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それでも私は貴方との関係を変えたいです。④~最終話・新しい関係にありがとう




女子という生き物はおしゃべりが好きである。


まぁ、おしゃべりが嫌いな人間なんて余りいないだろう。強いていうならアリーナの頃に一緒に旅をした妹弟子のサーシャくらいなものか。


いや違うかあれは単なる無口なだけだったな。今頃、何をしているんだろうか?


元気なら良いがそんな事を考えながら俺は現在。我が家、自慢の大風呂でのぼせきってぶっ倒れた3人を介抱している。


何故このような事態になったのかって?

それは俺にも分からない。さっきまで、寝ていたが緊急用の電話で叩き起こされ。急いで大風呂に向かいこの惨状を目の当たりにしたのだ。


とりあえず女の子の裸を直に見るのも気が引けるので(後々、問題になるのも嫌だし)。


目隠し用の布で眼を覆い1人1人をお姫様抱っこで脱衣場の椅子へ慎重に運んだ。


この時は転ばないように索敵能力向上の魔道具を着けて周囲を注意しながら移動した。


魔法の袋から回復ポーションを取り出して3人に飲ませ。介抱した。


「たく。どうしたらお風呂場に3時間も入ってられるんだ?しかも3人とものぼせてるし」


女の子がタオル1枚の状態で横たわってはいたがアリーナで何年も過ごしたせいなのか。女子中学生の裸等を前にしても全く同様はしなかった。


そもそもアリーナにいた頃。勇者パーティーではこういったラッキースケベみたいなハプニングが日常茶飯事で。


良くランスロットと一緒に女性陣から吊るし上がられ簀巻きにされていた。

だいたいあいつのせいであったが。

今では、良い思いでになってきている。


「熱いよぅ~!」


「苦しいのじゃあ~!」


「ここはどこですかぁ~!」


各々、のぼせて断末魔の叫びのように項垂れていたが、先ほど飲ませたポーションが効いてきたのかだんだん良くなってきた。


「立てるようになって着替えたらまた、呼んでくれ。1人づつ部屋に運んであげるから」


そう伝えると俺は脱衣場から出ていった。


20分位たっだろうか?暇潰しに料理サイトを徘徊していた。


携帯から電話がなった。画面を確認すると星奈からだった。


「もしもし。」


「あっもしもし?兄さん。さっきは介抱してくれてありがとう。まだ、体がふらつくから私の部屋まで一緒についてきてくれる?」


「了解、今いくよ」


俺はそう言うと、通話を切って脱衣場へと向かう。


「皆?体調は大丈夫か?」


「少し良くなったのじゃ。熱いのじゃあ~!」


これが俺の最大の宿敵だったとは誰も信じまい。

というかエスフィールの奴。こっちに来て時間が経つにつれてどんどんポンコツ化してないか?

気のせいならいいけど。


「まだ寝てろ。とりあえず星奈。肩貸すから星奈の部屋いくぞ」


「うん、ありがとう」


まだ横になってるユナと彩音を脱衣所に残し星奈の自室へ2人で向かった。


廊下を歩くと少し無言のままだったが、唐突に星奈から話しかけてきた。


「ねぇ、おにちゃん。」


「なんだよ。」


「今日は異世界とか魔道具とか色々ぶっ飛んだ話聞いたけど。本当に全部、本当の話なんだよね?嘘ついてない?」


星奈は俺に顔を近づけ目を合わせてきた。


「嘘はついてないよ。全部、本当の話だし。星奈に嘘はつかないよ」


そう言うと照れたのか星奈は俺から少し距離を取った。


「ちょっと、顔近い。キモい、バカお兄ちゃん」


キモいは酷くないか?


