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鋼の戦士ブレイブゼロ エピソード1

作者: びんとろX
掲載日:2016/05/15

今回が初のヒーローアクション小説です。

文才はかなりないので文章は稚拙ですが最後まで読んでいただければ幸いです。



 暗い夜道、辺りの家々の中の明かりは消えており、車やバイク、自転車、バイクも一台や二台くらいしか走っていない。

 午後十一時、一人の三十代くらいの背の高い男は表面が長年使われている古い色合いを醸し出している狭くて細長いトンネルを鼻歌で愉快に「翔べ!ガンダム」を口ずさみながら歩いている。トンネルの内部のコンクリートの壁は不良がやったのであろうスプレーの落書きがたくさんある。それらのほとんどが暴言や下ネタであり、非常に不愉快なものである。だが男はそんな不健全な落書きを全く気にせず、初代ガンダムのOPを鼻歌で歌いながらトンネル内部を緩やかに歩いている。

 するといきなり、男の背後で、空き缶がコンクリートの地面に落ちた少し騒々しい音が聞こえた。男はなにかと後ろを振り帰り、辺りを見回すが、特に何もないことを確かめ、再び前を向いて歩く。天井のやや広く穴が開いたところから、顔面がナイフか何かの刃先で切り刻まれた痕から濃い赤の触手がでているかのような全体的に黒色の化け物が姿を現す。その化け物は天井から男めがけて飛びかかり、両足を地面に着地させる前に首。男は悲を絞め始める。男は突然の襲撃に非鳴にもならない声を出す。しかし全く効果はない。無駄だと悟ったのか、男は全身をとにかく動かす。しかし、男の首を絞め続けている怪物は少し揺れ動くだけで効果はほぼ皆無に近い。次に怪物は男を前方に突き飛ばした。突き飛ばされた男は真っ直ぐに早いスピードで飛んでい

き、地面にすとんと落下した。怪物は再び男の倒れている方へ走って向かい、鋭いナイフのような爪を男の顔面にヒットさせる。男は大きい悲鳴を上げる。男の顔からは大量の血しぶきが流れ出る。次に怪物は男を右腕だけで持ち上げ、脚で強烈なキックを浴びせ、腰から細長い剣を取り出して斬る。男の胴体から先ほどの顔面同様大量の血しぶきが流れ出て、倒れる。怪物はわけのわからない言語を言い放ってからトンネルをもと来たところから出る。斬られて死んだ男は30秒経ち、真っ白なミイラと化した。

 

                     ★



 閃獅岳高等学校。そこに少年、天城流斗がいる。流斗は全教科の成績は特に悪くもなく、まあまあのラインに立っている。だが、唯一理科が苦手で、様々な専門用語や数学の計算を使うようなものが特に苦手なのである。

 午前8時20分、流斗は様々な喧騒が存在する廊下を通って自分の教室に向かって、鬼ごっこや会話などをしている生徒たちの間を通っていく。教室に一人の同級生の男子生徒が笑顔で流斗のいる位置へ向かってくる。

「ようやくきたな、流斗」

「ようやくってどういう意味だよ。普通に遅れずに来たと思うぜ」

「いやいや遅いとかそういう意味じゃなくてさ、なあ、これを見てみろよ」

そういって流斗の友人、中村賢治は眼前に一枚の写真を見せてくる。その写真には、夜空に浮かぶ三日月を背景に、なにやら人間のような鳥のこの世にはありえないような生物の飛んでいる姿が映し出されている。その生物は黒く、全く正体がつかめない。

「んだよこれ?未確認生物とでも言いたいのかお前は?」

「ビンゴ、いつだってお前は俺の思惑を読み取ることができるな」

「いやこれに関しては明らかに未確認生物の激写自慢しにきたんだろ」

「そう、自慢っちゃ自慢なんだけど、それ、俺が撮ったわけじゃなんだよな」

「は?どういうことだよ」

流斗はびっくりして未確認生物の写真を床に落とす。

「ネットの流出物なんだよね、いまツイッターやフェイスブックで話題になってるんだけど、お前知らないか?」

「いや、こんな画像知らねえよ。てかツイッターもフェイスブックもやってないから当然そんなものの流行になんか乗ってけねーよ」

すると賢治は急に真剣な顔になる。

「やっぱそうだよな、でもこれ本物なんじゃねえか?」

「偽物に決まってるだろ、今の時代誰でもそんな加工ぐらいはできる」

流斗は賢治の発言にあきれて、自分の席につくために向かう。だが賢治は諦めず、流斗の前に再び回ってくる。

「まあまあちょっと待ってくれよ、俺も最初はこんなもんしょうもないガキが作った加工画像だって思ってたけどよ、実は証拠があるんだよな」

「はあ、まだその話続くのかよ」

すると賢治は学校の制服のブレザーのポケットから自分のスマートフォンを取り出すと、ホームボタンを押して開き、写真を保存しているフォルダから一つの動画を再生させる。その動画は10秒という短い動画であるが、先ほどの画像とほぼ同等に、夜空に三日月が映し出されており、そこにカラスの鳴き声を約3倍ぐらい高くした鳴き声を出す人間のような姿の鳥が飛行している。

