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異世界へ帰る前に学校へ行くぞ⑤~最終話



⑤部活連と良くない噂


場面は戻り食堂広場。


全くセツナの奴め。こんな大勢入るなかで魔道具なんぞ使いおって。


しかしあの動き魔道具だけの動きではないな。後でセツナに聞いてみるか。


それから私は周りの反応を観察したのだ。


「やはり皆びっくりしておるのう」


「何だったのセツナ君のあの動き?まるで忍者みたい」


「呼んだでごさるか?エリカ殿?にんにん」


「近寄らないで変態。」


バチーンと物凄い音が響いた。


「な、何でビンタするのでござるか?」


「いや、ごめん。反射的に?」


「ひっひどいでござるよ。ねぇ天馬殿ぉ~」


「来世に期待だねぇ~サスケ君。それにそろそろ教室室へ戻ろう。君にも知っていて欲しい情報もあるしねぇ」


「そうね後でクラスの人達とも今後の方針について話し合わないと。それにセツナ君には後で色々聞き出さないとね」


キーンコーン、カーンコーン、キーンコーン、カーンコーン


天馬と恵が話し終えると同時のタイミングで昼休みが終るチャイムがなった。


「ではわたくし達も教室へと戻りましょう。芽愛さんは後でお仕置きですからね」


「かしこまりました、彩音お嬢様。」


「あっ彩音様。さっきのはちょっとした出来心だったんです。でっですのでお仕置きだけはお許し下さい~」


そんなやり取りをしながら彩音達は自分達の教室へと戻っていった。


「私達も戻りましょう。ユナさん」


「ん、ああ分かったのじゃ」


「あっそれとユナさんが学校に慣れるまでは私とエリカでサポートしていくから。何か困ったことがあったら遠慮無く言ってね」


「おっお、すまんのう。メグミもエリカも忙しいだろうに、ありがとう。嬉しいのじゃ」


「はっかわ可愛い。」「こっこれは反則ね」


私がお礼を言うと。メグミと恵利華は体を悶えさせていた。何なんなじゃ、全く。



場面代わり。部活連、会議室前。

神成 セツナです。今、会議室前にいます。


部活連とはまぁ、簡単に言うと色々な運動部の総元締めみたいな所だな。早速中へ入ることにした。


「おーい清太郎いるかぁ~?!」



「ばっかもーん!もっと熱くブツかって来るのだ。心を込めて。」


「はっはい!会長、すみませぬ」


バチーン


「そうだ、その感覚を忘れぬでないぞ」


「はっ、はい会長!」


会議室の中は汗臭く蒸し暑かった。10人位の体格の良い男達が抱き合う地獄絵図がそこにはあった。


「………、なにやってんの清太郎?」


「ぬ?おお、神成~か!見ての通りぶつかり稽古だ!神成もどうだ?一緒にやらぬか?!ん~?!」


「いやお前。空手部だろ?何で相撲の練習してんの?しかも今は授業中だぞ」


「分かっておらぬな神成~!どんなスポーツや格闘技でも精通していた方が何かと便利なのだ。覚えてんだぞ神成よ。ぬ?今は授業中だと?」


「あぁそうだ。」


「なっなんと!抜かったわ。稽古で夢中で時間を忘れておった。皆のもの解散じゃ!各々、自分の教室に急いで向かってくれぃ」


「はっかしこまりました。会長」 「失礼いたしますぞぉ会長」「セツナ殿もまたどこかでお会いしましょう」


「あいつらも去年とまるで別人担ったよな。清太郎」


「おぉ~そうだのうぅ!最初の頃のモヤシのような奴らでは無い。我の清太郎ブードキャンプによって見違えたワイ」


さっきの彼れは元々はモヤシの様な体格でひ弱な性格をしていた為、聖豊中学入学後は同級生や先輩達に虐められたりしていた。


それを見かねた俺と清太郎は虐められっ子達、一人一人に声をかけ。虐めていた奴らを洗いだし告発や制裁を与え学校にいられなくさせた。


そして残った。元虐められっ子達をそのままではほっておく事が出来なかった清太郎は彼等を心身共に鍛え今では清太郎自慢の兵士へと育て上げたのだった。


「もしかして。去年、清太郎が代表に選ばれたのって彼等がいたからか?」


「ぬぅ?去年?何の事だぁ………おぉもしや聖抜祭の事か?」


「聖抜祭?なんだそれ」


「なんと神成~は知らなかったか。聖抜祭とはな。学年ごとの代表で権力………。まぁ、つまりポスト争いだな。生徒会、部活連、委員会、文化分等の組織の権力者をそれで決めようという祭りじゃな」


「あぁ、天馬と委員長が昼間の言ってた権力フェスティバルのことか」


「権力フェスティバル?天馬の奴面白いこと言うのではないか。わっはっはっはっは。まぁそれで去年の

聖抜祭のテーマが武力(暴力)でな。去年、我々が1年連中で一番力(物理的)が強かった我々に神無月が声を掛けてきてのな。」


「委員長が?」


「うむ!とりあえず貴方は好きに暴れて良いから。代表をやってと言われてのう。聖抜祭、当日は我々の鍛えに鍛えた身体でモヤシ体型の奴等を蹂躙してたわい」


「俺、そんなの全然知らなかったぞ」


「神成~、貴様その時期は何か忙しいとか言って余り学校に顔を出してはおらんかったではないか」


「ん?そうだっか?」


アリーナに飛ばされていて数年経っているのもあって中学1年の時の記憶など曖昧になりつつある。


「まぁそれでだ。好きに暴れて神無月の方も別の日に逆らう先輩達を容赦なく殺戮し。その後、我はなんと部活連の会長に抜擢。神無月は委員会の何やら重大なポストに着いたらしいがな」


「委員長の奴。そんな事一言も言ってなかったがな」


「人には他人に言えない事など一つや二つあるものだ。まぁ、余り気にするな。神成~!まぁ、聖抜祭で勝てば色々な旨味があるということだ。わっはっはっはっは。興味があるのならば去年の記録を後で渡してやろう。参考にでもしてくれ」


「それは助かるありがとう清太郎」


「ふむ!気にするでない。それよりも神成~よ!わざわざ、授業をサボってまで何故に部活連の会議室まできたんだ?」


「あぁ、そうだった。忘れるところだった。清太郎にもう一つ聞きたい事があってだな」


俺は昼間の出来事を詳しく話した。(反応が面倒くさいので天王洲派閥とのイチャコラは伏せた。)



「神成~が、休んでいる間に起きた変わった出来事か?う~ん!何かあったのうぅ?ん~?!」


清太郎は過去の事を思い出しなが唸る。


「おぉそういえば!一つだけ変な噂を耳にしたのぅ」


「変な噂?」


「ふむぅそれはな。」


清太郎はその変な噂とやらを話し始めてくれた。



「時に神成は聖豊中学の三年生で門倉(カドクラ) さえぎと言う者はしっているか?」


「いや?誰だそれ?」


「生徒会・会計の男でな」


「ほおぅ生徒会・会計なの門倉先輩って言う人は凄いな」


聖豊中学の生徒会に入りたがる生徒は実はかなりいる。俺に近しい人間では彩音と可愛い可憐ちゃんの二人だ。彩音は天王洲家のご令嬢で二年生では、二番目に大きな派閥を持っている為、生徒会・副会長をしているし。可愛い可憐ちゃんは(俺もたまにメロメロになる。)二年生の中では、学業も優秀で毎回のテストでも常に上位らしく。


その可愛いさで聖豊中学の全校男子からの支持もかなり高く影響力も凄いとか何とか。



実際、去年行われた生徒会選挙でもかなりの候補者が乱立していたが蓋を開けて見たらあの二人の圧勝だったと言うのだから。その凄まじい人気にもなっとくがいく。


それに生徒会には学校側から学校資産の数パーセントだが、申請すれば好きに使えるルールがあるらしい。

それを目当てに立候補するものもかなり大勢いたとか。


普通の中学生が使えない金が使えるというだけで魅力的だがそれ以外にも先生達からの内申点や各学生への指導等できる立場の為。生徒会に所属するだけでかなりのメリットが手に入れる。