そんなやり取りをしていると星奈の自室まで着いた。

部屋の扉を開け。


「ほら着いたぞ。妹よ。とりあえず、今日はもう寝ろ」


そう言うと星奈をベッドに放り込んで扉を閉めた。


「ちょっ!いきなり乱暴なぁ。バカお兄ちゃん」


そんなこと言っていたが俺は足早に星奈の部屋から離れた。

脱衣所に戻り。残りの2人の具合を確認した。


「熱いのじゃあ~!」


エスフィールは立てるようになったが、まだ足元がふらついていた。

「ほら、しっかりしろ」


肩を貸すのも面倒なのでお姫様抱っこで抱え込んだ。


「熱いんじゃ~!」


案外。脱衣所からの部屋は近かかったのでベッドにエスフィールを静かに下ろし脱衣所に戻った。


脱衣所に入り。未だな横たわっている彩音に俺は声をかける。


「それで?いつまで演技する気だい彩音さん」


「………まぁ、いつからお気づきでしたか?」


「俺がアリーナや魔道具の話をしていた時から君は妙に大人しくなってただろう?そこら辺からかな?それでまんまと今の状況にもってこれるんだから流石だよ」


彼女は昔から永湯(ながゆ)をしていてものぼせたりする人ではなかった。そんな人がいつまでも横になって無言というのも引っ掛かりを覚えた。


彼女は今、俺と彼女だけの2人だけの状況に持ち込む為にユナにリンゴを渡したり。風呂場で長話をしていたんだと考えていた。


流石、天王洲家のご令嬢っと心の中で賛美を送った。

しかしこの状況は非常に不味い。気まずい、逃げたい。


「まぁ、まぁ、神成君………セツ君!そんなところで立っていないで先ずは客間にわたくしを運んでください。」


そう言われてしまったら従うしかなく。俺は、彩音に近づいた。


「あっそうそうわたくしもお姫様抱っこで運んでくださいね。ユナさんと同じように」


「くっ、こいつ。確かあの時こっち見てなかったのよな?手鏡でも用意していたのか?」


そう言われ俺は丁寧に彩音を抱き抱えた。


「わっ分かってるよ。よいしょっと。………随分軽いなぁ。ちゃんと食べてるのか?」


「………そうですねぇ。誰かさんのせいで心労が溜まり。食が細くなりましたし。痩せたしまっても仕方ありません」


お前、今日の夕食ばくばく食ってたじゃねぇかっと突っ込みたかったが。そんなことを言える立場ではないので。急いで客間に行き、彩音を送り。一刻も早く自室へと逃げ帰るのが一番の得策なのだとプランを考えた。


