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帰り道にて~メイド・イン・メイド



①帰り道にて


俺は甘露寺 芽愛さんに上から目線でアドバイスを送った。彼女はこれで変わっていけるだろうか?


悪い人間に騙されないで欲しい。

周りに相談して欲しい。

色々言ったな。


それで芽愛さんが少しでも楽しく暮らせる未来が来るならそれで良い。頑張ってくれと自身の心の内で語った。


それから彼女達に魔道具の効果がちゃんと消えているかも、ちゃんと確めなければならない。

魔道具『魅力』の力を利用し。一時的とはいえ彼女達の心に干渉してしまった事を今になって後悔している。

だがさっき芽愛さんに会って安心した。

ちゃんと『魅力』の効果が無くなっていたのだ。しかも反転の効果で俺に対する好感度も下がっていた。(魔道具の効果の一種で相手の態度で好感度が識別できる、)


とにかく良かった。助かった。彼女達には彼女達の人生がある。ストーリーが待っているのだ。

素敵な出会いや別れ。そんな彼女達の人生を魔道具1つで壊してしまうかと考えた時はゾッとしてしまった。


今回は例外だ。余りにも余りにも時間がなかった。突然過ぎた。

だから使った。もう二度と使いたくないと思いそっと魔法の袋に魔道具を閉まった。



学校の玄関口で俺はある人物に電話をかけた。執事長の桐生さんだ。


「もしもし?桐生さん?今日は突然の事だったのに対応してくれてありがとうございます。助かりました。すみません。今日は歩きで帰ります。はい、なにかあれば直ぐに電話します。ではまた明日」



その後スマホの電源も切り。心配だったので気配遮断と認識阻害の魔道具を使い存在感を無くした。


「さて帰るか」


今日は色々あったな。外はすっかり暗くなった。


俺の心も暗くなったが。


とぼとぼと久しぶりに自身の足で歩く帰り道はとても新鮮だった。


ここ最近1人になる時間がほぼ無かったからだ。

「たまには1人になるのも悪くないな」


そう言うとまたとぼとぼ歩く。

魔道具の効果で誰も俺を気にしていない。


そういえば門倉先輩やその派閥の人達はどうなるんだろうか?

清太郎とは予測の範囲でしか話さなかったから今後の展開などどうなっていくのか検討もつかない。


ふと俺は彼らの立場になって今回の事件を考えてみようと思った。


確かに確かに彼らがやった事やってきた事は決して。決して許される事ではない。


違法な貸し借り、暴言、暴力、○○。許される筈がない事ばかりだ。

だがここで俺は門倉先輩について少し考えてみた。

彼も本当は必死だったのではないだろうか。

聖豊中学は関東中から選ばれたエリートが揃う学校だ。そして彼もその1人。

親の期待を一新に背負い。聖豊中学で二年半も闘い続け。あの入るのに難しい生徒会に入り。会計になり。今では、生徒会の金庫番とまで言われる存在にまで伸し上がった凄い人で努力の人なのだろう。