「で?その生徒会・会計の門倉先輩がどうしたんだ?」


「………神成よ!聖豊中学の生徒会は学校側の資金を数パーセントだが、自由に使えるのは知っているか?」


「ん?あぁ。昔、彩音から少し聞いたことがある」


「門倉会計はなぁ!中学生ではあるがその資金を学校側から少額だが、提供してもらい。その少しの資金を数億にまで増やしたそうだ」


「……凄い人だな」


「学校側から借りた資金も数倍にして返したらしく。生徒会の資金もかなり潤ったと聞いたな。そして言われる様になった二つ名が、聖豊中学の金庫番だ」


「金庫番?どういう事だ?」


「まぁ。門倉会計の生徒会での職種が会計というのもあるらしく。周りは面白がってそのような二つ名で呼ぶようになったらしい」


「ふーん。それで話はそれだけじゃないんだろ?」


「まあな。その門倉会計だか、最近よからぬ噂があってな」


「よからぬ噂?」


「最近の話だ。生徒の中で家が貧しい者や親の会社の経営がまずいものに金貸しをしているとか。ひどい話だと何人かの女生徒に金をちらつかせて自身の派閥の者に女生徒を宛が足りとか聞くな。わしの方では部活連の者達には注意を呼び掛けて近づかないよう言ったがな」


「ろくな奴じゃないな。その門倉先輩って言う奴は」


「………時に突然だが、神成よ。先輩達の聖豊中学卒業後の進路についてどのくらい知っておる?」


「何だよ?本当に突然」


「まぁ、よいではないかに説明してくれ」


「たしか天領高校だろ?聖豊中学の親学校だっけ?何事もなかったら俺達も卒業後、そこへエスカレーター式で入る予定だろ?それか中学で成績優秀者は海外の名門学校に留学する流れだったな」


「まあ、だいたいあっているな。聖豊中学は現在。関東エリアで人を集め入学させていたが高校からは、天領高校の分校で学んだ生徒が、全国から天領高校へ上京してくる。特に優秀な生徒達は特進クラスという特別なクラスに配属される流れだ」


「ほうほうそれで?その天領高校と中学生である門倉先輩の話がどう繋がるんだ?」


「門倉会計も後。半年も経たずに聖豊中学を卒業することになる。そうなるとおのずと天領高校へ入学することになるだろう?……………、これはわしの勝手な推測なのだがな、………門倉会計は聖豊中学で金をばら蒔き得た負債者を使い。天領高校で買春や詐欺等を企ているんじゃないかと疑がっている。高校入学後は今の様な生徒会でのきらびやかな学校生活が送れるかは不透明だろう?」


「それで時間のある。中学生時代に生徒会に所属し資金を得て、その金で責務者や自分の良いなりになる女の子を増やして将来的には、自分の奴隷にして、天領高校でも優雅な生活をするって流れか?」


「まぁ、憶測の範囲での話だから余り鵜呑みにしないでくれ。わしの方でも調べてみるゆえ。神成も余り軽率な行動はするなよ。」


釘を刺されてしまった。


「了解。了解。色々詳しく教えてくれてサンキューな。今度、天王洲派閥の子達と食事行くときあったら清太郎も誘うからよろしくな。」


「なに?まことかぁ?ぬはぁぁ、神成よ!何か困った事が起きたらワシを必ず頼れよ。そして今の言葉、守れよ。よいな!」


圧が凄いこいつスポーツや格闘技全般も出来て頭もいいのになんで女の子絡みの話になると壊れるんだ?


「まぁ聞きたい話も聞けたしそろそろ教室戻るわ。清太郎もちゃんと授業受けないと転校処置取られるから気を付けろよ」


「わっはっはっは。部活連・現会長のワシにそんな事起きはせんわい。面白い冗談を言うな。神成~」


バシッバシッと背中を思って切り叩かれた。

これは、あれだ盛大なフラグが、立ったな。今度、会うときが楽しみなった。


そして俺は会議室を後にして休み時間中だったAクラスに静かに入り。静かに自分の席へ座った。


「あっ来た!見てよ。ユナちゃん!」


「ぬ?おい、セツナ、お主、今まで何処に行っとったのじゃ?」


今、気づいたがエスフィールと清太郎の話し方似てるよな。古風な話し方だからかな?どちらも偉そうという共通点が垣間見えるな。


「おい?無視するな貴様聞いておるのか?セツナ!」


キーンコーンカーンコーンと今日、最後の授業が始まる。チャイムがなった。


「残念だったな。ゲームオーバーだ、エスフィール。はっはっはっはっはっ」


「………貴様。放課後覚えておれよ。皆で放課後八つ裂きパーティーじゃからな。よいな?」


「焼き肉パーティー?お前の親睦会でも放課後やるのか?」


「貴様の八つ裂きパーティーじゃ。特に彩音と恵の二人は張り切っておったぞ。絶対にお灸を、吸えると言っておった」


「やれるものならやってみな。」


「その言葉。スマホで録画したからのう後で皆に聞かせる」


「………貴様、いつの間にスマホの操作のしかたを学んだ?」


「休み時間中に恵利華や恵が教えてくれたのじゃ。これからは、私に変な事をしたら記録に残すから覚悟しとくのだぞ。セツナ」


それを聞いた。俺はホームルーム終了と共に教室からの脱出を考えエスフィールの環境の対応能力の高さに戦慄した。

だか、

放課後は芽愛さん達と会うのだ。絶対に生還せねば。







⑥借りた代償は大きく


「やぁ君?彩音君のお友達の甘露寺さんだよね?ちょっとお話いいかな?」


その悪人は突然、話しかけて来ました。


「今、君のお父様が社長の会社。経営不振なんだって?大変だね」


言葉を巧みに使い。


「実は数ヶ月前かなりの大金を得てね。そのお金で君の会社のお手伝いをしてあげようと思って話しかけたんだ」


私は甘言に誑かされ。


「この資金があれば君のお父様の会社も建て直せるんじゃないかい?」


目の前の餌に食い付き。


「そのかわりと言ってはなんだけどさぁ~。僕が頼みごとをしたら少しお仕事をして欲しいんだぁ~。なに、簡単なことさぁ。難しい事なんて何もないよ」


私は私はあの人の犬になりました。



「芽愛ちゃんさぁ~!もっと積極的に動いてくれないと2年生の奴等が結束しちゃうでしょう?」


「がっはぁ、はっはい、すみません。○○先輩」


ガシッとお腹を蹴られた。私はらその場で疼くまり。目の前のご主人様に謝りました。


「いや~去年は君たち現在の2年生達を甘く見て痛い目に合ったからねぇ~今のうちから火種を燻らせとかないとまた酷い目に合うかもしれないし。今年は徹底的に妨害させてもらうからねぇ。だから上手くやるんだよ甘露寺ちゃ~ん。じゃないと君のお父様がどうなるか分かるよね?」


「はっはい○○様には大変感謝しております」


「ふーん。なら借りた分ちゃんと働いてこいや」


「いっ痛い、!」


ドスッと。今度は右足を蹴られ身体全体に痛みの衝撃が走る。


「まぁ、甘露寺ちゃん。以外にも僕からお金を借りた子達がいるからその子達にも働いてもらいますかね。じゃ甘露寺ちゃん。神成の御曹司と彩音君の件よろしくねぇ~。ちなみに誰かにこの事話したら君が、僕からお金を借りた事、彩音君とその側近の子………寧々さんだっけ?親友の?その子にもばらすから失敗すんなよ。じゃあね~」