「え?なんだよこれ」

流斗が言った。

「な、やっぱり本物だろ?未確認生物っているもんなんだなぁって、初めて思わされたぜ」

「ふん、バカバカしい、こんなくそみたいなCG使った動画に俺が騙されるとでも思っているのか」

「あぁ!んだよせっかく証拠になるもの見せたのによ。お前さっきこんなもの見たことがない的な顔してたぞ」

と賢治が叫んだ瞬間、会話をしていた二人以外の周りの生徒たちが流斗の方に驚くかのような視線を向ける。

「とにかく未確認生物なんてもの自体存在するわけないんだよ。ツチノコなんてものも結局はただの空想の中の生物でしかないんだよ」

チャイムが鳴った。そして教室の黒板の横の扉から毛の少ない丸眼鏡をかけた若干ガリガリの50代ぐらいのクラスの担任が入ってくる。担任は手に持っていた出席表と自分の予定が書かれている手帳を教卓の上に置いた。

「みなさんおはようございます」

そう言うと、生徒たちは真面目に挨拶を返すものや、ふざけた挨拶を返すものもいた。




その頃、あるトンネルの中に6人の警察官と4人ぐらいのじゃじゃ馬がいた。警察官はミイラ化した遺体の指紋採取と、捜査を行っている途中である。するとそこにベージュと赤のスーツを着た中年と、黒いスーツを身に纏った若い男がやってきた。

「刑事の猿渡政之助だ」

「同じく刑事の斉藤隆志です」

警察官たちはその二人を見たとたん、姿勢を良くして左手を額の前に上げる。

「ご苦労様です」

「被害者は?」

「被害者は児嶋武彦37歳、食品工場の社員だったそうです」

「死亡推定時刻は?」

「それがまだ不明です」

猿渡はミイラ化した遺体を少し睨んで、右手で顎を撫でる。

「なるほど、でもかなり前に死んだことはわかるな」

トンネルの内部は現在通行禁止の看板がトンネル前に立ててあり、自転車、車などの車両の通行は禁止されている。だが歩行に関しては問題外なので、現場にはじゃじゃ馬ができてしまう。斉藤は最初より少し増えたじゃじゃ馬を見渡す。じゃじゃ馬の中には噂話や携帯をいじってたりするものもいる。斉藤はこのようなじゃじゃ馬を大変嫌う。

「どうした?」

猿渡は斉藤を気にかけて問う。

「いえ、やはりじゃじゃ馬が嫌いなもんでして」

斉藤は冷静に返答する。

「まあ放っておけ、どうせただの暇人だ」

猿渡にそう言われた後、斉藤は軽く頷き、再びミイラ化した遺体の捜査を始める。

「猿渡さん、この死体って結構前のものだったりしますよね。もうすでにミイラ状態だし」

斉藤は遺体を見ながら猿渡に呟く。猿渡は左手を顎に置き、少し考えるかのような顔をする。

「確かにそうだ。でもこのトンネルは見ての通り落書きも多い。毎日人が通る場所だ、誰かがすぐに気づかなかければいけなかった」

「もしかしたら犯人は今までミイラ化するまでどこかの場所に遺体を隠してたんじゃないでしょうか?」

「何を言っている、そんなバカげた真似なんぞ、俺たち警察にしちゃすぐわかる」

周りの警察官たちはミイラ化した遺体の骨と指紋の採取と、一眼レフカメラでの撮影を行っている。中にはメモ帳片手に何かすごい勢いでメモを取っている者もいる。




高校の放課後、流斗は賢治と同じバドミントン部での部活動を行っていた。バドミントン部は現在がほぼ全員が部員同士で練習としてラリーや素振りを行ったり、体育館周りを走ったり、腹筋運動、腕立て伏せをしたりしている。流斗と賢治は一つのやや広いコートを使って、ラリーをしている。両者とも結構汗をかいている。