だが上には上がいる。


「明日からまた来るのか生徒会長と庶務の先輩達は」


どちらも化け物クラスの優等生だと噂で聞いている。正直、関わりたくない。特に生徒会長には。


あれとだけは関わりたくないのだ。


「はぁもう忘れよう。明日の事は明日考えればいいや」



とりあえず帰ったら『神気』の訓練とサスケにパソコン贈んないといけないし。清太郎達にも何か持って行かないとな。

こう考えると結構やることが出てくるな。


そしてまたとぼとぼ歩く。


明日からは真面目に授業を受けよう。


そうだ。しばらくはおとなしくしていよう。そもそもこっちに帰って来たかった理由も静かに暮らしたかったからじゃないか。


そうだ今後の学校生活もおとなしくしていよう。そして本当に本当にごくたまに悪ふざけをしよう。


そうして行こう。その為に魔道具を使うと決めていたんだしな。うん。


………とぼとぼ歩く。


………とぼとぼ歩く。


歩きながら色々と考えていたことを処理していくと楽になってきた。


「おっ我が家が見えてきたな。ん?家が明るい。ああ、そうか。エスフィールの奴もう帰ってきたのか」


そうして家の玄関まで着いた。玄関のドアを開け中にはいる。

「ただいま~エスフィール今帰ったぞ~?いないのか?」


返事が無い。中も居間やリビングは電気が着いているが、玄関口は何故か暗い。


すると。

カチャリっと俺の首元に何かはめられた音がした。


「?カチャリ?」


俺も今日はだいぶ疲れたのでボーッとしていた。だが、それが行けなかった。


「お帰りなのじゃセツナ。遅かったのう?何しておった?」


「お帰りなさいセツ君。先ほどは生徒会まで来て余計な事件を起こしてくれてありがとうございました」



俺は玄関口の天井を見上げた。


「ふぅ~、話し合おうか二人共」


もう疲れて抵抗する力が出ない。


「そうじゃな皆リビング出で待っておる。ゆっくり話し合おうぞ」


「皆さん夜の9時位までは入られるそうですよ。良かったですね。あっ、送り迎えはわたくしがやりますので大丈夫ですよ」


「ふぅ~、そうか」


それを聞いた。俺は心の中で負けを認め。従うことにした。


「では、来い」「今から楽しいパーティーですよ。セツ君」


彩音がとても嬉しいそうに笑っている。素敵な笑顔だなぁ。

そしてリビングの扉が開かれ俺はその中へと入っていく。本当の正念場が今、始まった。





チュンチュン、チュンチュンと小鳥がさえずり、そして色々あった翌日の朝。



「うぅう~ん!はっ?なんだか物凄い嫌な悪夢を見たような?」


そして起きて気づいたら朝になっていた。


昨日は?たしか、あれ?門倉先輩の件を解決して。


芽愛さんと最後に2人で話して。


久しぶりに、人なりたいと思い歩いて家に帰ってきたんだよな?


それから玄関の先でエスフィールと彩音に捕まり。リビングへ………ん?そこからの記憶が思い出せない。


思い出そうとすると激しい頭痛に見回れる。


ん?………ふと俺は部屋にあった鏡台で自分の首筋を良く見てみた。何か光っている。なんだ?

なんだこれ?首輪?チョーカー?多分、首元に着ける。そうか、装飾品か何かだこれ。

そしてベッドの上の布団の中は何故か膨らんでいる。


ゴソゴソを中から誰かが這い出してきた。

なんと、天王洲のご令嬢だ。何故だ?


「ふぁぁ~おはようございます。セツ君。とても良い朝ですね」


その声に反応し俺はかぶっていた布団をいきよい良く取った。

「なんで?君が、彩音が俺の部屋にいるんだよ?」


そこには幼なじみで今は良き友人の彩音がYシャツ一枚で眠そうに目を擦っていた。


「え?今日からわたくしもこの神成家に住む事になったからですよ、セツ君。良かったですね。幸せですね」


「なんだと?!どういうことだ?しかも、君。その格好」


「えっ?これですか?昨日、急遽泊まる事になったのですがあいにく着替えがありませんでしたのでセツ君のYシャツ借りちゃいました」


彩音はそう言うと俺の目の前でクルクル回り始めた。

クルクル、クルクル、クル、ん?

