帰路
一度起きた後。また、直ぐに寝てしまった。
肉体と魔力。
やはり肉体と魔力が全盛期の頃よりも、かなり衰えている事に気づかされた。
あの19才~20才位の勇者時代の肉体といつでも好きな時に使えた膨大な魔力総量。
それにプラスして大陸間すら移動ができていた。全盛期頃の大転移魔法及び一瞬で傷を癒せる治癒魔法。
武器はと言えば。7の秘宝の一つ『エクスカリバー』と聖魔法を駆使しての好き放題の肉弾戦。
あの頃の力さえあれば。今回の二つの『厄災』だって。『エクスカリバー』の二振りで全てが解決していたかもしれない。
「‥‥‥‥やっぱり、昔よりも弱くなってるよな。俺‥‥‥‥今は、魔道具達や召喚魔法でどうにか戦えてるけど‥‥‥‥『エキドナ』戦の最後の『エクスカリバー』の一振‥‥‥‥やはり、昔は強かったんだなと改めて思い知らされた。‥‥‥‥『エクス』と昔の肉体はもう、戻って来ない‥‥‥‥はぁ、これからどうなることやら」
二度目の寝落ちから目覚めた後。エスフィールとアルと俺で今後の三人の関係について本当に真剣に話し合った。
その後、『妖精国』の魔力濃度とこの国の特殊な地理関係を利用して。自分自身の魔力だけで疑似転移門を作り。アルと一緒に地球に一端戻る事になった。
地球に戻った後はアルと共に地球に行き、ショッピングモールでお土産やらを買っていた。
すると地球側の友達にショッピングモールで偶然出くわし。アルと一緒に居る所を見られてしまった。
その結果。女に飢えている男友達とイケメンに飢えている女友達に追いかけられ逃亡した。
あわや通路の行き止まりまで追い詰められたが、タマキにお願いして転移門を作ってもらい。無事に『妖精国』の来賓室へと帰って来ることができた。
「いやー! 凄いですね。『妖精国』の魔力は。うちが転移門を作ってアリーナに戻ったりすると。いつも飛ばされる場所がランダムだったんですけど。今回はご主人様がいた来賓室にちゃんと着くことができるなんて」
近くで浮遊していた。タマキがそんな感想を漏らす。
「‥‥‥やっぱり。地上とは全然違うよな?‥‥‥なんというか、魔力が新鮮というか、濁って無いというか、ぶっちゃけ、『セルビア』よりもかなりの魔力濃度が濃いし。」
「エスフィール嬢に至っては、魔法族というのもあって肌艶や魔力操作もかなり良くなってましたよ」
「魔法族は魔力濃度が濃いと体調が良くなるのな! 後、身体昨日も‥‥‥‥まるで神話や神代の生き物みたいだな」
「彼ら彼女らは、天界人の遠い子孫なんです。ご主人様」
「天界人? ユグドラシル様やアテナ様の遠い子孫ってことか?」
「はい。そんな感じです。だから、エスフィール嬢のエスフィール一族はユグドラシル様の7の秘宝『ユグドラの楯』の所有を認められているんです」
「へー! それは、知らなかった。それじゃあ、魔法族の他にも天界人の遠い子孫はいたりするのか?」
「そうですね。影の国の霊王やガリア帝国のある一部の特殊な種族がそれらに該当します」
「じゃあ、そいつらにこの保管してある。7の秘宝のどれかを返したり。保管してもらった方が良いのかな?」
「いえ。それは、止めておいた方が良いかもです。7の秘宝一つで国同士の戦争に発展してしまう可能性もありますので。しかも、今は、うちも合わせた5匹が『黄金の宝物庫』で快適に暮らしているので外の世界に出たいとは思ってません」
「‥‥‥‥そんなに快適なのか? タマキの中って?」
「まぁ、変な所に飾られたり。下手な魔剣士に悪用されるよりはよっぽと良いですね。仲間同士でずっと居られますし。地球に戻れば。アリーナからの探索者から逃げられますから。先日、突然現れた『エクス』さんも用が済んだら。速攻だどっかに旅立ってしまいましたしね」
「‥‥‥あぁ、そうだな。‥‥‥」
俺は最後の『エクス』との別れのやり取りを思い出して。少しだけセンチな気持ちになった。
‥‥‥‥
身体が完全に回復するまで何日か休んだ後、『妖精国』の祝勝会に招待された。
味方だった円卓の騎士達や敵側だった者達までいた。メリュジーヌ卿とイフリート様も何故かきらびやかな騎士服を着ていた。
「なんで? 祝勝会で鎧勝てるんですか?メリュジーヌ卿」
「そういう習わしなんだ。ご主人様‥‥‥そんな、事よりお金貸して。此方は、此方は明日からどうやって生きていけばいいの? ビエェェェェン!」
何故か泣き始めた。メリュジーヌ卿。
「じ、自業自得よ。カミナリ。私にもお金貸しなさい!ビエェェェェン!」
ベェデヴィア卿も泣き始めた。
突っ込むと疲れるのでスルーすることにした。
「あぁ、ここに居た。セツナ!」
泣いている2人に気を取られていると白銀の鎧を来た。ギャラ先生が現れた。
「おぉ、ギャラ先生‥‥‥‥なんか、似合わないスッね」
