終焉決戦No.13 厄災は去りて、皆はそれぞれの道へと進む
『セルビア・世界樹』シルの広場
「いや~! ヒスイさん! ここもだいぶ。復旧してきましたよ。これもヒスイやノームの元囚人の方々のお力があってこそです」
「そうなのか? まぁ、俺や元囚人どもは暇をもて余してるからな!それよりも。今日の仕事をくれ!! アインズさんがいなくてこっちは暇なんだよ」
「アインズさん? はぁ、分かりました。‥‥‥‥首都周りは『オーディン』様の奇跡で復元されましたが、世界樹の広場の周りは以前の戦闘でかなり破壊されてしまって‥‥‥‥今日はこの広場で復旧作業をしましょう」
「あぁ、了解だ!‥‥‥ん?下から‥‥‥でっけえ何かが這い上がって来る?‥‥‥なんだか、懐かしい力だなぁ! おい!‥‥‥‥まるで聖剣を持ってた頃のカミナリみたいな力だな!」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
「ヒ、ヒスイさん?!」
「どんどんどんどん! 近づいて来てるな! おい!」
「ゆ、揺れてませんか? ヒスイさん」
「あ、あぁ、すげえ! 力だ!‥‥‥‥間違いねえ! この力! 聖剣を持ってた頃のカミナリの力だぜ! マジかよ! おい! カミナリの野郎! 地下世界で全盛期の状態で闘ってやがんのか!‥‥‥‥俺も行きてえええ!」
「ヒ、ヒスイさん。いきなり、大声をあげてどうしたんですか?」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
『妖精国』から『セルビア』へ、地下から地上へと聖剣の黄金の力が遥か地上へと。上へ上へと天へと登り続ける。
ドドドドドドドドドドドドドドドド
そして、その力は地下の『妖精国』と地上の『セルビア』を繋げる新しき道となる。
ドドドドドドド‥‥‥‥ズザーーン!!!
「スゲー! スゲーぞ! カミナリ!! 貫通して来やがった。遥か地下から、この『セルビア』まで。くぅ~! 俺も今のアイツと闘いてぇ~! 闘いてぇよ~!」
「ヒスイさん! 落ち着いてー!」
‥‥‥‥‥
『エクスガリバー』の力で『世界樹』の広場。シルの広場に大穴が空いた瞬間。緑色の光が表れる。
「あん? なんだ? 緑の光だあ?」
フォン! ガゴン!
「あん? 緑色の巨体な門が表れやがったぞ?! あの大穴と同じ位の大きさか?」
女性の手の様な形の神秘的な何かが出現し。新たな地上と地下への道。『緑聖門』をゆっくりと閉ざす。
「おお、スゲー! 神々しいな! おい! 心が洗われる感じだぜ!」
ガゴン! ギ、ギ、ギ‥‥‥‥ガゴン!
「そして! 閉まっていくぜ!」
「閉まりましたな」
スゥゥーー、シュン‥‥‥‥‥
「神秘的な手が消えやがった」
「消えましたな」
「‥‥‥‥‥仕事するか! 旦那! なんだか、今日は機嫌がいいぜ!」
「‥‥‥そうですな。色々、突っ込み所がありますが、仕事しましょう」
『狭間の世界』
(私は? ここは?‥‥‥‥‥負けたのかしら?)
(そうね!)
(誰? 誰なの?)
(久しぶり! エキドナ)
(貴女は‥‥‥‥ギネヴィア?)
(フフフ、そうよ、エキドナ! 元気だった?)
(‥‥‥‥‥元気に見える? ギネヴィア。私、私は貴女の身体で負けてしまった。貴女がせっかく私に託した。大切な身体で‥‥‥‥)
(そうね! エキドナ。貴女は負けてしまったわね。私があげた身体で‥‥‥‥‥貴女は頑張ったわ)
(‥‥はぁ? 貴女、何を言って‥‥‥‥)
(頑張っていたじゃない。自分の身体の運命に抗って、時を待ち続けて、そして、最後まで闘い続けた)
(でも、私は沢山殺したわ。沢山ね‥‥‥ギネヴィア。貴女もその1人で‥‥‥‥)
(そう。そうね。エキドナ‥‥‥‥貴女は沢山悪いことをしてきたわね。でも、それは貴女はだけじゃない。この私もよ。エキドナ)
(いや、ギネヴィア。貴女、何を馬鹿な事を言って)
(だからね。エキドナ、私も貴女の罪を背負う。背負ってあげるわ。だって私達は‥‥‥‥)
(ギネヴィア、だから何を言って)
(私達は、親友なんだから)
(親友?)