○○先輩はそう言うと私を残して空き教室から扉を開けて出ていきました。


「身体のあっちこっちが痛い、痛いよぅ。もう、もうやだよぅ、誰か、誰か助けて。セツナ君。助けてよ。昔、みたいに」


痛みに堪えながら。思い出すのは、昔の遠い記憶。財界のパーティーで彩音様の付き添いの1人であった私が困っているときに颯爽と現れて助けてくれた男の子。


彩音様も知らない。私の大切な思い出です。


「………そ、そろそろ彩音様と所に戻らなくちゃ」


私は1人残された空き教室から出て彩音様の元のへ急いで戻りました。


噂では私以外にもお金に困った人達に貸し借りをしていて。その見返りに各学年事の人間関係や派閥の情報を集めているらしいです。


私も最初は二年生の内情を調べて報告するように言われましたが最初の方は断っていました。

ですが断れば。○○先輩からお金を借りた事を学校と彩音様にばらすと脅され。もし逆らうようならば、○○先輩の仲間に○○○させると言われました。

それからは一週間に一回空き教室へ呼ばれ定期報告をするようになりました。

何か気にくわないときは先ほどの様に顔、以外の身体を蹴られ。痛みに耐える日々です。


大好きなお父さんの為にと○○先輩にすがりましたが後の祭りです。精神は疲弊し腐っていきます。


……たびたび思い出されるのは財界のパーティーでの記憶。

私のお父さんは決して会社経営が得意とは言える人ではありません○○先輩からお金を借りる前にも一度だけ、お父さんの会社が倒産しかけた事がありました。

それを知った私はあるパーティーの会場の片隅で小さくなり人で泣いていました。


その時です。


(あれ?どうしたの?こんな所で?君は、確か彩音と仲良くしてくれてる芽愛ちゃんだよね?久しぶりだね。)


(これで涙拭きな。うん、甘露寺おじさんの会社が?倒産しかけて今、大変?………芽愛ちゃん。ちょっと待っててね。)


(えっと今の残高は)


(もしもし甘露寺おじさん!久しぶりです。はい神成です。ちょっと小耳に挟んだんですけど?色々大変だとか?…フムフム、……そのくらいなら出せるよ。うん。)


(じゃあ振り込んだから好きに使って。……返す?いいよ、いいよ、うん。また美味しい店連れてってくれれば。うん、じゃあ、また。バイバイ。)


(……とっよし。芽愛ちゃん、落ち着いた?そう、良かった。そうそう、会社の事だけどもう大丈夫だと思うよ。)


(なんで?内緒(笑)だよ。あっそうそう、甘露寺おじさんによろしく言っといてね。後、彩音と仲良くしてありがとう。)


そう言ってセツナ様は去っていきました。

後日、お父さんの会社は誰かの融資のお陰で一命を取り留めて。会社の危機を脱しました。


その後は、セツナ様とはたまにお逢いすることがありましたが時が進む事に会う機会も減り。

中学に通う頃には昔からの幼なじみで仲も良かった彩音様と家同士の考えもあってかお二人がお付き合いすることになり。

何かあったのか分かりませんが2年生に上がる前にセツナ様から彩音様に別れようとお話しし絶縁状態になりました。

その時は、天王洲派閥の何人もの人達が彩音様に同情しセツナ様を嫌うようになりました。

そのような事があってからはたまに廊下ですれ違ってもお互いの派閥同士で牽制しあい、まともに会話をすることも無くなりました。


それがお昼までのお話しです。



お昼頃彩音様に言われ。服部 佐助そんを寧々ちゃんと一緒に掃除し、食事は戻ってみると絶縁状態の筈の彩音様とセツナ様が仲良く談笑しているのです。


天王洲派閥の女の子達も私同様驚愕していました。勿論あちらも。


お二人の話を伺うと先週、二人で色々とはなしわして誤解が溶け、以前の様な状態に戻り仲直りしたとの事。


それを聞いた。私達。天王洲派閥はセツナ様の元へ向かいました。


「お久しぶりです。セツナ様」


「芽愛さん。久しぶりだね。お父様元気してる?」


数年振りに近くで喋るセツナ様との会話で私の頭の中はパニックになりました。その後、私に続けとばかりに数人の女の子達が群がるようにセツナ様との昔の思い出話に花を咲かせていました。


というか何人いるんですか?あれ?どれだけフラグ立てたんですか?セツナ様。

群がる人達を見て私はある1つの考えが浮かびました。

ポケットにあったメモ帳とペンを取りだし。走り書きで私達を助けて下さい。と書き。急いで自分のポケットにしまい。食事が始まるとセツナ様の右側をキープして肩にもたれかかる時に、どさくさに紛れて用件を書いた紙をセツナ様のポケットへ入れました。


どうか気づいて下さい。


虫が言い話だとわかっています。


でも


でも


もう痛いのは嫌です。殴られたり蹴られるのは嫌なんです。


わがままですみません。ずるくてごめんなさい。


もう一度助けて下さい。


私をいいえ


私達を


この地獄から救って下さい。セツナ君。



2年Aクラス


「では今日の授業はここまでだ。各自復習は忘れるなよ。」


今日最後の授業。数学担当の小西先生が授業終わりにそう言ってAクラスから出ていくと同時に担任の九条先生が教室へと入ってきた。


「みんな。今日の授業も最後までお疲れ様。ごく一部の生徒は長期の胃痛か知らないが元気に登校して来た。そして来たと思ったら朝から騒ぎを起こし。久しぶりの学校だというのにそうそうに授業をサボるバカもいるが気にせずホームルームを始めましょう」


いったい誰の事だろうか?全く見当がつかん。

まぁ良いか最後の授業からホームルームは休み時間を挟まない。何故か昼まっから切れ散らかしている。女性陣も迂闊には行動できないだろう。


この少しの合間で俺は何人かにメールを送り。必要な情報を集めてもらうことにした。

1人目はサスケ。服部と言う名前だけあって情報収集能力に長けた奴で。サスケの友達達で構成されている。独自のネットワークがあるらしく。

学校の監視カメラ、学校掲示板、個人のSNS等を監視、盗聴、張り込み、追跡等のプロ集団で聖豊中学ストーカーと言う集団名が付けられている変態集団だ。


(サスケ昼間はすまなかった。お詫びとして何だが俺が前使っていた新型パソコンをサスケにあげたいと思っている。だから、少し情報を集めてくれないか?)


(セツナ殿。とりあえず、聖豊中学で表裏関係なく起こった事が書かれたデータを送りましたゆえ。新型パソコンの方、早めに拙者に譲渡下されたし。)


サスケにメールを送って。数分も経たずに聖豊中学生徒行動データとか書かれた。ファイルが送られてきた。

サスケの奴。普段本当に何してるんだ?


(いつも通り仕事が早いな。ありがとう。新型パソコンの他に神成製のタブレットも一緒に贈っとくからよろしく。)



「なんと、まことでござるかぁ?セツっ、あぅ!」

パコーンと凄い音がなったと思ったら。白い粉がサスケ周辺に舞っている。どうやら、九条先生が投げたチョークがサスケの額に当たり。粉末になるくらいまで粉々に砕けたみたいだ。そして、さっきまで騒いでいたサスケは自分の机の上で頭を乗せ静かになっていた。哀れ。


「私のホームルーム中に騒ぐとは良い度胸だ。服部よ!後で職員室に来い」


「……………。」


「九条先生。服部くん、反応ありません」


「そうかならばいつも通りだな。ホームルームを再開する」


そのやり取りが終わるタイミングで先ほどメールを送った2人目の人物。執事長の桐生さんから返信が来た。

(セツナお坊っちゃま。先ほど頼まれました。門倉建設の不正取り引き。脱税の証拠や労働者に対する暴力等門倉建設がひた隠しにしているデータが手に入りました。お送り致します。それとそれらの情報を流す準備も旦那様経由でいつでも流せますよう準備を整え進めて参ります。)


(桐生さんありがとうございます。いつもお世話になりっぱなしですみません。父さんにも後でお礼の連絡入れときますね。)


(セツナお坊っちゃんのありがたきお言葉滅相もございません。あれは、セツナお坊っちゃんがまだ幼少期の頃…………。)


そこからは長い長文が続いていたため。家に帰ってから読むことにした。


そして最後のメール、清太郎からの返信が来た。


(神成よ一応、メール通りに人員は確保した。我々は会議室で待機しておるから何か、あれば連絡をくれ。サスケの奴とも先ほどやり取りしたがいきなり連絡が来なくなってな?そっちで何かアクシデントでもあったのか?)


