初戦
『世界樹の迷宮』深部・降臨の祭壇
「‥‥‥‥あら?‥‥‥‥そう!‥‥‥‥ランスロット‥‥‥行ってしまったのね‥‥‥‥」
(なんだ? 口ではあれ程。罵っていたくせに、いざ、逝ってしまうと魔女の貴様でも。愛していたのだな?彼を)
「‥‥‥‥黙りなさい。●●●。‥‥‥‥愛してなどいないは‥‥‥‥ただ、彼はずっと居たのよ!‥‥‥‥私の隣に」
(そうか…‥‥‥やはり、歪んでいるな。貴様の愛は、それは歪んだ愛なのだよ。○○○○の魔女よ)
「‥‥‥‥少し喋り過ぎね。●●●!‥‥‥‥少しの間寝ていなさいな」
(がぁ!!‥‥‥‥き、様!‥‥‥‥その選択は後悔するぞ!‥‥‥‥かつての俺様のよ、うに‥‥‥‥)
「五月蝿い。五月蝿いわ。●●●!‥‥‥‥そう、これが愛だったの。‥‥‥‥人類にはいなくなって、初めて気づかされる感情がちゃんと機能としてあるのね。ギネヴィア‥‥‥‥」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
万を越える『妖精国』の兵士達がブラックキャットや幻影馬に乗り行軍して行く。
「ナルカミ! そろそろ、日が落ち始める」
右隣で幻影馬に乗っているぺリノア卿が。初めて乗る幻影馬に悪戦苦闘して乗っている俺にそう話しかける。
「何ですか? ぺリノア卿? 今、ちょっと乗るのに忙しくて‥‥‥‥」
「セツナ君。幻影馬は濃い魔力が好物なんだ。だから両手に自分の魔力を込めて。手綱を通して、幻影馬に流してあげてみて」
左隣で優雅に幻影馬を乗りこなす。アルが心配そうにアドバイスをくれる。
「わ、分かった。‥‥‥‥よし! 食ってくれ幻影馬、俺の魔力を‥‥‥‥」
俺は自身の魔力を両手に込め。幻影馬に与えてみた。
「ヒヒヒンン!!」
「うお! いきなりスピードが速く?」
「ギヒヒヒヒンンン」
「いや、お前!! 速すぎだろおおおお!!!」
「セツナ君!」
「待て! ナルカミ!! 1人で前に出るな! 待て! ナルカミ!!!」
「いや、俺の乗ってる幻影馬が勝手にスピードを上げててえええ!!!」
俺の乗る。幻影馬は俺の魔力を得たことで覚醒した。
そのスピードは後ろを走る。ぺリノア卿とアルとの距離がどんどん離れていく。
「くっ! タマキ。悪い。アルの方に付いてやってくれ。仲間になったとはいえ、元は反乱軍。どうなるかわからな‥‥‥‥」
「はい!ご主人様。わかり‥‥‥‥そんなに心配ならうちの魔法の袋の中に皆さんを収納しときましょうか? ご主人様?」
「はぁ?」
「いや、ですから。うちが裏工作で進めていた『妖精国』の兵士。全員『契約の輪』計画の発動の時です。ご主人様!」
‥‥‥‥ここの所。闘いばっかりだったから、疲れて頭でも打ったのか?
「‥‥‥‥ここの所。闘いばっかりだったから、疲れて頭でも打ったのか?」
「声、漏れてますよ! ご主人様‥‥‥現在、『カムラン平原』、『ペレアスの湖』に布陣しているのキャメロット兵、投降兵、援軍の兵達。全員の首にうちの簡易転移魔法と蓬莱君の手癖の悪さを利用して。『妖精国』の一部の円卓の騎士達を除いた兵士に『契約の輪』を装着することができました」
‥‥‥‥‥最近、ずっと2人共。いないと思っていたが、裏でそんな事やってたのか?
「‥‥‥‥‥蓬莱様?」
俺は腰に着けている。『神代・煌具『雷霤剣・蓬莱』に話しかける。
「‥‥‥‥いや、俺はタマキ様にこうするのが一番。被害が少なくなると言われてだな。雷様よう」
「なにを言いますか! 蓬莱君。夜の時なんて。(どんどん配下を増やすぜ。なぁ、タマキ様よう!)とか言ってノリノリだったじゃないですか!」
「おい! タマキ様。バラすんじやねえよ。後で雷様にお仕置きされんだろう!」
「なんですって? ウキー!!」
決戦前に喧嘩を始める。神話の神獣達。
「もういいです。とりあえず、2人には後で何か好きな食べ物でもあげるんでやるなら早くやってください」
「なっ! ご主人様?!」
「怒んないのかい? 雷様よう?」
‥‥‥時間はもう無い。そして2人は五月蝿い。そして、タマキの言ったアホな計画をやらなければ、数万の犠牲が出る。
‥‥‥つうか、この魔法の袋。いや、『黄金の宝物庫』にはどれだけの人や物が入れられるというんだ?