そして俺はとんでもないことに気づく。


「お、おい、彩音、君?」


「何です?」


「下着はどうした?しかも上下」


彩音のやつYシャツの下は真っ裸だった。


「セツ君はノーパン健康法をご存知ありません?最近、流行っているんですよ」


「知らんわ。それよりもさっさと下着着けろ彩音」


「セツ君。顔が赤いですよ?まぁ、わたくしはそもそも普段から下着は着けていないので気にしないで下さい」


衝撃のカミングアウトを朝から聞かされた。


「だから下着着けろ。男の前だぞ?」


「え?何ですか?すみません。上手く聞き取れませんでした」


彩音は、わざとらしく話すと俺に近づくいてくる。


「いや~、仲直り出来て本当に良かったですね。セツ君。私は嬉しいです~!」


そして俺にダイブし、抱きついて来た。


「ちょっ!おい!」

「あっ、そうそう。後、昨日のセツ君の数々の問題行動の結果、セツ君は生徒会の監視対象になったので学校でも私が、監視係ですのでよろしくお願いしますね」


「はぁ?なんだそれ!嘘だろ」


「きゃあ」


彩音からの突破的な監視の話で動揺して立ち上がってしまった。

彩音の華麗なお尻がこっちを向いていた。


「あっ悪い彩音。今、起こす」


直接、彩音の身体を見るのも悪いので手探りで彩音の身体を触った。


「え?ちょっ!ちょっと待って下さい。そこは」


ん?なんだか、手の指先が暖かい。何かに包まれているみたいな感触だ。


「ちょ、待って下さい………、あっあっあっ………。」


どいうことだ?手探りでなのでどうなっているかわからない。しかも案外、深いところまで刺さっている。


「あっ………待って、本当に待って下さい。それ以上弄らないで下さい、いっ!!!」


「わ、わかった今、抜く。今、抜くから。」


ヌポ。抜けた。


「いっいえ!そうじゃ、なくて、今、抜かれるとあっ…………あーーーっ!いっ!」


彩音はそう言うと。ベッドへ倒れ。何故か俺のベッドには噴水が舞った。


「………、彩音?おーい?」


彩音はうつ伏せになり。ひくひくしている。痙攣したのかな?わからん。


返事が無い、ただの屍のようだ。


「まぁ、いいやおとなしくなったし。学校行く準備しよう」


色々気になる発言はあったがとりあえず。朝飯を食おう。そして彩音は放っておこう。


彩音と仲直りをしてから。彩音のスキンシップが日に日にエスカレートしている様な気がする。………まぁ昔からこんな感じか、慣れよう。


俺は制服に着替えてリビングへと向かった。


「おはようエスフィール」


「おぉ?お、お主、身体へ大丈夫なのか?色々」


なんだ?いきなりコイツは何を言っているんだ?


「はぁ?何の事だ?………確かに言われてみれば全身が筋肉痛の様な」


「い、いや、良いのじゃ。良いのじゃ。忘れているならそれが1番良い。ヨイヨイ」


「忘れている?何の事だ。っっ痛、何かを思い出そうとすると頭痛が」


「おお、思い出すな。昨日の皆のあれは、元魔王の私でも流石にドン引きしたレベルじゃ。思い出すな」


そうして俺はエスフィールに頭を叩かれた。


「あっあれ?俺はいったい?」


「おぉ、おはようなのじゃ。朝御飯出来とるから食べようぞ。セツナ」


「お、おう。わかった。頂きます」


「そういえば彩音のやつはどうしたのじゃ」


「俺の部屋で寝てるぞ」


「なぜ?お主の部屋に?まぁ彩音なら少ししたら起きて来るじゃろう」


彩音の話になってちょうど良かったのでさっき彩音に言われた事をエスフィールに質問してみた。


「そういえば、何で彩音が家に一緒に住む事になってるんだ?それに監視対象とか」


「お主、本当に昨日の事、忘れとるんじゃな」


「あ、ああ。そうなのか?」


「お主、昨日だけで朝の騒音騒ぎ昼のどんちゃん騒ぎからの窓口からの逃亡、授業のサボり、挙げ句は生徒会本部での現生徒会の人間への暴行。昨日の門倉先輩とやらの件がなかったら。強制転校ものだと可憐がぶちギレておったぞ」