「流斗、俺らラリーもう何分やってんだろうな」

賢治は自分のラケットを一生懸命手首のスナップを利かせながら相手である流斗にそう尋ねる。

「さあな、でも流れる汗からもわかるように、軽くもう30分ぐらいはやってんじゃねーの?」

「じゃあそろそろ腹筋運動とか素振りとかいくか?」

賢治がそう言うと、流斗はラケットを振る手を止めた。ラケットのハネが流斗の足元に静かに落ちる。

「ああ、そうするか。じゃあラリー交代だ」

流斗がそう言った後、もう二人の同級生と入れ替わる。二人はまずは腹筋運動から始めることにした。バドミントン部の腹筋運動と腕立て伏せは80回となかなかハードなメニューとなっている。流斗はこのなかなか多い回数はあまり好きではない。流斗にとっての一番ベストな回数はせいぜい60回ぐらいなのだ。賢治はというと、別に80回は嫌というわけではないようだが、そもそも腹筋運動と腕立て伏せをやること自体に意味が見出せないようだ。そして腹筋運動、腕立て伏せを終え、次の素振りに移行する。




とある薄気味の悪い小規模な研究所。その研究所の建物のカラーリングは青と黒がバランス悪く混ざったかのようなまるでピカソの世界観が入り混じったかのような色であり、近所の人たちからは、「怪しい」、「近寄ると危ない」、「あそこには変な奴が住んでいる」と井戸端会議でそう話題を呼んでいる。

 そこに一台のパトカーで猿渡と斉藤が向かう。

 この研究所は5年前に設立され、ほとんど人は研究依頼に来ないが、猿渡だけはなぜか2年前から何か殺人事件があればここに来るようになっている。

 猿渡は研究所の前の駐車場にパトカーを停め、降りて研究所の扉前に移動する。そしていかにも自爆装置を作動させるときに使うような下に金属板が取り付けられている丸い赤のボタンを押す。すると室内からサイレンのようなうるさい音が聞こえてくる。猿渡と斉藤は顔をしかめながら、一歩後退る。

「ったく、なんでいつもこの音なんだよ。もうちょっとまともなもんあんだろがこのくそ野郎が!」

「ほんとにたかがピンポンでここまでするなんて馬鹿げていますよね」

猿渡と斉藤は研究所のピンポンを愚痴りながらそう言った。そうここの研究所の研究リーダーはとにかく普通の人がやらないようなことを好んでやる、特異な好みの持ち主である。

 ピンポンが約5秒間鳴り、終わった直後に中から入口の扉を開けて一人の青年が出てくる。その青年こそがここの研究リーダーであり、かなり変わった感性の持ち主なのである。その青年は肩までくる長い髪に、ズボン、シャツ全てが白で、シャツの上からはしつこいが白衣を着ている。青年は猿渡と斉藤に手を挙げて挨拶をする。

「どうもお久しぶりです猿渡警部。えっと、こちらの方は?」

青年は斉藤を指す。斉藤は左手を額の上に置き、かしこまって自己紹介をする。

「自分、新人刑事の斉藤隆志といいます」

「こいつはとんだ変態野郎だ、かしこまることはない」

すると、青年は少し顔を赤くして言う。

「いやまぁ猿渡警部、照れすぎて僕興奮しちゃいますよ、ウフフッ」

猿渡は真顔になる。

「お前の変態はどうやら不治の病のようだな」

猿渡は青年に厳しくそう言い放った。

「まあいまだに本棚の僕のエロ本コレクション残ってますからね。なんなら最新のでも見ていきます?案外そういう系好みですよね」

青年はそう言うと、斉藤は第二の変態を見るかのような表情をして、猿渡を見る。猿渡は誤解を解くため、両手を顔の前に挙げながら言う。

「誤解だ!勝手に人を変態のように仕立て上げるんじゃない!」

「え?え?この前そういうのにも最近興味があるとか言ってたじゃないですか」

「だからそんなこと俺は言ってない!まったくほんとにお前は面倒なやつだ!失せろ!」

猿渡が青年にきつく怒鳴った後、青年はにやりと笑みを浮かべる。

「あれ?いいんですか?例のミイラ化した遺体の研究結果の詳細を聞かなくて?僕しか頼れるやついないんでしょう?」

猿渡は困ったような顔をする。

「すまない、先ほどの暴言はなかったことにしてくれ」

猿渡が青年に謝ったことに対して、斉藤はやや戸惑ってしまう。猿渡にはこの変態青年の他に頼れる研究者が一人もいないのだ。だからこそ猿渡には謝るしか選択肢はない。

「ふふっ、やっぱり猿渡警部は素直が一番ですね」

青年にそう言われた瞬間、猿渡は悔しい気持ちでいっぱいになり、ついにはそれが顔にまで表れる。次に青年は白衣のポケットから長方形の一枚の厚紙を取り出す。どうやら自分の名刺のようだ。それを斉藤に渡す。