(あぁサスケの目の前でチョークが粉末になった。)


(………了解した。まぁ、とりあえず放課後も先ほど話した門倉会計の噂話を調べて見る。何か、分かれば連絡する。)


(了解。サンキュー。)


とりあえず今できる事をこの短いホームルーム中に終らせることができた。後は無事に教室を脱出し甘露寺 芽愛さんの所までたどり着ければ俺の勝ちだ。


「では、これにてホームルームを終了とする。各自、勉強をしっかりしとくように。では、解散」


流石は全国屈指の進学校と言われてるだけあって。先生も勉強勉強うるさいものだ。


「さてと、行くか」


「どこに行くのじゃ?(満面の笑顔)」


右の席を見るとエスフィールが満面の笑顔で俺の右腕を力強く掴んでいた。


「いや、ちょっと用事で会議室に」


「また女か?昼間みたいに侍らせるのか?お主は?」


「いや、昼間のは事故みたいなものだろう」


「事故みたいなもので良くもまぁ数刻までは敵対していた派閥にあれだけ鼻の下を伸ばせたものね?(ガシッ)」


今度は、我等が委員長が来て俺の左腕を掴んだ。


「しょうがないだろう。お前らが言っている神成派閥より彩音の天王洲派閥の方が可愛い女の子が多くて美人揃い何だから」


っと言い終えた瞬間。左腹部に凄まじい痛みが走った。


「がっはぁ、痛い。何だこの衝撃は………」


「起こらせるからよ。たく。うちの派閥だって女の子は結構いるでしょう?皆に失礼よ。全くもう。……まぁ良いわ。八つ裂きパーティーは皆が揃ってからだから今は許してあげる」


「皆が揃ってから?どういうことだ?」


「楽しみじゃのう。八つ裂きパーティー」


腕を掴んでいた2人の力が一瞬緩んだ。その瞬間を見逃さず。瞬時に魔道具、身体強化を発動させ、教室からの逃亡を成功させた。


「全く放課後はセツナ君の家に集合して八つ裂きパーティーって…………いない」


「セツナよ!もう少し女性関係はちゃんとするんじゃぞ?………何故?おらぬ?」


「また、やられた。何なのさっきといい、今といい?なんで?あんな動きができるのかしら?謎だわ」


「…………。そうじゃな。謎じゃのう」


脱出に成功した。俺は先ほどポケットに入っていた紙の裏面に小さく書いてあった空き教室へ向かった。最初、見た時には気づかなかったが本当に小さな字で書かれていた。まるで誰かに読まれるのを恐れているみたいだ。そうして、俺は待ち合わせの場所へと急ぎ、向かうのであった。






⑦今のままではいけないよ


時間が余りにも無かった。あまりにもあまりにも突然過ぎる展開だ。


時間は待ってはくれない。


人間関係もそうだ。


人の心もそうだ。


昔、手を差しのべ助けた相手がまさか悪い人間に陥れられているなんて思いもしないじゃないか。


人生で数回話す程度の人間関係。その場しのぎの下手くそな上っ面だけの優しさだ。


本当の俺の本心なんて今まで助けたやつらで何人気づけると言うのだろうか?


甘露寺 芽愛。人生で数回。彼女の危機を救った事は、何度かあったのを覚えている。


幼なじみの彩音の様な深い関係ではないし、パーティー等でたまに合ったら話す程度の薄い関係だ。


それなのにそれなのに何故俺なんだ?


俺が親しくしているのは君のお父さんだ。俺が、まだ小さかった頃、君のお父さんと俺の父は何度か食事会を開いていた。(その時は芽愛さんもいたのを今でも覚えている。)

その時だった。おじさんは小さな子供である俺を邪険にせず。懇切丁寧に食事会で使われている料理の食材を俺に教えてくれた。

それ以来おじさんさんは料理に興味を持った俺を時々だが、色々な所に連れて行ってくれた。


そのお礼に以前。おじさんの会社が倒産しそうになった時は、自分の力の範囲で手助けもした。

それは料理の楽しさを教えてくれたおじさんを助ける為だから。


悪いが君の手助けは出来なさそうだ。だがそんな君を見て悲しむおじさんを見るのは俺も嫌だ。嫌だから話を聞こう。君の話を最後まで。


そして最後まで聞いた時、甘露寺 芽愛という人間を助けるべきかをちゃんと判断しないといけない。


何故なら泣いているだけでは傷つけられているだけでは先に進めないから。

涙を拭きさり体が傷付いてでも進むのだ。

それがこれから生きていく糧になるのだから。


アリーナではそれが当たり前だった。


「ここか待ち合わせの空き教室は。」


俺はホームルーム終了後。甘露寺 芽愛さんの緊急要請が書かれた紙を俺のポケットに忍ばせていたらしく。その緊急要請の紙に書かれている空き教室へとやって来た。


「先に待っとくか」


そして俺は空き教室の扉を開けた。


「あっ、えっ?嘘?」


「ほっ、本当に来てくれた?」


「嘘でしょ?」


数人の女の子達がびっくりしながら俺を見ていた。あぁ確かもらった紙には私達と書いてあったな。

サスケや清太郎から貰った資料を少ないホームルームや廊下を歩いてる時間で必要な所だけ。かいつまんで読んできた。(本当に時間が足りない。今回は急すぎる。どうする?せめて後、1日欲しかった。)


「おっと遅れて悪かった。芽愛さん。手紙受け取ったよ。私達を助けて下さいって相当、大変なのかな?」


「えっ?あっはい」


どこか上の空でこっちの話を余り聞いていなかったみたいだ。


「かっ、神成くん」


「こんにちは橘さん、昼ぶりだね。橘さんも困り事かな?」


「うっうん。そ、そうなんだ」


なんだ?昼とはまるで正反対の反応だ。今ここには彩音や寧々さんがいないなら納得が行く。これが彼女達の素なのだろう。

まぁ人は他人と接する時。色々の仮面を使い分ける。

下手に今日の昼間のテンションでやられるより、よっぽどましだ。こちらも遠慮せず素を出していける。


「で?俺を呼び出してまでお願いしたい事ってなんなんだ?」


先ほどの上っ面の優しい態度を止め、少しだけ怒ぎの効いた声で言葉を発する。

それを聞いた。数人の子達がびっくっとなり困惑している。


「えっとね、久しぶりに話せて嬉しくて放課後も会えないかななんて………ハッハッハ……。」


「…………。」


俺はあえて返事はしなかった。


「ねぇ、やっぱり止めとくべきだったんだよ。神成派閥のしかも神成君。本人に頼むなんて」


「で、でも小さい頃は色々助けてくれたし。彩音様の幼なじみだし………」


橘さんの後ろにいる数人の子達がひそひそと話している。


「そうか何も無いなら帰ることにするよ。勿論、今日貰った紙の内容は何処にも口外しないし空き教室での事も忘れる事にする。じゃあ皆さんさようなら」


そして俺は立ち上がり空き教室から出ていこうとした。


「ちょっ待って待ってよ!神成君。君なら学年1位取れる君ならこの雰囲気で私達が、今、どういった状況なのかだいたい予想つくでしょ?何で帰ろうとするの?」

さっきまでひそひそと話していた。1人が痺れを切らしたのか、そう叫びながら言ってきた。


「雰囲気で察しろ?だいたい予想つく?君は何を言っているんだ?わざわざ、放課後、空き教室までやって来たのに説明はしどろもどろ。それで何を察しろと言うんだ?冴木さん?」


「えっ!それは…………。ふぇ、えぇえん」


はっ?ちょっと泣くのは反則だろう?