「ん?何で可憐ちゃん?」


「昨日、家へ来たではないか。彩音に連れられて。お前を捕まえに」


「昨日?全く覚えてないな」


「まぁ、あれだけの事を1日でやらかしたんじゃ。監視だけで、済んで良かったのう」


エスフィールはそう言って焼きたてのパンをむしゃりと頬ばった。


「ところで?この俺に付けられた。チョーカーはなんなんだ?」


「対、セツナ監視用チョーカーじゃ。天王洲家の技術の全すいを集めた代物だそうじゃ。GPS機能も着いていていつでもセツナの居場所を、特定できる代物ですと彩音が言うとったぞ。嬉しそうに。好かれとるのう。お主」


エスフィールはニヤリと笑い。こっちを見てきた。


「くっそ、外れない?なんだこのチョーカーは」


「無理に外さないほうが良いぞ。無理やりやると」


「無理やりやると?」


「なんか知らぬがチョーカーから電流が流れるのじゃ」



「ぎぁあぁぁぁ!!!」


本当に電流が流れてきた。何でこんなチョーカーから電流が流れるんだよ!!つうか、めちゃくちゃ痺れるぞ。


「おい。そんな事よりセツナ」


「なっなんだよ!しかもそんな事よりって」


「どうも、彩音が来るのが遅いお主起こして来てくれぬか?その代わりお主の皿などは片付けておくから」


「わかった。ちょっと見てくる」


そう言った俺は、俺の部屋で寝ているお嬢様を起こしに2階へ向かった。





「…………昨日の萎縮返しですか?セツ君。覚えていて下さいね」


「もし許してくれたら。君の好きな焼き菓子作るよ」


「………、その約束忘れないで下さいね」


「ああ勿論だ。ほら彩音おいで」


「………優しく運んで下さい」



そして再び彩音をお姫様抱っこしてリビングへ向かった。彩音の顔は恥辱にまみれた羞恥心で赤く染まっていた。








②メイド・イン・メイド



俺は彩音に足がガクガクするから動けませんと言われ。

お姫様抱っこをしてリビングまで来た。


「何で?お姫様抱っこ何じゃ?」


エスフィールが当然の疑問を口にした。


「彩音ゆっくり下ろすぞ」


リビングにある椅子に彩音を丁寧に下ろした。


「ふぅ。ありがとうございます。セツ君。後でやり返します」


おいおい着替えやら髪のセットまで手伝ってあげて。なんだね?その言いぐさわ。

お仕置きがまだ足りないのか?


