君の選択を
魔王領・東部
『オールエンズ街道』宿場・夜
俺達、エスフィール親衛隊は、オールエンズ街道の宿場町にて。一晩泊まる事になった。『ショックビル』の時、同様に高級ホテルに泊まっていた。
「痛たた、まだ、痛たいぞ!エスフィール!」
「ならば、もっと反省する事じゃな!我が、魔王領に異文化を持ち込みおってからに、全く」
「‥‥‥‥それは、すまん」
「‥‥‥‥まぁ、そのお陰でこの様に魔王領にはありとあらゆる種族の者達が観光に来ておる」
エスフィールは、ホテルの外を指差した。
「数年前に来た時に、オールエンズ周辺の村、いや、他の魔王領も荒廃していたんだ。それで地域復興の為に地球の技術を少し教えたんだよ」
「それが今では、この様に発展してしまったという事か‥‥‥‥成る程。納得がいった」
「そうか、納得してくれてありがとう」
「‥‥‥‥あぁ」
静かにホテルの外の賑わいを見つめるエスフィール。
「‥‥‥‥‥この、長いよう短かった旅ももう少しで終わりだな。エスフィール」
「‥‥‥そうじゃな」
「まだ、どっちの世界に残るのか決めてないのか?」
「‥‥あぁ、まだじゃ」
「そうか‥‥‥俺は‥‥‥‥君の選択がどんな選択でも‥‥‥‥‥君の選択を信じている」
俺は、エスフィールの肩に手を置き。静かにそう言い終えた。
「‥あぁ、ありがとう」
『魔王領』・軍事都市『ラインバレル』
グオン!グオン!シュン!シュン!
「着いたな!『ウラミ』。先にラインバレルの民を殺すか?」
「馬鹿者、誰が我等の故郷の民を殺すんだよ!『オンネン』」
「んが?あぁ、そうか!」
「しっかりしろよ!『冥界』から久しぶりに地上に喚ばれたからって、気を抜きすぎだぞ!」
「おぉ、済まねえ。」
『初代・魔王領二大騎士「現三騎士の原形」』
「全くよう!オンネンは!」
『初代・朝来のウラミ』
「済まねえ、済まねえ」
『初代・昼流のオンネン』
「死神様が言っていた。若造達が来るまで、周囲の探索と情報収集に当たるぞ。オンネン」
「おお、相変わらず!働き者ですな。魔王領・初代、宰相様はよう」
「情報は生死に直結する事だ。冥界でも、そのおかげで死神様を筆頭に我々を、エレシュキガル様は重宝してくださっておるだろ?」
「‥‥‥まぁ、そうだな。最初、天界の―女神―様達の判決で冥界送りになった時は、どうなるかと思ったがな。死神様の活躍のお陰で、第一冥界の守護を任されるとは、思ってなかったぜ!」
「あぁ‥‥‥‥‥そうだな。‥‥‥‥‥久しぶりの故郷だ。奴等が来るまで少し時間があるだろうから、見て回ろうか」
「おん?良いのか。遊んでてもよう?」
「死神様が、我等が飛ぶ前に俺に手紙を渡してきてな」
「手紙だあ?」
「そうだ!‥‥‥‥(少し時間をやる。シャキン!シャキン!‥‥‥少し、懐かしき場所を見て回れ)だとさ」
「‥‥‥‥相変わらず。手紙にまで、シャキン!シャキン!入れるんだな。死神様は‥‥‥」
「あぁ、それが、我等が主。初代‥‥‥‥」
ウラミは一呼吸置き。
「魔王領・初代魔王『大鎌の死神』ブレインズ様はな」
魔王領の帝都『オリエント・メイス』
「魔王代理様。数日前の『スパイング山脈』の大蛇の件ですが‥‥‥‥」
「何か分かりましたか?カルト大臣?」
「はい!大蛇が現れた日。『スパイング山脈』の頂上で黒い騎士を見たと。地域山脈に住む者達が発言しており‥‥」
「黒い騎士?‥‥‥‥ですか?‥‥‥(ヒスイ君が近くまで来ている?)」
「それから、黒い澱みの様な魔力が山脈近くで観測され、各国から集まった兵達が自警団として残るとの事で」
「‥‥‥魔王領に対する各国の扱いも変わったものですね」
「これも、あの方のお陰ですな」
「荒廃の英雄ですか。‥‥‥‥我が、魔王領の疲弊をうれいて。その私財と資金を投入し魔王領再生に当ててくれた。謎の英雄様」
「えぇ、今頃、どこで何をなさっておられるか」
「そうですね‥‥‥」
「失礼致します。魔王代理様。三騎士・『夜型のライハ』様が無事に『魔法族の里』にお着きになったとの報告がありました」
「‥‥‥エルクド殿。わざわざ、ご報告ありがとうございます」
「い、いえ、とんでもありません!魔王代理様‥‥‥」




