糸‥‥‥‥‥‥‥済まん。アヤネ、大丈夫か~」
「‥‥‥‥や、やっぱり。ゆ、許しません。セツ君」
アヤネはそう言いながら身体を1ミリも動かせずにいた。
「‥‥‥しかし相変わらず。綺麗なお尻のラインだな!アヤネ」
「‥‥‥動けません」
「‥‥‥‥だな‥‥‥」
数十分後。
「あっ!セツナ殿。お使いから戻って参りました‥‥‥‥アヤネ殿とは仲直りできましたか?」
「‥‥‥‥ん?あぁ、できた、できた。ありがとう。夜叉!」
「おぉ、それは良かったです?‥‥‥‥おや?セツナ殿。少し汗の匂いが?」
「匂い?あぁ、色々あったんだ!そ、それじゃあ、俺は学校に戻るから待たな!夜叉」
「セ、セツナ殿?‥‥‥‥何故?あんなに急いで帰られて?‥‥‥‥おっと、アヤネ殿はどうしているでしょうか?」
ガチャリ!
「アヤネ殿~!気分はいかがですか?‥‥‥‥」
「エヘヘ、エヘヘ‥‥‥フフフ。お仕置きされました。エヘヘ」
扉を開けると気持ちの悪い笑みを浮かべたアヤネ殿がお尻を擦りながら椅子に座って降りました。
「‥‥‥‥‥ア、アヤネ殿」
「はっ?夜叉ちゃん?いつから、そこにいたんですか?」
「い、いつからですか?エヘヘ、の辺りから今したが、それが何か?」
「エヘヘの辺りから?‥‥‥‥ですか?」
「は、はい!」
「そ、それは‥‥‥‥聞かなかった事にしてください!夜叉ちゃん!」
「そ、それは無理かと!この異空間は神々が住む空間なのでアヤネ殿の発言は筒抜け状態ですし」
「つ、筒抜け状態?ですか!」
「は、はい、あのそれが何か?」
「で、では、先ほどのセツ君と私のやり取りも?」
「はい、夜叉意外の方にはバッチリかと‥‥‥アヤネ殿?」
「さっきのやり取りがつ、筒抜け?‥‥‥‥」バタンッ!
「ア、アヤネ殿?アヤネ殿!お気を確かにー!アヤネ殿!!!」
このやり取りの数時間後。アヤネ殿は意識を取り戻し、お尻を擦りながら顔をずっと赤くしていたのでした。