「おい、ちょっ、何で?ちょっと冴木さん?」


俺は慌て冴木さんに近づいた。


「うぇぇぁん」


「ちょっ、ごめん、ごめん。強く言い過ぎた。すまんかった」


慌て泣いている。冴木さんに平謝りする。


「怒ぎを強くして怖がらせ悪かった。本当にごめん、泣き止んでくれ、頼むからすまん。話しもちゃんと聞くから許してくれ」


「ほっ本当に?ぐす」


少し泣き止んできた。


「空き教室に来るまでに色々調べて来てるからみんなの事情は、既に把握しているよ。ただ」


「ただ。何ですか?セツナ様」


それまで静かだった、芽愛さんが話しかけてくる。


「ただ君たちの話を聞いただけでは根本的な解決にはならなと思ったんだ。今回の件が上手くいったって別の誰かに利用されたら二の舞になるだろう」


「………はい」


「だから、今回の件を聞く前に君達の覚悟を見たかったんだけど。まさか」


「まさか?」


まさか泣かれるとは想定外だった。


流石の俺も女の子に一方的に泣かれるのは苦手だ。

しょうがない。


次に進もう。


「とりあえず君たちの今の現状を聞かせてくれないか?!俺が得た情報と照らし合わせるから」


俺はそう言うと。

彼女達から、今回の事件の詳細を聞いていくことになった。



私の名前は(タチバナ) (ユキ)


父は天王洲財閥の子会社の役員でその縁もあり。昔から彩音さんのお付きの1人で長らく仲の良い友人として苦楽を共にしている。


彩音さんには以前付き合っていた彼氏がいる。


神成 セツナ。財界では何とかの麒麟児とか一時期有名になっていたけど。今では神成家の跡目の地位を失い。そのせいもあってかなのか彩音さんとの交際も無くなったとか。


そんな彼が芽愛さんの書いた(緊急要請)紙を見て。空き教室まで来てくれた。私達が現在、○○先輩から貸して貰っているお金をどうすれば良いかと相談するためだ。


私の場合は親友でもある。芽愛さんがつねづね、○○先輩に暴力を振るわれていることが分かり。

分かった瞬間には○○先輩を呼び出して。事情を聞きだそうとした。


だがそんな私も○○先輩の上手い口車で(分かった、これ以上。必要以上の暴力は振るわないがその代わり君が僕からお金を借りてくれるかい?そうすればその話にのろう。)

そう言われた私は彼から私個人では払い切らない額を借り入れ。この話しは成立すると思い心のどこかで安心していた。こんなお金明日にでも払ってしまえば良いと。


そして次の日の放課後。○○先輩に呼び出された私は彼からとんでもない事をいわれる。


(橘ちゃん。昨日、貸したお金だけどね。直ぐに返して欲しいんだ。ただし昨日貸したお金分とその利息分の3割だけどね。出きるよね?)


(3割って。まだ、借りて1日しか、経っていませんよ?)


(君?金なめてるだろ?これだからお嬢様育ちってやつはよぅ!世間知らずが!金なんて物は数分、数秒で変わっていくものなんだよ。分かるかガキが。払えねえならお前も甘露寺ちゃんと一緒だな?二人仲良く借金地獄だ。)


(そっそんな。)


(これからが、楽しみだな~!橘ちゃん)


それ以来、私は○○先輩に呼び出されては、○○先輩の奴隷として屈辱を味わった。



先ほどまでのピリピリして怖かった。神成君は何処へやら。


神成君に言い返され泣いてしまった冴木さんの近くでおどおどしながら平謝りしている。


少し様子を見よう。


さっきまで泣いていた。冴木さんが落ち着いてきた。


「冴木さん、さっきは怖い思いをさせてごめんよ」


「うぇ、うっうん」


「君は俺に誠意を見せてくれた。君の話を聞かせてくれないか?○○先輩に何をされたのか。勿論、話したくないことは、話さなくて構わないよ」


さっきまでとは違い神成君が冴木さんに対する話し方は柔らかくなっていた。


「私、私、実は私のお父さんの会社が……」


「うん、うん、………、…分かった」


「そうしたら、○○先輩がお金を貸してやるから。協力しろって。………」


「……………。そうか分かった。冴木さん。ありがとう。君は良く頑張った」


神成君は冴木さんの話を聞き終えると冴木さんの頭に手を乗せ軽く撫でた。


ん?冴木さんの顔が赤くなって?……完全にメスの顔をしている。

堕ちたのか?嘘でしょ?こんな短時間で?


神成君は冴木さんの話を聞き終えると他の女の子達からも今回の借り入れの話を詳しく聞いていった。

1人、1人に対して真剣に話を聞いている。


先ほどとはまるで違う。そして話を終えた女の子達の顔も先ほどとは、違う。朱色に染まっていた。………まさかね。



そしてしばらくすると私の番が来た。私は皆みたいに落ちないからね。


神成君は私の前まで来ると私の首元をジーッと眺めている。


「どっどうしたの?神成君?私も事情話すから。いいかな」


「橘さんちょっとごめん」


「えっなに?いきなり」


神成君は私に近づくと首元に目線をやる。


「その首元のアザ。昼会ったときから気になってたんだ。ちょっと見せてくれないか?」


昼からこのアザに気づいていた?あの彩音さんでも気づかなかったのに、この人の観察眼どうなってるの?


「でっでもちょっとここだと。」


「あっごめんごめんこっちきて」


「ちょっ、ちょっと」

と神成君に言われたとたんに右手を掴まれ。教室の角まで連れてこられた。ちょっと強引過ぎよ。全く。でも以外に力強いのね。


「失礼するよ」


神成君の顔が近づ。顔近いよぅ。女の子見たいな綺麗な顔だぁ。いい匂いする。あっ、でも中学生にしては背が高いかな?………あっこれ駄目なやつだ。


「………これは、○○先輩にやられたので合ってる?」


「うっうん。そうでも芽愛さんのアザの後の方が酷くて。」


「…………、そうか了解。それと」


神成君は、私の目を真っ直ぐに、見つめている。綺麗な瞳。


「気づくのが遅くなってごめん。雪ちゃん。もう大丈夫だから安心してくれ」


そつそれは、反則よ。

たっ確かに昔はセツナ君と雪ちゃんって呼び合っていたのは覚えてるけど。それを今言うの?セツナ君。


「へっあう?へ?」


「ん?」


私はその場で顔を赤くしながら、座り込み。顔を覆った。





芽愛です。


セツナ様が、先ほどの冷たい態度から冴木さんを泣かせてしまってからは彩音様に見せるような態度になりました。


その光景を見て私は気づかされました。


人は簡単には助けてくれる人間では無いのだと。


セツナ様の先ほどまでの態度はただ単純に子供の様に泣きついて紙に走り書きをした。私への忠告なんだったんだと。


そしてセツナ様は私の親友でもある雪ちゃんから事情を聞き終え。最後に私の所へと来てくれました。


「芽愛さん。改めて気づくのが遅くなってすまなかった。走り書きの紙、ありがとう」


「いっいえ。こちらこそありがとうございます。セツナ様、違う派閥ですのにすみません」


「…………。」


セツナ様は静に私の右足の下を見ている。


「芽愛さん。突然で悪いんだけど。右足の靴下縫いでももらっていいかな?」


「………はい」


さっきの雪ちゃんとのやり取りを見ていたので抵抗せずに言われるがままに従いました。


「えっ?これ?ヤバくない?」


「芽愛何で隠してたの?」


後ろで見ていた雪ちゃんと冴木さんが驚いて話して来ました。


「これは酷いな」


セツナ様に蹴られたところを見せると顔を歪ませ驚いていました。


「あっあの」


「分かった。ありがとう。芽愛さん」


「は、はい。全部の問題が解決したら。その時にもう一度ゆっくり話そう。まずはこの問題を片付けるから。もうそろそろ放送が来る筈だし。」


「え?放送?わっわかりました。」


放送って何でしょう?全然分かりません。


「運が良いことに今日は生徒会長が外部に出払ってる。突然で余りにも時間が無いけど仕方ない。これ以上暴れられても厄介だし。全くめんどくさいな。門倉先輩は」


その名前が出た時。私や他の数人の女の子達がビクッと震えました。


「おっと皆ごめんよ。でもそろそろな筈だ」


「ねぇ?さっきから何がそろそろなの?」


雪ちゃんが気になっていたのかセツナ様に聞きました。

その時でした。


ピーンポーンパーンポーン。2年Aクラス・神成 セツナ君。至急生徒会本部までお越し下さい。繰り返します。2年Aクラス・神成 セツナ君、至急生徒会本部までお越し下さい。

生徒会・書記天之宮 可憐さんがお待ちです。


「ん?彩音かと思ったが。まぁ、いいか」


「あの?セツナ様待っていたって言うのは?」


「そう生徒会からの呼び出し放送。芽愛さん。これで全ての準備が整ったよ。時間がなくて少々、不安だが、やるしかないな。今日を逃すと明日からは追い詰められない。なんせ、明日からは生徒会長が登校してくるしな。あの人が出てきたら俺では勝てない」


セツナ様はそう言って苦虫を噛み潰したような顔をしました。聖豊中学・生徒会長どんな人でしたっけ?


