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さようなら。ラインバレル


 ラインバレル入国門前。衝突事故から始まった一連の騒動。

 セシリアは国道で謎の嵐の大竜巻を発生させ。

 

エスフィールは入国門前に大自然の樹海を作り。


ヒスイの奴は『ラインバレル』内にある大闘技場で殺戮の地獄絵図を作り上げた。それから、一夜開けた次の日。


『ラインバレル』入国門前


「に、担い手殿!もう行かれるのですか?」


レイさん事、レイサイト・テレサイト将軍が俺を見ながら悲しそうな顔をしている。


まさか、レイさんが現役の三騎士の一人であり。魔王領の約半分の地を守備する将軍だったとは思いもしなかった。


「え、ええ、今回はちょっと、急ぎの旅でして。すみません」


「ヒスイお前もなのかもう旅立つのか?」


今度はヒスイに同じ様に聞いている。


「悪いな!レイサイトのオッサン!腑抜(ふぬ)け共の再教育は終わったからな。それに俺はカミナリの‥‥‥担い手様の従者だからな!担い手様安全を守らねえと」


「‥‥‥そうか‥‥‥お前には担い手様の護衛があるのか。ヒスイよ」


「あ、‥‥‥‥あぁ、その通りだぜ!レイサイトのオッサン」


何がその通りだよ。俺を言い訳の材料に使うなよ。ヒスイ。俺は心の中でツッコミを入れた。


「それで次の目的地は決まってるのですか?担い手殿」


「はい!次は帝都『オリエント・メイス』です」


「魔王城ですか‥‥‥‥成る程。では、オリエント・メイスの道中にある通行管理所を自由に行き来できるように私の魔法印が施されている、この魔道具を差し上げましょう。担い手殿」


レイさんはそう言うと。俺の(てのひら)にネックレス状の魔道具を乗せた。


「これは‥‥レイさんの魔法残滓が付与されているんですね」


「おお、流石、担い手殿。直ぐにお気づきになりましたか。その通り、その魔道具には某の魔力を抽出して作った魔力結晶を核に使っていまして。それと同じ物が各通行管理所の門に取り付けられていましてね。その管理所の魔力結晶と魔道具に付けられた魔力結晶を近づければ通行門が開く仕組みになっているのです」


「成る程。だから、魔王城行くには、この魔道具が必要なんですね」


「はい」


そして、俺は最後に一番気になる質問をレイさんに聞こうとした時。


「‥‥‥なぁ、レイサイトのオッサンよう!」


「なんじゃ?ヒスイ」


「昔は、こんな、通行用の魔道具も通行管理所なんてやつも存在しなかったよな?‥‥‥何がどうなったら。そんな魔道具や管理所なんて、できたんだ?それに『ショックビル』から『ラインバレル』までの道には何で通行管理所が無かっただ?」


「あぁ、その事か。‥‥‥それはな、ヒスイ。現魔王様であるユナ・エスフィール様が突然、行方不明になったからだ」


「ゴブっ?!私のせっ‥‥‥ モガッ?」


「(ちょっ、メイエス!そんな反応したら。正体バレるにゃぞ!)」


「(す、済まん。セシリア)」


エスフィールが盛大に吹き出した瞬間。セシリアが直ぐにエスフィールの口を塞いだ。


レイさんクラスになら、もう正体を明かしてしまって。護衛でも付けてもらえばどうなのたろうかと俺は考えてしまった。


「‥‥‥それで?!レイサイトのオッサン!」


「ん?あぁ、それでな、突然、行方不明になってしまった魔王様の捜索をする為に、当時は六魔王領の都市周辺に捜索所を設置してたんだ。懸命な捜索も空しく、魔王様は見つからず捜索所だけが残った。だが、魔王様が見つかり無事に保護できるように。捜索所をそのまま通行管理所へと作り替えたのだ。ヒスイ」


