懇談会
『魔王城・懇談の間』・歓談会
「担い手様!お久しぶりでございます。また、こうしてお会いできるとは!」
「担い手殿!」「担い手様!!」「担い手様!」「救世主様」
「み、皆さん。お久しぶりですね」
魔族の風習の1つとして受けた恩をにたいして、ずっと感謝の気持ちを忘れないというものがあるらしく。
そのせいなのだろうか?勇者時代に助けた人達からメチャクチャ感謝され続けている。
いちを魔王の仇である筈の元勇者に対して。そんなに感謝していて大丈夫なのだろうか?
まぁ、勇者時代は顔バレしないように常時、変装魔道具で変装していたので全盛期時代の顔は魔族の人達にバレていないのだが。
「貴様!!!ヒスイ!!今まで何処をほつき歩いておった!」
「うおお!ラベル爺さん。何しやがる?!ぐおおぉぉ!!」
シューン!ドガーン!!!
ヒスイの奴が、鳥の羽の飾りを着けた、変な老将軍に背中を勢い良く叩かれ。懇談の間の壁へと叩きつけられた。
「本当ですよ!全く!これからは馬車馬の如く働いてもらいますからね!ヒスイ!」「貴様が居なくなった後、我々は秘密裏に捜索隊まで出したのだぞ!全く!」
「レオンハルトなんかそれで婚期を逃してな」
「全く!罪な男だよ!君は!」
「なっ?!私はこれでもまだ、二十歳に成ったばかりですよ!皆さん」
「ほう?なんなら、このまま。ヒスイと世帯でも持ったらどうだ?レオンハルト。そうすれば、こやつもどっか行くことも無いだろうよ!」
「レイサイト殿?!いつの間に魔王城に?」
「ん?さっき来たばかりだ!ワハハハ!魔王様とヒスイも戻って来て。オマケに担い手殿とスパイング山脈の蛇龍も服従させ連れてくるとはな!これはますます、魔王領は安泰だのう。ラベル!」
「ああ、その通りだな!レイサイト!ガハハハハハ!!」
「て、てめえら!俺とレオンハルトを酒の魚に騒ぎ始めやがって!!くそがぁ!!」
ヒスイは魔王軍の中枢を成す。酔っぱらい達に囲まれ。そして、いきなり暴れ始めた。
「‥‥‥‥ヒスイの奴もこれから大変そうだな」
「拳王姫殿!ご高名はこの魔王領にまで轟いておりますぞ」
「まさか、敵対していた魔王様と手を組み。セルビアを救っていたとは驚きました」
「どうですかな?我が子とこの後、懇談等を‥‥‥」
「うにゃあ~!魔王領の飯もなかなか旨いのにゃあ!!モグモグモグモグ」
「‥‥‥‥セシリアは何処に行ってもマイペースだな。また、あんなに食い物を口の中に詰め込んで‥‥‥‥はしたない奴だな。全く」
そして、この城の主である。魔王様はと?
「ど、どういう事ですか?お母様!また、セツナと共に地球に戻れとは?」
「ですから、何回もいっているでしょう?ユナ陛下。貴女はまだ、若いですし。暫くは‥‥‥‥いえ今後、数年はどの勢力もこの魔王領への侵攻はして来ないでしょうからね」
「何故、そのような事が分かるのです?今回だって『死神』の突然の襲来に見舞われたではないですか?」
「その心配も大丈夫ですよ。貴女がお連れした。七原龍様のお一人ですか?『黒龍・八岐大蛇』で七聖―女神―と同じ存在の方。あの方が魔王領、全体に神話結界を造って下さったので今後の数年は人族や魔神達の襲撃に悩まされる事も無くなりましたから」
「はっ?!結界?私はそんな話聞いていませんが?お母様!」
「ええ!貴女には言っておりませんもの。私の独断で決めましたから」
「独断って!何を勝手に決めているですか?お母様!!」
なんだ?あっちはあっちで親子喧嘩の始まりか?刃○一家みたいな。史上最強の親子喧嘩か?
‥‥‥‥‥そういえば、数日前にアイリスさんと大蛇の奴が取引してたな。
‥‥‥‥‥
(大蛇様。私、アイリス・エスフィールと申します。魔王の母です)
(おお、そうか、あの小娘の娘か!ここは良い国だな!魔族の者達は皆、酒に寛容だ!気に入った!我はこの国が非常に気に入ったぞ!魔王の母親よ)
(フフフ!それは良い事を聞きました。ありがとうございます。大蛇様。それからお一つ。大蛇様にご相談なのですが)
(む?なんだ?魔王の母親)
(はい!この収納魔道具に魔王酒の酒樽。20年分のが収納されておりまして)
(何?魔王酒?20年分だと!魔王酒といえば『列島・大陸』にまで名を轟かせる。名酒ではないか?)
