再終決戦 ROUND2 風雷の水極・神祆
「白い牙が飛んでくるにゃあ~!怖いにゃあ~!‥‥‥にゃんてにゃあ!!!『神気・風雷』・風神雷掌」
試合前にセシリアの渡した『属性の手袋』に『神気』を纏わせた。そして、その『神気』をレオンハルトとヒルドが放った技に向かって勢い良く放つ。
「霊獣の技じゃあ、この技は防げにゃいぞ!!『魔風小崋』!!!」
ズザザザザ!!!
白き牙の魔力の塊が『神気』によって霧散した。
「‥‥‥‥魔力ではない力?あれはいったい?」
「ガルルル‥‥‥‥」
レオンハルトがそう言いながら、霧散してしまった『ホワイトファング』の魔力残滓を見つめている。
「余所見をしている暇にゃんてにゃいぞ!レオレオ!!『神気・雷・風魔法』‥‥‥『神雷風拳』」
「い、いつの間に?!キャアアア!!」
ドガーン!!
セシリアは自身の拳に纏わせた。『神魔力』でレオンハルトの脇腹に強烈な一撃を喰らわせる。
セシリアが放った。強力な一撃により。レオンハルトは闘技場の壁へと叩きつけられた。
「‥‥‥‥良いにゃあ!!良いにゃあ!!このグローブ!自由自在にわっちの『神気』と『魔力』を一緒に練られにゃあ!流石がわっちの飼い主のセツニャだにゃあ!」
「‥‥‥‥いや、飼い主じゃねえよ!雇い主だよ。それにその『属性の手袋』(エレメント・グローブ)はまだ作ったばかりだから余り乱暴に扱うなよ!!セシリア!」
俺はセシリアに向かって大声で叫んだ。
「うにゃあ!分かったにゃあ!ガンガン使っていくにゃあ!!セツニャ!!」
「違うわ!おバカ!乱暴に扱うなよって。言ったんだよ!!アホネコ!!」
「‥‥‥‥あれは伝わってねえんじゃねえか?カミナリ!」
ヒスイがセシリアと俺を交互に見ながらボソリと言い放つ。
「‥‥‥‥俺が帰る前に予備に何個か渡しとくか。あれ、一個で15万ギルするだぜ。ヒスイ」
「1、15万ギルだと?‥‥‥‥アインズさん。俺やあんたは良い飼い主に拾われたんだな!良かったぜ!」
「だから、俺は君達の飼い主じゃあ無いんだよ!」
「‥‥‥‥遠くから言われたから、最後、にゃに言ってるか聞き取れにゃかったにゃあ!‥‥‥‥まぁ、後で聞けば良いかにゃあ!そんな事より今は目の前のレオレオだにゃあ!」
「‥‥‥‥獣化術無しでこの威力‥‥‥流石はユグドラシル地方で名を馳せる『アインズ』の血筋ですか‥‥‥全く強い!!ヒルド!!」
「ゴオオオオ!!!」
「晴墝流・『ニの型・晴虎剣』」
「にゃあ?霊獣がレオレオの青剣と合体したにゃあ?」
『控え場』
「‥‥‥簡易的な神煌具化なのか?あれは?なぁ、ヒスイ」
「神煌具にしては武器の力が弱く感じねえか?それにあのヒルドは霊獣だ!神煌具に変わるにゃあ!神話級以上の神格がなきゃあ話になられえだろう!」
「あぁ、そうなんだがな。なんで、あんなにいとも簡単に霊獣が武器化できてるんだと思ってな」
「‥‥‥‥それはあれだ!晴墝流を極めた奴等に与えられる。七聖―女神―の『女神の加護』だ」
「女神の加護?」
「あぁ、晴墝流の開祖の‥‥‥‥」
ヒスイがそう言い終えた瞬間。
ドガアアアアアアンンンン!!!