「そうなのかその誰かは許せんなぁ」


「えぇ今、目の前でお姫様抱っこをしている人なんですけどね」


「そうなのか、………許せんなぁ。ははは」


乾いた笑い声を漏らしてしまった。


その後は無言のまま通路を進み彩音が使っている客間に着いた。扉を開け。部屋にあるソファーに彩音をゆっくり下ろす。

沈黙は続く。

「じゃあ、俺はこれでまた明日、お休みーーー!」


そう言うと俺は脱兎の如く客間の扉に向かった。

だが。


「お待ちください」


呼び止められた。


「嫌と言ったら?」


「そうですね。昔、セツ君とわたくしの恥ずかしエピソードを星奈さんとユナさんに話します。もちろん、あの事もです。」


「君はいつから。そんなに腹黒なったんだ?昔はもっと純粋な子で」


「さぁ? 以前お付き合いしていた方の影響でしょうか?わたくしの学友の方も言っておりました。お付き合いしていると彼女は、彼氏の趣味や性格に似て来ると」


「そうなんですね~」


何を言い訳しても負けイベントだと悟った俺は彩音の反対側にあるソファーに腰かけた。


「やっと覚悟がお決まりになったのですね」


「はぁこの際だ。明日も休みで時間はある。とことん話し合おうか」


そう言って俺は彩音ととてもとても久しぶりに二人での話し合いをすることになった。




今日は色々な事が沢山あった。


元恋人の来訪から始まり。エスフィールのポンにより異世界に行っていたことが星奈と彩音にバレ。アリーナでの出来事を説明する羽目になり。


最後にお風呂騒動である。

もう今日は本当に疲れたが最後に今日最大の試練が待ち受けていた。


元恋人でもある彩音との。一体一での話し合いである。


どうしてこうなった?そう思わずにはいられない。


この状況まで計画的に持っていった彩音は流石とは思う。


もう夜も遅いし話し合いはまた明日にしようと言いたいところだがそんな事を言える状況でも立場ではないのだ。


「そろそろ、何か話してくださいません?」


「何かとはなんでしょ。」


「………そうですか。では情けない元恋人に代わり。このわたくし、天王洲 彩音が説明しますね」


「はい」


彩音は、そう言って説明し始めた。


「話しは半年前まで遡ります。セツ君がわたくしにいきなり別れてくれと言ってきたのが事の始まりですよね?覚えてますか?」


「はい、覚えております」


「よろしいです。では何故その様な事をいきなり言ったのか一からちゃんと説明してください」


だから貴方のおじいさまに頼まれたからですとはとてもとても言えない。

しかし何か言わないと彩音は納得せず。下手をしたら朝までこの状況が続くのは火を見るより明らかだ。

………俺はしばらく思案し沈黙した。後、覚悟を決め。彩音に真実を告げることにした。


「実は俺達が中学2年前に君のおじいさまに君と別れてくれと頼まれたんだ。それで俺も色々考えた結果、君の将来の幸せの事もふまえて別れることを決めたんだ」


彩音は静かに俺の話に耳を傾けている。


「君には本当に申し訳ないと思っているよ。別れ話をしてから。俺達の関係も亀裂が走ってギクシャクして。学校でも余り喋らなくなった事は、俺に非があると今でも思っている」


「他に言うことはありませんか?」


とても冷たい声質で彩音が発言した。


「………君はいきなり俺から別れてくれと言われたから怒っているんじゃなくて。家同士の損得で俺が1人で勝手に納得して、君から勝手に距離を取って離れていた事が許さないからこんなにも怒っているんだろう」


彩音は黙ったまま。俺の話に耳を傾ける。


「それで俺が最近になっていきなり長期的に休んで久しぶりに学校に来たと思ったら君の知らない可愛い女の子といたから気になって家まで来たんだろう。」


それを聞いていた彩音がいきなり慌て始めた。


「だっ、誰が気になってですか!!それじゃあわたくしが半年も経っているのに貴方の事が未だに忘れられず、大好きな痛い人じゃありませんか」


「いや、実際に痛い人だよ。こうして深夜二人きりになるために変に頭使うところとかめちゃくちゃ痛い人だよ」


「なっなっな!自意識過剰です。そういう昔から自信家なは本当に直りませんね」


顔を赤らめかなり慌て始めた。

「しょうがないだろう?昔っから優等生なんだし。君は常に次席の2番だったな!俺に次いで」


「そうやって。そうやって。調子に乗ったり。追い詰められると言い訳してくるところが昔から嫌いだったんです」


「君もそうやって納得しないとすぐに子供みたいに罵声をあびせてくるじゃないか?中学生なんだしいい加減直した方がいいぞ」


「言わせておけばなんなのですか」


いつの間にか子供のケンカの様な言い合いになり。

外がだんだん明るみを帯びてきた。


「もうそろそろいいだろ?ここまで話し合ったんだ。君も貯まっていたものが解消だ来ただろうし。これからは学校でも君に普通に接していくし。周りの目なんか気にしないしさ」


そして沈黙が流れる。


「…………そうですね。それではこれからはそれでお願いします」


彩音がそう話す。


「……………。」



「……………。」


お互い黙ってしまった。


あーあ。ここでの受け答えを間違えれば天王洲 彩音という1人の人間との関係が全て終わってしまうということは疑い様がないくらい分かる。


今、思えばアリーナの時も同じ様な心と心のぶつかり合いが何度もあった。

成功する事もあったし。失敗する事も沢山あった。

それに

色々な出合いがあり。別れもあった。

色々な経験をさせてもらった。


今、その経験を活かす絶好の機会ではないか。



「ではわたくしもそろそろ休みます。神成君!………お休みなさい」


そう考えているうちに彩音は無機質に話してきた。


とても冷たいおやすみなさいだ。


俺が聞きたかった。お休みなさいとは全然違う。


部屋にはまた沈黙が流れる。


「………。君に、!」


「えっ?」


「………君に、まだ俺が、アリーナでどう過ごしたか全然話してなかったな」



「何ですか突然?」


俺は話を続ける。


「あっちではさぁ色々な人と出会ったんだ。嬉しい出会いや悲しい別れも沢山あった。毎日が命の危険があったんだ。死にそうになる場面も沢山あった。そんな時にさぁ色々な人の顔が思い浮かぶんだ。最後に会いたい。話したいって思って。それで一番に‥‥‥一番に思い浮かんだのはさぁ。……君の………彩音の……笑顔なんだよ」