(そう、親友。‥‥‥エキドナ! 私が小さい頃に話しかけてくれてありがとう。お友達になってくれてありがとう)
(ギネヴィア‥‥‥)
(私は貴女が本当は優しく、美しい心を持った人だって知っているわ。ある1人の男性を愛する事も。だから、だからね。貴女の罪を私にも背負わせて。エキドナ‥‥‥‥)
(ギネヴィア‥‥‥‥ギネヴィア、私、私は‥‥‥‥)
(うん)
(‥‥‥一緒に行くわ。貴女と‥‥ギネヴィアと罪を背負う‥‥‥‥私が犯した罪と向き合うは)
(うん)
(‥‥‥‥だから、私の側にずっと居て下さい。ギネヴィア)
(‥‥‥‥うん。エキドナ! 一緒に行きましょう。だって貴女は私の友達なのだから)
(‥‥‥‥うん。ありがとう。ギネヴィア‥‥‥)
そして、2つの魂は『狭間の世界』からゆっくりと静かに消えて行った。
『世界樹の根』
白い世界
『終ったね。セツナ‥‥‥』
「『エクス』?」
『‥‥‥‥もう、大丈夫ね』
「‥‥‥‥あぁ、大丈夫そうだ‥‥‥‥」
『私、抜きでこれから大丈夫そう?』
「‥‥‥あぁ、頑張ってみるよ。『エクス』」
『そう‥‥‥もう行くね』
「そうか‥‥‥行くって何処に?」
『そこと‥‥‥後、半分はどっか違う所。分かった?』
「そうか、じゃあ、暫くは会えそうに無いな」
『うん!‥‥‥‥久しぶりに会えて嬉しかったわよ。セツナ‥‥‥‥身体は私が居なくなったら元に戻るからね。分かった?』
「あぁ!」
俺は少し涙汲む
『ちゃんと。また、強くなりなさいよ。分かった?』
そして、『エクス』も
「あぁ!」
俺は目から涙を流す。
『いきなり、消えてごめんなさい。分かった?』
そして、『エクス』も
「あぁ!」
俺は『エクス』を抱き抱え、号泣する。
『長い間。私を大切にしてくれてありがとう。わがっだ?‥‥‥』
そして、『エクス』も‥‥‥‥
「あぁ!俺に沢山の思い出をありがとう‥‥‥‥」
俺は『エクス』との沢山の思い出を思い出す。
『うん! うん!‥‥‥‥さようなら!セツナ』
そして、『エクス』も
「‥‥‥‥あぁ、ありがとう。最愛のパートナー『エクスカリバー』‥‥‥‥」
そして、俺は現実世界へと意識を戻した。
『世界樹の根』
「セツナ! セツナ! おっと。やっと目が覚めたよ。この生徒は」
「無事起きたか」「起きたー!」
「アハハ!心配しました」
目が覚めるとそこにはギャラハット先生やロマとドラゴン、ミカエルが俺を心配そうに見つめていた。
「ここは? 『世界樹の根』か」
「‥‥‥‥‥『洗礼者』よ‥‥‥‥いや、新たな主。カミナリよ」
「うん! うん!」
ドラゴがそう言い。ロマが頷く。
「ドラゴ? ロマ? 新たな主って‥‥‥‥」
「我等はもう行く。我は魔窟へ。そして、ロマは」
「私も魔窟へ行く! ドラゴ!」
「ロマは主。カミナリが我等に約束した通り。天界へと登らせる」
あぁ、そうだ。ドラゴとロマをエキドナの中から召喚した時に約束したことだ。
「では、今から天界門を‥‥‥」
「アハハ! 雷様。それは『ユグドラシル』様が代わりに連れてくれるって。『ユグドラシル』様が私の頭の中で言ってきましたよ」
ミカエルが恍惚な表情で俺に報告する。
「そうか! ならば安心だ。‥‥‥‥ロマよ!」
「ドラゴ! 私‥‥‥‥」
「許せ! ロマよ! お前は元々、奴らの勘違いで魔窟に落とされた存在。‥‥‥‥幸せになってよいのだよ。お前は! ロマはな!」
「幸せに?」
「あぁ、それにこれが今生の別れと言うわけでもあるまい。‥‥‥主。これを」
「そうだね‥‥‥主。これ‥‥‥」
ドラゴは黒い球体の玉を
ロマは召喚されてからずっと持っていた。金の杯を俺に渡してきた。
「ん? これは?」
