終焉決戦 No.9 『魔獣神・エキドナ』
『世界樹の根』真下
俺は一か八かで『エキドナ』の中に閉じ込められていた。黙示録の獣『ロマ嬢王』と『ドラゴ』を『エキドナ』の中から『妖精国』の龍脈を利用して召喚した。
そして、2人共に醜い肉塊へと変貌していく『エキドナ』に容赦の無い。攻撃を与え続けていた。
「ガアアアア! もう止めてええ!!」
「止めぬ! 貴様はずる賢く、姑息な魔女! ここで逃せば。第二、第三の犠牲者が出るのは日を見るより明らかなり。故に貴様はここで完全に滅ぼす」
「うん! うん!」
流石は黙示録の獣。敵に対しては一切の容赦をしない。
いや、長年の拘束で積もりに積もった怨みもあるだろうが。
「くぅ‥‥‥‥このままでは本当に‥‥‥?! サタンの気配が消えた?‥‥‥いや、サタン事態が別の世界に放たれた?‥‥‥これでは、降臨の儀式が‥‥‥いや、最早、黙示録の獣も私から離れ、敵になった。‥‥‥‥このまま、では負けるわ」
「貴様、何をさっきからブツブツと!」
「五月蝿いわ!! 神話魔法(邪)『邪推結界』」
『エキドナ』の周りに堅牢な黒い檻が現れた。
「フフフ、これで暫く時間を稼がせてもらうわ」
ガコン! ガチャ!
「おのれ! 悪足掻きを!!」
「おのれ!」
「二人共待って!!」
俺は『邪推結界』に近づこうとする。ロマとドラゴを止める。
「ぬ? 何故止める? 『洗礼者』よ?」
「よ?」
「あれに近づいちゃ駄目だ。また取り込まれる」
「なに?」
「なに?」
「あれは、多分。受肉する為の疑似的な祭壇だ」
「祭壇?」
ロマ嬢王が愛らしい顔を傾ける。
「だから近づくな! 贄にされる」
「おい! 『洗礼者』よ! 近づいては行けないは分かったが。むざむざ、奴が神になる瞬間を見届けろというのか?」
「それは‥‥‥‥くっ!」
それは悔しいが『エキドナ』の神化は止められない。今、この二人を失うということは、俺達の負けが確定するとに等しい。
だからこそ、あの檻に二人を近づかせる訳にはいかないのだ。
『邪推結界』
「失ったものは『妖精国』の兵士の魔力残滓、黙示録の赤き竜、そして獣‥‥‥‥‥不完全だけど死ぬよりはましよ。‥‥‥‥真上はちょうど、『世界樹の根』‥‥‥‥残って入るものは『セルビア』の妖精の怨念、ヴォーディカン達の魔力残滓、私の魔獣の身体」
『エキドナ』は考える。
ここで死ぬか。
もしくは
不完全だが、新たな神への受肉か
‥‥‥‥そんなの決まってるわ!
「‥‥‥‥神創・回帰‥‥‥生誕‥‥『魔獣神・エキドナ』‥‥‥‥‥」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」
「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」」」」
「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」
『邪推結界』のいや、『エキドナ』の周りに異形の形をした。亡者達が現れ。
どす黒い讃美歌を歌い。『エキドナ』を称える。
「これは?地獄の叫びか?」
「見てられぬわ!」「怖いよ! ドラゴ!」
ドラゴは眼前の気持ち悪い景色を見て嫌悪し。
ロマは怯え。ドラゴに捕まっている。
「来るか。神のなり損ない‥‥‥‥」
パキン‥‥‥‥‥バリバリバリバリ
「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!‥‥‥‥‥」」」」
「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!‥‥‥‥‥」」」
『邪推結界』が崩壊し。周りにいた亡者達が死滅していく。
その姿は先ほどまでの醜くく、爛れていた姿ではなかった。
顔はギネヴィアの時の美しい顔に戻り。身体は‥‥‥身体は胴体に何体かの獣の顔が張り付き。胴体は4つ足に枝分かれしウネウネと動き。不気味な色をしていた。
神話降臨・『魔獣神・エキドナ』
「フフフフフフ! 殺してあげる! 貴方達」
「ウオエエ!! あんな、気持ち悪いのが新たな神だと?」
エキドナの新たな姿を見て。俺は吐いてしまった。それ程にグロテスクで気持ち悪い容姿をしていたのだ。
「我よりも醜いな。貴様」
「醜い!!」
「あら? そう? なら、食べてあげるわ。光栄思いなさい。裏切り者!フフフフフフフフフ」
『魔獣神・エキドナ』は俺達を眺めながら、悠然と笑った。