「まぁ出たとこ勝負だ。さぁ皆で生徒会に行こう。それでこれまでの事を全て清算させる。………そうこんな酷い状態そのままではいけないのだから」



セツナ様はそう言うと空き教室の扉を開け。私達を引き連れて生徒会本部へと向かいました。







『最終話』終わりにしよう


短時間だったが準備を整えられたとは思う。


ただ当の悪役本人が生徒会に入るかは全くの賭けだ。皆からの話を聞き終えた後。桐生さんと清太郎にメールを送り。ホームルームの時に指示した事を実行に移してもらうことにした。


正直にいえば関わりたくない件だった。俺は正義味方では無い。正直これは彩音の天王洲財閥の問題だ。天王洲財閥の事は、天王洲財閥の中だけで解決した方が良かったんじゃないかと今になったら思えてきた。


しかし結果的には芽愛さんは俺を頼った。頼らざる終えなかったのかもしれない。


もし彩音に相談して生徒会同士の争いに発展したら?


橘さんと一緒で彩音も門倉先輩に言いくるめられ同じ様に奴隷にされてしまったら等と考えたのだろう。


まぁ今さら巻き込まれたことを色々考えても仕方がない。仕方がないが門倉先輩と対人した時。追い詰める材料が足りない。そう思った時に使ったのが魔道具だ。効果は『魅力』(チャーム)の効果がある。話を聞いている時に変な嘘を図れても面倒だし。


今回は本当に時間がなかったのでもしバレたら謝ろう。ちなみに『魅力』の効果だが相手をリラックスさせ惚れさせる効果がある。


ただしそれは一時的なもので数時間もすれば効果は切れ。その反動で使用者は魅力した相手から少し嫌われるという反動効果ぎある。


まぁ元々は違う派閥同士で嫌い合っていたのだから別に今さら嫌われても、双方に対してダメージは無いだろう。


色々思案しているうちに生徒会本部まで来た。


「よし入ろう。皆は、俺が合図したら後から入ってきてくれ。失礼します」


頼むいてくれ。まぁ、逆にいたら凄いおバカさんだが。


「やぁ、やあ、これはこれは神成君。いや~久しぶりに見るな。元気だったかな?」


扉を開けたそこにはおバカさんがいた。これは勝ったな。今日一番の賭けに勝ったのだ。


「こんにちは門倉先輩。あの?確か先輩とは余り面識が無いような?」


「いやいや何を言っているんだい?君は有名じゃないか。なんせ2年生最大の派閥だ。知らない方がおかしな話しだ。それで?今日は何で生徒会に、呼ばれたんだい?ん?」


「全く検討がつきませんね。何故でしょう?」


「そうなのかい?おーい!2人共、神成君が来てくれたぞ」


門倉先輩がそう言うと奥から書類を持った。彩音と可愛い可憐ちゃんが出てきた。

片方は見るからにぶちギレている。怖い、怖い。


「で何で彼を呼んだのかな?」


「はい門倉先輩。今日だけで朝の騒音騒ぎに始まり。昼間は皆が見ている中での窓側からの逃走。その後は授業のサボりまでしています。この男。」


可愛い可憐ちゃんがそう説明する。


「君?確か久しぶりの登校だろう?校則守る気あるのかい?」


「ありますよ」


「そっそうか」


「うっ嘘ですよ。この男、絶対守る気ありません」


可愛い可憐ちゃんがそう言う。


「神成君少し反省が必要ですね。ちょっと奥の控え室まで来てもらいますか?」


彩音が生徒会モードで話してきた。


「嫌だと言ったら?」


「2年Aクラスの担任の九条先生に相談します。相談の結果次第ではわたくしと可憐さんが所属するBクラスに配属が変わるでしょうね。学年1位と言ってもここまで素行が悪いと。生徒会のわたくし達がいるクラスで監視の元で残りの学校生活を送ってもらうことになりますが」


絶対に嫌だ。年がら年中生徒会に監視される?

彩音の元で?しかもBクラスに。(ちなみに何で彩音がBクラスなのかというと昔から学力上位者は、各クラスでの学力を拮抗させるために程よくバラバラにされるらしい)


「それは困ったな?絶対やだ」


「今なんておっしゃいました?わたくしとずっと入られる様になるのですよ?むしろ、喜ばしい事です」


「それは君の願望だろ?というか素が出てるぞ」


「…………、まぁいいです。とりあえず今日あったことは全て九条先生と相談します。楽しみにしていて下さいね」


凄い嬉しそうな。顔をして彩音が俺を見てきた。くそ。権力者め。


「なんだか話は纏まったみたいだね。それじゃあ僕は行くよ。放課後も忙しいんでね」


門倉先輩はそう言うと扉の方へ向かっていった。

あっやべえ本来の目的を忘れていた。


「門倉先輩。すみません」


俺は門倉先輩に凄い勢いで近づく。


「なんだい?神成君?」


門倉先輩がこっちを見る。


「おらっ死ねごらぁ!」


門倉先輩の顔を思いっきり殴る。


「げ?!ぐぁぁぁわ。」


門倉先輩は後ろの扉へとぶっ飛んだ。


「ふうスッキリした。昼間からだいぶストレス溜まってたから爽快だわ」


彩音と可愛い可憐ちゃんは呆然としている。


「あっあっあっ?」


「なんだい可憐ちゃん?俺を愛しているのかい?」


今は、気分が良いので可愛い可憐ちゃんにそんな冗談を飛ばす。

そしてすかさず彩音が俺の右脇腹をチョップする。かなり痛い。


「ちょ彩音。冗談だから冗談」


「まぁ今はいいです。後で八つ裂きパーティーですので」


またそのワードだ。いったい何の事なんだろう。


「あっ貴方なんて事するんですか?先輩ですよ。しかも生徒会のこれは問題です。大問題ですよ」


可憐ちゃんが騒ぎ出した。

そんな生徒会本部が騒がしいことに気づいた他の生徒も生徒会室の廊下に集まり出した。


「なんだいったい?」


「倒れてる。あれ生徒会会計の門倉さん?」


「うわ、ひでぇ顔」


わいわいわいわいお祭りみたいになってきた。


「なんか、人が集まって文化祭みたいだな」


「なっ何呑気なこと言っているんですか?どう責任取るおつもりなんですか~」


慌てる可憐ちゃんも可愛いな。


そんな中、彩音は何故かおとなしかった。


そして数秒すると門倉先輩の意識が戻った。


「かっ神成!貴様、なんだ。いきなり。俺は先輩だぞ?!覚悟は出来ているんだろうな?」


「ん?もう一発入っときますか?こっちは久しぶりに暴れられるから助かりますが?」


「なっなんだと貴様」


昔は(小学生高学年の時)、こうやって良く清太郎と天馬とで先輩達に喧嘩を売っていだ。あの頃は楽しかった。小さい頃から習い事、パーティー、習い事、パーティーばかりだったが、気晴らしに身分を隠して都内で暴れたものだ。彩音や委員長は全く知らないだろうが。


「門倉先輩。時間ももう余り無いんで単刀直入に聞くがあんた、以前、生徒会から借りた金横領したろう。それだけじゃない何億とかの利益もあんたの会社で働いていた社員から巻き上げた金で見繕(みつく)ったろう?」