闘技場内に轟音が鳴り響く。
「な、何だ?セシリアが地面に倒れ込んでるぞ」
「‥‥‥‥アインズさんが地面に叩きつけられただと?んな馬鹿な事があるか?俺達の中であの人が一番素早く動けるのによう!それにあの人は獣族何だぞ?!」
『闘技場・中央』
「にゃ、にゃんで‥‥‥わっちの動きが分かるのにゃあ?‥‥‥」
「私の眷属。ヒルドの嗅覚は貴女や他の獣族の数十倍上をいくの。それを利用して貴女が移動する先に晴墝流『三の型・追尾頼虎』を放っておいたのよ」
「‥‥‥‥剣から霊獣が飛び出してくるなんて反則にゃぞ!レオレオ!」
「私がレオレオ‥‥‥まぁ、いいでしょう。そろそろ、終わりにします。拳王姫殿、獣族は早めに倒せというのが晴墝流の教えですので。すみません」
「最悪な教えだにゃあ!それは‥‥‥‥でも、まだ、終わらせにゃいにゃあ!」
『獣化術解放・回帰・『聖獣化・風雷』
セシリアは獣族が編み出した『回帰技』を発動させた。
その技は一度。『セルビア』のサラマンダー戦にて使われたのだが、以前と違う現象がセシリアに発生していた。以前の『聖獣化』では、『神気』を風しか纏えなかった筈のセシリアが。今回は『神気・雷』も纒い。
自身の身体に風と雷の二つの属性『神魔力』を纏わせているのであった。
「‥‥‥‥?!何ですか?その力は?」
「これかにゃあ?これは‥‥‥今回の皆との旅で手に入れた新しい力にゃあ!!『神気・風雷』+『水麗棍・天夢』‥‥‥『風雷の水極・神祆』」
‥‥‥‥俺はセシリアが放った技に鳥肌?、崇拝?、興味?、いや、どれも違う!そうじゃない!
‥‥‥‥そう!感動を覚えたのだ。
そう、長年、彼女に見せてもらいたかった景色がようやく俺の眼前に完成したのである。
‥‥‥‥‥長かった!あぁ、実に長かったな!セシリア!‥‥‥‥おめでとう!これで君はまた、新たな上のステージへと上がって行けるだろう。
神殺しの力『神気』
アリーナの世界に漂う『魔力』
その二つの力が今、一つに折り重なり。凄まじい力となってレオンハルトに飛ばされているのだ。
「あぁ、レオさん。済まない‥‥‥そして、ありがとう。セシリアを成長させてくれて‥‥‥感謝します」
『闘技場・中央』
「‥‥‥‥なんという‥‥‥一撃を放つのですか?拳王姫殿‥‥‥‥ヒルド‥‥‥‥今が!ここが!‥‥‥最終局面です。心得なさい!」
「グオオオオ!!!」
「「晴墝流‥‥‥奥義‥‥‥『霊獣の白牙』‥‥‥『白牙』!!!!」」
「‥‥‥‥先ほどから見ていたがな!眷属に頼り過ぎだぞ!小娘‥‥‥◯◯◯・強制召喚・反転‥‥‥あちらに戻れ!白き虎よ」
ヘカテスがそう言った瞬間。
「ガア?ゴアアアア?!」
シュン!
ヒルドがいきなり姿を消したのだった。
「は?ヒルドとの契約者のパスがいきなり切れて?‥‥‥え、ええ?」
困惑するレオンハルト。
「‥‥‥悪いがにゃあ!これで終わりにゃあ!レオレオ!行くにゃあ!!『風雷神気・水罰』」
「い、いや!そんな!!!キャアアアアア!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
風雷の『神気』と水の魔力がレオンハルトの頭上に放たれ。凄まじい暴雷風の嵐が巻き起こる。
「イヤアア!!!!」
その嵐の中からレオンハルトの叫び声が闘技場内に響き渡った。
数刻後。
「ガ、ガア、ウア‥‥‥‥バタン!」
暴雷風の嵐は収まりその中からボロボロ状態のレオンハルトが姿を現したのだった。
「‥‥‥しょ、勝者!拳王姫セシリア・アインズ殿!!だ、誰かタンカを急ぎ用意して下さい!!早く!!」
「‥‥‥‥ふぅ~!先ずは一勝にゃあ!!!‥‥‥ごめんにゃあ!レオレオ!楽しい闘いをありがとうだにゃあ!!!」
セシリアはそう言うと俺達にVサインをして喜んだのであった。