彩音は静かに聞いている。


「君にもう一度会いたい。君にもう一度会うために生き残りたいと思いながらアリーナで生き残りたい。死にたくないと思ったから生き続けられたんだ。だから、だからさぁ、最後に君に一言言わせてほしい。………俺の恋人でいてくれて本当にありがとう。俺は………君が恋人で本当に幸せでした。沢山の思い出をありがとう。沢山助けてくれてありがとう」


そしてまた部屋には沈黙が流れた。



彩音の視点。


部屋には先ほどから沈黙が流れます。


それは一方的にわたくしが黙っているからでしょう。


神成君の………いいえ。セツ君の話す言葉。一つ一つにきちんと耳を傾け。一言一句聞き逃したくないと思い静かにしています。


わたくしはこの半年間。本当に神成 セツナという人間が嫌いになりました。


別れようとか家族の為にとか君の将来の為だとかそんな事はどうでも良かったのです。


別れたとしても名家の関係がだろうと関係なく。親しかった頃の様に接して欲しかった。


ただ近くにいて恋人ではなく友人としてでも良いから一緒にいたかったのに貴方はわたくしから離れてしまいました。


1度でも良いから本当の事を話して欲しかったです。

相談して欲しかった。

わたくしは貴方から見たらそれ程弱く見えましたか?


ふざけないで下さい。わたくしは、天王洲 彩音。ずっと貴方の近くにいて、天才と呼ばれ貴方と肩を並べて一緒に育ってきた人間なのですよ?


だから嫌いになりました。会えば罵声を浴びせてしまい。ケンカになりそうな時もありましたね。



ですが。


ですがやっと今、貴方から本音を。今、目の前で聞けています。

わたくしはそれを聞きたかったのです。嘘、偽りなく。

誤魔化さない貴方の心にありがとうを。



部屋はただ静かに時が過ぎる。




「わっ!わたくしも」



「うん」



貴方は優しく『うん』という。


しばらく静かになり。


「わたくしも神成君には………セツ君には………本当に……本当に感謝しています」


「うん」


「貴方は、昔からお人好しで、困っている。わたくしをいつも、いつも助けてくれて。見守ってくれて」


目元が熱くなってきて。


「苛められそうになった時は、身体を張って守ってくれて。他のご友人と予定が合ってもわたくしが会いたいと言ったらすぐに来てくれる」


目から涙が溢れてきて。


「中学生になってお付き合いするようになっても変わらずに……いいえ。それ以上にわたくしを大切にしてくれました」


涙か出て顔がぐしゃぐしゃになって目の前が見えない。


「わたくしも………貴方には感謝しています。いいえ、感謝しきれません。こんなわたくしの恋人でいてくれて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。」


そして貴方はわたくしの肩を掴み優しく抱き寄せわたくしはセツ君の腕の中で涙が枯れるまで泣き続けました。



「もう、大丈夫かな?」


セツ君が心配そうにわたくしの顔を覗き込んできました。

「はっはい!お見苦しい所をお見せしてすみませんでした。」


家の外はすっかり太陽が登りきり、朝になっていました。


「そうか。それは良かった。……俺は少し寝るよ。彩音さんも………彩音も少し寝てからリビングに来てくれ。その時は一緒に昼御飯食べよう。じゃあ、お休み」


そう言うとセツ君は眠そうにしながら扉を開けて出て行きました。


「今、彩音って……昔の言い方に戻ってる」


それを聞いたわたくしは一気に身体の力が抜け。ベッドへ倒れ込み。寝落ちしてしまいました。


貴方とわたくしは色々な事がありました。


今回は少し強引になってしまいましたが。星奈さんに頼んで正解だったんだと、改めて思いました。


セツ君とは昨日久しぶりに色々話しました。口喧嘩もしました。幻滅もしました。ですが最後には、貴方と新しい関係になることが叶いました。


改めて思います。

今回は強引でした。

強引にならなければ、昨日までの関係を変えられなかったでしょう。


これから色々な事が起こるでしょが、でも、それでも私は貴方との関係を変えたかったのです。





そしてゆっくりゆっくり深い眠りにつきました。





(最終話)


