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転移門



翌朝


俺は久しぶりに深い眠りにつくことができた。

いつもは寝る前に何かしらの邪魔が入りトラブルになるのだが。昨日は違う。多少のアクシデントがあったが狐と巨乳メイド美少女と楽しく静な時間を過ごしたお陰で日頃のストレスが解消された。

芽愛さんと一緒に居ると心が癒されるというか。彼女の優しい性格がその様にするのか。

一緒にいてとても楽なことに昨日は気づいた。また、別の日に秘密の部屋を使う時はまた、彼女の要望もあるため、ぜひお呼びしたいと思う。


そして、次の朝、起きるとそこには、寝巻きを着て立っているエスフィールと俺があげたと思われるブカブカのYシャツを来ている彩音が立っていた。


「なにしてるんだ?君たち?」


「ふぁ~、まだ眠いです。」


「なにをしているかじゃと?その質問は貴様に問いたいものだのう。セツナ、貴様、あれだけ私達が開けろと言ったのになぜ反応すらなかったのじゃ?」


「爆睡していたからな。部屋には防音対策様に魔道札を使ってたから。何も聞こえなかったんだろう」


「ほうほう、魔道札をのう。で?本当はどこで何をしておった?白状せい」


「ふぁ~お休みなさい」


彩音は、俺の入るベッドに入り込み俺の隣で寝始めた。


「おい、そんな事よりこれをどうにかしろよ。(バシンッ)」


前と同じで何も履いていない。お尻をこちらに向けてすやすや寝息をたてている。


「こら、彩音のお尻を叩くでない。生徒会や家の用事で疲れておるのだ。ギリギリまで寝かせてやれ。かわいそうじゃろう。」


ポコッと頭を軽く小突かれた。


「おっお前ら。いつの間にそんな仲良くなったんだ?」


「さぁ?なんでじゃろうな。内緒じゃ。それよりも昨日はどこで何をしておった?貴様が出てこないから屋敷じゅう探したが見つからぬし?どこで油を売っておった?」


「昨日はずっと寝ていたってさっきから言っているだろう。そんなことより、そろそろ朝飯にしよう。今日は俺が作るから」


そう言うと俺は、下のキッチンへと逃げるように移動した。


「あっ待てこら、まだ話しは終わっとらんぞ。って手を掴むな彩音!」


「うふふ、こっちですよ。セツ君」


「どんな、夢見とるんじゃ?って彩音、お主力強いのう!!」


「逃がしませんよ」


「はっ離せ、彩音。今はセツナに聞くことが、………て、どこを触っておるじゃ?そっそこはや、やめろーーー!あっ」


そんな、エスフィールの叫び声が響くなか俺は、たんたんと朝食を作っていた。


タマキが現れてから1ヶ月位たった。

未だに門倉先輩の件では生徒会からの音沙汰も無く。


彩音とエスフィールとの暮らしは毎日が何かしらの起きドタバタしている。


エスフィールの学校暮らしも1ヶ月も経つと。エスフィールの元々のコミュニケーション能力も合わさりAクラスの委員長、エリカ、彩音、可愛い可憐ちゃんを中心に他のクラスメイト共とも仲良くなっていった。


