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終焉決戦 No.2 蓬莱と鳴神


「‥‥‥‥あら、やるじゃない『洗礼者』私の『極嫚(ごくえん)』を相殺するなんて‥‥‥‥ムカつくわね‥‥‥神話召還(邪)‥‥‥‥『ケルベロス』『オルトロス』‥‥‥‥行ってあげなさいね。私の可愛い子達」


「「「ガルルル!」」」


「ゴガアアア!」」


三つ首の獣と二対の首を持つ神話の番犬が二頭。


『女王』が顕現させた黒門を潜り抜け。


 現れた。


 ニタァァァ!


 『女王』は三日月型の恐ろしい笑みを浮かべ。俺達を見つめた。


 ゾワァ!


 俺は『女王』に見られた瞬間。心の奥底まで俺の精神世界を観られた気がして。少しよろめいてしまった。


「おい! まずいぞ! 鳴神殿! 俺はやるぜ!」


「‥‥‥‥あぁ! やろう。蓬莱」


「ちょっと。御二人も何をしようと…」


 特大の転移魔法陣を使い、疲れきっていた。タマキが慌てた様子で、2人に話しかける。


「タマキ様よう。あの女が召喚した奴等はやべえ奴等だ俺達で対処する」


「我が(ぬし)の為にな。行くぞ! 蓬莱!」


「あいよ!」


「「神煌具・反転」」


「「神話・回帰・天雷」」


「『雷蓬莱術・雷霆大鎌鼬・蓬莱』」


「『七原龍・雷龍・鳴神』」


 神煌具状態であった。蓬莱様と鳴神様が俺の前に立っていた。


 その姿は、神話の時代を生きた神獣その者であった。


 まるで日本の美麗な伝説の生き物達の姿がそこにはあった。


 雷鳴響かせる大鎌を口に(くわ)え。オルトロスを睨むは『列島大陸・和国』に雷名を轟かせるわ。

神話の神獣・『雷霆大鎌鼬・蓬莱』


 そして、その隣には、全長は軽く数百メートルはあるかと思われる。雷纏いし神竜・『七原龍・神龍・鳴神』が三つ首の獣。ケルベロスを悠然と見つめる。


「雷様とタマキ様は少し休んでな。さっきの転移の大技で疲れたろうよう!」


 蓬莱様がそう言うと。


「ならば我々で時間を稼ぐのが道理なり! では、」


「ああ!」


「「参る!!」」


「あらあら、凄いのね貴方。神話級に認められてるなんて! それも二匹も‥‥‥‥‥いいわ。少し遊んであげなさい。ケルベロス! オルトロス! お行き!」


「「「ガルルル! ウオオオオ!」」」


「ゴガアアア!!!」


 二匹の獣が蓬莱様と鳴神様に向かって突っ込んで来る。


「言葉も話せねえ。犬畜生かい‥‥‥‥どうやらおめえら、混ざりもんだな? おい!」


「みたいだな!情けない。同じ神話を生きた者達よ!」


「「「ガルルルルルルガア!!!」」」


「「ゴラアガ!!」」


 蓬莱様と鳴神様にそんなことを言われ。怒ったのか二匹の獣は物凄い形相で二人に噛みつこうとするが。


「おせぇよ! 雷蓬莱術・『烈風大鎌雷切』」


 シュン! ズバーン!!


「ガグガア?!」


 ‥‥‥‥ボトリ!


 蓬莱様が放った。大鎌は凄まじい速さでケルベロスにたどり着き。三つ首のうちの一つを『世界樹の迷宮』深部の床へと静か落としたのだった。


「「グガアアアアア!!」」


「ふん。首が1つの減って。大人しくなると思ったら。余計に(うるさ)くなりやがって。(しつけ)がなってねえな! 躾がよう! おらぁ! うちの雷様に何しようとしてんだ! ごらぁ!!!」


 シュン! シュン!


 蓬莱様はそう言い終えると。雷を帯びた大鎌を『女王』にぶつけた。


 ガキーン!


