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死殱決戦・死神・ゼロ No.12 感謝する


轟音と様々な叫び、『死神』の歪な狂乱劇と『大蛇』の震え上がらせる笑い等。


一夜にして様々な出来事が魔王領・初代魔王の生誕の地。『カマ』の街で繰り広げられた。


『魔王領・天空』


「新しき主よ、最後の一刀。実に見事でしたぞ!ハハハハハハ!」


何故か上機嫌の大蛇。


「お世辞をどうも!ほら、約束の名酒。御髻みづらだ!受け取ってくれ。八岐大蛇様!」


俺はそう言って大蛇に御髻を渡した。 これは俺の実家にある酒蔵から究拗くすねてきた物だ。ガラ先生辺りに渡そうと一時的に地球にアルディスを連れて戻った時に持って来た品だ。


「おお!まさか、こんなに早く渡してくれるとは!流石、新しき主様よ!」


「あっちに戻ったらまだまだ、色んな酒が有るから楽しみにしていてくれ。だから、これからも俺に力を貸し続けてくれないか?八岐大蛇」


「あぁ、勿論です!ハハハ!以前は敵対関係だったが。新しき主様は酒に関して大変にきまいが良い!信用もできる。良い!良い!我を存分に頼って下さい。ハハハ」


大蛇はそう言いながら名酒を飲み始めた。つうか、大蛇の奴酔うの早すぎだろう。


「おっと!俺達も。下に降りよう。『死神』がどうなったから気になる」


(アハハ!そうですね。ちゃんと死んでいるか確認しないと!アハハ!)


ミカエルがそんな物騒な事を言い始めた。


「下とな?宜しい。では、我の力で‥‥‥影と影を移動しましょう。『影抜』」


大蛇がそう唱えると一瞬。辺りが暗くなったかと思もったら。次の瞬間には、カマの街へと着いていた。


「なっ?一瞬で移動した?大蛇!君も転移魔法を使えるのか?」


「ヒック!これは転移魔法のでは有りせぬよ。新しき主様よ!『影抜』。和国に伝わる。影と影を行き来する。移動術です。ヒック!」


大蛇はそう言うと御髻みづらを飲んだ。


「‥‥‥‥そうなのか。和国も色々な術があるだな。流石、神話が色濃く残る国」


「えぇ、自慢の故郷ですな。ヒック!‥‥‥‥貴様もそう思うだろう?『死神』?自身が産まれた故郷で敗北した気持ちはどうだ?」


酔っているかと思った大蛇は真面目な口調になり。目の前に倒れている。『死神』に話し掛ける。


‥‥‥‥シャキン‥‥‥‥


「‥‥‥うぅぅ‥そうか私は負けたか‥‥‥そうか‥‥‥そうか‥‥‥‥」


弱々しく。そうかとしか『死神』は言わない。


「‥‥‥‥‥貴様は我と闘い。我を楽しませた!報酬を与えてやろう。‥‥‥‥貴様達の住み家。『無闇むや)》とやらを一瞬だけ開け!『死神』!」


「‥‥‥‥何をするつもりだ??‥‥‥大蛇よ‥‥」


「我の権能で貴様と奴等の契りを切り捨ててやろう」


「‥‥‥何だと?‥‥‥それではあの方にどの様に‥‥顔を会わせれば‥‥‥」


「我が代わりに伝えておいてやる‥‥‥‥『死神』は己の役目を果たしたとな‥‥‥‥次代の者達にちゃんと伝えたと。‥‥‥だから貴様はもう休め!『死神』」


大蛇は先ほどまでの恐ろしい声では鳴りを潜め。優しい声音で『死神』に語りかけた。


「‥‥‥‥あぁ‥‥‥‥‥そうか、大蛇‥‥‥貴様は‥‥‥」


『死神』が大蛇に何かを言おうとした瞬間。カマの町の上空から二人の女の子の声が聞こえてきた。そして、街の方からはヒスイが走って来た。


「セツナ!!!大丈夫なのか?」「セツニャ!!」「カミナリ!!!勝ったか?」


エスフィール、セシリア、ヒスイの3人が俺達の方へとやって来たのだった。


「‥‥‥‥あの者達は、最初に殺そうとした奴等か‥‥‥」


『死神』はそう言って。やって来る3人を見つめる。


「‥‥‥こやつが‥‥‥‥いや、この方が魔王領。初代魔王様・ゼロ・ブレインズ様‥‥‥」


「あぁ!そうだぜ!滅茶苦茶強え!!この人はよう!」


エスフィールとヒスイはそう言うと『死神』を見つめる。『死神』とこれ程、近くにいても何も起きない。どうやら『死神』を倒した事でエスフィールとセシリアに掛けられていた死の呪いは取り払われた様だ。


「‥‥‥‥貴様は先ほどの黒騎士‥‥‥最後の一太刀見事だったぞ‥‥‥」


「そうかい!まさか、初代様にそう言ってもらえるとは感激だな!」


「‥‥‥‥初代魔王様。遅れ()せながら失礼致します。現在の魔王領で100代目魔王を務めさせて頂いております。ユナ・エスフィールと申します‥‥‥‥まさかこのような形でお会いするとは思ってもいませんでした」


