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水門から『世界樹』の前へ


『妖精国・ペレアスの湖』地下水門


ガゴン!!キィィィィ!!


「よし! 開いたぞ。急ごう! 皆。ギャラ先生が来る前に首都『オーディン』の城内に入るぞ」


「お、おい! どうしたのだ? セツナ! 数日前からそんなに焦り出して。早く『妖精国』を出ようなどと‥‥‥」


「そ、そうだよ! それにメリュジーヌ卿とイフリート様にちゃんとお別れの挨拶してないよ!」


 エスフィールとアルがそう言いながら。俺の背後を歩いている。


「そうにゃあ! まだ『妖精国』の美味しいお菓子を全然食べられてないにゃあ‥‥‥‥もっと食いたいのにゃあーー!」


「ほう! じゃあ、一人で戻って行ってもいいぞ! その場合。ギャラ先生とサーシャ達と共に『幻獣の楽園』へ行くことになり。あのゴリラ聖女と再会するはめになっても俺は一切の責任はおわんからな!セシリア」


「‥‥‥‥‥今、にゃんて言ったにゃあ? セツニャ? おにゃえ、今、もの凄い嫌な事言ったかにゃあ?」


「‥‥‥サーシャ達と共に『幻獣の楽園』へ行くことになり。あのゴリラ聖女と再会するはめになると俺は言った。サーシャの奴に『幻獣の楽園』へ。ギャラ先生と一緒に行くことを知ったら。高確率で君を巻き添えにしてくるだろうな」


「急ぐにゃぞ! メイエス! アル! さっさと『妖精国』から脱出するにゃよーーー!! 『幻獣の楽園』だけには行きたくないのにゃ!!!」


「何でじゃあ? あそこは現在、治安も良いらしいぞ!」


「あっ! それに『北東魔術学院』や『魔法族の里』も近いから観光にはもってこいかもね。皆で行ってみようか?」


 俺達の事情を知らないアルとエスフィールが呑気にそんな会話をし始めた。


「それは、また今度にするにゃあ!!! どのみち、セツニャが入れば。わっちは何処へでも召喚されるから。みんにゃで集まる時は好きな時に呼んでにゃあ! にゃあ! セツニャ!!」


「あぁ、勿論だ!」


 俺とセシリアは必死に叫ぶ。


「だから、何をそんなに慌てておるのだ?二人共」


「そうそう」


 くそ! これだから、頭がお花畑の一国の元魔王と大国のお姫様は。『幻獣の楽園』に行く=俺達の死が確定する。方程式が成り立つ事が何故、分かってくれないのか。


「‥‥‥‥不味いにゃあ! セツニャ。このままの流れだと。『幻獣の楽園』編~『魔法族の里』編の長編に入ってしまうにゃぞ」


 余りにも余裕が無さすぎて。訳の分からない事を(ささや)き始めたセシリア。

だが、言いたい事は何と無く分かった。


「あぁ、そうだな! ならば、2人を説得しよう。エスフィール、アル! 君達に二人にこれをあげよう」


「ん?なんじゃ?」「なになに?」


 俺はそう言って、二人にペンダント型の魔道具を手渡した。


「転移用魔道具だ。それに魔力を込めれば。俺か、俺が契約している者達の誰かを呼べる。まぁ、召喚魔法の応用だから。用が終われば元居た場所に帰ってしまうがな」


「おぉ、何と便利な。それに綺麗じゃな!」


「うわぁ、ありがとう。セツナ君。‥‥‥‥あぁ、そうか、セツナ君を呼べば芋づる式に‥‥‥‥」


「あぁ、俺を最初に呼び出せば。セシリア、メリュジーヌ卿、ヒスイ、イフリート様も召喚魔法で呼んでいつでも全員集合できるって寸法さ!」


「なるほど、それならば、私達の旅が終わった後にもう一度集まり。一緒に『幻獣の楽園』へと‥‥‥‥」


「行けたらいいな! セシリア!」


「絶対に行きたくないのにゃあ! 行くなら『魔法族の里』か『北東魔術院』にゃあ!! 『幻獣の楽園』には絶対に行かないのにゃあ!!!」


「よし! そうしよう! それしかない!」


「何故、頑なに『幻獣の楽園』へ行きたがらないのでしょうか?この2人は?」


「‥‥‥‥絶対に会いたくない誰がいたりしてね」


 そんなやり取りをしながら。俺達は『妖精国』の地下水門を潜り抜けた。




 チチ! チュンチュン!


 首都『オーディン』・『セルビア・世界樹』シルの広場


「今日ものどかだぜ!」


「ですね。ヒスイさん」


 俺がいつもの様に『セルビア』の復興手伝いをしていると‥‥‥


 ガゴン!! キィィィィ!!


「あーん?! なんだぁ?!」


 『世界樹』の前に新しくできた。巨大門の扉が静かに開いていく。


 ギギギギ!! ガゴン!!


 そして、中から見知った顔の四人組が出てきやがった。




「‥‥‥‥何で世界樹の前に出るんだ?地上の水門って確か『セルビア』の南側だったよな?」


「うん。その筈だけど。何で『セルビア城』があんなに近くに見えるんだろう?」


「転移門みたいなものかのう?」


「分かんないにゃあ! とりあえず、急いで門を閉めようにゃあ! セツニャ!」


「あぁ、そうだな! セシリア。2人共。早く扉から離れよう」


「お、おう!」「りょ、了解‥‥‥」


((本当に必死だ! この二人))


 俺はそう言いながら。操作魔法で扉を閉めたのだった。


「これでどれだけの時間稼げそうかにゃあ?セツニャ」


「ざっと、3日~4日だな! その間にお世話になった人達に挨拶回りしてサーシャ達にはお土産と称してこれを渡す」


 俺はセシリアに有るものを見せる。


「箱かにゃあ? なんかの魔道具かにゃあ?」


「そうだ!箱を開ければ。あら不思議、ギャラ先生行きの片道切符の発動だ。サーシャ達には犠牲になってもらう」


「うにゃあ! ゲスいにゃあ! セツニャ。だけどにゃあ! そこに痺れる! 憧れるのにゃあ!」


 セシリアがまた訳の分からない事を言い始めた。


 そんなやり取りをしていると。


「うおーーい! アインズさんよう!! ついでにカミナリ!!」


 ヒスイが土木工事の格好をしながら。嬉しそうに俺達に近寄って来た。


「おぉ! ヒスイ! 久しぶり!」


「黒騎士! 久しぶりだにゃあ!」


「‥‥‥何故、鎧ではなく。土木工事の格好を?」


「さぁ? 分かんないや。とりあえず、一端。『セルビア』城に行こうか。皆、地下の出来事を色々。報告しなくちゃ。色々ね! セツナ君」


 アルが何故か照れくさそうに俺を見つめた。


「そ、そうですね」


 そして、俺達は『セルビア城』の方へと移動する事にした。

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