カミナリ VS 夜叉巫女 ROUND3 何を油断してやがる? ~ カミナリ VS 夜叉巫女 ROUND4 黒竜召喚
(『召喚魔法』と言うから何を壮大な神獣でも出すかと思いましたが‥‥‥‥まさか近くに居た仲間の1人を呼び寄せただけとは‥‥‥とんだ期待外れなり)
「あん?何をじっと見てやがる?楽器仮面やろう?」
「威勢だけではこの夜叉には届きませんよ。騎士殿。『洗礼者』の召喚魔法。少しばかり期待しましたが、お仲間お一人呼んだくらいで何が変わると?‥‥‥‥」
夜叉がそう言い終えようとした瞬間。
「おい!何を流暢に語ってんだ?お前?」
「なっ?!」
夜叉の目の前に先程まで上空に居た筈の黒騎士が現れたのでした。
「反応が遅えんだよ!「夜○術『一の型・百鬼夜行・黒正鴉』」
「くっ! いきなり夜叉の後ろに現れ?‥‥‥‥!」
「油断し過ぎだぜ? 楽器野郎!!それから、てめえはカミナリを舐めすぎなんだよ!!イライラするぜ!その余裕そうな態度!!さっさと消えな!!!啄め!!黒正鴉!!」
「ガアガア」「ガアガア」「ガアガア」
黒騎士の持っている黒刀から無数の鴉が現れ夜叉の身体にその鋭い口を啄んでくる。
「くっ!こんなもの!!○龍魔法‥‥‥」
「させねえよ!楽器野郎!!!夜○術『四の型『黒棺・束縛』」
「や、夜叉の身体に黒い鉛が?な、何をしました?黒騎士殿?」
「あん? そんなの教えると思うか?『解放者』殿よう?いいから沈みな!楽器野郎!」
黒騎士はそう言うと夜叉に対して不気味な笑いを浮かべた。
「くっ! ぬ、抜け出せない!くっ!あ、ああーーー!!!」
「カミナリ!今だぜ!カマしてやりな!」
黒騎士はそう言うと上空に入る。『洗礼者』を見上げた。
「ありがとう。ヒスイ、流石は魔王領の元三騎士。頼りになる男!悪いがこれで沈んでもらうぞ。龍人族の夜叉!神代・回帰‥‥『極・雷霆生来・雷槍』」
『洗礼者』の回りに雷雲が発ち込み。遠雷が鳴り響く。そして、彼の手に雷の塊の様な物が作られ。
「‥‥‥‥『転移魔法』・『極・雷霆生来・雷槍』」
(転移魔法?いったい何処に?)
「君の目の前だよ!夜叉!!!『転移雷槍』!!!槍雷!!!」
シュン!!
「め、目の前に?雷撃の槍?!!よ、避けなければ‥‥‥‥くっ!動けない、さっきの黒騎士殿の技から抜け出せない!」
「‥‥‥‥‥弾けろ雷帝」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「がはぁ!!身体中に雷撃の衝撃がああああああ!!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!
「西側諸国の守護者。龍人族がこのような攻撃で打ち負けると‥‥‥‥‥」
「いいから!沈みな!楽器野郎!追尾しろ鴉共!!夜○術『一の型・百鬼夜行・黒正鴉』」
「ガアガア」「ガアガア」「ガアガア」
「おのれ!またしても貴方か?!黒騎士殿。それに鴉達のせいで闘技場外に投げ出される!」
「当たりめえだ!それがカミナリと俺の狙いだからな!スパイング山脈の谷底の竜共に宜しくな!!あばよ!!ハハハハハハ!!」
黒騎士は大笑いしスパイング山脈の底に沈んでいく夜叉を見上げていた。
『スパイング山脈の谷底の底』
シューーーン!
シューーーン!
シューーーン!