エスフィールが『死神』にそう伝えると『死神』は驚いた顔を浮かべた。


「‥‥‥何?‥‥‥君が現在の魔王だと?‥‥そうか、今はエスフィール一族が魔王なのか‥‥‥そうか‥‥‥」


「そんで俺が前魔王カシア様に仕えた。ヒスイと申します‥‥‥先ほどは無礼な発言をして申し訳ありません」


エスフィールが『死神』。初代魔王ゼロ・ブレインズに敬語で話したせいか、ヒスイの奴も何故か先ほどとはうって変わって。『死神』に向かって敬語で話し始めた。


「『死神』!この二人が魔王領の新時代を担う存在の様だぞ。良かったな!しっかりと後進が育ってるようだな。ヒック!」


「‥‥‥‥あぁ‥‥その様だ!大蛇‥‥‥‥おっと忘れるところであった。『無闇の扉』‥‥‥‥これで数秒だけあちら側に繋がったぞ‥‥‥」


「そうか!‥‥‥『縁者の蛇刀』‥‥‥‥完了した。奴等の反応が楽しみだな!ハハハハハハ。感謝するぞ。死神」



大蛇がお礼を言い終わると『死神』は生き絶え絶えな状態に陥っていた。


「死神様!」

「我々もお供します!」


俺の腰にある。魔法の袋からタマキの(しもべ)。ウラミとオンネンが姿を表した。


「‥‥‥‥ウラミ‥‥‥オンネンか‥‥‥」


「「はい!!」」


「‥‥‥‥少年よ!‥‥‥」


『死神』は俺に話しかける。


「はい?なんですか?ゼロ・ブレインズさん」


「‥‥‥‥私に勝った報酬だ!‥‥‥‥この二人を少年に遣わせる。上手く仕え‥‥‥‥」


「死神様?」「ゼロ様?」


「この二人をですか?」


「‥‥‥あぁ‥‥後はこれを持っていけ‥‥‥」


死神は自身の懐から黒いペンダントを俺へと投げた。


「これは?」


「‥‥‥‥‥『ゼロの誓い』という。私を少年の元へと呼ぶ。魔道具だ‥‥‥それも上手く使え‥‥‥‥今後の闘いの為にな‥‥‥」


「今後の闘い?」


「‥‥‥‥あぁ!ゴフッ!‥‥ハァ、ハァ‥‥‥そろそろか‥‥‥」


「死神様!」「ゼロ様!」


「‥‥‥ウラミ!オンネン!よ!現世に残り暫しの間。少年達を手伝ってやれ‥‥‥私の代わりにな‥‥‥これはゼロ・ブレインズ。最後の頼みと思ってくれ‥‥‥」


「最後の‥‥‥」「頼み?」


「‥‥‥‥そうだ!‥‥‥‥頼んだぞ!‥‥‥忠臣達よ!」


「わ、分かりました!死神様」「お、俺もです!ゼロ様!」


「‥‥‥‥あぁ、それで良い‥‥‥‥少年!また、会おう!‥‥‥今度は味方でな!‥‥」


『死神』はそう言うと口を閉じる。‥‥‥俺は考える。このまま、彼をこの冷たい地上で生き絶えさせてしまって良いのかと?‥‥‥‥異な!異な!である!


「‥‥‥‥‥‥聖魔法『天界門・光臨』」


俺は静かに聖魔法『天界門・光臨』を詠唱した。


「なっ?!白い大きな扉?」「それに朝の空から‥‥‥天使か?あれ?」


「なっ?セツナ!何を?」「‥‥‥‥天界門」


ラーラーラー!


ラーラーラー!


ラーラーラー!


ラーラーラー!


「‥‥‥‥綺麗な讃美歌にゃあ?」


「ヒック!新しき主も粋な計らいを‥‥‥見事!」


「‥‥‥‥少年。貴様‥‥‥‥」


「これで少しでも早く。天界へ行ける事を祈っていますよ。ゼロ・ブレインズさん。‥‥‥‥多義に渡る暴言と‥‥‥‥エキドナを殺してしまい本当にすみませんでした。」


俺はゼロ・ブレインズに向かって謝罪を述べる。


「少年‥‥‥」


「ですが全ては俺の大切な仲間を守る為だったんです。そうでなければ。俺達は今、この場には入られなかった」


「‥‥‥‥あぁ、そうだな‥‥私も済まなかった。皆の者‥‥‥」


ゼロ・ブレインズはそう言うと俺達に向かい深々と頭を下げた。


「良い!‥‥‥そして、もう行け!『死神』よ!後の事は上手くやってやる‥‥‥貴様と会ったのも何かの縁だ!この七原龍・『黒龍・八岐大蛇』の名の元に貴様が造り上げた国『魔王領』を守ってやる。だから安心して行くがいい!」


大蛇はそう言うと。『死神』に向かって微笑みかけた。


「‥‥‥‥感謝する。大蛇よ!‥‥‥では、去らばだ皆の者‥‥‥‥」


ラーラーラー!

ラーラーラー!

ラーラーラー!ラーラーラーラーラーラー!


死神は静かに天へと登って行く。


自身が守り、切り開いて造りし国。『魔王領』の大地を見渡しながら。


彼は思う。この国の平和を、魔族の安寧を。


そう思いながら。彼、魔王領・初代魔王ゼロ・ブレインズは天界へと旅立って行くのだった。



死殱決戦・死神・ゼロ編・終幕。

以上で死殱決戦・死神・ゼロ編。終了です。

最後まで見ていただき有り難うございました。


捕捉になりますが『死神』ゼロ・ブレインズの闘いの匂わせとして『ヴォーディガン』戦と『エキドナ』戦の話数をあえてNo.13で終わらせてたりします。

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