そんなある日の帰り。彩音は生徒会の仕事がある為。その日は桐生さんの迎えを断ってエスフィールと一緒に家まで帰ることにした。


「セツナと2人で帰るのもだいぶ久しぶりじゃな」


「あぁ、そうだな。いつもは誰かしらと放課後は遊びに行ってたからな。確かに久しぶりだ」


俺はエスフィールを見る。俺はあることを言おうか迷っている。


「なんじゃ?人の顔をジロジロ見おって?」


「エスフィール。君、こっちの世界の生活はどうだ?楽しいか?」


「ん?そうじゃな。最初はどうなるか不安じゃったが。学校の皆や桐生のおじき達も皆、優しいから最近は毎日が楽しいのう」


エスフィールは嬉しそうに、はにかんだ。


「そうか。それはよかった」 


「なんじゃお主?さっきから様子がおかしいぞ」


「………………、前に言っていた。アリーナに帰る魔道具が見つかったんだ。だからいつでもアリーナに帰ることが出来るって」 


「なんじゃと?なんでもっと早く言わぬのじゃ?」


俺が最後まで言おうとしたら物凄い勢いで詰められ。胸ぐらを捕まれた。


「さっ最後まで人の話を聞け。メイドさん」


俺はエスフィールの綺麗な手を優しく掴んで落ち着かせた。


「おぉ、すまぬ。すまぬ。でっ?なんでもっと早くアリーナに帰れることを言わなかったのじゃ?」



「それにも理由がちゃんとあるんだよ」


「なんじゃ?」


「君がこっちの生活に慣れるまで黙っといたんだ。いきなり帰れるぞって説明しても困惑すると思ったんだよ。だから1ヶ月か2ヶ月位待ってから話そうと考えてたんだ」


エスフィールは少し黙った後、話し始めた。


「…………、なるほどのう。理由は分かった確かにこっちでの人間関係や生活が落ち着いていないのにいきなりアリーナに帰れるぞと言われても困惑するだけじゃな。なるほど。なるほどのう」


そう言って今まで黙ってた理由にも納得したみたいだった。


「で?その転移用の魔道具と言うのはどういう形をしておるんじゃ?デカイのかのう?」


「狐だ。」


「は?」


「だから、狐だ」


「……………、お主?毎日の様に彩音にお説教(拷○)されているから頭がパンクしたのか?」


「誰がパンクしたのか?だ!もういい話すよりも実際に会わせた方が早いな」


「実際に会わせる?」


エスフィールは訝しげな顔をした。


「はい。ご主人様。お初にお目にかかります。元魔王・エスフィール嬢。ウチは神成 セツナ様と契約している神獣の………」


エスフィールはタマキが自己紹介を終える前にガシッとタマキを掴み観察し始めた。


「電池?電池?はどこじゃ?おぉ、手触りはなかなか。最近のオモチャは凝っておるのうセツナ~」


「ウチはオモチャではありせん。女神アテナ様に使える神獣のタマキです」


「ん?今、女神アテナと言ったかこのオモチャの狐は」


「だ、誰がオモチャの狐ですか。ウチの名前はタマキです~!」


ドリフのコントの様な掛け合いが行われている。


「エスフィール、紹介するよ。そいつは俺と契約している。魔法の袋の化身で名前はタマキだ。仲良くしてやってくれ」


「ほ~う。こやつが魔法の袋の化身のう。7つ秘宝の1じゃから何かしらのあるとは思っとったがまさか、狐の化身とはのう」


「だから、ウチは狐ではありません。神獣です」


「で?セツナこやつと転移の魔道具がどう関係してくるのじゃ?」


タマキがギャアギャア騒ぎ足したが、エスフィールは気にせず俺に話しかけてきた。


「いや、そのタマキ事態が転移魔法が使える魔道具なんだってよ」


「なに?」


「実際に俺とエスフィールをこっちに転移させたのもタマキがやったことらしい」


「なに?あの転移は貴様の仕業かこの狐めモフモフしてやる」


「ぎゃあ~やめてください。ご主人様助けて」


エスフィールはタマキをワチャワチャしながらタマキの感触を楽しみ始めた。


「えーっと楽しんでいるところ申し訳ないが」


そして俺はエスフィールにタマキに出会ったいきさつと。なぜ俺とエスフィールがこっちの世界へ転移させられたのを詳しく話した。


「なるほどのう。あの過保護のお母様ならやりかねない事だのう。なるほど。なるほどのう」


エスフィールはどこか納得したみたいだ色々考え始めた。


「確かに魔法属の一族のエスフィール家の崇拝する女神はユグドラシル様じゃ」


「へ~!そうなのか」


「うむ、代々、魔法属のさはユグドラシル様にお仕えしておる。仲も良くてのう。お優しいお方じゃ。その縁もあり。ユグドラシル様の加護を受けている7つ秘宝のうちの1つ。魔道具・武装鎧の守護を任されておる」