落ちていく夜叉。
「おのれ!おのれ!まさか、この夜叉がこのような事に!‥‥‥‥‥仕方がない。お頼み申します。眷属殿。‥‥‥‥黒龍魔法『龍翼』!!」
夜叉がそう唱えると、夜叉の背中から龍の翼が生え。夜叉の身体にへばり着いていた『黒棺・束縛』が一瞬にして粉々に砕けたのだった。
一方、頂上闘技場
「‥‥‥‥これでどれ位の時間を稼げたと思う?ヒスイ」
「1分~3分位じゃねえか?さっきの楽器野郎は油断していたが、さっきの俺とカミナリの攻撃で目が覚めただろうしな」
「何か?策はあるか?」
俺はヒスイに聞いてみる。
「神獣の奴等を喚べりゃあ。楽になるが、そもそもここの魔力濃度は高くねからな‥‥‥」
「喚べても‥‥‥霊獣クラスだ‥‥‥多分」
「だろうな!まぁ、二人でどうにかして、楽器野郎を倒すしかねえな!」
ヒスイがそう言い終えようとした瞬間。俺はあることを思い出す。
「いや、入るな1人だけ喚べる神獣が!」
「あん?だから!ここはもうユグドラシル地方じゃねえんだぞ?もう既にアテナ地方に入って‥‥‥‥」
「神煌具の中の神獣をこっちに呼び寄せる。夜叉が来たら。少し時間を稼いでくれ!ヒスイ」
「神煌具の中の神獣?!‥‥‥‥おお、その手があったか!おし!任せろ!準備に入りな!カミナリ」
ヒスイはそう言いながら。谷底から駆け上がってくる。夜叉を迎え撃つのだった。
カミナリ VS 夜叉巫女 ROUND4 黒竜召喚
『夜叉幼少期』
「お母様。あの大きな竜の子供はいったい何なのですか?」
「夜叉巫女。あの子は貴女の眷属になる者ですよ。さぁ、ちゃんと挨拶してくるのです」
「キュウ~!キュウ~!キュウ~!」
「今日は、黒くて大きな。‥‥‥‥お母様。この子の名前は何ですか?」
「名前ですか?名前?名前‥‥‥‥多分、まだ、ありません。そうですね。せっかくですから貴女が付けたらいかがですか?夜叉巫女」
「私がですか?‥‥‥‥‥では、貴方は身体が黒色なので『クロ』と名付けます」
「『クロ』ですか?それは、ちょっと。安直すぎるのでは?」
「キュウ!キュウ!キュウ!!」
「わあぁぁぁ!とても喜んでおります。お母様!夜叉も嬉しい」
「‥‥‥よ、喜んでもらえて良かったですね。夜叉巫女。では、『クロ』殿。今後は夜叉巫女の眷属としてどうかこの子の成長を助けてあげて下さい」
「キュウ!キュウ!キュウキュウ」
「分かりましたと言っています!お母様」
それを聞いて夜叉の母は驚愕した。
「?!何故、『クロ』殿の言っていることが分かったのです?夜叉巫女」
「『クロ』の心の声が私の中に入ってきました。それを私がお母様に伝えて‥‥‥変でしたか?お母様?」
「‥‥‥そうですか。先程、会ったばかりなのに。もう、意識共感ができる様になるとは‥‥‥‥‥母は今後の夜叉と『クロ』殿の成長がよりいっそう楽しみになりましたよ!」
そうして、母は夜叉と『クロ』に抱きつくのでした。
「お母様。くすぐったいです!」「キュウ!キュウ!」
『スパイング山脈谷底』
(夜叉様!夜叉様!お怪我は無いか?)
「クロ‥‥‥すみません。油断してしまいました」
(それよりもお怪我は?)