門倉先輩の顔がみるみるうちに青くなる。


「えっ?どっどういうことですか?」


可愛い可憐ちゃんが聞いてくる。

それを無視して俺は続ける。


「しかも集めた金を使って聖豊中学でお金に困ってる生徒におかしな金利で借り入れさせて色々調べさせたり。脅しや端は暴力に○○まで」


「証拠、証拠がないだろう?何をいきなり訳の分からんことをいうんだ。これだから跡取り落ち」


跡取り落ち、跡目争うから脱落した俺が学校内で付けられたあだ名だ。


「証拠?おーい!皆、そろそろ入ってきてくれ」


生徒会の通路で待機していた。被害者の皆が、生徒会室へと入ってきた。


「………、芽愛さん、雪さん、冴木さんまで、………そう言いうことですか」


彩音はそう言うとまた黙った。


「へっ?何で君らがここに?」


「あっあの?神成君、彼女達はいったい?」


可憐ちゃんが質問してきた。


「ん?あぁ、彼女達は被害者さ親の為や友達乗為に先輩からおかねを借りたんだが、そこの先輩がおかしな金利で借りた金を返せなくしたのさ。そして道具として利用していた。」


俺は周りに入る。ギャラリーにも聴こえるように大声を出して言った。


「私達そこの門倉先輩や先輩の仲間達に殴られたり蹴られたり。中には○○○されかけた子もいて」


「お金を借りた私達にも勿論責任はありますが、命令に従わなかったら蹴られたり、殴られたり」


芽愛さんはそう言うと右足の生々しいアザを皆に見せた。


続いて橘さんも冴木さん達も。


「おいあれヤバくないか?」


「つうか黒く変色してない?」


「門倉先輩最低」


次から次へと放たれる門倉先輩への疑心。


「そっそれは!」

「おぉ、なにやら騒ぎの時にすまんのう。失礼するぞ」


っと門倉先輩がいい終えると同時に清太郎率いる部活連の奴らがボコボコにされ意識がない。10人位の男子生徒を担いでやった来た。


「神成よ!連絡があった通り門倉会計の派閥の者を全て連れてきたぞ」


「おぉナイスタイミング。清太郎」


「おっお前?なんで?」


門倉先輩が慌てている。っと突然、門倉先輩のスマホが鳴り出した。


「次から次へと何なんだ。へぇ?親父なんで?」


「どうぞ出た方が良いですよ。門倉先輩。」


「くっ、もしもしなんだよ。親父?へっ?税務署?警察?どういう事だよ?はぁ、情報流出?なんで?いきなり。…………、まっまさか?神成田、貴様か?!」


「ん?何か起きましたか?門倉建設に?」


「きっ貴様あぁぁ!」


門倉先輩が俺へと向かって来る。右手ストレートパンチを放った。それを俺は軽く良け『神気』を練った右手だ門倉先輩の顔面を思いっきり再び殴った。


「ふぅスッキリしたな。」


俺は芽愛さんや橘さん達に近づいていった。


「皆これでもう本当に大丈夫だ。安心してくれ。後。最初の空き教室で怖い思いをさせて悪かったね冴木さん。また別の日にお詫びするから。」


「へっ?あっ、はい。セツナ様」


「ん?セツナ様?……まぁ、いいか。じゃあ後の事は生徒会に任せるとしよう。皆、先生達に色々聞かれると思うけど。やられた事は素直に話して来てくれ。頼む。後は、……皆がアイツから借りていた金は俺の方で工面しとくからよろしく。ああ、お金は返さなくていいからよろしくね」


俺はそう言うと清太郎の方へ歩いていった。

「清太郎いつもすまんな。今回も助かった」


「何をいう神成よ!昔からの親友が困っていたら助けるのが男の友情だろう。貴様も我々が困った時はいつも助けてくれるではないか。お互いさまよう」


「そうですぞ、神成殿。」「愛しております神成殿。」「今日も顔かお美しいですぞ神成殿。」


「よし。そろそろ先生達も集まって来るし。一旦、会議室へ行かないか?」


「ぬ?そうだな!宇右衛門!」


「はっ会長及びですか?」


「すまぬが後の事は頼めるか?この後、ちょっと神成と会議室で話したくてな。後で神成のブロマイドをやるからのう」


「はっ会長の仰せのままに。ブロマイドの件。何卒よろしくお願いいたします」


「そういう事だから。彩音さん。生徒会の副会長として後は、よろしく頼むなぁ」


俺は彩音にニヤつきながらそう言った。


「………、くっ!わっわかりました。後の事はお任せ下さい。神成君。」


(後で覚えていて下さいね?)


彩音が鋭い目で語りかけて来た。


(何の事だ?)


(生徒会室に来たのもこれが狙いですか?)


(何が?)


(門倉先輩の不正を生徒会室で暴いて。その後の処理はわたくし達に丸投げ。そして今日のお仕置きから逃げるまで作戦ですね。)


冷や汗が出た。さすが、長年、幼なじみをやっているだけはあるな見透かされている。


「じゃ、じゃあ、後は、よろしく~!行くか、清太郎」


「うむ」


「あっこら、待ちなさい神成君」


可愛い可憐ちゃんがそう言って追いかけてきたが何とか振り払い俺と清太郎は部活連の会議室まで行くのだった。




聖豊中学・廊下


「しかし神成よ。」


「なんだ?清太郎?」


部活連の会議室へ向かう廊下で清太郎が話しかけてくる。


「今回の件だがな。………、早急過ぎたのではなかったか?被害者達も心の準備というものがあるだろう?」


やはり清太郎も今回起きた突発的な事件。早期に解決してしまった事を疑問に思っている。


「ひとつ質問していいか?清太郎」


「なんだ?」


「今日は何があったか知っているか?」


「今日?お前が学校の校則を破りまくったことか?それともさっきの事かのう?」


「どっちも違うわ。質問の仕方を変えよう。今日は誰と誰がいなかった?」


「誰と誰だと?……うむ。!!おぉ今日は生徒会長殿と庶務殿が学校から出ばらっていたな。それが、どうかしたのか?」


「その生徒会長と庶務が、幸運な事に不在だったから。今回の件は、早急に片付けたんだ」


「ぬ?どういう事だ?」


「学校の1番のボスがいないとなると門倉先輩も油断するしな。後1番の理由はあの生徒会長と庶務の三年生二人が居た時に門倉先輩の悪事を言ったとしたらどうなったと思う?」


「生徒会長殿と庶務殿が居た時にか?むふ、………、多分だが揉み消しにかかるだろう。後、半年もしないうちに天領高校への入学も控えている。そんな状態で同じ時期に生徒会の中で不正がバレたと知れたら天領高校での地位や特進クラスへ入る事も出来なくなるだろう」


「そういう事だ。だから今日しかなかった。分かったか?」


「うむ、納得したわ」


そんな話をしていると運動連の会議室まで着いた。


「まぁ入ってくれ。そこのソファーにでも座れ。今、茶を出すから」


「いつも思うけど。お前。何でそんなに人に親切になるんだ?」


「バカモン、我は、部下の前ではあれだが幼少の頃から武道、礼節、茶道を学んできた。お客人に礼節行うなど当たり前の事だ。ほら、茶を入れたぞ。飲んでくれ」


「おぉ、サンキュー」


うむ流石は茶道を学んで入る者。お茶が旨い。


「まぁあれだ。改めてなのだが神成はこれからどうなっていくと予想している?」


「まぁそうだな。間違いなく三年生達の勢力は弱体化するだろうな。門倉先輩って生徒会の金庫番だったんだろう?そんな人が裏では金貸しなんてやってそれだけじゃ空き足らず。暴力や○○までやってたんだ。まず、間違いなくこの学校からいなくなるだろうな」


「うむ、我もそこまでは考えた」


「門倉先輩の派閥の連中も関わっていたしそいつらも転校処罰は受けるだろうし。そうなると3年の生徒は10~20人は減るだろう。それだけ減れば3年生はだいぶ弱体化するな。今回で学校側からの信用も無くなっただろうし。それから選挙で会計を決めたと言っても多少なりとも生徒会長の責任問題にもなるだろう」