「へ~それは知らなかった。お優しいお方か羨ましくなるな。タマキ」


「…………、そうですね」


「なんじゃ?お主ら?目が死んどるぞ」


「いや、気にしないでくれ。かつての嫌な思い出をタマキと思い出しているだけだから」


「おぉ、そうか!ならよい。しかし7つの秘宝に化身状態が存在するとは………、まだまだ、魔道具の世界も奥が深いのう」


エスフィールはそう言うとタマキを優しく撫でた。


「くッくすぐったいです。エッエスフィール嬢」


「ん?と言うことは。今、私の部屋に置いてある。武神鎧も化身状態になれるということか?」


「なっなれますがうちの場合は契約者のご主人様と目を合わせることが条件でした。他の子がどのような条件なのか全然知りません。それにブシンちゃんはとても臆病な性格なのでこちらから話しかけても返事はなかなかくれないと思います」


「そうなのか?少し残念じゃのう」


「アリーナに帰ったら一度。エスフィールのお母様に、武神鎧についても聞いてみたらいいんじゃないか?ユグドラシル様に長年使えた人なんだろう?」


「…………、それもそうじゃのう。話を聞いていると私達が居なくなってアリーナは平和になってきているようだしのう。そうすることにするかのう。」


「で?いつ頃戻る?1ヶ月後位か?」


「いや、そんなに待ってもしょうがなかろう。幸い明日は休みで彩音や寧々と芽愛も天王洲家用事で出払うと言っておったし。行くならば明日、行くことにせぬか?」


エスフィールは俺の目を見て言ってきた。

あぁ、早くアリーナに帰って家族に会いたいんだな。


「君がそう言うならそうしよう。エスフィール」


俺はエスフィールの右手を掴んだ。


「な、なんじゃ?セツナ!手など掴んで」


「俺は、君とは以前は敵対関係だったかも知れない。だけどこっちに来てから。君の色々な事を知れた。だから向こうで何かあったら。君の事は何がなんでも助けるし守り抜くよ」


エスフィールの顔がみるみると赤くなる。


「う、うむ。ありがとうなのじゃ」


「だから安心して欲しい。今じゃ君は、俺の大切なパートナーなんだから」


そして少しだけ軽く握っている手を握り。エスフィールを見た。


「お、おお、便りにしておる………ぞ。よろしく頼む、セツナ殿」


「あぁ、任せてくれ」


「なるほど。こうやって何人もの女性を惑わせてきたのですね。流石はご主人様です」


タマキはそう言うと俺に体を握られ。揉みくちゃにしてやった。


翌日、今日は休日の初日、土曜日である。そんな秋晴れの神成家の玄関先では、


「では天王洲家の催しに言って参ります。お昼は神成ホテルでお食事してきますね」


「おぉ、気をつけて言ってくるんじゃぞ。彩音、それから寧々と芽愛もな」


「はい、ユナさんもセツ君に十分気をつけて下さい。」「言って参ります。ユナさん。」「ありがとうございます。ユナ様」


「おぅ、行ってらっしゃい。気をつけろよ~」


女の子達4人が仲良く玄関先で、出発の挨拶をしているなか俺はさっき起きて来た。眠そうに目を擦る。


「セツナ!いくら休みだからといって!ダラダラするなよ。だらしないぞ!全く」


エスフィールがうちの母さんの様に叱ってくる。そういえば、先日、母さんから連絡が来てたな。今はアメリカのニューヨークで映画の撮影の仕事をしてるとか言ってたな。まぁ、いいかそんな事。


「おはようございます。セツ君!それじゃあ、行ってきますね。お土産期待しといて下さい」


「行ってらっしゃい~。お土産よろしく~!」


そして俺はリビングへと向かった。つうか、あいつら4人前よりもだいぶ仲良くなったな。最近では、放課後。あの4人だけで買い物に行く時もあるとか。


あいつらだけではなく最近は、神成派閥と天王洲派閥の蟠りも無くなり。派閥同士でリクリエーションや旅行等も行っているらしく。


二年生同士の結束も高まっているとか。今、思えば二年生の対立も今は亡き。門倉先輩の派閥のせいだったのではないかと俺は思う。


「たく、最近は何も騒ぎを起こしていないが腑抜けおって」


彩音達を見送ったエスフィールがリビングへとやって来た。


「平和ならいいじゃないか」


「気を抜き過ぎとるのじゃ。お主の場合。いちを二年生の派閥で1番大きい派閥のリーダーなのじゃろう?もっと自覚を持ってシャキッとせぬか」


「派閥の事なんて委員長と天馬に任せておけば大丈夫だろ。清太郎やサスケもいる。それに今は寧々さんや芽愛さんも協力してくれているし。後、数ヶ月で始まる。聖抜祭に向けて抜かり無く動いてるとか言ってたしな。今年の二年生は皆、優秀なんだよ。皆が皆。生徒会長クラスになれるポテンシャルを秘めているからな」


