異空間とアヤネ
『魔法の袋の中(黄金の宝物庫内)』・夜叉の部屋
「‥‥‥‥袋の中‥‥‥夜叉の部屋ができているだと?!いつの間に?‥‥‥‥」
俺は驚愕している。何故かって?‥‥‥部屋だ!この白い異空間の中にいつの間にか建物や部屋が造られていた。
「入居者も増えてきましたからね。神や神獣の区域は彼処で。神霊や神獣さん達はあっちの区画ですね。それで天使や夜叉嬢の様な種族は」
「このエリアに住まわせて頂いております。セツナ殿」
夜叉はそう言ってここら一帯を指差す。
「いや、それより、遠くに見える牧場やら‥‥‥‥なんだあれ?工場みたいな建物に?あれ!もしかして街か?‥‥‥‥何であんなものがこの異空間に?」
「ここに集められている方達が暇潰しにこの異空間に街を作っているんです。異空間なので場所はいっぱいありますからね。太陽擬きはミカエル達が、建物はロンギ君が、それから交通は‥‥‥‥」
「いやいや、待て待て!何やってだ?君達は?黄金の宝物庫の中を神様や神獣達の楽園にするきか?」
「おお!それも良さそうですね。ご主人様。ていうか、今後はそうなっていくとも思われますよ!なんたってこの異空間。‥‥‥つまり、うちの中は安心安全ですし。ご主人様、以外はうちの袋に触る事もできませんからね。ウキウキ」
「‥‥‥‥‥だんだん怖くなってきたな。そういえば、大蛇の奴は何してるんだ?そろそろ稽古の相手してもらいたいんだが」
「大蛇様なら。あちらの一角を占領してウラ君とオン君と共に酒工場を作り。引き込もってます」
「あいつら、最近、見ないと思ったらそんな事やり始めたのか?」
「三人共楽しそうに暮らしてますよ。何でも地球の酒は質が良いそうです」
「‥‥‥‥アリーナ世界の神の一角がそんなんで大丈夫なのか?‥‥‥‥いや、大丈夫だから酒造りにせいを出しているのか」
「いやー!大蛇殿にはあの後。剣術や龍魔法についての手解きをしていただいて、凄くお世話になっております。セツナ殿」
そう言って笑顔で答えるのは、スパイング山脈の頃よりも。垢抜けて女の子らしくなった龍族の女の子。夜叉巫女の夜叉だ。
つうか、この1ヶ月か2ヶ月位。見ない間にグッと大人っぽくなったな。女の子の成長は早いと言うが本当らしい。
「‥‥‥‥ん?‥‥‥私はいったい?‥‥‥‥」
「おお!気づいたか?アヤネ!久しぶり~」ニチャア
俺は邪悪な笑みを起きたばかりのアヤネに向ける。
「せ、セツ君!貴方、今まで何処に隠れて‥‥‥‥」
アヤネがそう言って俺に掴みかかろうとした瞬間。
ガチャリ!ガキン!
「なっ?これは鎖?‥‥‥それに何で私を拘束して?!それにその隣の呆気ない可憐な女の子は誰ですか?‥‥‥‥まさか、また何処からかちょっかいをかけて‥‥‥」
「全く!これだからヤンデレ純情スケベお嬢様キャラは直ぐにそっちの方へと話を進める。はぁ~」
「なっ!誰が純情キャラですか!誰が!」
「‥‥‥‥‥コイツ!一番。マトモなワードをチョイスして申告しやがったぞ‥‥‥‥」
「な、何ですか?その目は?ユナさんと芽愛さんを呼んで拷問してもらいますよ!セツ君」
「ふん!まだ、この状況を理解してない様だな!アヤネ!周りをよく見てみろ!」
「ま、周り?いったい?何を言って?‥‥‥‥白い部屋?何処ですかここは?」
アヤネは今の状況が理解できたらしく不安そうな顔をし始めた。そして、身体中から変な汗をかき始めた。
「なんだ?アヤネ、汗ビッショリじゃないか?」
「は、はぁ?だ、誰のせいだと思って?!」
「丁度、アヤネの部屋に居るから着替えさせやるよ!ほれっ!別に今さら気にしないだろう君?昔なんか俺に自ら見せてきてたしな!」
「な、何を言っているんですか?セツ君?貴方は?!って?何を触って!キャアア!!」
俺は嫌がるアヤネを無視して。アヤネの服を魔法を使い脱がし服を着替えさせてあげたのだった。
「‥‥‥‥うわぁ!」
「‥‥‥‥なんか、ご主人様。アヤネ嬢に対して容赦ありませんね」
「そうか?いつもこんなもんだぞ!なあ、アヤネ?」
「うぅぅ!絶対に許しません」
「おっと!まだ、抵抗する意識があるとは、流石はご主人様の元許嫁。ご主人様、アヤネ嬢の首に此方をどうぞ」
「ん?これは?何だったか?」
「はめれば分かります。ウキウキ」
タマキはそう言うと邪悪な笑みを浮かべる。これが―女神―の眷属とは到底思えない笑みだ。
「了解!アヤネ!首輪のプレゼント!受け取れ」
「なっ!止めなさい!セツ君!私は天王洲の!!」
ガチャリ!‥‥‥ハマったぞ。
ん?これ色は違うけど、もしかして?