この『七つの秘宝』の力を、未だに俺は理解してないのかもしれない。
「ご主人様! 魔法の袋の中にある。金銀財宝や国中から盗んだ伝説の魔道具は別の場所に移して奥ので安心してください」
「あん? なんだい? タマキ様。雷様が盗ん‥‥‥‥」
バシン!
俺は静かに『神代・煌具『雷霤剣・蓬莱』の鞘を軽く叩いた。
「ウゲオ!‥‥‥‥」
よし!静かになったな。
「‥‥‥‥ありがとう。タマキ。だが、タマキ」
「はい?」
「魔法の袋の中に入れる奴らに、あの黒いベールの外側に入る奴等は魔法の袋の中に入れなくていい」
「ん? 何故ですか? ご主人様」
「あぁ、それはな。あの黒いベールの外側の人達は今回の儀式の対象外だからだ」
「対象外ですか?」
「そうだ。魔女の儀式‥‥‥‥創神・降臨の儀式は黒いベール内の生け贄を使い。魔女は新しい神になるつもりだ」
「‥‥‥‥だから。黒いベール内だけなのですね?ご主人様」
「‥‥‥‥ああ」
「?ご主人様」
ヤバい。『世界樹の迷宮』の方からとんでもないどす黒い魔力の膨らみが
『世界樹の迷宮』深部・降臨の祭壇
「あらあら? 私が少し傷心に浸っていたら。あの『黄金の宝物庫』。七聖―女神―『アテナ』の文字通りの腰巾着が大きな何かをやるつもりね‥‥‥‥させないわよ!○○○」
魔女は静かに手を上へ掲げる。
「フフフフフフ。先に貰うわ。『妖精国』の贄達を、私のご飯を、贅沢な魔力残滓をね‥‥‥‥これで終わりよ。くそ、○○○」
‥‥‥‥
「神話・回帰(邪)『生贄の晩欄外』」
‥‥‥‥スゥーーウ‥‥‥‥パシャン!
『世界樹の根』の近くに鎮座する黒いベールに一滴の呪いが静かに垂らされる。
『世界樹の迷宮』近くの高原
「?! ヤバイ! ヤバいぞ! タマキ! 急いで。簡易転移魔法を黒いベール内の奴等を全員にやるんだ。じゃないと俺達。以外の全員。今、直ぐ死ぬ。俺の魔力瓶も好きなだけ使え!!」
「は、はい! ご主人様!!」
俺は警告? いや、絶叫しながら。未来の最悪のシナリオが頭に浮かんだ。
「俺も援護するタマキ! 行くぞ!」
「は、はい!」
「神代・」
「回帰」
「「大転移『黄金の宝物への誘い』+(魔力瓶×1000)!!!!」」
ゴーーーン! ゴーーーン!
大きな転移魔法陣が黒いベール内に広がって行く。
「‥‥‥‥そして、聖魔法『聖極のベール』」
俺は自身と神獣2人を守る為の聖なる衣を纏った。
トリスタン・ガウェイン軍
「ガ、ガウェイン卿? この光は?」
「す、吸い込まれる?」
ブオン!
『カムラン平原』
「ギャラハット卿? この魔方陣は?」
「ん? これかい? おそらくこれは、極大魔方陣の‥‥‥‥」
ブオン!
フローレンス軍 対 妖精の亡者
「何にゃあ?この魔方陣はにゃあ?」
「これはタマキ様とご主人様の転移魔法陣?」
ブオン!
北東・パーシヴァル・レッドドラゴンに乗るエスフィール。
「こ、この、魔方陣は?」
「えっ?何ですか?メイエスさん?!」
ブオン!
ぺリノア卿・投降軍
「転移魔法陣? いったい何処から?」
「ぺリノア卿! これはセツナ君の‥‥‥‥」
「え?」
ブオン!
『キャメロット城』
「モルガン様? あのどす黒い光は?」
「落ち着いて下さい。アグラヴェイン卿。何とかします。‥‥‥‥神明魔法・神明・回帰『アヴァロン結界』」
「モルガン様?」
「これで暫くの間は持ちます。アグラヴェイン卿。後は、あの方達次第ですね。‥‥‥‥アーサー君」
『世界樹の迷宮』深部・降臨の祭壇
「‥‥‥‥‥ふん。やるじゃない、○○○。まさか、協力者の魔力まで根こそぎ使うなんて思わなかったわ。フフフフフフ‥‥‥‥‥でも、これであっちの魔力は殆ど無くなったわね。馬鹿な子達。その後の事も考えないで。おめでとう。初戦は貴方達の勝ちよ。フフフフフフ」
魔女は冷たく笑う。
「いいわ。来なさい。部外者達。始めましょう! 終焉を! アハハハハハハハハハ!!!」
魔女は不気味に笑い。祭壇の階段を上がり始めたのだった。