「それは大丈夫です。クロ。龍人族の身体は他の種族よりも」
(強靭!いつも。夜叉様の口癖だな)
「‥‥‥クロ!次は油断しません。心配させて申し訳ありません」
(良いのだ!良いのだ!夜叉様よ。クロは夜叉様の眷属なるぞ。いくらでもクロを頼るのだ)
「ありがとうございます。クロ!‥‥‥‥では、今度は二人の力であの『洗礼者』と黒騎士殿に挑み。勝利しましょう」
(あぁ、夜叉様よ!クロの力は夜叉様の力。だが、余りクロの力を過信する事なかれ。慎重に闘うのだ。夜叉様よう)
「えぇ!では、行きます!夜叉とクロに勝利を!!」
『頂上闘技場』
巨大な龍翼を両翼に携えその者は来た。異常な魔力の波長を漂わせ、先程の油断など最早、何処にも見え隠れしない。
「来たぞ!カミナリ!その、神獣って野郎の召喚にどれ程かかりやがる?」
「4分‥‥‥いや5分は持たせてくれ。ヒスイ。そうすればアイツも答えてくれるだろ」
「5分か!‥‥‥龍人族。相手に5分‥‥‥上等だ!持たせてやるよ!行くぜ!楽器野郎!!」
「夜叉の楽器は壊れ申した。付けていたお面も雷撃で焼け落ちました」
夜叉はそう言うと俺達の方に顔を向けた。
『闘技場観客席』
「あの龍人族のにゃつ。お面が外れてるにゃあ!メイエス!」
「外れてはいるが、こちらからでは遠くて見えんぞ。セシリア」
「魔法族の目だと遠くまで見えにゃいかにゃあ?わっちは獣族だから。ハッキリ分かるにゃが。‥‥‥‥結論から言うにゃあ。メイエス」
「何じゃ?セシリア」
「あの、襲ってきた龍人族にゃあ」
「あぁ!」
「めちゃくちゃ可愛い顔した美少女にゃあ~!また、新たな火種かにゃあ?」
「まだ、フラグができたわけではない。そんな、行く所。行く所の道中で美少女との出会いがあってたまるか。全く」
「‥‥‥‥‥そうだといいけどにゃあ」
『頂上闘技場』
「‥‥‥‥なんだ!女か!」
「女でわるいですか?黒騎士殿」
「いんや!悪くねえぜ!強ええ奴に女も男も関係ねぇ!そして、龍人族で『空間魔法』と『龍召喚魔法』か?を使うあんたは間違いなく強者だぜぇ!‥‥‥‥あんた!名前は?」
「‥‥‥夜叉巫女と申します。貴方とあちらの『洗礼者』はどの様な?お名前で?」
「俺はヒスイだ!魔王領。出身だぁ!宜しくな!そして、あっちが俺の契約者!カミナリだ!」
ヒスイはそう言うと俺の方を指差した。
「ヒスイ殿にカミナリ殿ですか。‥‥‥‥では、改めて。強者の二人よ。勝負頂く。先程の様な慢心や油断は致しません‥‥‥参ります」
最初に出会った頃の油断していた夜叉の姿はそこには無い。あるのは、1人の龍人族の強者。ただ、1人だ。
「なにする気だ?いや?何を喚ぶ気だ?あんた?」
ヒスイがそう言いながら夜叉との間合いを取る。
「我が家族を‥‥‥‥我が眷属をここに!‥‥‥龍人の夜叉巫女が願い奉る。我が長き眷属をここに」
「ヒスイ!止めろ!!なんだか嫌な予感がする!!」
「だろうな!!!『黒鴉朧』」
「ガアガア」「カアカア」「ガアガア」「ガアガア」
闇霧から大量の鴉達が夜叉へと向かう。
(遅いぞ!黒騎士)
突然、俺達の頭上よりも上から何者かの声が聴こえる。
「‥‥‥‥黒龍魔法・眷属召喚『黒龍・顕現』」
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!」
それは夜叉の祝詞が終わったと同時に現れた。全長は軽く数百を越え。その声音はスパイング山脈全体‥‥‥‥いや、アテナ地方。ユグドラシル地方‥‥‥そして遥か先のフレイヤ地方にまで響き渡ったと後の魔法新聞の記事には記載された。
「化け物を喚びやがった!‥‥‥‥」
「これが龍人族の本気か‥‥‥‥‥」
「最早油断や慢心はない」
「こちらから闘いを望んだが、我が主が負けそうなだ。悪いがお二人よ。我も闘う。許したもうよ」
黒龍はそう言うとスパイング山脈の頂上へと静かに舞い降りたのだった。




