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罠と指輪


北の大都市サラマンダー


 蓬莱様とアオイちゃんとお別れした次の日。俺は転移魔法でサーシャ御一行が入るサラマンダーに来ていた。

 何やらサーシャがサラマンダーの焼き菓子を気に入って首都『オーディン』に移動したくないらしい。


「‥‥兄弟子。この箱は?‥‥‥」  


「グギギギ! 空かないわ! クリス!」


「ゴギガガギギゴ! 本当だね! ハニー! 空かないよ! セツナ」


「渡した瞬間に空けようとするなアホ夫婦」


「まぁ、夫婦だなんて!」「ふう!嬉しいことを言ってくれるね」


 あぁ、めんどくさいやり取りを毎回、毎回と。


「あぁ、めんどくさいやり取りを毎回、毎回と。」


「‥‥‥兄弟子! 心の声駄々漏れ‥‥‥」


「おっと失礼」


「それで? これはいったい?」


「何なのかしら?」


「あぁ、それかい? それはな、エウロペ大陸内の地上なら。俺を呼び寄せられる」


「‥‥‥転移魔道具?‥‥‥」


「そうだ(嘘だが)!」


 本当は君達。3人組をギャラ先生の前に送る為の魔道具だ。行ってらっしゃい。『幻獣の楽園』という名の地獄へ。


「何でこれを僕達に渡すんだい?セツナ」


「君達3人は元々、俺を探してくるように、マーリン先生からお願いされてたんだよな?」


「‥‥‥うん‥‥そう‥‥」


「なら、話が早い君達が『セルビア』から『魔法中央国』に戻った時、その箱をマーリン先生の前で開ければ。あら不思議、その中に付与した転移魔法陣から俺が召喚されるって仕組みだ」


「なんと!」「まぁ、それなら。セツナを無理やり『魔術院』へ連れていかなくても」


「‥‥‥私達が帰れば‥‥‥ミッションコンプリート‥‥‥」


「そういう事だ」


 嘘だがな。その箱は俺が『セルビア』国内から出た瞬間。強制的に君達三人組をギャラ先生の前に召喚する術式を組み込んだ。簡易転移の魔法を付与した魔道具だ。


 これで君達とギャラ先生の感動の再開が叶うというもの。


「ジーーーーイィィ!」


 そんな事を考えているとサーシャが俺の顔をずっと見てくる。


「‥‥‥‥なんだよ。妹弟子?!」


「‥‥‥怪しい‥‥‥話ができすぎている‥‥‥」


「俺の事が信用できないのなら。今、貸している魔道具一式を今すぐ返して貰おうか? サーシャ殿?」


「‥‥‥うわぁ! 兄弟子‥‥‥サイコー!‥‥‥」


「‥‥‥‥ならばいい」


「‥‥‥了解‥‥‥」


「じゃあ、俺はオーディンに戻るからまたな。3人とも。 (永遠に)」


「ええ、魔法中央国で」


「待ってるよ! セツナ」


「‥‥‥‥モグモグ、焼き菓子サイコー‥‥‥バイバイ‥‥兄弟子」


 コイツもセシリア同様。何か食ってるし。


シュン‥‥‥‥


 首都オーディンに戻るその足で各都市の市長達にも挨拶に周り最後に西の大都市『ノーム』に来ていた。


「じゃあ、俺達は故郷に帰るぜ。ノーム将軍。オウボウ看守長さんよう!」


「世話になった!」「今度は観光で来ます」「またね!ライハちゃん!」「オウボウ!殴って悪かったな」

「皆さんもお元気で!!」


「おぉ! またのう。お主ら。寂しくなるのう」


「故郷の家族や友人達に早く会えることを祈っている。」


「皆様!お元気で!」


 元囚人達に手を振る三人。


 『アーラ監獄』に収容されていた15000人者もの言われもない罪で捕まった元囚人達が故郷に帰る為。西の『入国門』を目指して連日の様に旅の帰路に着いていた。


「おぉ! 凄い数が『入国門』を目指すんですね。オウボウさん」


「ん? おぉ! ナルカミさん。お久しぶりです!」


「ん? ナルカミ?」


「あぁ、ナルカミ様。ご無事で良かった」


 俺の存在に気づいて俺に話しかける。オウボウさんとライハさんが近づいて来た。それにちょっと遅れてノーム将軍らしき妖精もやって来る。


「ナルカミさん! 聞きましたぞ『妖精国』での活躍。大変でしたな」


「いやー! 着かれましたよ」


 オウボウさんとそんな話をし始めた瞬間。


ガシッ!


