死神
『無闇の部屋・処刑の間』
シャキン、シャキン、シャキン、シャキン‥‥‥‥
「‥‥‥‥」
シャキン、シャキン、シャキン、シャキン‥‥‥‥
ガチャン!キィィィー
「忙しい所、失礼する。済まんな、○○」
「シャキン、シャキン‥‥?!おお、これは代理人殿‥‥‥何様で?」
シャキン‥シャキン
「あぁ、エウロペ大陸にある『スパイング山脈』の頂上に『列島大陸』の七原竜である筈の『八岐大蛇』が現れたと報告を受けてな」
「‥‥シャキン‥シャキン‥‥あの我々の勧誘を蹴り。‥‥‥僧侶殿を殺しかけた。七原竜ですか‥‥‥」
「そうだ!その七原竜だ!その者が何故か『列島大陸』とは真逆の大陸。エウロペ大陸に現れた。‥‥‥それを」
「自分に依頼したいということですな?」シャキン、シャキン、シャキン、シャキン
「あぁ、その通りだ。死神」
「‥‥‥えぇ、良いでしょう。良いでしょう。ついでに少し。被害を出してきても?」
「構わぬ。こちらも『エキドナ』を失った。‥‥‥弔い合戦ではないが、我々の力を少しエウロペ大陸の者達に教えてやると良いだろう」
「シャキン、シャキン、シャキン、‥‥‥感謝します。代理人殿。では、早速、行って参りますとも」
「あぁ!気をつけて行けよ!死神よ!!」
「はい!全ては、あの方の為に」
シャキン、シャキン、シャキン、シャキン、シャキン
キィィィー!!ガチャリ!!!
『魔王領』東地帯『ラ・アトレア』
「グルルル!!!」「ガアアア!!!」「オルルル!!!」
「相変わらず!魔王領の魔獣はっ!『雷光』」
「ガアアア?!‥‥‥‥」
「威勢が良いにゃあ!!!『風激』」
「シャイン!‥‥‥」
「それが魔王領の特徴じゃ!魔王領の魔獣は他の地方の魔獣よりも逞しく『森羅』」
「屈強だからなあ!!こんなのを毎日の様に相手している魔族はそりゃあ、強く逞しい身体になるってもんだぜえ!!『百鬼夜行』」
「ガアアア!!!‥‥‥‥」
「ふぅ~!ここら一帯の魔獣は倒し終わったか?」
「‥‥‥分からん。魔獣という奴等は、普段はダンジョンや大洞窟等で隠れて暮らしておるからな。餌が無くなったり、繁殖期に入ると人里に来て、食料を奪いに来るが‥‥‥もしかしたら、また別の魔獣達が現れるかもしれぬな」
エスフィールがそう言いながら。俺へと近づいて来た。
「しかし、エスフィール。こう見ると本当に誰だか分からんな」
「じゃろう? 変装の魔道具に識別阻害の魔法を併用しておるからな。上級の魔法使い以外。私がこの魔王領の魔王等と気づきはすまいて」
そうなのである。魔王領に着いてから。下手なトラブルを避ける為にも、元か現役か分からない魔王様事、エスフィールさんを素の状態で歩かせる訳にもいかないので。変装魔道具に識別阻害やらの魔法を使ってもらい。身分を隠くして、行動するように話し合いの末。決まったのだった。
「しかし、本当にメイエスか分からないにゃあ!良くできてるにゃあ!その変装魔道具」
「だろう!それは、昔、魔王城の宝物庫で‥‥‥」
「魔王城の宝物庫で?何をしたのじゃ?正直に話してみよ。セツナ」
「‥‥‥‥の近くのダンジョンで見つけたんだ。イヤー、こんな所で役立つとはな!何でも取っとくもんだ。なぁ、ヒスイ」
「あん?あぁ!そうだな!カミナリがあっちこっちからパクってくれたお陰でこんな、良い装備が揃えられたんだもんな!お前には、感謝してるぜ!」
フォローになってないフォローをしてくれるヒスイなのであった。
「貴様、やはりこの変身の魔道具は我が魔王城からパクっていったものか?」
「‥‥‥‥さぁ、先を急ごう。目指すは軍事都市『ラインバレル』。張り切って行こう」
俺はそう言うと全力でその場から前へと走り出したのだった。
「あっ!こら、待て!セツナ!!!」
後ろから、エスフィールの声が聞こえたのは気のせいだと思いながら。前へと進んだのだった。