「ほーう!成る程な!捜索所を防御拠点に変えたわけか。‥‥‥魔王領の外側は緩くなってたが、流石に中央部の連中は気を張ってやがったか!少し安心したぜ!」


「レイさんのお話で通行管理所ができた経緯は分かりましたが、行方不明になったのは魔王様だけですか?一緒に居た勇者はどうなったんですか?」


「勇者ですか?勇者に関しては何も報告を受けていませんが‥‥‥」


「はっ?勇者の報告がないですか?」「なんじゃと?」


「はい!‥‥‥それがどうかされましたか?担い手殿」


「い、いえ、何も」


それはどう考えもおかしな話だ。確かに勇者時代。魔王領に入国した時、今のエスフィールと同じ様に。

俺やセシリアを含めた、勇者パーティーメンバー全員に変装の魔道具と認識阻害の魔法を常時発動させていたから、俺達の素顔が魔王領側に知られる事は無かったが。


勇者パーティーが魔王城へ突入した時は、魔王領全土に緊急事態として、魔王領全土に知らされている筈なのだ。

それなのに『ラインバレル』を守護している将軍クラスのレイさんが勇者の安否を知らされていないとはどういう事なのだろうか?


「‥‥‥‥(おい!セツナ!これはいったいどういう事なのだ!)」


エスフィールが小声で俺に聞いてくる。


「(待て!待て!慌てるな。エスフィール。レイさんは多分、何か俺達に言えない事情があるんだろう。少し様子を見よう)」


「(‥‥‥‥了解した)」


エスフィールはそう言うと俺から離れた。


「‥‥‥‥‥すみません。担い手殿。我々にも機密事項というものが数多にありまして‥‥そのですな‥‥‥」


レイさんは俺やエスフィールを交互に見ながら、しどろもどろに俺に何かを伝えようとしてくれている。


「いえ、大丈夫です。レイさん。こちらこそ、答えづらい話をさせてしまってすみません」


「とんでもありません。担い手殿。こちらこそ、担い手殿に失礼な事を言ってしまい申し訳ない」


俺達はそう言いながら。何故か右手と右手で握手をしていた。


「レイさん。俺達、もう行きます。短い間でしたけど。お世話になりました」


「そ、そうですな。担い手殿は急がれる旅をしていたんでしたな‥‥‥‥‥ヒスイよ!担い手殿の守護。怠るでないぞ!」


「わーてるよ!レイサイトのオッサン!‥‥‥‥それとな、担い手様の護衛が終わったら。(しばら)くここに残るかもしれねえ。レイサイトのオッサン!」


ヒスイがレイさんに向かってそう伝えると。


「お、おお!それは本当か?ヒスイ!そうか‥‥‥そうか。それは朗報だ」


「まぁ、まだ、分んねーけどな!とりあえず、やる事。全部、終わったら。もう一回『ラインバレル』に顔出すぜ!オッサン!」


「あぁ、ああ!了解した!某はいつまでもお前が来るのを待っているぞ。ヒスイ」


レイさんはそう言うとヒスイに向かって嬉しそうに笑ったのだった。


「‥‥‥‥行ってくるぜ。またな!オッサン!」


ヒスイはそう言うとオリエント・メイスへの道を歩き出した。


「それでは、失礼します。レイサイト殿」

「バイバイにゃあ~!オッサン!」

「ピヨピヨピヨピヨ(さらばだ)」


「おい!ちょっと!待て!君達」


ヒスイに連れてエスフィールとセシリアも歩き出した。つうか、あのヒヨコみたいな鳥どっかで見たことあるような?


つうか、いつから、居るんだ?あのヒヨコは。そして何なんだ?あのヒヨコは?


俺はそんな疑問を抱きながら。先に歩き出した3人と一匹を追いかけ始めた。


「レイさん、またどこかでお会いしましょう!さようなら」


「担い手殿もお元気でーー!ヒスイの事を頼みます!」


レイさんはそう言って、俺達が見えなくなるまで手を振り。俺達の出発を見送ってくれてた。

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