「神成や我は3年生からの恨みを相当かっただろうがな」


「いやそれは前からだろう」


「そうだったか?まぁ神成と我なら何とかなるか。わっはっはっは。まぁ、今日1日色々あったが無事解決して良かったな」


「あぁ」


「そういえば天馬とサスケから連絡があったが放課後。神成の家でエスフィール嬢の歓迎会をやるのだろう?確かパーティー名が八つ裂きパーティーとか何とか?」


「そうなのか?そんなこと聞いてないぞ?」

そんなこと初耳である。それにまた八つ裂きパーティーのワードが。


「ぬ?メールには、お主の妹殿が許可したと書いてあったぞ?まぁ帰って確めて見れば良いだけだ。楽しんでこい。」


「ん?清太郎は来ないのか?」


「我は部活がある。今日は茶道部の日だ。」


「なんで?茶道部?」


「部活を複数掛け持ちしとるのだ。それに茶道部には雨宮 寧々殿が在籍しておる。絶対、行けねばな」


そういえばこいつは天王洲派閥の雨宮さんの事が好きとか前から言っていたな。


なんでもあのかわいらしい顔立ちでクールな雰囲気がいいとか。

俺が昔冗談でもあの子貧乳だろう?と言ったらぶちギレて散々追い回された事があったな。

「そっそうか。まだ諦めて無かったのか。………、俺も清太郎の恋が上手く逝くよう願っているよ」


「おぉ、流石は神成よ!ありがとう、感謝するぞ」


そしてそれから小一時間程、清太郎と今後の事や最近の出来事などを話して談笑した。

ふと時間が、気になり。スマホで現在時刻を確認した。


「おっともうこんな時間か。じゃあ清太郎また来るよ。今日は助かった。お礼に明日何か差し入れ持ってくるから。また明日」


「ぬ!そうか了解した。我も雨宮殿に会いに行かねば。それでは、神成またな」


そうして俺は会議室の扉を開け、廊下へと出た。

「あっあの?セツナ様」


「ん?あぁ君か?」


そこには、今回の事件の最大の被害者でもある甘露寺 芽愛さんが立っていた。








(最終話)俺は、君の未来を信じている


私は甘露寺 芽愛と言います。


現在、会議室の廊下にセツナ様の前に立っています。


「あっあのセツナ様。今回は、本当にありがとうございました」


セツナ様は、私を静かに見つめています。


「効果は……消えているのか?」


効果?何の事でしょうか?


「反転して………好意は無くなったのか。………そうか」


セツナ様は聞き取りつらい小声で小さくしゃべっていました。内容が全く分かりません。


「今日の事は。まぁ余り気にしないでくれ。同じ2年生なんだ。助け合うのは当たり前だしな」


セツナ様は少し困った様な顔をしながら話してきました。


「でっでも今回の………門倉先輩の事を解決してくれただけじゃなく。お父さんの会社まで助けてくれるなんて。なんて感謝したらいいか」


「ん?桐生さんに頼んだことかな?上手く送金されたのか?あぁ、お金の事は気にしなくていいよ。返さなくてもいい。甘露寺おじさんには昔からお世話になっていた大恩人だしね。後でおじさんにも連絡しておくよ。それじゃあ」


「えっ?」


セツナ様は話終えると玄関口へと続く廊下へ歩き出しました。


「ちょっと待って下さい。なにかなにかお礼をさせて下さい。私ができる範囲で何でもしますので」


それを聞いた。セツナ様が立ち止まる。


「君?今、何でもって言ったか?」


「え?はっはい。」


先ほどとは違いまるで待ち合わせの空き教室へ入ってきた時の声でした。

私に向き直り。私の瞳をジーッと見ています。


「はぁ~これじゃあ、また泣かれるか。芽愛さん。」


「は、はい」


「さっきの何でもと言っていたね」


「言いました」


「じゃあ今から俺が言うことを少しこれからの人生に役立て欲しい」


「これからの人生に?ですか?」


私はてっきり。肉体的な関係を迫られると思っていましたが全然、違いました。


「芽愛さん。これからは自分を大切にしてほしい。それから心を強くするんだ。君は優しい過ぎるよ。今回の件だって甘露寺おじさんの為に門倉先輩からお金を借りたんだろう?」


「はい」


「君は悪い奴らに漬け込まれやすいんだ。今回の件もそう。門倉先輩にお金を借りる前に彩音や派閥の子達に相談するべきだった。そればかりか、今回は橘さんまで、巻き込んでしまった。そうだろう?」


「その通りです。全部私がいけないんです」


顔から一粒の涙が溢れました。


「………。昔や今回は俺がたまたま気づいたから助かっただけだけど。この先また同じ様に誰かに騙されるとも限らないだろ?だから、今日の事を反省して明日から頑張ってほしい。俺はそれを君にお願いするよ。他は何もいらない」


「………セツナ様ですが」


「………君は昔から変わらない」


「えっ?昔から?」


「昔、神成家のうちの父さんと甘露寺家で何度も食事会をした時。結構会ってたじゃないか?覚えてないか?」


えっ?昔、結構会ってた?私は昔の事を一生懸命思い出そうとしました。


(こんにちわ甘露寺君。今日は食事会に招いてくれてありがとう。こっちは息子のセツナだ。ほら、セツナ挨拶しなさい。)


(はい父さん。神成 セツナです。いつも父からはお話を聞いています。今日は、お会いできてうれしいです。甘露寺さん。)


(セツナ、甘露寺君にも同い年の娘さんがいるそうだ。あっちで一緒に遊んで来なさい。)


(こんにちわ神成 セツナです。君は、そうか、芽愛ちゃんって言うのかい?よろしく。)


(ほらまた騙された。君はあれだね、他の誰よりも優しいね。だから直ぐに引っ掛かる。ただ気をつけて。この世界には沢山、悪い人達がいるんだ。だから……。)


……、だから今日の事を反省して明日から頑張ってほしい。俺はそれを君にお願いするよ。………。


思い出しました。………、昔、セツナ様、いいえセツナ君に昔、同じことを言われた事を……。


本当は、昔から気にかけていてくれた事を………。


何で?


何でこんな大事な事を忘れていたんでしょう?


私は、


私は、


私は愚か者です。


そう思った瞬間。私の目からは涙が溢れて来ました。




「思い出したかい?だからもう一度。今度は少し言葉を変えて言うよ」


少しの間があった後セツナ君は自分の右手を私の右肩に優しく置きさっきの言葉の続きを話してくれました。


「俺の言葉。……そのまま全て聞いてくれなんて言わない。ただ、もっと君自身を大事にして欲しい。それからもっと周りに相談した方が良い。君の芽愛ちゃんの周りには頼りになる人達が沢山いるんだから。1人で抱え込まないでくれこれからは」


「うん。うん」


私はまた、涙が溢れ。まともに喋れない状態で頷きました。


「よし明日からまた頑張って行けるさ。なんたって君は甘露寺おじさんの娘さんなんだから。あの人も何度も何度も失敗しても最後まで諦めずに進んできた。だから、……だから君も挫けずに頑張ってみてくれ。俺もなにかあれば手伝うからさ。だから、俺は君の未来を信じている」


セツナ君はそう言うと私の方に置いていた右手を下ろしました。


「うん、………頑張ってみます。ううん、頑張ってみるよ、セツナ君、ありがとう。」


私は、涙を拭い去り。セツナ君に向かってとびっきりの笑顔で笑って見せました。


………ありがとう。セツナ君。これで私は成長できます。


………貴方が真摯になって伝えてくれた言葉を糧に。


………前へ前へと進んで行きます。


………新しい明日が待っているんだから。私は強く、強く変わっていきます。



………だから、最後に心の中で言わせて下さい。


このご恩は一生忘れません。ありがとう………ありがとうございます。セツナ君。


私は成長します。私、自身の明るい未来の為に。


『賑やかな学校と君との思い出』編


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