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奇跡  作者: 明日奈 美奈
9/9

幼なじみ

9章「幼なじみ」

しょう兄、かける兄久しぶり。

俺の婚約者を約束通り連れてきたよ。』

今回は先生の婚約者と言う形で連れてきてもらった。

なんでも、この二人は先生に結婚はまだかと会うたびに聞く常習だそうで。

気のいいやつらだし、三人とも実の子供のように育てたいって言ってるやつらだから。


『あの、子供たちを引き取ってくださるって…。』

ああ、僕らには子供がいないし、あなたも子供達がまとまってたら会いに来やすいでしょ?

あたしの希望で、あたしの病気のことは隠してもらっている。

設定として、父から跡を継いだ養護施設を閉園することにしたあたし。

今いる子供たちの引き取り先を園長のあたし自らが探していることになっている。

子供たちとは血の繋がりはないが、弟や妹と言っていいほど可愛がっている。

だからこそ、あたし自らが探している。


『弟たちと離れるのは嫌です。

でも、私一人じゃあの子達に満足のいく教育を受けさせてあげられない。』

わかりきってます。

義務教育の間は誤魔化せても、そのうち誤魔化しが効かなくなる。

それでも、頑張ってこられたのは彼等の笑顔があったから。

お願いです。

あの子達に幸せを与えてやってください。

何もできないって思うかもしれないけど、あなた方なら大丈夫。

夜泣きをしたなら、抱き締めてあげてください。

風邪をひいたら不安にならないように側にいる。

それだけでいいんです。

側にいて暖かい手を差しのべる。


『へぇ。子供の扱いうまいんだ。

本当に子供がいそうだけど。』

うーん、赤ん坊を養子にしてますけど。

父が亡くなったあとに赤ん坊を引き取りました。

旧知の人の子供です。

引き取らないわけいかなかった。

その優しさが子供たちに好かれる秘訣か。


『優しいから子供たちに好かれるんだよ。

そこを気に入ったんだ。』

正兄、翔兄からの探りから彼女をかばう。

おっ、お熱いな。

この人だったら、俺らの弟分を任せられる。

それに、こんなにしっかりした人の弟たちなら、きっとうまくいくだろう。

半年後の閉園まではみんなと過ごしたい。

閉園は私の力不足で起きること。

もっと、力があれば兄弟を守ってあげられたのに。

まさか、このときは目の前にいる女性が死ぬなんて思っても見なかった。

彼女の死の知らせを聞いたのはそれから数ヵ月後のこと。

彼女は弘樹ひろきの患者だった。

養護施設の施設長をしていて、最後に残った子供たちをとても案じていたらしい。

彼等を弟と妹と呼び、引き取り先を自ら決めるぐらいには。

彼女は彼等のためにと頑張って奇跡を起こした。

永遠に彼等の心の中で大切な姉と慕われるぐらいには――――。


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