「なぁ?タマキ。これって『契約の輪』だったりしないか?」
「いいえ、それよりも強力な『強制の輪』です。ご主人様」
「ん?『強制の輪』‥‥‥‥強制の輪だと?」
「はい!魔王城の宝物庫やら他国の宝物庫を荒らしてたら。たまに手に入れたので使って頂きたくて。アヤネ嬢にはその実験台になってもらいました」
「‥‥‥なん‥‥‥だと?」
「セ、セツ君?この首輪は?何で‥‥‥‥す?!!ヒギィ!」
アヤネがそう言って俺を睨んだ瞬間。アヤネのの顔は赤面し身体をクネリ始めた。
「ど、どうした?アヤネ?」
「い、いえ!突然、身体中が痒く‥‥‥なりまし‥‥‥」
「『強制の輪』をかけられたものは、かけられた者の契約者になります。そして、その契約者に少しでも敵意を向けよう者なら」
「向けよう者なら?」
「身体中が痒くなります。まぁ、その点を踏まえると『契約の輪』よりも利便性はない玩具みたいな魔道具ですがね。エウロペ大陸の変態貴族がお遊びで造った魔道具ですし」
「その変態貴族の魔道具をよくも!私に着けましたね?セツ君!!!!!」
「あぁ、アヤネ!余り興奮するなら!そして、暴れるな!」
「‥‥‥‥ご主人様、なんか前よりも女性に対して冷たくなってませんか?」
「ん?いや、2回目のエウロペ大陸の旅で色々あったからな。なんかな‥‥‥‥また、『セルビア』に行きたいな‥‥‥‥」
俺がそんな事をボソリッと言うと。
「や、やはり!私達が留守の間にユナさんと何処かに行ってらしたんですか?セツ君?いったい何処に?」
「んー?何処だろうな?アヤネ!よしよし!」
「ちょっと!頭を昔みたいに撫でないで下さい!」
「ハイハイ!‥‥‥‥っと!そんな事より!夜叉、どうだ?」
俺は先ほどから静かにアヤネの魔力残滓を調べていた。夜叉に話しかけた。
「‥‥‥‥はい、セツナ殿。やはり、この方。アヤネ殿ですか?‥‥‥‥天界の力を小さく感じます。これなら、夜叉との魔力も合うかと」
「おお!それは良かった。じゃあ、アヤネには少しの間。ここに居てもらって。魔力残滓を提供してもらうか」
「は、はい?!何を勝手にお決めになってえ?!!!!くぅ!!」
「しかし、ずっとここに居させるわけにもいかないしな‥‥‥」
「大丈夫です!ご主人様。ここには、ホテル、ショッピング、レストラン等の殆どの施設を網羅し。自給自足で衣食住も全てクリアしています」
「何?その異空間。凄い怖いは‥‥‥」
「それにこの魔道具を使えばアヤネ嬢の分身も作れます」
タマキはそう言うと一つの水晶を俺に渡してきた。
「ん?それはギャラ先生の『写しみの虚像』じゃないか!何で君が持ってんだ?」
「ご主人様が魔王領に居る時、何でうちがご主人様の近くを留守にしていたのか分かりませんか?」
「‥‥‥‥‥君。もしかして、魔王領周辺の国から財宝やら貴重な魔道具を掻っ払って来てたのか?」
「フフフ!それはご想像にお任せします!ですのでこれをアヤネ嬢にくっつけて!」
「な?貴方、いったい何を?」
「フフフ!やはり、この異空間なら魔力は使えますね。さあ、現れなさい!もう一人のアヤネ嬢!召喚!!!」
ピカアアア!!!
「はい!こんにちは!セツナ君、皆さん!」
魔道具『写しみの虚像』の効果でアヤネと瓜二つの人物が俺達の前に現れた。
「おお!凄い瓜二つだ」
「はっ?!私がもう一人?‥‥‥‥何で?‥‥‥ガクリッ」
衝撃的な事が続いたせいか。アヤネは意識を失ってしまった。
「ア、アヤネ!!大丈夫か?」
「はい!私は大丈夫です。セツ君」
「いや、君じゃない方のアヤネな!‥‥‥‥まぁ、いいか『写しみの虚像』なら本人と記憶と行動は共有できるし‥‥‥こっちのアヤネなら俺を拷問する事も無さそうだしな」
「はい!拷問しません。セツ君」
「‥‥‥‥‥なら、数日の間だけ‥‥‥アヤネに成り代わって生活してくれ。その間に夜叉に必要な分の魔力残滓をアヤネから貰っちゃうからさ」
「了解です!セツ君!」
おお!なんて素直な写し身のアヤネなのだろうか?まるで昔の素直だったアヤネを見てあるようだ。
‥‥‥‥昔は大人しかったのにな。今ではハレンチお嬢様だ。面影全然ないな。
「とりあえず、今日はこの辺で解散~!」
「「「は~い!!!」」」
そして、その日は過ぎていったのだった。
今日から大二部『放浪者編』始まります。
読んで頂けるとありがたいです!
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私は単純な生き物なので発狂しながら大喜びします。
では、また、投稿します。本日もありがとうございました。