「…………放課後。何か欲しい物買ってあげるから許してくれ」


「では放課後宝石商に行きましょう」


「…………了解した」


口止め料がとんでもないことになったな。


「ふっふっふ。冗談ですよ。放課後はユナさんと3人でレストランに行きましょう。久しぶりに外食したいです」


それならいいか。そういえば彩音は家の事もあるから滅多に外食出来ないんだったな。


「エスフィールもそれでいいか?」


「おぉ、放課後楽しみにしておる。それから朝から庭にいる。メイド服のコスプレイヤー2人は何者じゃ?」


「庭にいるコスプレイヤー?そんなの家の家に入れるわけ無いだろ?家の警備は案外鉄壁だぞ。」


朝から何を言ってるんだ。このメイドは。


「いやでものう。あれを見てみろセツナ」


俺はエスフィールが指差す方へと目線を向けた。

そこにはメイド服を来た。天王洲派閥の中心メンバー寧々さんと昨日の事件の中心人物である。芽愛さんだった。2人は庭に植えてある木の裏庭隠れる様に立っていた。


俺は庭に通じる扉を開け。メイド服2人に近づいた。


「何しているんだ?君達?」


「おはようございます。神成様」「おはようございます。セツナ様」


息の合ったおはようございますだ。

「あぁ、おはようございます。じゃなくて朝から人の家の庭で何をしてるんだい?」


「はい彩音様が昨日からこちらの神成家へ住む事になったので私達はそのお供に」


「そうなんです。セツナ様」


「もしかして君達も家に住むとか言わないよな?」


「それには心配及びません。神成家の前の家を買い取ったので私達は其方の方に済みますので」


「だから心配しなくても大丈夫ですよ。セツナ様」


芽愛さんはそう言うと自慢のおっぱいをぶるんとゆらした。

この2人が近くに住むということは俺の監視も含めてということか。まぁ、今さら気にしてもしょうがないか。それと芽愛さんには気になることを聞けるチャンスだ。


「寧々さんが彩音の専属メイドなのは知っていたけど芽愛さんもそうなのか?」


俺がそう聞くと芽愛さんは小首を傾げて答えてくれた。


「はいそうですよ。学校では寧々さんが一緒に彩音様の近くに居て彩音様のサポートをしていて。私は外側からサポートする役割で動いているので。私が彩音様の専属メイドとは他の方は知りません」


ただの仲が良い友達ではなく彩音の専属メイドだったとは知らなかったな。


「まぁ、事情はわかった。ただここに入ると色々怪しいから家の中へ入ってくれ」


「かしこまりました」「了解でーす」


2人がそう言うと3人でリビングへと向かった。

ふと芽愛さんが近づいて来て小声で俺に話しかけてきた。


「セツナ様。昨日は本当にありがとうございました。私、このご恩は一生忘れません。セツナ様が何か困っていたら絶対に力になります」


「芽愛さん。俺が言いたかった事は昨日で全て伝えたから。特に何も言わないよ。だから、俺が困ったら芽愛さんに頼らせてもらうよ。ありがとう」


「はっはい。私。頑張ります」


芽愛さんは嬉しそうに跳び跳ねた。お胸もバルンバルンだ。

それからどうやら昨日まであった俺への好意は完璧に消えているみたいだ。良かった、良かった。


彼女の今後の人生が幸せになれることを心の中で祈ろう。


「それから本当に患者してます」


「ん?何にかな?」


「何でも無いですよ。ささ。彩音様の所へ参りましょう」


芽愛さんにそう言われ。俺と寧々さんは急いでリビングに向かった。


「おい。貴様、セツナよ!ハーレムルートでも目指すのか?(怒)」


「なんだエスフィール。いきなり」


コイツなに言ってんだ。大丈夫か?


「コイツなに言ってんだ。大丈夫か?」


「心で思った事を口にそのまま出すでないわ。バカ者」


「君。さっきから辺り強いぞ。それにこの二人は彩音の専属メイドだから、俺とは何ともないぞ。なぁ2人とも」


俺は寧々さんと芽愛さんの2人に聞いてみた。


「はい、全く興味ありません」「無いで~す」


即答だった。少し悲しかった。


「そっそうなのか。私の勘違いか。ならばよい」


「何がいいんだ? 」


「お主には関係無い」


シュッとエスフィールは手刀を繰り出したが俺はそれを華麗に避けた。勢い余ってテーブルの角に手刀が勢い良く当たる。


「ぬがぁぁ、痛いぃぃ!んぐう。何故避けるアホウ」


脳天にチョップされそうになったら誰でも避けるだろ。


「当たったら痛いだろうから避けた。どれぶつけたところ見せてみろ」


エスフィールに近づき見てやることにした。エスフィールの手をぐっと掴む。


「な、なんじゃ!いきなり」


ジーッとエスフィールの手を見ている。

「何じゃ?私の手をジーッと見つめて」


「ん?いや相変わらず。綺麗な手だと思ってな。手だけじゃない。爪や髪の手入れだって行き届いている。君は偉いな。こっちに来てもそれらの事を気にしてやっている。余り気づかれない事だが偉いよ君は。だから日に日に綺麗になるんだな。」