「うん! 私もそう思うよ」
「そうだ。エキドナ撃破後。俺を助けてくれてありがとうございました。ギャラ先生」
「いや、いいよ。いいよ。そんな、君は『妖精国』を助けてくれた恩人なんだ。本当だったら国賓として迎えられる立場なんだけど。国の体制としては‥‥‥‥」
「『エキドナ』はギャラハット卿が倒し。真の英雄が誕生したって事ですよね?ギャラ先生」
「あぁ‥‥‥すまない。セツナ」
何故か、申し訳なさそうに謝る。ギャラ先生。
「いえ、俺もそっちの方が色々とこの先やりやすいんで助かりました。こちらこそ、助けて頂きありがとうございました。」
「そうか、そう言って貰えると私は助かるよ。ありがとう。‥‥‥‥話しは変わるけど。セツナ」
「はい? 何ですか。ギャラ先生」
「私はね。このまま、『魔術院』へ戻らないことにしたんだ」
「ん? 『厄災』も去ったんだから。『写しみの虚像』でまた、半身に戻って教鞭を振るうんじゃないんですか?」
「あぁ、そのつもりだったんだけどね。‥‥‥‥あっち(ガリア帝国)にはあっちの事情があってね。‥‥‥‥まぁ、上手く説明できないんだけど」
「ん?」
珍しく、しどろもどろになるギャラ先生。
「まぁ、なんだ、ものは相談なんだけど。」
「はい!何 でしょう?」
「君達。この後は隣の国。『魔王領』へ行くんだよね」
「‥‥‥‥そうですね」
「じゃあ、少し寄り道して‥‥‥‥ユグドラシル地方を観光するという名目で‥‥‥‥私と一緒に『幻獣の楽園』に一緒に行ってくれないかい?」
「絶対に嫌です。お断りします。」
「おい?! 何でだい?」
ちっ! 何故、いきなり切れる?このクソ教師。
「ちっ! 何故、いきなり切れる? このクソ教師。」
「心の声が駄々漏れだよ。数日後には立つ。一緒に行ってもらうよ!」
「嫌だ! 絶対に嫌だ!」
「何故だい? 何故そんなに拒む? さては、何か知って‥‥‥」
「何故です? 何故、そんなに一緒に行かせようとする?」
俺が逃げようとするとギャラ先生がもの凄い力で俺の腕を掴み離さない。
「な、何も知らない。知ってても教えない」
「説明しなさい。先生、命令だ」
「嫌だ!」
「な、何の騒ぎですか? いったい?」
二人でギャアギャア騒いでいるとモルガン様が俺達の近く来てくれた。よし、チャンスだ。
「モ、モルガン様! ギャラハット卿がモルガン様とアーサー王の馴れ初めを一から聞きたいと俺に相談していて‥‥‥‥」
「なっ?! セツナ、何てことを‥‥‥‥」
「あら? そうなのですか? ギャラハット。まぁ、まぁ、では、あちらに行きましょう」
「い、いえ、モルガン様。セ、セツナもカミナリ君も一緒に」
「いえ、大丈夫です」
「そうですよ。カミナリ君は疲れていますねし。あら、フローレンス、ベェデヴィアも暇そうなのですね?」
「ビエェェェェン!‥‥‥‥へ?」「ビエェェェェン!‥‥‥はっ?」
ずっと泣いていた二人が動きを止めた。
「では、3人は私と一緒にあちらの席へ行きましょう。それでは、カミナリ君。また」
「はい。モルガン様! また」
「セツナ! 君!」
「「何で此方達も?」私達まで?」
「あぁ、ギャラ先生。連れていくなら。ちょうどいい人材が三人いましたよ。ガリア帝国のトリスとイゾルテ、サーシャが地上の『セルビア』にまだ、居るんで旅のお供に連れててやって下さい」
「! そうか、あの三人は君を探す為に『セルビア』まで来ているのか‥‥そうか、君とサーシャが一緒に来てくれればどうにでもなるね。分かったでは、君達の仲間と私達4人で‥‥‥‥」
「だから、行かないつうとるやろがい。先生達。四人で頑張って『幻獣の楽園』観光を楽しんで来てくださいな。では、さようなら!ギャラハット卿」
「何をのんびり離してるんですか? ギャラハット卿?全く。貴方は昔から話が長いんだから。あぁ、トリスタン、パーシヴァルもちょうど良い時に!貴方達も私とアーサー君の奇跡の出会いのお話を‥‥‥‥」
さっきまで楽しそうに談笑していた二人の顔が戦慄した顔に即座に変わった。
「いえ‥‥‥その」「わ、私もですかーー?」
「いえ、それはモルガン様も‥‥‥ぐへぇ!‥‥‥」
ギャラ先生が何か言いかけた瞬間。ギャラ先生の意識が飛んだ。
そんな騒ぎがあったが、祝勝会は無事に終わった。
その後は連日の様に戦勝祭が『妖精国』を上げて繰り広げられた。
俺達。俺、エスフィール、アルディス、セシリアも『キャメロット城』の色んな人達から感謝の言葉を言われ。毎日忙しかった。
そして、更に5日程たった時、『キャメロット』南部にある『ベアレスの湖』の真下にある。水門の封印が解けたとの報告があり。
俺達四人は身支度を整え。『妖精国』を後にし地下水洞窟を抜け。地下の『妖精国』と地上の『セルビア』を繋ぐ水門を潜り抜けた。