 ライハさんに俺の両手をがっしりと捕まれた。


「?!ライハさん?」


「ナルカミさん! 私。ずっと心配してたんですよ。そのせいで夜も眠れなくて」


「そ、そうなんでか‥‥‥‥力強‥‥‥」


「もう、離しません」


「離しませんて! いや、離しましょう」


「‥‥‥‥私、私、もう少ししたら『セルビア』から離れるんです」


「いや。だから、離し‥‥‥‥セルビアから離れる?『魔王領』に帰るんですか?」


「違います。故郷の『魔法族の里』に行けってお母様から手紙が来てしまいまして」


「『魔法族の里』に行く?」


「はい。何でも『幻獣の楽園』が襲撃にあったから。ユグドラシル地方の警備を強化するために貴女は『魔法族の里』の警備をお願いねって書いてあったんです。ほらあ!!」


 そう言って。ライハさんは1枚の手紙を俺に見せてきた。おお、なんて綺麗な字だろうか。


「どれどれ‥‥‥‥‥」


 その手紙にはライハさんを心配する母の気持ちが丁寧に書かれていた。

 そして、手紙の最後ら辺に『魔法族の里』に行ってください。貴女にはいつも迷惑をかけてご免なさい。ライハ。っと書かれていた。


「良い、お母様ですね」


「はい! 自慢のお母様です。‥‥‥そうじゃなくて!これだと、もう、ナルカミ様に会えなくなっちゃいます」


「そうですか! では、また何処かで会える事を期待しましょう。では、ライハさん。皆様さような‥‥‥そろそろ、手を離して下さい!」


「いやです」


「ハハハ、魔法族の魔法剣士は力が強いからのう。一度握られたら。なかなか逃げられんぞ。色々とな!カミナリよ!」


 ん? ナルカミよ?! それにこの声は‥‥‥‥


「シンじいさん? シンじいさんがノーム将軍だったのかよ?!」


「ハハハ、久しぶりじゃな?カミナリ?お主は‥‥‥‥全く何も変わっておらんな?ハハハ」


「まぁ、色々あった」 


「そうか、そうか。元気ならそれでよし!」バシッバシッバシッバシッ!


 凄い勢いで俺の背中を叩く。ノーム将軍改め、シンじいさん。


「あ、あの? お二人はお知り合いで」


「ん? あぁ、昔、孫娘が世話になってな。その時にワシも色々助けてもらったり」


「あぁ、あった、あった。お孫さんは元気?」


「孫『娘』?」


 ミシ! 何故か握る手の力が増す。ライハさん。


「おぉ、元気じゃ! 今は南西の学校に通わせておる」


「へー! そうなんだ。久しぶりに会いたかったな。コロンちゃんに」


 ギシ! ミシ!


「‥‥‥ライハさん」


「何ですか? ナルカミ様? 手が‥‥‥メチャクチャ痛いからそろそろ離して‥‥‥」


「離しません‥‥離れませんよ」


「ハハハ! 大変じゃな! カミナリ!」


「‥‥‥だから、言わんこっちゃない」


 俺達のやり取りを見て。シンじいさんは笑いだし。オウボウさんは心配している。


 やはり、オウボウさんは優しい人だな。


「‥‥‥‥離してくれたら。宝石の魔道具をあげます」


 ぱっ!


「何を頂けるんでしょうか?」


 秒で離しやがったよ。この子。‥‥‥えーと! 俺は魔法の袋の中に手を突っ込み。宝石を探す。


(何でもいいか!ん?!丸っこい?なんだこれ?‥‥‥‥まぁ、いいか!)


「よいしょ! はい! どうぞ」


 俺は取り出した。宝石の魔道具をそのまま、ライハさんに渡した。


「まぁ、指輪ですか?」


「ん? 指輪?」


 確かによく見てみるとそれは赤色の高そうな指輪だった。


「しかも、これ魔法族の『誓いの指輪』こんな、高級な物頂けるなんて。私、大切にします。ナルカミ様」


「お、おう!」


 俺は変な汗が出始めた。


「ナルカミさん! ナルカミ殿」


 オウボウさんが小声で話しかけてくる。


「なんですか? オウボウ看守長」


 懐かしいやり取りである。


「よいのですか? ナルカミ殿。あの指輪は魔法族の宝『誓いの指輪』あれに誓いを立てた男女は‥‥‥」


 俺の汗が止まらない。


「それに何故? あんな、お宝を貴方がお持ちで?」


 昔、魔法族の里に忍び込んで頂いたとは申せない。


「闇市で見つけました‥‥‥」


「な、なるほど!」


 まずい、早く消えなくては。


「ではシンじいさん、オウボウさん、また会えて嬉しかったです」


「うむ! またのう! カミナリ!」


「はい! 色々お世話になりました」


「‥‥‥ライハさん。では、これで失礼‥‥‥」


「あっ! 待って下さい! ナルカミ様!!!」


 ライハさんの豪腕が飛んでくる寸前に。


シュン!


 俺は転移魔法で首都『オーディン』へたどり着いた。

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