別れの挨拶と召喚魔石
『セルビア』に帰還して2日目。
俺は久しぶりに1人時間を満喫するべく。首都『オーディン』の城下町をプラプラと歩いていた。
「‥‥‥‥城下町は『ヴォーデイガン』の襲撃の後、すっかり賑わいを取り戻してるよー! とかアルが言っていたな‥‥‥‥‥」
俺がそんな独り言を言っていると。
「あーー! やっと! 見つけました。セツナ様!!」
「おぉ! 本当だ! 雷様よお!!」
目の前から見知った二人の契約者達が俺に近づいてきた。
1人は青髪の女の子で。『セルビア』の南の大都市ウンディーネの守備を任せていた。青龍の『アオイ』ちゃんだ。
そして、もう一匹は今回の『セルビア』では大変にお世話になった。『和国』の神獣『蓬莱』様がフヨフヨ宙を浮かびながらやって来た。
この蓬莱様、昨日まで。疲れきって魔法の袋の中で休養していたのだが。今日の朝、ようやく動ける様になったらしい。
「おぉ、2人共。仲良くこんな所で何してたんですか?」
「あぁ、『和国』の奴等にお土産をな」
「はい! 私、何もしてないのに恩賞なんて頂いちゃって」
「俺も貰ったぜ! 恩賞と濃厚な魔力残滓をな」
「まぁ、アオイちゃんは居るだけで脅威だし。敵の牽制になるからな。‥‥‥‥蓬莱様は本当に良く頑張ってくれましたから。感謝しても仕切れないくらい」
「‥‥‥‥なんだい。改まってよう。そうか、へへへ、感謝してくれるのかい?雷様」
ん? 蓬莱様が何処か寂しそうな表情を浮かべて?
「蓬莱ちゃん。ほら、ちゃんと最後の挨拶をしないと‥‥‥」
ん? 最後の挨拶?
「‥‥‥あぁ、分かってるよ。アオイちゃんよう‥‥‥‥‥雷様よう」
真剣な顔で俺に話しかける。蓬莱様。
「はい? なんでしょうか?」
「‥‥‥そのよう。このエウロペ大陸の『セルビア』も厄災が去っただろう?」
「は、はい」
「そんでだ。雷様が俺を最初に呼んだ時に俺が言った。(雷様がセルビアを出るまでいてやる)って言ったのを覚えているかい?」
「ええ、覚えていますよ。勿論」
「そんでな。厄災去った事だし。雷様も後、数日したら。この国を去るんだろう?」
「そうですね。‥‥‥‥‥あぁ、それでお土産を‥‥」
「おう。それで俺達もそろそろ元の大陸『和国』に帰還することにしたぜ」
「はい。名残惜しいですけど。『和国』の水龍様の事も心配ですので」
「俺は『鳴神』様だがな。帰ったら。『天照』様や『鳴神』様に色々と報告しなくちゃいけねんだわ」
おお、大事な単語が次々に出てくるな。‥‥‥そうか、この二人共にお別れなのか‥‥‥
「そうですか? 出立はいつ頃に?」
「今だな?」「はい。今ですね! お土産も買い終わりましたし」
「今? それは何とも急な話で」
「あぁ、済まねえ。『和国』は和国で色々あるんだわ」
「そうなんですよ~!セツナ様~」
「色々ですか?」
「あぁ、色々だ‥‥‥‥じゃあ、俺達の役目もこれで終いだ!エスフィール嬢ちゃんとメリュさんには宜しく言っといてくれ。雷様。男の別れに涙は似合わないからよう」
「はい!」
「では、では、サヨナラです~! セツナ様! また、会いましょうね~!!」
二人はそう言って召喚魔法陣を展開させ、この中へと入って行く。
「二人共。『鳴神』様には例の箱を渡しといたんで、『鳴神』様には、何かあればあの箱を開けてくれと伝えてください!」
「箱?‥‥‥‥あぁ、絶対伝えるぜえ!!」
「はい! 『水龍』様にも伝えておきます~!」
「今回は本当にありがとう。さよなら~!」
「おう! また会おうや!雷様よう!」
ブオン!
「さよなら~!」
ブオン!
