ブックマークが増えるかも知れない手法、主人公の骨格
主人公とはなんじゃらほい、と言う所から話を始めよう。
主人公と言うのは、物語の舞台となった世界で生きる人間である。
そして、その物語と言うのは主人公の輝いていた人生を文章にしたためた物であり、彼にとっては人生の一部なのである。
さて、その主人公はどんな人物なのであろうか、そこには三つ程の大まかな種別がある
・等身大の主人公
所謂、読者に近い人間であり、感性や善性は至って普通。
なろうで最も多い主人公で、その分、降って湧いた他人の力、チートをもらう事も多い。
共感を集めやすい反面、邪悪に陥りやすい主人公でもある。
巻き込まれ系や、転生及び転移などの物語に使いやすい。
・英雄型の主人公
私の小説「終末世界を変態が行く」の主人公がコレ。
比較的描写の難しい主人公である、読者から最も遠いが、彼には英雄と言う称号があるので、チートなんかいらない上に、大抵のチート主人公より強い。
憧れを集めやすく、最初から一貫したキャラクターでいられる反面、共感を集めにくい。そこは作者の腕の見せ所だ。
どんな物語でも主人公や脇役、悪役を張れるのが最大の強み。
・傍観者型主人公
読者からも遠く、主人公にし難い主人公、漫画「斉木楠生のなんちゃら」の主人公がコレ。
滅茶苦茶に描写の難しい主人公である、読者からは最も遠いくせに、読者の視点から物語を進めると言った邪道オブ邪道が出来る。
言ってしまえば、英雄型キャラクターの隣で、物語を見続けた人間だったり、逆に等身大キャラクターに師事された世捨て人の剣士、なんかも出来る。
起用出来る物語も少なく、主人公ムーブも難しいが、最も強くなれる主人公でもある。
以上の三つが主人公の種別でもあり、物語となれる人物だ。
どれを選ぶかは、世界観の趣旨に合ったものをお勧めする。
続いては属性決定だ。
光や火などの魔法系ではなく、主人公の性格を決定するための屋台骨だと思ってほしい。
主人公が一体どんな規範であって、性根を持つのかを決定する。
・秩序にして善
人々の規範となる人物、法の守護者でもあり、善性の体現者。弱者の味方であり、誰かの為に戦う事を求めるキャラクターだが、頭が固い。
・秩序にして中立
至って普通の小市民、ルールを破る気は一切ないが、人助けをする気もない。
・秩序にして悪
人々に石を投げられる嫌われ者、法を尊守するが、人々を守る気はさらさらない。結果として誰かの為に戦う事はあるが、彼はルールを守っただけである。アサシンは大抵これ。
・中立にして善
人々の味方だが、法を逸脱した事すらやらかす善人。人の為を思って良かれと感じた事はやる、所謂正義の味方系キャラクター。ときたまやりすぎる。
・真なる中立
最も公平な人物、ルールは人が生きるのには必要不可欠だとは思ってはいるが、率先して守ろうとはしない。悪人でも好きな奴は好きだし、善人でも嫌いな奴は嫌いと、他人に左右されない鋼の精神を持つ人物。
判断基準はしっかりと自己の中にあれば、それは英雄になるが、自己の中になければチートをもらってドヤ顔しちゃう恥ずかしい方のなろう主人公になる。終末世界を変態が行くの主人公も真なる中立。
・中立にして悪
法を守ったり守らなかったり、とにかく自分が良ければ良しの小悪党だ。
なろうの悪役は9割がコイツ、巨悪が相手だと負けちゃうもんね、仕方ないね!ちなみに、なろう主人公にも多いタイプ。
・混沌にして善
己が心の善性に従う善人。ちなみにこの善人とは周囲から見て、である。自分が善人だと喚いても、属性は決まらない。
たとえ、相手が悪党であろうと、救いたいと思えばチャンスをやる熱い人物。お釈迦様とかまさにコレ。
その生き様からは強烈なカリスマが生まれて、味方も多くなるが、敵も増える、めっちゃ増える。
法を守らないので、一般市民からは嫌われる。
・混沌にして中立
己が心に従う者。
悪党ではないが、決して善人ではない。
自分の事以外はどうでもよく、ストレスフリーな生活を送っている。
・混沌にして悪
必ず人々に害なす者。
己の美学に従って、望んで悪を成す大悪党。
この者は万の屍を築き、千の悲劇を生み出すだろう。なろうにはいないので安心しなさい。
ここまで来れば、主人公の骨格が出来上がる。
例えば、等身大の主人公にして、秩序にして善のキャラクターだと。
全く自身に力がない上に、善良であろうと、人々の規範であろうとする人物が生まれる。宗教家にでもなった方がマシな彼は、一体どこにいくのだろうか。
そしてそんな彼をどんな世界に放り込むのが幸いだろうか?
ここで世界観を付けて、主人公の経歴でも書いてしまえば、後は勝手にキャラクターが動いてくれる。
ここまでやれば、後は勝手に魅力となるだろう。
例えばだ、彼を今だ流行りのテンプレワールドに、適当な最強チート(その世界だけ)を付けて放り込めば、それなりの物語にはなる。
弱者の下に弱者が居て、強者は搾取する世界だったら、彼はその世界と戦うだろう。
それだけで、善人がもがき苦しみながら、戦争を起こして死体の山を築く戦記物っぽい作品が出来上がる。
どう考えても、オチは精神崩壊待ったなしだが、物語は物語だ。
短いが、以上がすごく簡単な主人公の骨格を作る行為だ。
大事なのは、主人公の種別、属性、そして今までどうやって生きていたのか、だ。こうすれば人間味のない人形みたいな奴、とは言われ難くなる。
そして、この手法はほかの登場人物の量産にも使える。
これを利用して優雅な小説ライフを送ってくれ。