ここに入ってくれ
『スパイング山脈頂上』
「そうか、そのエウロペ大陸・西側地域・ヘスティア地方の―女神―。ヘスティア様から力と名前を貰ったか」
「はい。そうです。後は、強くなりなさいと!ラグナログが来てしまうとも」
「ヒック!ヒック!?ララ、ラグナログ?ヒック!ヒック!」
「ラグナログ?さっきも言ってたな。何なんだ?そのラグナログ」
「それが、夜叉も。ラグナログについては余り分かっておりません。‥‥‥‥」
「成る程のう!」「成る程にゃあ~!」
「ウワアァア!!!いきなり現れるなよ!二人共」
「疲れちまってて!全然、気づかなかったぜ!‥‥‥」
「うちもです。撮影に気を取られていて」
「あの、巨大蛇が怖くて静かに近づいてたにゃあ!」
「‥‥‥そんな、感じじゃあ。ブルブル」
「あぁ、エスフィールは爬虫類苦手か‥‥‥」
「そうじゃ‥‥‥‥そうじゃ、ブルブル」
「ヒック!ヒック!新たなる主。ラグナログの事なら我が少し知っております。ヒック!ヒック!」
酒の飲み過ぎで完全に酔っぱらい蛇龍に変わってしまった。八岐大蛇が俺に近づき話しかけてきた。
「大蛇が?ラグナログを?」
「はい!我は昔、そのラグナログという組織に勧誘を受けたことがありまして。ヒック!ヒック!」
「八岐大蛇を勧誘?神獣を勧誘とか、どんな命知らずだよ」
「ヒック!ヒック!えぇ、我もその時は激昂し。勧誘をしてきた『僧侶』とか名乗る者を瀕死の状態まで叩きのめしまして。ヒック!ヒック!」
「(この八岐大蛇は本当に規格外すぎるな)‥‥‥それでその後、どうなったんだ?」
「いえ、ヒック!ヒック!その後は別に何も」
そう言いながらまた、酒を蟒蛇の様に飲み出した。
「‥‥‥八岐大蛇級を仲間に引き入れ様とする組織か‥‥‥ラグナログ‥‥‥『神々の黄昏』か‥‥‥」
「ヒック!ヒック!全く。『列島大陸』の七原龍の一神である。この黒竜こと。『八岐大蛇』を仲間に加えるなど笑止千万ですな。ヒック!ヒック!」
「ん?大蛇!君、今なんて言った?」
「ヒック!ヒック!?ですから、七原龍の一神である。黒竜こと。『八岐大蛇』を仲間に加わえるなど笑止千万と。ヒック!ヒック!」
「‥‥‥君は『鳴神』様と同じ。七原龍」なのか?」
「ヒック!ヒック!えぇ、いかにも!」
「何にゃ?それって凄い事にゃのか?」
「さぁ?分からぬが。セツナのあの驚き様をみているとその様だな」
「ご主人?どうしました?」「カミナリ殿?」
「あん?!すげえ、事なのかカミナリよう?!」
「‥‥‥‥あぁ、七原龍はエウロペ大陸で言うところの七聖―女神―と同じレベルの方々だ」
「「「「「?!!!!!」」」」」
「その1柱がこの『八岐大蛇』だったとはな。驚きが隠せないぜ」
「ヒック!ヒック!ヒック!それは、どうも‥‥‥おや、丁度、酒も終りましたか。‥‥新たなる主よ」
「ん?あぁ!」
「我は『天叢雲剣』の状態に戻ります」
「‥‥‥そうか、今回はありがとう。大蛇」
「えぇ、新たなる主よ。この世界から抜け出すまでは我を常時帯刀しておくのです。また、よからぬ者共が来たら‥‥‥」
そう言うと大蛇は夜叉巫女を睨み付ける。
「ヒイッ!ごめんなさい。ごめんなさい」
「我が対象しましょう。いつでも元の状態になれるようにしておきますので」
「‥‥‥あぁ、ありがとう。助かるよ。大蛇」
「ヒック!ヒック!まぁ、本当にヤバくなりそうでしたら本当の姿に戻りますがね。ヒック!ヒック!では、我はこれにて一旦失礼を‥‥‥貴様ら、我がいる間に主に何かをしてみろ。ただでは済まぬからな‥‥‥」
「「「「「は、はい!」」」」」
「ふん!‥‥‥では、また」
シュウウウウン!!
