終焉決戦No.12 聖剣は我と共に
「‥‥‥‥ここは、何処だ?」
そこは何も無い白い世界だった。
「‥‥‥‥あぁ、俺達は負けたのか‥‥‥‥あの魔獣‥‥‥エキドナに‥‥‥‥皆、死んだ‥‥‥のか?」
「‥‥‥‥‥」
「そうか‥‥‥‥」
「こんにちわ」
「‥‥‥‥‥誰だ?」
俺の目の前に突然、小柄な少々が現れた。
「お久しぶり」
「お久しぶり?」
「うん!お久しぶり」
「君など知らぬが?」
「そんな、分けない」
「いや、全く」
「長年の相棒だったのに?」
「長年? 『ブリュンヒルデ』の事か?」
「違うバカ者。それは君がまだ、来たばかりの頃の違うお話でしょう! 浮気者」
コツン!
優しくポコっと叩かれた。
「痛い?」
「思い出した?」
「思い出せん」
「お馬鹿者‥‥‥‥‥ずっと見守ってたのに」
「見守ってた?」
「そう、湖のそこで見守ってた」
「見守る、湖‥‥‥君」
「思い出した?」
少女は目を輝かせて俺を見る。
「湖の妖精‥‥‥‥」
「おお! 馬鹿者! 『エクスカリバー』に決まってるでしょうがああああ!!」
ぺチン!
凄い突っ込みの後にペチンと軽く叩かれた。
「『エクスカリバー』? 君が? 『エクスカリバー』は魔王城での最後の戦いの後に何処かへ消えたんだが?」
「消えてなんかない。半分は貴方の中に、もう半分は『妖精国』に戻って来てたの」
「はぁ、なんだそれ?! それになんで半分?」
「魔王と勇者の戦いが終わって『オーディン』とガリア帝国との契約が切れたから。私が解放されたの」
「それで半分に」
「分裂」
「なんで俺の中に?」
「心配だったの。過保護という奴」
「ストーカーだろ」
「ふん!」
パチン。
全然痛くない。
「長年のバートナーになんて口振り」
プリプリ起こる。『エクスカリバー』‥‥‥長いので昔の呼び方で『エクス』に言い直そう。
「それで? その長年のパートナーだった。『エクス』さんが何ようで?そして、お久しぶりで」
「‥‥‥‥ちゃんと憶えてる。‥‥‥‥助けに来たの」
「何処から?」
「そこから」
『エクス』は俺の胸に指さし。一言言った。
「もう遅いよ」
「まだ、間に合う」
「どうやって?」
「昔の姿に戻って。そうすれば、私を呼べる」
「いや、無理だろう。昔の力は―女神―に取られて‥‥‥‥」
「取られてない。―女神―様は‥‥‥アテナ様は預かっているだけ」
「預かっているだけ?それはどういう?‥‥‥‥」
「無理。教えられない。伝えられない。それが契約‥‥‥‥」
「あぁ、―女神―の契約か!それは、確かに教えられないな」
「うん」
「でも、俺はもう、君を‥‥‥‥『エクス』を『エクスカリバー』をもう使えないだろう?」
「なんで?」
「いや、もう資格が無いんだろう? オーディン様とガリア帝国との契約が切れたって。さっき君が」
「セツナなら呼べるの、貴方のお母さんの家系は‥‥‥‥‥遠い遠い細く。ウゼルに繋がってるんだから」
「なに?何だって? 『エクス』?」
‥‥‥‥ペチン
「人(剣)の話をちゃんと聞きなさいーー!」
さっきから懐かしいやり取りが続く。旅の時は、よくこうやって漫才を繰り広げた事を思い出す。
(あのゴリラ聖女が怖い)
(倒す?)
(無理だ。アイツは強すぎる)
(私がどうにかする)
(幼女の姿ではダメ『エクス』)
(ふん!五月蝿いの!)
ペチン!
(はぁ、パーティーのメンバーが全然。言うことを聞いてくれないんだ『エクス』)
(倒す?)
(無理だ。アイツらは頭がおかしい。俺が殺される。それにその幼女の姿では無理だ!『エクス』)
(ムカッ!ふん!五月蝿いの!)
ペチン!
(はぁ~!『エクス』)
(黙るの! ふん!)
ペチン!
‥‥よく思い出すと。夜中はよく『エクス』に愚痴を聞かせて。怒られていた気がする。
「いいから! さっさと私を‥‥‥‥『エクス』わ呼んで。元ご主人様。もう時間が無いの」
「どうやって!」
「昔、見たいに私の名前を呼べば!!何とかなるのーーー!!」
ペチン!
それがトリガーだったのか『エクス』の渾身の弱々ビンタを喰らった瞬間。現実世界へと戻されたのだった。
『世界樹の根』『魔獣神・エキドナ』の崩壊前
「‥‥‥‥‥我は願う。一時の誇り高き頃の肉体の一時の生還を」
「セツナ?」
「『洗礼者』?」
「雷様?」
外にいる。4人が俺を見つめる。
「そして、我の元へ、願わくはもう一度顕現。願う。一つは我の心にそして‥‥‥‥」
『ペレアスの湖』地下水脈
『‥‥‥‥そして、その半身はかの主人の元へと一時の期間せり。』
ブオン!
『ペレアスの湖』の湖面の色が黄金へと輝く。
『我、名を『エクス』なり。再び。かのも者の元へ参り‥‥‥‥』
「『この厄災を降り払う。その名は黄金の聖剣『エクスカリバー』!!!!ここに再び顕現せり』」
現れしは7の秘法にして黄金の聖剣『エクスカリバー』
そして、それを持つは長身になり。大人びた姿に戻った元勇者
白き場所
「セツナのあの姿?魔王城で最後に戦ったときの?」
「ぐにゃあ! 懐かしいにゃあ! 全盛期。セツニャだにゃあ!!」
「全盛期? あれが?」
「うにゃあ! 全盛期にゃね!!」
『世界樹の根』
「終わりよ‥‥‥‥‥フフフフフフフフフ」
「アハハ! 最後の力で道を切り開きますね! 雷様。『赤白龍刀剣』・奥義・『赤白龍・聖天剣』」
大天使ミカエルは最後の力を振り絞り。俺の目の前に散らばる。蛇達の死骸を『赤白龍・聖天剣』で消し飛ばした。
「『ありがとう』」
「行くぞ!」
『魔獣神』
「この」
『一撃で』
「全てを」
「『終らせる』」
「『七法・解放‥‥‥‥‥‥聖剣は我共に‥‥‥‥‥魔を払え。‥‥‥‥神明聖剣‥‥‥‥『エクスカリバー』!!!!!!!!!『黄金の光・我等と共に』』」
黄金の光が『魔獣神・エキドナ』に一直線に放たれる。
「お、終わりよ、終わ‥‥‥‥何かしら?この光は?!‥‥‥‥浄化?‥浄化?‥‥‥光‥‥‥いや、いや、いや、いやーーー!!!ああああ!!!あああああああああ!!!」
黄金の光は『魔獣神・エキドナ』に降り注がれ。
エキドナの身体は光の粒子となり。黄金の光と共に静かに消えて逝った‥‥‥‥‥