「あら、感も鋭いのね。その大鼬はなかなかに優秀なようね」


 どうやら『女王』は、俺がケルベロスとオルトロスに気を取られている間に俺に何かをするつもりだったようだ。


「「ゴガアアア!!!!」」


「‥‥‥‥五月蝿い。犬だな!‥‥‥‥ここは、広いが臭く。陰気くさい場所だな。黒幕殿。」


「ふん、神龍風情がよく言うわね。こんなに素敵な場所なのに」


「我は、狭いのは嫌いだ。鬱陶(うっとお)しいのもな。‥‥‥‥主と蓬莱、タマキ殿は守ります。神話魔法・『保天』」


 俺達の回りに白い球体が現れる。なんとも神秘的な色だ。


「「ゴラガガガア」」


 鳴神様の目の前にオルトロスが二対の牙を向けようとした瞬間。


「だから五月蝿いと言ったのだ。‥‥‥‥神話・回帰『真良天性・雷』」


「お、お前! こんな大事な深部でそんな大技を!」


 いきなり大慌てする『女王』。


「主に手を出そうとしたのは貴様の方からだ。黒幕!‥‥‥‥『崩落・(らい)』」


 鳴神様がそう唱え終えると。


 鳴神様の周りから雷爆を起き。その衝撃が『世界樹の迷宮』内。全てに伝わっていく。


 それと同時に一番近くにいた。オルトロスと蓬莱様に三つ首のうちの一つを落とされたケルベロスが鳴神様の『真良天性・雷・崩落・雷』をもろにくらい。哀れな肉塊へと姿を変えた。



『世界樹の根元』外


ドゴオオオオオオンンン!!!!


バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!


 凄まじい轟音と暴風が地下迷宮から外へと流れて行く。



「ハァハァ! ハァハァ! 私の祭壇が‥‥‥‥貴様!!!」


『女王』は凄まじい。形相で鳴神様を睨み付ける。


「‥‥‥‥黒幕。貴様の目的は聞いた。何でも七聖―女神―の一柱を殺し。新たな神になるつもりだとか!‥‥‥‥笑止!笑止千万なり。それを我等『始祖・神集九煌(しんしゅうきゅうこう)』が許すと思ったか?」


「‥‥‥‥『始祖・神集九煌』‥‥‥‥そう。貴方がその一柱なの。‥‥‥‥それは、予想外だったわね」


「そうなんですか?ご主人様?」


「‥‥‥‥いや、俺も初めて知った。つうか『始祖・神集九煌』ってなんだ? 中二病か?」


「えっ? えーと! それは教えていいんですかね? 蓬莱君?」


 タマキは蓬莱様を見ながら聞く。


「‥‥‥‥いや、今は止めときな。タマキ様。わざわざ、天界のいざこざまで雷様に背負わせる事ないぜ。話したら戻れなくなる‥‥‥‥」


「了解です。だそうです。ご主人様」


 蓬莱様とタマキは気まずそうにしている。どうやら、余り関わらない方がいいようだ。俺は聞くのを止めた。


「それで今回は天界の使いで私を殺しに来たって所かしら? 七原龍の一柱」


 『女王』と鳴神様の話はまだ続いていたようだ。


「‥‥‥いや、たまたまだ。○○○○よ!‥‥‥‥もうすぐに我は『和国』に戻る。良かったな。神に至らぬ者よ」


「あぁ、そう、それを聞けて安心したわ。なら、さっさと消えなさいな。私の可愛い。『ケルベロス』と『オルトロス』を消してくれてありがとう。七原龍の一角さん! 神話魔法・『奈落の嫁』」


 亡霊の様な人形(ひとがた)の異形が鳴神様に迫る。


「‥‥‥ふん! 本来の身体で無い為。制約があるが神に至らぬ者には負けぬ。主殿!!」


 鳴神様が俺に向かって叫ぶ。


「はい! 鳴神様!」


「本日は久しぶりにお会いできて楽しい一時でした。願わくば一度『和国』に顔を出して下される‥‥‥」


「おい! 鳴神殿!」


「‥‥‥あぁ、すまん!」


「‥‥‥?」


「‥‥‥‥‥では、蓬莱。先にあの二人と共に我は『和国』に戻る。後は任せた」


「あぁ、了解だ!」


「ケケケカカケカカケ!」


 『女王』が出した異形が鳴神様に攻撃しようとした瞬間。


「そう焦るな。亡霊‥‥‥神話・回帰・雷『雷霆龍雷』」


「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ! があ?!」



 鳴神様がそう唱えた瞬間。亡霊と『女王』に向けて強大な稲妻が静かに放たれたのだった。


「ではこれにて失礼。多少なりとも削れた事を心から願う。では去らば」



 鳴神様はそう言うと静かにその巨大な身体を消して『和国』へと帰還した。

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