俺はそう言うとソファーへとダイビングした。


「まぁ、そう言うことなら良い。それよりも今日じゃろう?アリーナに向かうのは。その様に油断していて大丈夫なのか?」


「んん?あぁ大丈夫じゃないか?俺達が居なくなってからだいぶ、平和になっているらしいし。それに前に渡したあれ、待っているか?」


「ん?これの事かのう?」


エスフィールが小型の指輪を俺の前に見せた。


「そう!それそれ、それ際身に付けていればアリーナに帰った時の魔力探知には全く引っ掛からないはずだ。だから、アリーナに着いたら先ずは」


「魔王城へ向かうのじゃろう?私のお母様に会うために。」


「あぁ、下手に人間の街や村に入って変なトラブルになるよりは事情をある程度知っている。エスフィールのお母の所に居た方が安全そうだからな」


「だから、アリーナへの帰還も人間側には知られたくないのだったな。お主、元勇者なのに不憫じゃのう」


「それだけ人間っていう生き物は私利私欲で汚いのさ。俺はアリーナで嫌って程体験したから分かるんだよ」


「こっちの地球の人達は優しいがのう。世界によって考え方と違うから何とも言えぬが」


「まぁ、こっちの世界は向こうみたいに、魔物やらドラゴンなんかの危険生物が余りいないからな。金さえあれば、安全は帰るし良い世界だな」


「仮にも1つの世界を救ったとは思えぬ奴の発言じゃな」


「世知辛い世の中だな(笑)。まぁ、とりあえず行くなら午後にしよう。今は、ゆっくりしたい」


「たく、しょうがない奴じゃ」


そして午前中は、リビングで二人仲良くゆっくりした。


午後。


「じゃあ、行くか」

「うむ、行こうかのう。」


俺はてっきりあのごっつい鎧を着て行くのかと思ったが、エスフィールの格好はいつも家の中で着ているメイド服だった。

「……………君はてっきりあの武神鎧で行くのかと思ったよ」


「いや、あの鎧は思いからのう。なんだかんだ。こっちで着なれたこの服の方が最近は落ち着くのじゃ」


と、言いながら。短いスカートを軽く持ち上げた。


「それならいいが。あの鎧はどうしたんだ?」


「武神鎧は、ほれ、この魔道具(収納魔法)の中にちゃんと入っておる。後、皆のお土産ものう」


こいつ前にあげた貴重な五属性魔法の魔道具をまた、無駄な魔法に使いやがった。鎧やらお土産なんてタマキに任せれば一緒に入れてくれただろうに。


「そうか、…………それなら良いか」


ここで何か言うと。彩音に虚偽報告をして俺がお仕置きされそうなのでそれ以上の事を言わなかった。


「よし、そろそろ行くか。いでよ!タマキ」


「はい、ご主人様。お呼びで」


タマキの名前を呼ぶと魔法の袋から狐が飛び出して来た。


「以前も行ったが今からアリーナへ向かおうと思う。転移魔法を発動してくれないか?」


「おぉ、遂にこの時がきたのですね。分かりました。直ぐに転移魔法を発動します」


タマキがそう言い終えると。リビングの床から扉の用な物が現れた。


「以前は仮契約みたいなものでゲートを開きましたが、今は違います。ご主人様とウチとのパスがちゃんと繋がって契約されていますので。以前より安全にアリーナへ向かえます」


「なるほどのう。以前は、安全じゃ無かったのか。この狐め。」


エスフィールはそう言うとタマキをモフモフし始めた。


「エスフィール嬢、またいつものを、お止めください」


いつもということは、日常的にモフモフしているらしい。


「よし、………ゲートの中に入ろうか」


俺はそう言うと転移ゲートの中へと入って行く。エスフィールとタマキも続けて中へ入った。

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