(はい!その魔王酒です。大蛇様。こちらを差し上げる代わりに。この魔王領を大蛇様の結界をかけて頂けませんか?そうすれば当分の間。魔王領に平和が訪れますので)
(おお!そんな事か?!容易い!少し待っておれ!‥‥‥‥原始・回帰・神話魔法『八岐・天叢雲剣・酒円』)
(‥‥‥‥凄まじい!魔力の流れ‥‥‥これが七聖―女神―に並ぶ。神々のお力ですか‥‥‥)
(‥‥‥‥うむ!上手くできたぞ!魔王の母親よ!ついでに我の名をこの地に残しておく。―女神―アテナと共に祭れば。神話レベル以下の者達はこの地に一切手を出すことが無くなるだろう)
(そうですか。ありがとうございました。大蛇様)
(うむ!うむ!こちらも名酒の報酬に感謝する。ワハハハハハハ!)
‥‥‥‥大蛇の奴。酒欲しさにまさか回帰技を使って結界を造るとは思わなかった。それにあのアイリスさん。相当に頭がキレる人だな。まさか、神を酒で買収するとは思ってもみなかった。
「‥‥‥‥そして、大蛇はというと」
『魔王城・城下町』
「さぁ!オリエント・メイスの民達よ!魔王の凱旋である。さぁ!祝え!歌え!飲みまくるのだ!ワハハハハハハ!」
「ウラ~!」「オン~!」「ウキウキー!」
酔っぱらい二人と猿化したタマキを引き連れて。城下町の一角で大宴会を開いていた。
「きゃー!大蛇様!」「ウラミ様ーー!」「オンネン殿!!!」
「アイツらオリエント・メイスに来てからずっと宴会してやがるな。流石、オッサンメンバーだわ。近くに行ったらずっと酒臭いし困った奴等だ。はぁ~!」
「だから!私はこっちの世界に、アリーナに残ります!お母様!」
「いえ、だから。見聞広げる為にも、貴女はもう一度あちらの世界に戻りなさい」
「ですからーー!」
「それにあんな、良物件をみすみす逃すつもりですか?ユナ!」
「はぁ?良、良物件?!」
「当たり前です。元勇‥‥‥高名なお方で。我が魔王領の大恩人。それに最近では、セルビアを魔の手から救い。今回は『死神』を撃退したいうではないですか。使える魔法も聖魔法から始まり。転移、治癒、召喚魔法とは、魔法族からしたら。手から喉から出る程の逸材にして血筋。必ず確保しなさい。」
おいおい!どっかのエルフの国の女王様と似たような事を言い出したぞ。この人。
「いや、ですから‥‥‥‥」
「そうですか!貴女が担い手様を入らないと言うのなら私が代わりに頂きます。そして、昔の誓いを果たすのです」
「‥‥‥‥は?はぁ?!!!!」
「はぁ?!何を訳の分からない事を言い始めるのです!お母様!」
本当である。何を言い始めているんだ?このエスフィール母は?‥‥‥‥まぁ、確かにアイリスさんの見た目は十代と言われても信じてしまう程。若さを保っている。
アリーナの世界では魔力総量が多い。人族や魔法族は人達は長命で見た目もある程度をいくと老化しなくなってくるという。
とかいう。俺も魔力総量が多い為。こちらに来てから見た目がそれ程、変わっていない。髪は結構伸びたが。
「‥‥‥‥はぁ!どうせ、貴女のその勝ち気な性格だと。婚期を逃す事に絶対になるでしょう?だから、若いうちにさっさとやる事をやってしまって」
「わ、私に何をさせる気なんですか?何を?」
「だから、何をさせるんですよ。今後の魔王領と魔法族の安泰の為に」
「ですから、私は!!」
「はぁ~!そんなに我が儘をいうのなら。担い手殿と闘って。貴女が勝ったらこのアリーナの世界に残りなさい」
「はっ?闘うですか?」
「そして、貴女が担い手殿に負けたら。あちらの世界に一緒に行き。親好を深めない。ユナ!分かりましたか?」
アイリスさんが鋭い視線でエスフィールを見つめた。
「ひぃ!は、はい!分かりました!お母様!それで良いです!はい!」
あの、エスフィールがビビっている?アイリスさんを怒らせるって事はそんなにも恐ろしい事なんだな。
「‥‥‥‥ん?俺とエスフィールが?闘う?‥‥‥‥マジ?」
そんなこんなでこの最終決戦の地だった魔王城にて。元勇者である俺と現魔王であるエスフィールの戦いが始まるのであった。
「では、開催は二日後。魔王城内にある闘技場で行う事にしましょう。そして、代表3人による一対一の個人戦を行い。先に2勝したチームの勝利ということに致しましょう」
アイリスさんはそう言うとテキパキと細かいルールを決め始めたのだった。




