晴墝のレオンハルト・ブレインズ②カミングアウト
晴墝のレオンハルト・ブレインズなの。私は故郷であるカマの街に来ているの。
そして、現在、私の目の前には到底人類とは思えない人型をした『何か』の謎の力で吸い寄せられた。この『何か』は私をどう弄ぶか、何をさせ辱しめるのかを懸命に考えてる風に見えた。
「‥‥‥‥‥さぁ、ヒック!先ずはその美しい顔を恐怖に‥‥‥‥」
『何か』が私の顔に触れようとした瞬間。
「いきなりで失礼する!そこの者!もしや、晴墝のレオンハルトではないか?」
「オーイ!1人で先に行かない方が良いぞ!エス‥‥‥メイエス!!そっちには大蛇が居るんだからな!!」
若い少女と少年らしき子達が私の方へ向かって来たのだった。少女の後ろからやって来る少年の顔を私は見て驚愕の表情を浮かべたの。‥‥‥‥
「ヒック!おお、これは新しいき主様と‥‥‥‥小飼の者か。ヒック!丁度良い所に。ヒック!今からこの者を八つ裂きに‥‥‥‥」
「八つ裂きにしない!ほら、これをやるからあっちでウラさんとオンさんと三人での飲み直さして来なさい。はいっ!ハウス!!!」
「おお、これは新しい酒ですかな?!ヒック!‥‥‥‥何々?畔木り?確かに受け取りましたぞ!‥‥‥‥オーイ!貴様ら!それに新しいき主の相棒よ!ヒック!飲みなおすぞ!我の元へと集へ!」
「「はいっ!大蛇殿」」「おぉ!酒かぁー!頂くぜえ!」「ウチも混ぜて下さい!!黒龍様!!」
「おお、アテナ神の眷属よ!久しぶりだな!良い良い良い!飲めや!歌えだ!‥‥‥おいっ!平服している軍人共よ!貴様らも飲み始めろ!これは神の命令なり!さぁ、騒げ!今日は勝利の大祭りだっ!ハハハハハハ!」
「あれ?身体が動くぞ!」
「それにいつの間にか。目の前には酒樽が何個も」
「あっ!これ酒だぞ!」
「あの目の前の怖そうな人!今、勝利の大祭りとか言ってたか?」「なら、俺達の味方?」
「じゃあ、あの人達は俺達を救う為に闘っていたと?」
「おいっ!それにあの少年‥‥‥もしかして俺達の故郷『ビーズ』を救ってくれた担い手様では?」
「いや、それを言ったら。俺の故郷『レスト』を疫病から‥‥‥」
「いやいや、俺の故郷を」「私の産まれた街を救ってくれた方よ!」「担い手様だと?」
そして、八岐大蛇の元へ、飲んべえ二人とヒスイの奴が加わり。再び飲み会が再開され。更に俺達を囲んでいた兵士達も加わりだした。
そして、兵士達の中でも何人か俺の方を見つめてヒソヒソと何かを話始める兵士も現れ始めた。
そんな場面を眺めつつ俺とエスフィールは大蛇に弄ばれそうになっていた鎧姿の女性の前に立っている。
「なんじゃ?いったい?‥‥‥‥まぁ、良い!そんな、事よりもそこのお主!お主は私の顔を覚えて?‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥ナルカミ君?ナルカミなの?」
目の前の女性は俺の顔を見ると。驚いた表情をして、俺を見つめる。
「ん?うーん?‥‥‥‥あーっ!レオさん?ですか?久しぶりです!『バルカ』の飢饉以来ですか?!いやー!元気?そうじゃあ無いですね。うちの大蛇がすみません
「‥‥‥‥ナルカミ君‥‥ナルカミ君だぁ!ナルカミ君が来たくれのーーー!!えーん!!」
何故か泣き出す。レオさん。
「いや、そんな事より。私の事を覚えて?‥‥‥‥」
そう言って固まる。エスフィール。
無理もない。変装魔道具に認識阻害の魔法で外見が違って見えるのだ。つうか、そろそろその変装も解いたら良いのではなかろうか?