俺は素直に思った。事を口にした。エスフィールは顔を真っ赤にさせている。


「そそ」


「そそ?」


「そこまで誉められるとは思わなかった。手をもう‥‥‥離してくれ」


「おぉ、すまん」


そして周りを見渡すと3人の冷たい視線を感じた。


「これは天然のタラシですね彩音のお嬢様。苦労しそうですね」


「セツナ様はいつもこんな感じなんですか?」


「後でお説教。いいえ、お仕置きです。セツ君」


やれやれ、朝から騒がしいな。

…………、そろそろ学校行くか。





朝から随分騒がしかったがその後は彩音の専属メイド2人は先に学校に行くということで神成家から去り。


執事長の桐生さんに迎えに来てもらい学校まで着いた。


「きゃあ~天王洲様よ」「あちらは編入生のエスフィール様だわ」「そしてもう一人は生徒会で暴力行為を働いた。神成様だわ」



「俺だけ言われてる事がおかしくないか?そしてこのヒモはなんだ?2人とも」


「昨日、生徒会であの様な暴力事件を起こしておいて。よく言えますね?セツ君」



「その為の魔道具で生成したリードじゃ。良かったのう?これで監視されて問題行動はできぬな。大丈夫じゃ。お主からもらった魔道具の『色彩操作』で一定の人間にしか見えぬ様になっておる」


「俺があげた。貴重な五属性魔道具の効果の一部をそんな事に使ってるのか?」


「1番有効な使い方をしとると思うぞ。お主を好き勝手させてたら私や彩音の評判に傷がつくしのう。妥当じゃろう?」


エスフィールはそう言って手に持つリードを上に掲げた。


己ぇぇ。後で覚えてろよ。2人とも。


「あっそうそう。お二人には、まだ、お伝えしてませんでした」


「なんだ、彩音?」


「今日からわたくしもクラス替えでAクラスへ移籍することになりました。どうぞよろしくお願いいたします」


「今、何て言った?」


「今日からわたくしもクラス替えAクラスへ移籍することになりました」


「冗談はいつもの行動だけにしとけよ。彩音。笑えない冗談だぞ。ハッハッハッハ」


「ユナさん。ここのボタンを押してください」


彩音が変なリモコンを取り出し。エスフィールに渡した。


「ん?何じゃ?ここかポチっとな」



「ギャァァァアア!!」


朝食の時。チョーカーを触った時と同じ様にチョーカーから電流が流れ全身へ痺れが伝わる。


「このようにボタンを押せば。電流が流れ。流された相手は暫く動けません」



「コイツ普通に動いておるぞ」


「セツ君は普通じゃありませんから」


「なるほど」


「まっまて。それよりも彩音がAクラスなんで?」


「セツ君を監視するためですよ。後は派閥同士のいがみ合いがなくなってセツ君とわたくしを変に遠ざける必要がなくなったのでその為です」


「そんな事。俺は聞いてないぞ」


「昨日、何度も説明しましたよ。一生に暮らすことも。同じクラスになることも。今後の二年生の動きもです。お忘れですか?」


そんな記憶が無い。思い出そうとすると頭痛が。


「あっ彩音。こやつ。昨日の拷…………、パーティーで記憶が飛んでおる。知らなくて当然じゃ」


「あっそうでした。わたくしとしたことが忘れておりました。すみません」


そして彩音は俺に向き直り。

なんだかだんだん腹が立ってきた。しょうがない。さっき彩音に付与した痒くなる魔道札を使うか。


「ですから今度から余りお痛が過ぎると電気の雨が降るので気をつけて下さいねセツくぅぅぅ~ん!?!?!な、なんですか?この痒い感覚は。」


「彩音。余り調子に乗らんことだ。君の制服にはこの魔道札を着けさせてもらった。君が1番敏感な所が痒くなる様にした。俺が念じるだけでいつでもどこでも。朝の足ガクガク体験が出来るから気を付けるんだ」


「わたくしの制服にいつそのような?…………、あの着替えの時に。ゆっ許せません。早くこの付与効果?ですか解きなさい」


「気が向いたら解こう。さぁ、早く校舎に入ろうじゃないか」


「くぅ。ま、待ちなさい」


「魔道札とはなかなか貴重な物持っとるなセツナ」


エスフィールからも文句が来ると思ったが、魔道札の方が気になったのか、そんな、質問をしてきた。


「そうなのか?あっちにいる時、結構、簡単に作れたぞ」


「まことか?まぁ、勇者は魔道具作りの暇人とか噂が流れてきた位だしのう。お主はそっちの系統の能力が高かったんじゃろう。私の場合は魔道具作りよりも魔法操作や自然魔法が得意でな。」


