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スパイングドラゴン


 その山脈は天然の要塞である。


神話~神代。神代~現在へと悠久の時を経て創られた要塞。


神竜、魔竜、妖精竜、龍族とも違う。


無知の野生竜達が住む場所。


険しい山々と風が吹くその場所を皆が称えてこう呼ぶ。


『スパイング山脈』と


著『冒険家・ラインバッハ・エゴル』


『スパイング山脈』6合目辺り。


「‥‥‥‥だってさ、皆!」


「うぅぅぅ!ハックション!!なんじゃ?セツナ。なんか、申したか?」


 エスフィールが寒そうにクシャミをした。とても、一国の元魔王とは思えない光景だ。


「うぅぅぅ!寒いにゃあ!」


「‥‥‥‥‥俺が修行場に使ってた『ソロモン山脈』とはえらい違げえ、気候だぜ!空は暗いし、風は強ええしよう!」


「それは不憫だな」


 俺は寒がる3人を見て同情をする。


「「「‥‥‥‥おい!」!」にゃあ!」


 3人は同じタイミングで俺に話しかける。


「なんだ?3人共?」


「何故、お主は寒がらないのだ?」


 エスフィールがガクガク震えながら聞いてくる。


「ぶえくっしょん!そうにゃあ!不公平にゃあ!」


「‥‥‥‥‥カミナリ、まさか、お前!妖精の加護でも受けてんのか?」


「妖精の加護?なんじゃそれは?ガクガク」


「ずずー!寒いぜぇ!‥‥‥‥『セルビア』やエウロペ大陸に入る神代の妖精達と契約してやがる奴等が受けられる『祝福』みてえなもんだ。―女神―の『祝福』よりは質は下がるがな!」


「‥‥‥そうか!セツナの奴は『双星の大洞窟』でイフリート様と妖精契約を結んでおるから」


「寒さを防ぐ。妖精の加護が付いてんだろうよ、なぁ、カミナリ?!」


「‥‥‥正解。さぁ、どんどん進むぞ!って無理そうだな。火魔法『防火結界』」


 俺は3人の周りに温暖の火膜を構築し。火魔法で俺達の周りだけユグドラシル地方一帯の平均気温と同じ温度に変えた。


「ふにゃあ~!暖かいにゃあ~!始めからこうしてくれると助かったのにゃあ~」


「そうじゃな!とっ、言ってもやりたいが‥‥‥‥」


 エスフィールが何かを言いかけてたが、目の前の何かに気づいて身体を硬直させる。


「あぁ、そりゃあ、そうなんだかな!アインズさんよう!それをやっちまうとだ!‥‥‥‥」


 ヒスイも身体を硬直させる。


「にゃ?どうしたのにゃあ?二人共。目の前の空なんか見てにゃあ?‥‥‥‥」


 セシリアも二人に連れて目の前の何かに目を向ける。


「ギャアアア!!!」


「キュルルルル!!」


「ピギャアア!!!」


「シュルルルル!!」

「‥‥‥‥野生の竜。スパイングドラゴンの群れか?!」


 俺は冷や汗をかきながらそんな、言葉を漏らす。


「ご名答じゃ!セツナ!!奴等は知能は皆無じゃが、体温感知能力はずば抜けて高くてのう。もしも、こんな風吹き荒む中で高温の火魔法やらを使う日には‥‥‥‥」


「使う日には?」


「「「「シュルルルル!!キュルルルル!!、ゴキゴキゴキゴキ!!ギャアアア!!!」」」」


「あぁ、やって。群れごと獲物に襲いかかって来るんじゃ!」


「‥‥‥まずい!どっかに隠れるぞ!皆!」


「転移魔法でいつもみたいに逃げないのかにゃあ?」


「あれは魔力濃度が高いユグドラシル地方だからギリギリ簡易転移まで使えていたんだ!でもここはもう、ユグドラシル地方とアテナ地方の境い目。前みたいにポンポンポンポン転移魔法は使えないぞ!」


「おにゃえ、『セルビア』で内乱中のどさくさに紛れて数万人の新しい魔力供給者を得たんじゃなかったのかにゃあ?セツニャ」


「‥‥‥‥‥それを何故貴様が知っている?セシリア」


「サーシャから聞いたにゃあ!兄弟子の事だから。絶体ろくな事に使わないって言ってたにゃあ」


「あの、ロリっ子め!余計な事を」


「‥‥‥‥どういう事じゃあ?セツナ!」パキン、コキン!


 エスフィールが両手を鳴らしながら俺の方へと近づいてくる。

くそ、前はスパイングドラゴンの群れ。後ろには元魔王様とは最悪の状況である。


「おい!冗談はその辺にしときな!あんたらよう!‥‥‥しょうがねえ!おれの闇の帳で‥‥‥‥」


ヒスイが闇魔法を使おうとした瞬間。


べ、ベン!ベン!ベン!ベン!ベン!


「ん?琵琶の音?」


 何処からともなく琵琶の音響がスパイング山脈に響き渡る。


「よもや、スパイングドラゴンの群れとは‥‥‥‥お痛わしいや!『残響』」


「「「「「「シュルルルル!!?!ギャアアア!!?!グゲエエエエ!!!ゴルルル!!!?!」」」」」」


ベン!ベン!ベン!ベンベン!!


 一瞬。何処からか声が聞こえて来たと思った後、スパイングドラゴンの(むれ)は意識を失い山脈の谷底へと次々に落ちて行った。


「風かなんかの魔法か?誰かおるのか?」


 エスフィールが周りを見渡す。


「ええ!ここに居ります」


「‥‥‥誰だ?てめえは?!」


 ヒスイが噛みつく。


「お初に!!」べ、ベン!


そのものは琵琶楽器の様な物をならし俺達の目の前に現れた。


「夜叉は現代の『神ノ使徒』候補である物で西の『解放者』の名を与えられた者。この中に夜叉と同じ立場の『洗礼者』に会いたく。この場に参った。いざ、尋常に勝負して頂く」


べ、ベン!!


 いきなり現れ夜叉と名乗り。般若の面を被った『解放者』が俺達の目の前に姿を現したのだった。




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