「‥‥‥‥レオンハルト将軍が泣いておられる?‥‥‥あの隣の少年!ナルカミかぁ?」
「担い手様?何でここに?」
そう言って、走って来るのは、昔、魔王領の北側で知り会った。ルルイとフローだっ!
「おお、二人共久しぶり!」
「担い手君?」「ナルカミが何でここに入るのよ?」「ナルちゃーん!!」
そして次は西の都市『ライオール』で一緒に大飢饉を解決した。ソアラ、マリー、ターヤが人を掻き分けて現れた。
「おお!3人共。お久しぶりー!」
「いや、私の事を覚えておらぬか?レオンハルト?」
いや、エスフィール。だから、先ずは変装を解けよ。
「ナルカミ!!会いたかったぞ!」
東村のアノーキが泣きながらやって来る。
「ナル様!!」
魔王領の貴族。スチールが凄い勢いで走って来る。
おお!昔、魔王領が疫病や飢饉の時、一緒になって問題解決して知り合った人達がいっぱいやって来るな。懐かしい。
「いや、私は‥‥‥‥」
「いや、だから。君はその変装を解けよ。魔王様」
「私‥‥‥‥変装?‥‥‥‥あぁ、そうじゃった!忘れておった」
「‥‥‥‥そうか、忘れておったのか‥‥‥‥それなら仕方ない。可愛いから許す」
俺がそう言うと。
「うむ!それでは変装を解こう‥‥‥‥それにしても。何故にセツナの知り合いがワラワラと集まって来とるんじゃ?」
「あぁ、これか?昔、魔王領で水戸黄門をして疫病と飢饉を解決して回ったからな。そのおかげか分からないけど。こうやって色んな知り合いができたんだ」
「‥‥‥‥若い女の子の魔族が多いの何故じゃあ?」
鋭い眼光で俺を見つめるエスフィール。
「‥‥‥‥気のせいじゃ!それよりも早く。変装といて目の前のないている。レオさんを泣き止ませてくれ。俺のフードに顔を押し付けられてフードが鼻水でグチョグチョなんだ」
「ん?あぁ、了解した。魔道具解除。‥‥‥‥もしもし?レオンハルト将軍!私だ!私に見覚えはないか?レオン殿!」
「ぶえええん!!ナルカミ君!‥‥‥‥なの?‥‥‥‥その声は?‥‥‥‥ユナ様?‥‥‥ユナ魔王様?!何でナルカミ君と一緒に?!」
ビリッ!
ビックリして俺のフードを破くレオさん。
おいっ!なんて事をしやがる。この鼻水美女め!
「うむ!ナルカミ‥‥‥殿には。私の護衛としてついて来てもらってたのじゃ」
「ええ?!ナルカミ君がユナ様を護衛なの?お二人はどういった関係なの?」
レオさんはそう言うと俺達を交互に見つめ始めた。そして、それは俺の知り合い達も同様である。
「関係?関係とな?‥‥‥‥そうじゃな‥‥‥‥関係」
何故か言葉を詰まらせる。エスフィール。
「大事なパートナーだよ。レオさん。なぁ?エスフィール」
俺がそう言った瞬間。
「う、うむ!そうじゃな!‥‥‥‥ナルカミ殿‥‥‥‥いや、セツナは私の大切なパートナーじゃ!レオンハルト将軍」
エスフィールはこの人が密集する中で、高らかに宣言したのだった。
これが後に語られる。『魔王と担い手殿』エスフィール自伝のベストセラーの冒頭のシーンになるとは、その時の俺もエスフィールも知りよしも無かった事である。
AIイラストアプリを使用し。アルディス・セルビアのイメージイラストをXに投稿しました。https://x.com/eCbaSFrv6a8uLUq?t=L3MyEXmFwx2OR7drkUdrqg&s=09
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