「エスフィールはそっち系か。魔道札も見てみるか?他者からは見えないように作ってるんだ。


「まっ!」


「おぉ見たいのう。見たいのう。どれどれ?おぉ良く出来とるな。なるほど。魔道具と一緒で時計回りで魔力を巡回。そして一定の所で安定したら固定か」


「待ってええ!」


「そうそう。そこだけクリア出来ればどれだけ薄くてもいいんだ。紙はアースドラゴンの角を削った物を少し入れると耐久性も上がって。ああやって効果も直ぐ出る仕組みなんだ。あっ!すまん彩音。忘れてた」


そして俺は彩音を指差した。そこには足がガクガク震えて。痒みで悶絶しそうなお嬢様がいた。


「私もすまん。話しに夢中で怒るのを忘れておった。セツナ、そろそろ解除してやれ。このままじゃ、彩音が漏らすぞ」


「おぉ、わかった」


そして俺は魔道札の効果を切った。


「くぅぅぅ!!はぁ、はぁ、おさまりました。もっもう少しで出そうでした」


お嬢様がはく台詞とは思えん発言が出た。


「まぁ、俺もこれからの行動には十分気をつけるよ彩音ちゃん。だからお互い気をつけ合おう、色々。」

「………………分かりました。わたくしも今後は安易に電流を流すのは止めます。ですのでセツ君も不用意にその魔道札を使うのは控えてくださいね。よろしいですか」


「おぉ。よろしい、よろしい。それだけで俺は満足だよありがとう。彩音」


俺は嬉しそうに彩音に近づき彩音の頭をポンポンした。


「後で、拷○です(ぼそ)」


「今、何か言ったかい?」


彩音が小さい声で何か言った気がしたが気のせいだったみたいだ。

一方エスフィールは。


「おぉ、ここがこうなっておるのかなるほど。なるほど」


と渡した魔道札(おもちゃ)に夢中になってこっちのやり取りを見ていなかった。


さすがアリーナの魔法族の1人。魔道具に目がないらしい。そう言う俺も目がないのだがまぁいいか。


そんなやり取りを終え教室へ入り。


「今日からお世話になります。天王洲 彩音と申します。よろしくお願いいたします。」


「天之宮 可憐です。よっよろしくお願いします。」


なんと彩音だけではなく可愛い可憐ちゃんもAクラスにクラス替えらしい。俺の監視目的もあるが。二年生の能力底上げの為でもあると考える。後、数ヶ月に開かれるであろう聖抜祭へ向けての布石だろう。

それと朝あれだけ変態プレーをしていたとは思えないお嬢様がいた。別人過ぎて最初誰だか分からなかった。そして、や可憐ちゃんは可愛いかった。


「ちなみに言っておくが可憐は私の姪にあたる。もしも可憐に下手に手を出したらAクラスから追い出すから男どもはそれなりに覚悟しておけ」


担任の九条先生がクラスの男連中に釘を刺した。というか完全な脅しだった。クラスの男連中の顔は俺を含めて皆、青ざめていた。


ホームルーム中の彩音の自己紹介も普通に終わり。その日は特に何もなかった。


(生徒会から呼び出されるかと思ったが門倉先輩の事件の処理に走り回っているらしく。生徒会の先輩達は忙しいらしい。なんでも彩音と可愛い可憐ちゃんが言うには3年の不始末は3年で片付けると言って聞かないらしい。まぁ、当然といえば、当然か。)


あっという間に放課後になり、朝の約束通り。3人でイタリアンレストランに入りコース料理を頼み。ゆっくりと食事を味わった。

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