スゥー!
カタン!
あれ程、あった巨体が全身光だしたと思ったら。一瞬で日本刀の様な刀に変わり。俺の腰に収まったのだった。
「はぁ~!怖かった!」
「わっちもにゃあ!」
「夜叉も!痛っううう!」
「おっと、君はまだ、動けない。‥‥‥いや、数ヵ月はまともに身体を動かすことはできないだろう」
「なっ?それではどうやって、このスパイング山脈から抜け出すと?」
「この『黄金の宝物庫』でしばらくは、療養してもらう」
「黄金の宝物庫?夜叉がその中に入るのですか?」
「あぁ!中には色々と入るから、色々助けてもらうといいよ」
「うちも居ますから。安心してください。夜叉巫女嬢」
「‥‥‥空飛ぶ魔獣が喋ってます。カミナリ殿、ヒスイ殿」
「誰が、魔獣ですか!!ほら、行きますよ!夜叉巫女嬢。ラファエルさん、辺りに一度。診てもらいましょう」
ガシッ!
タマキの尻尾が夜叉巫女な巻き付かれた。
「ひぃ?!魔獣が何を?!」
怖がる。夜叉巫女。
「では、ご主人様。うちは、暫く夜叉巫女嬢の面倒をみていますね」
「あぁ、よろしく頼む!タマキ」
「ひぃー!面倒をみる?夜叉わ食べる気ですか?」
「いいから、行きますよ!では、では、皆さんまた後程」
シュン!
「カミナリ殿、ヒスイ殿!助け‥‥‥」
シュン!
「魔法の袋の中に‥‥‥行ってしまったのか?」
エスフィールが俺に質問してくる。
「あぁ、しばらくは絶対安静だろうな。動けるようになったら。『解放者』や『ヘスティア』様の事を聞けばいいさ。それよりもまずは、あの死にかけの身体を癒してやる必要があったからな。今頃、ラファエル様辺りに看病され始めているだろう‥‥‥」
魔法の袋の中『黄金の宝物庫』
(あら、○○○様。新人の子?‥‥‥なんだか重症ねえ?)
(はい!ラファエルさん。この、夜叉巫女嬢。ご主人様にコテンパンにやられた新しい契約者です)
(な、何なのですか?ここは、『クロ』!『クロ』!助けて下され!!)
(あらあら、可哀想に、それに意外と元気ね)
(お好きに治療して下さい。うちは暫くこの中の在庫整理で忙しいので。では、また、数ヵ月後にお会いしましょう。夜叉巫女嬢)
シュン!
(なっ?!何処に行くのです?魔獣殿?魔獣殿ーー!!)
(ハイハイ!じゃあ、まずはその汚れた服を脱ぎましょうね。巫女ちゃん)
(巫女ちゃん?いえ、そうではなく!あぁ、夜叉の服を破かないで下さい!!そんな!下まで!!!)
(あらあら、ウナギみたいに動くわね。それに肌、スベスベね。流石、若いわ。貴女)
(うぅ、服を‥‥)
(ん?貴女、ヘスティア様から『女神の祝福』を受けているのね。それなら、私が色々教えてあげるわ。色々とね)
(ふ、ふぇ?!いえ、夜叉は、夜叉は~!)
(はい!決まり!これから、楽しみね!巫女ちゃん~!)
そうして、夜叉巫女は暫くの間。ラファエルと過ごし。後に『空間魔法』を自在に操るまでに成長を遂げるのであった。




