正月早々エロ描写の話をしてみる
白状するとあるエッセイに触発されたからだったりはします。
それはざっくり要約すると、どこぞの割烹で、「さほどの描写もしなかったのに運営から警告を受けた」とあったのを受けて、自身の作品も不安になった。明瞭な基準を設けてほしいし、なんならR15から18の間で未成年が利用できてかつある程度の性描写が許される場を独立させて設けたらどうだろか、といった趣旨のものでした。
まあ、なべて作者ユーザーは無料の公開場所を借りている立場ですし、運営様が「これはちょっと……」と仰せであれば「エロうすんません」と引っ込むしかないのが筋ですから「基準はっきりさせてくれたら気を付けやすいんですの」となる気持ちはわかります。駄菓子菓子。明確な基準、となるとこれがまた提示不能な代物だったり致します。
ことエロに関しては、その違法性が社会規範から導かれるものであり、例えば傷害や窃盗とは犯罪性の認定基準の根っこが異なります。例えば、ぶんなぐって財布を強奪すれば世界中おおよそどこに行っても犯罪者認定ですが、極端な話、裸がデフォの民族もいれば顔をさらすのがもうふしだらな地域もある、そう言う種類のものです。所属する社会共同体でずいぶん規範が動きます。さらに時代や世代でも変動し、なんならテクノロジーも関与してきます。
一方表現者側はと言えば、これがまたそういうモノよね、と言えばそれまでですが、つねに新たな地平を開拓するサガを持つもので、新しい表現がどんどん出てきます。もちろん誰しももっと自由にイメージを膨らませたいですから、全体としては表現はエスカレートしていく傾向を本質的に持っています。今では高い芸術性評価を勝ち取った画家たちにも「これ当時的にはお金持ちからポンチ絵のオーダー受けてたに相違ないよね」とか「精神的にもう逝っちゃってるよねこの人」て感じのがぽろぽろ散見されますし。で、表現者側は社会規範とバッティングしてもしばしば自分ではわからないし、指摘されてもできることなら社会規範側を緩くしてほしいのが人のサガですので,ここのとこの最前線でせめぎあいが生まれます。
結果、ほんの数年で基準がぶれることになります。「このくらいなら」を続けてokラインを前進させてきたつもりがある日突然揺り戻しが来て後退なんて10年に一回くらいはあります。そのタイミングがいつ来るかはさっぱり不明です。
運営側にとっても、社会規範の揺らぎはコントロールの外にありますから翻弄され具合は作者と変わるところがありません。明快な基準をひねり出してもいつ時代にそぐわぬものになるか知れたものではないのです。しかもおそらくは担当部署全員のコンセンサスも完全には取れません。誰かが「まあこのくらいは……」と言っている隣で別の誰かが「いやアウトだろ、アウト」と言っていても何の不思議もないでしょう。
さてそんな状況で我々が取れる対策は?となると、これはもう自分の感性の告げるところに従って「こんなもんでどうでしょう?」とお伺いを立てて、その結果を見てすり合わせていく、あるいは他作品の描写を参考に「ここまでは大丈夫そうだな」とあたりを付けていくくらいしかないと思われます。もしダメ出しを食らったら?「エロうすんません」と引っ込めて修正するか、ノクタなりムーンなりに行くかしましょう。まだアンダー18なんだけど?推敲して練り上げる期間を数年もらったと思うしかないかな?




