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龍族の食事事情

『神成家・地下』


「よし!これで今日の作業は終わりだな。手伝っくれてありがとう。タマキ、夜叉巫女。ほれ、今日の報酬の酢昆布(すこんぶ)だ」


「わーい!ありがとうございます!ご主人様」


「‥‥‥‥セツナ殿。これはいったい何でしょう?」


夜叉巫女が疑問の表情を浮かべる。


「酢昆布だよ。夜叉巫女‥‥‥いや、夜叉。地球のお菓子だ」


「地球のお菓子‥‥‥です?でも、夜叉はこの様な代物食べられませぬ。セツナ殿」


「食べられない?それはどういう事だ?」


「ご主人様。龍族は魔力が込められていない食べ物は口にする事はできないのです」


「口にする事ができない?なんだそれは?」


「セツナ殿はアリーナ魔法世界はあらゆる物質、種族、土地に強大、微細問わず。魔力が備わって入るのは知っていますよね」


「あぁ、魔術院でも先ず最初に教わる事だ」


「はい!そして此方(こちら)の世界には魔力が一切、無いとラファエル様から聞き及びました。そして、定期的に夜叉にあった『魔力』を接種しないと。夜叉は弱っていくとも」


「マジかよ!‥‥‥ん!それじゃあ、この1ヶ月の間。どうしてたんだ?」


「黄金の宝物庫にはエウロペ大陸から持って帰って来た。大量の物資が眠っていますから、夜叉嬢にはそれを分け与えてあげてました。ですが‥‥‥」


「ですが?」


「『龍族』は特殊な種族。エウロペ大陸の普通の食事だけでは夜叉嬢の『スパイング山脈』の傷は完全には癒せなくなってきました」


「はい‥‥‥‥すみません。ご迷惑をお掛けしてしまって」


タマキがそう言った瞬間。夜叉は項垂(うなだ)れてしまった。


「何か?解決策は無いのか?例えば和国の蓬莱(ほうらい)様みたいに自身の適正にあった魔力残滓(まりょくざんし)で自身の魔力を補うとか‥‥‥‥」


「そう!それです!ご主人様!!」


「なんだよ!タマキ、いきなり抱きついて来て!」


「そう!夜叉嬢も蓬莱君の様に、自身に適正が近い魔力残滓を見つけ。その人から魔力を奪っ‥‥‥提供してもらえばいいんですよ!ご主人様」


コイツ、今、奪うとか口にしそうになったな。


「いや、そう言っても俺の魔法の適正は『聖魔法』と火、水、雷、土、◯、の『五属性』だから、夜叉とは相性悪いし。エスフィールは『闇』と『(りょく)魔法』だしな‥‥‥‥」


「はい、夜叉の魔法適正は『空間』と『龍魔法』でして‥‥‥」


「そんな貴方に!とっておきの情報があります!ご主人様?」


「さっきから何でそんなにテンション高いんだよ。タマキは‥‥‥‥」


「夜叉嬢と似たような魔法残滓の持ち主がこの家の上にいらっしゃいいます。ご主人様」


「家の上?‥‥‥今、神成邸に入るのはエスフィール‥‥‥は適正じゃないし‥‥‥芽愛さんはそもそも、魔力を弾く。『異能封じ』だし‥‥‥‥‥それだと残す夜叉と似たような魔力残滓って?」


「はい、ご主人様の元許嫁である。彩音(アヤネ)嬢です」


「アヤネ?‥‥‥何でアヤネが夜叉と似たような魔力残滓を?」


「ご主人様。かつて、地球にも神代の時代がございました。エウロペ大陸の『セルビア』建国者オーディン・セルビアも地球へと迷い混んだ事が天界の記録では残されていると前に説明しましたよね?」


「あぁ、だからセルビアの『ヴォーディガン』戦では地球の縁を利用してオーディン様を喚んだんだ‥‥‥‥じゃあ、アヤネ‥‥天王洲家系も‥‥‥‥地球の神代時代か、アリーナ世界に関係する誰かしらの血筋って所か?」


「はい!恐らく。その節が濃厚ですね」


「天王洲家‥‥‥天王洲‥‥‥テンノス?‥‥‥手の住む?‥‥‥天界?‥‥‥天界人?」


俺はボソボソと小言を言いながら。天王洲家の事に考え始めた。


「アヤネは昔は身体が弱かったが‥‥‥いつの日か忘れたが異常なまでの身体能力を有していた‥‥‥‥‥『神気』を使っている雰囲気もないし‥‥‥地球では魔力は使えない‥‥‥使えない分の魔力がアヤネの身体の強化に切り替わったのか?‥‥‥‥」


「セ、セツナ殿?だ、大丈夫ですか?」


夜叉が心配そうに俺の顔を覗き込む。


「あ、あぁ、済まない。夜叉、少し考えを纏めていた」


「考えですか?」


「‥‥‥‥とりあえず、考えは纏まった。タマキ、夜叉」


「「はい?」」


「これから、アヤネの奴を捕まえて黄金の宝物庫の中に拉致しよう」


「「はっ?!」」


当然の様に驚く神獣と龍族の子。


‥‥‥‥‥‥『神成邸・通路』


無沙汰(ぶさた)しております。天王洲・彩音と言います。現在、私はセツ君を拷問するために家中を探し回っております。


「セツくーん!いったい何処(どこ)に隠れているんですか~!いい加減、観念(かんねん)してください!」


キィィィィ!ガタン!


通路の角で何かの扉が開いた音が聴こえました。


「?!何ですか?この音は?‥‥‥」


ソロリ‥‥‥ソロリ‥‥と静かに近づく(わたくし)


「‥‥‥?!隠し扉?」


「よし!喰い付いた!今だ!タマキ!!」


「はいはい!了解です!ご主人様。拘束魔道具『ロックス』発動。捕まえま~す」


「なっ?タマキさんとセツ君?な、何ですか?この紐はあああ!って?!キャアア」


ガチーン!


「よし!直ぐに地下に戻ろう‥‥‥」

「はい‥‥‥‥‥」


ガゴン‥‥‥‥キイィィィ!ガチャリ‥‥‥‥


「おーい!アヤネ?どうしたのだ?セツナは見つかって?‥‥‥って?いないじゃと?」


「彩音様~?大丈夫ですか?‥‥‥‥いませんね?」


そして、(わたくし)は何者かによって何処かへと連れ去られてしまったのでした。

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