GB アレサ
GBのレトロゲームをやってみた感想文です。
このゲームはダメだと思いました。
グラフィックと音楽はGBの中でも最高に凝っているのは確かです。システムでも、モンスターを捕まえてカプセルに入れて、戦闘時に放出して戦わせる事が出来るというアイディアは当に某ゲームの元ネタと云える画期的なアイディアだと思います。その他にも、フィールド上を8方向に移動できるとか、移動中に主人公は独り言を行って次の目的地を示すので行き先に迷わないとか、主人公のレベル以下のザコ敵が出てこなくなるため不必要なエンカウントが無くなるとか、すごく画期的なRPGであるのは間違いないのですが、あまりにも画期的で実験的なシステムを詰め込み過ぎていて、その一つ一つの詰めがあまいというか、未成熟のまま無理やり仕上げてしまっているところが多すぎます。
そういったダメな点が幾つもあるのですが、中でもRPGとして決定的にダメなところは、終盤になってくると敵の攻撃が総じて即死系の攻撃しかしなくなってしまうところでしょう。味方側の攻撃力が全員MAXまで上がって全員最強の武器を手にして一体の敵に集中攻撃しても1ターンで一体倒せるくらいのダメージしか出ないようになっているのですが、敵は最大で3体出てきます。そんな状況で敵が3体とも即死魔法しか使って来なかったら、1ターンでほぼ確実に味方二人が死んでしまう訳で、さらに言えば、そんな敵しか出なくなる後半は主人公ともう一人という2人パーティーなので、ザコ敵一体倒すにも2ターン以上必要となり、1/2以上の確率で仲間が死ぬか主人公が死んでゲームオーバーとなります。2体以上の敵とエンカウントした時点でゲームオーバー確定。こうなると最早、運ゲーでしかなく、戦闘後に主人公だけでも生き残る『当たり』が出るのはパチスロで目が揃うのと同じようなもの、ひたすらリセット(再回転)を押すだけの何だか分からないゲームになってしまっています。
正直、私は最終盤の『ナスガママのまち』というところまでゲームを進めましたが、その時点でゲームがこのような運ゲーと化してしまった時点でやめました。エンディングは見てません。RPGとして、これはひどいですよ。テストプレイとかしたのでしょうか。
終盤に行き着くまでも、ちょこちょことダメなところは多々あって、例えば、このゲーム内には楯やアーマーやアクセサリーも多々用意されていて、名前も凝っていて格好いいし値段も高額だったりして良いのですが、それらは防御には一切関係せず、敵から受けるダメージは敵の最大HPの10%で固定、防具の重さの概念だけ反映されるため、豪華な防具は装備すると重くなって先制攻撃出来なくなるだけという無駄な物になっていて、結局全裸が一番強いという矛盾が生じていたり、最初に主人公のレベル上げをしてしまうとザコが出なくなるため、仲間のレベルは上げられず、ボス戦では生き残れず、結局主人公だけが経験値をとってレベルが上がって仲間は弱いまま戦力にならず終盤で詰んでしまったり。至るところにシステム上の詰めの甘さが垣間見える危ういゲームです。
主人公が始めて来た地域で、いきなり独り言で『次は○○要塞に行ってみようかな』とか言うというのも、なぜそんな場所を知っていて、なぜそこに向かおうと思ったのかなど、その理由が全く語られないなどの強引なストーリー展開というのもGBという子ども向けのハードのゲームならではと言えるのではないでしょうか。
ストーリーも大雑把に言うと、とある国が魔物に侵略され、主人公のお姫様が、魔物に連れ去られた姉を助け出しに行くという話なのですが、途中、魔物に支配された地域との城壁を抜けるための扉の鍵を得るために町で『おにぎり』や『味噌汁』を買ってドワーフに届けて交換で鍵を得て、といった何となく子ども向けなほのぼのとしたお使いイベントを50個ほど熟すと最後まで行けるという非常に単純な内容となっています。
しかし、ここにもゲームのバランスを保つのが下手な点があり、一つのイベントを完遂して次のマップなりダンジョンなりに進むと敵のレベルがきっちり1づつ上がっているという単純過ぎる仕様と、敵から受けるダメージもきっちり1づつ増えるという単純過ぎる被ダメージから、主人公のレベルもイベント毎にきっちり2上げて、それ以上上がらないように敵が出なくなるようになっており、逆にきっちりと2上がっていないと次のステージではザコに全く刃が立たないという極端な格差調整もしてあるため、『絶対にレベルが2つ上がるように』するためかダンジョンが異常なほど広く複雑な作りになっています。普通に進んでいればダンジョンの前半でレベルは楽々に2つ上がるので、後は敵のいない中で幾らでも迷いながら進んで時間をかけてもらう事でストーリーを長大に感じさせようとしているのでしょうが、入口に戻るだけでも面倒な、あまりにも無駄に長い迷路を何度も何度も繰り返されるのは流石にダルイです。
こんな迷路さえ無くて、魔物から姉を救出するためだけの芯だけを追ったストーリーならば2時間もあれば最後まで行けるんじゃないかと思います。『魔界塔士 Saga』だって一気に進めば1時間半くらいでクリア出来るRPGですが、それでもあんなに名作な訳ですから、なにもわざわざこんなに無理にクリアまでにかかる時間を引き伸ばすような細工を入れずに、ストーリーの芯だけをサクサクと進めるようにした方が潔くて好感の持てる印象になったんじゃないかと思います。
RPGで先進的なアイディアやシステムを試すにはGBというハードではちょっと厳しかったんじゃないかと思います。
難が多いゲームだと思いました。