「それは我等の忠誠の誓いだ。新たな主よ! それがあれば、我等、黙示録の獣を好きな時に呼び出せるようになる。‥‥‥‥まぁ、簡単にいえば。我々を解放してくれた礼だ。主。それだけ、貴殿には感謝と忠誠があるということだよ。主」
「だよ! 主」
「黙示録の獣の主‥‥‥‥大切にします」
「あぁ、‥‥‥では、我から帰るとしよう。ロマ!!達者て暮らせよ」
「ドラゴ!‥‥‥‥今まで沢山、守ってくれてありがとう!!」
「‥‥‥‥‥あぁ、我こそ。お前から大切な事を沢山、学ばせてもらった。ありがとう!‥‥‥また、会おう! ロマ! 美しい女性に育てよ。達者出な。‥‥‥黙示録術‥‥魔窟門‥‥では、現代の者達に多大なる感謝を去らばだ」
暗黒の扉が開き。その中に静かにドラゴが入り消えて行った。
「ドラゴ!」
ロマは何処か寂しそうだ。
その瞬間。
カラーン、カラーン、カラーン、カラーン、カラーン
何処からともなく。鐘の音がなり。俺達の前に突然、天界門が現れた。
「雷様。『ユグドラシル』様のお迎えの者かと」
さっきまでの戦闘狂状態は鳴りを潜め。神秘的な大天使ミカエルがそこにはいた。
ギギイィィ!!
天界門の扉が開く。そこには薄緑色の髪をした。美しい女性が立っていた。
「初めまして。私は七聖―女神―の1人。『ユグドラシル』と申します」
七聖―女神―が立っていた。
「お久しぶりでございます。『ユグドラシル』様」
「お初に『ユグドラシル』様」
「お初に」「お初に」
ミカエル様とギャラハット先生は速攻で跪き。それに連れて俺とロマも跪く。
「フフフ、苦しゅうないです。フフフ、冗談です。では、ロマ様。共に行きましょう。天界へ」
「え? え? 私?」
「はい! 黙示録の方とのお約束ですから。‥‥‥大丈夫です。私が側にいます。他の―女神―達。アテナもフレイヤも。だから、心配しないでロマ」
『ユグドラシル』様は優しく。ロマに笑いかける。
「う、うん! 『ユグドラシル』様」
「フフフ、ありがとう。ロマ。では、私の手を」
「うい!」
ロマは『ユグドラシル』様の手を掴む。
「では、皆さん。今回は本当にこの『ユグドラシル』地方を守って頂ありがとうございました。このお礼は必ずお返し致します。本当にありがとう。‥‥では、また、お会いいたしましょう。」
「バイバイ! 主ー! ミカエル! ギャラー!!」
「ああ、幸せにな」
「さようなら~」
「セツナを助けてくれてありがとう」
ギギイィィ! ガゴン! そして、天界門は静かに閉まり。消えて行った。
「ふぅ、恐ろしや。アハハ。猫被っちゃいました」
「知ってる」
「アハハ! そうですか‥‥おや、私もそろそろ、限界のようですね。‥‥‥では、雷様。私も『黄金の宝物庫』へ戻りますね」
「はい! ミカエル様。今回は本当に助かりました。それにオールバニー様も」
(‥‥‥‥‥)
「動かない。まるで屍のようですね。アハハ。それでは、行きましょう。オールバニー様。娘さんの元へ戻りましょうね」
(‥‥‥‥‥疲れた‥‥)
「はい! では、では、雷様! さようならですーー!」
ミカエル様はそう言うと『黄金の宝物庫』へ。『赤白龍刀剣』ことオールバニー様は戻って行った。
「ふぅ、何とか終ったね!セツナ」
ギャラハット先生は高らかに笑う。
「はい!先生もお疲れ様でした」
「あぁ、疲れたよ‥‥‥本当に疲れたかな!ハハハ」
「そうですね」
お互い気が知れた身。簡単な言い合いで。お互いのだいたいの事は把握できる。
陽は沈み地下と地上は暗闇へと変わるだろう。
だが、『妖精国』のひとびのの心の夕暮れは永遠に続き。心胸踊らせる。
厄災は去りて。明日は来る。
それが勝利を勝ち得た。彼らの栄光の証なのだから。
勝利者達は歌い出す。
厄災に勝ち得た栄光を心に刻み明日を迎える為に。
終焉決戦『魔獣神・エキドナ』
救済せり。