彩音と久しぶりに2人っきりで話した。後、俺は久しぶりに深い眠りに着いた。


彼女とのあんな子供の言い合いの様な事をしたのは本当に久しぶりだった。


だが最後には本心から出た。心からの感謝を伝えられたと思う。


だからあの感謝の言葉が彼女にちゃんと伝わっていることを心から願っている。



そしてそこから数時間寝て。若い体ということもあり。昼頃辺りで目が覚め身支度を整え。リビングへと向かった。


家の中は静かでシーンとしている。

皆、昨日の風呂騒動で疲れているのだろう。

皆が寝ている間に軽い昼食を作って待っていようと思い。俺はキッチンで料理を初め様とした時。リビングの扉がガチャっ開いた。

そこには、彩音の姿があり。俺を見つけるやいなや笑顔で話しかけてきた。


「おはようございます。セツ君。昨日は、色々お話できて嬉しかったです」


やけに上機嫌で俺の直ぐ近くまで来た。


「おはよう、彩音。あの後はちゃんと寝れたかい?」


「えぇ!バッチリです。寝る前に色々スッキリ出来ましたから。それでぐっすり眠りたんだと思います」


「それは良かった。良かった。じゃあ、今から昼飯作るからちょっと座っててくれ」


彩音にそう言って距離を取ろうとしたが、彩音はリビングに行こうとせず、俺についてくる。


「いえいえ、わたくしも手伝いますわ」


近づいてくる。近かづ。つうか、距離が近い。


彩音は俺の耳元まで近づき。囁く。


「セツナ君。わたくし諦めが悪い方なので気をつけて下さいね」


「いや君とはこれからは良いお友達で…………」


「…………。今はそういうことにしといてあげますね。今は」


彩音はそう言うとまた体を寄せてきて話を続ける。


「わたくしまだ諦めてませんからお覚悟を」


俺は言い放たれた言葉で体が固まる。

そうだった。もうお互いのわだかまりは無い。彩音は大人しそうな見た目とは裏腹にかなり大胆な所がある。

今後の俺の学校生活はどう変わっていくのだろうか?


明日の俺の人生大丈夫か?


言い放たれた言葉に色々考えたが俺は彩音に一言言ってやった。


「俺も覚悟を決めたよ」


そうして彩音の肩に手を置き。彩音に向かい合う。


「えっ?えっえっ?」


彩音はいきなりの俺の行動に慌て初める。


俺は、彩音の首元まで顔を近づけると彩音の耳元で。


「余り無理するなよ。ムッツリお嬢様」


と囁き耳元に息を吹きかけた。


「なっなっなっ!」


赤面して硬直している。全くさっきまでさんざん好き放題言っていたくせに。いざ迫られるとこの慌てっぷりである。このムッツリ幼なじみお嬢様め。

参ったか。ハッハッハッ!勝ったな。


「何するんでか!!この変態ぃぃい!!」


バチンと俺の右側の顔に衝撃が走る。めちゃくちゃ痛い。こいつ魔道具使ってるんじゃ?

体がぶっ飛んだ。


「痛いじゃないか?ムッツリお嬢様」


「だッ誰がムッツリお嬢様ですか!」


「ムッツリだろう?昔っから。皆の前じゃ大人しいのに2人になったとたん。こうやって積極的になるし。実はエロいじゃないか?」

「誰がエロいですか?!セツ君のそういう所が嫌いだったんですぅーー!」


「そうか、そうか。よし!昼飯の準備をしよう。」


「わたくしの話を聞きなさい!!」


昔はこうやってやり取りをしていたものだ。昨日の事もあり。またこんなやり取りが出来るようになった関係になれたことは俺も君に感謝しかない。

君が昨日諦めず。俺に会いに来てくれた事はすごく嬉しかった。


昔の恋人。俺の初恋の人。


でも今は違う。

今は今は元恋人で。

大切な友人で。

とても大切な思い出です。

君とのこれからの関係がどうなるか分からないけど。


これからの地球の生活は君のおかげで楽しくなっていくと俺は信じています。


心の中でではありますが君と会えて良かった。俺に会ってくれてありがとう。


そして、これからもよろしくお願いします。



「全くセツ君は全く」


そうして夫婦漫才みたいな事を言い合いながら4人分の昼食を彩音と2人で作ったのだった、


『それでも私は貴方との関係を変えたいです』編







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