蓬莱様とアオイちゃんはそう言いながら。召喚魔法陣の中へと消えて行った。
「‥‥‥‥‥寂しくなりますよ。蓬莱様。アオイちゃん」
そして、また城下町の探索を続けていると。
「ご主人様!!」「主殿ーー!」
今度はメリュジーヌ卿とイフリート様が現れた。
「おぉ! 今度はメリュジーヌ卿とイフリート様ですか?」
「ん? 今度は?」
「あぁ、蓬莱様とアオイちゃんがさっき別れの挨拶に来てくれて。そのまま、『和国』に帰って行きましたよ」
「蓬莱殿が和国に?‥‥‥メリュジーヌ。だから、昨日、彼は挨拶に来たのは?」
「うん。そうだね。‥‥‥お別れの挨拶に来てくれてたんだね」
「はい!」
メリュジーヌ卿とイフリート様がしんみりした顔をしている。『妖精国』の最初の方ではずっと3人で行動していたらしいから。仲良くなったんだろうな。
「それで? 二人は何故ここに?」
「ん? あぁ、ご主人様は後、数日で『セルビア』を出ちゃうんだよね?」
「えぇ、その予定です」
「そうなんだね‥‥‥‥うん。今日、此方とイフリートがここに来たのはね。ご主人様に」
「お別れの挨拶に参りました」
「そうそう」
この二人もわざわざ、俺を探して別れの挨拶をしに来てくれたのか。なんだか、申し訳ない気持ちになるな。
「お別れの挨拶ですか」
「うん。正式なお別れはご主人様が出国する時に『セルビア』と『妖精国』を上げて送り出す予定なんだけど」
「国を上げて送り出しですか?」
「‥‥先日、主殿はギャラハット卿にしつこく『幻獣の楽園』へ一緒に来るように誘われていたのを」
「モルガン様が気にしててね。出国式典は円卓の騎士が正装して送り出す。式典でもあるから。ギャラハットが好きに行動できないようにしたんだよ。ご主人様に先に出国してもらえば。『幻獣の楽園』へ一緒に連れて行かれないで済むだろうって。モルガン様が」
「おぉ! マジですか。流石は、王代理を勤めるお方」
「式典の後は、『セルビア』城内や城下町で数日間に渡りお祭りがありますので。ギャラハット卿が主殿の追いつけるのは不可能になるでしょう」
「モルガン様には心から感謝しますと伝えておいてください!」
「うん!」
「畏まりました。‥‥‥‥それと主殿。これをお渡ししときます」
「此方も」
二人はそう言って宝石な様な物を取り出した。
「これは魔石のペンダントですか?」
「はい! その二つは私達が色彩魔法で作った。主殿が私達を召喚するための魔道具になります」
「それがあれば、此方達を召喚魔法で呼び出せるから大切に持っておいてね。ご主人様」
二人は笑顔で俺の両手を掴み。そう言ってくれた。
「で、でもイフリート様。『セルビア』の厄災は終わりましたし。妖精契約はもう‥‥‥それにメリュジーヌ卿も」
「いいえ、良いのです。このままで」
「うん! うん! よいよい。このままでね。‥‥‥ご主人様がピンチになったら絶対に」
「駆けつけます」
「二人共‥‥‥‥ありがとうございます。この契約の魔道具!大切に持っておきます!!」
「うん!」「はい!」
二人はそう言うとまだまだ仕事があるからと行ってしまった。
「出会いもあれば別れも必ずあるか‥‥‥‥」
「何をしんみり」
「しとるのにゃあ?!」
「どわあああ!!!」
「おい!こけんなよ!カミナリ!」
俺が少しセンチな状態になっていると。何処からともなくチンピラ3人組が現れた。
「何をそんなに寂しそうな顔をしておる?セツナ?」
「んにゃあ! モグモグ」
またコイツは何か食ってやがルのか。
「いや、皆、一斉に別れの挨拶をしに来てくれてな。それで少しセンチな気持ちに」
「‥‥‥‥うむ!そうか‥‥‥‥思えば。長く滞在したのう。このエルフと妖精の国には」
『世界樹』を見上げる。エスフィール。
「まぁ、そうだな。‥‥‥沢山の思い出を貰ったよ」
「うむ! それを心に秘め。次の道標にしていこうぞ。セツナ! さぁさぁ! センチな気持ちになってないで。皆で城下町の露天を見て回ろうぞ!」
「うにゃあ~!」「おう。あれ、旨いぞ! カミナリ!!」
三人はそう言って俺の身体を引っ張り城下町を案内してくれたのだった。