「申し遅れました僕は神惠晴城と申します。ここの研究リーダーを務めています」

「はい、え?他にも研究員の方はいらっしゃるんですか?」

「ええ、まあ僕以外3人だけですけどね、くくっ」

斉藤は猿渡に視線を向ける。猿渡も斉藤同様呆れた顔をする。

 青年は、二人を室内に入れるため、右手で手招きする。猿渡と斉藤はまず玄関に立ち入る。玄関の右側の壁には本物の人間の血液で「研究一筋」と恐ろしく書かれている木の薄い板、左側には映画「エイリアン」に出てくるエイリアンの人間とほぼ同サイズのフィギュアが置かれている。左右の展示物を見て斉藤は猿渡に問う。

「なんなんですかこれ、あきらか来るとこ間違ってるでしょう」

「言うと思った、俺も最初は玄関からでさえ途中でリタイアしようかなんて考えた。まあいまだに慣れないけどな」

二人が会話している方を先頭に立って前進していた神惠が一瞬振り向き、ニヤッと奇妙な笑みを浮かべる。それを見た瞬間、斉藤は泣きそうな顔をし出す。

「やっぱここお化け屋敷かなんかですよ、もう僕帰ります」

斉藤は奇妙な光景を玄関で目にし、怯えて外に出ようとする。だが、

前に出ていた左腕を猿渡に捕まれる。

「刑事たるもの、たかがこんなもので、何を怖気づいているんだ」

そう言って猿渡は斉藤を引っ張りながら、研究室に入れる。研究室は四台の黒の勉強机と、棚があり、そこにホルマリン漬けのスズメバチやカブトムシなどと先ほど紹介していたエロ本コレクション、他には棚のとなりに大量に山積みになっている資料や本、研究室の中央には死体を解剖、調査するためのスポットライトと机が置いてある。勉強机四台のうち、現在三台が研究員によって使用されている。それらの研究員たちは、パソコンでオンラインゲームをしたり、漫画や小説を読んだり、山積みになっている資料の一部を読みながら何か実験している。三人は完璧なる無表情を作っている。そして、神惠は刑事二人の方に振り返り、再度ニヤリと笑みを浮かべる。

「ふふっ、すでに調査の方は完了済みですよ」

「そんなこと、わかってる。で、どうだった?」

「どうだったとは?」

神惠は憎たらしく若干気持ちの悪い顔をしながら猿渡に聞く。

「ミイラの遺体の傷跡とか指紋とかどうだったんだよって話だ」

「わかってますよ。それじゃあ遺体とともに研究結果の詳細説明をしますので、とくに新人の斉藤警部、聞いておいてくださいね」

「は!了解しました」

斉藤は初対面同様、またも神惠の前でかしこまった態度でそう言う。すると、神惠は棚のカブトムシのホルマリン漬けの瓶の左横の立方体の黒い箱を取り出し、中央のテーブルに置く。そして、箱の蓋を開ける。箱の中身は、つい最近見つかったミイラ化した遺体の胸部分と腕の骨が綺麗に置かれている。神惠はその全ての骨を取り出し、スポットライトが当たっている部分に静かに置く。

「まず、胸部分の骨ですが、ほんの少しですが何かで切ったかのような五センチぐらいの切り傷があることがわかりました」

神惠はその傷があると思われる部分を右手の人差し指で撫でながらそう説明した。次に猿渡は神惠に問いかける。

「何で切られたかってのはわかるか?」

それを聞かれた瞬間、神惠は少しテンションが下がったかのような感じで、頭を下にダランと下げる。

「それがまだ解明できてないんです」

次に斉藤が神惠に問いかける。

「他の部位には傷跡か何かあったんですか?」

その質問を聞いたとたん、神惠は顔を上げ、今度はスズメバチのホルマリン漬けの瓶の右横の先ほどと同じ黒の立方体の箱を取り出し、テーブルに置く。

「また何かあるのか?」

猿渡が再度神惠に問い詰めると、神惠は奇妙な笑みを浮かべ、箱を開け、中身の骨を取り出す。今度の骨は脚部の太もも部分の骨と頭部の骨のようだ。

「太ももが何か大きなドリルのようなもので鋭く穴があけられていました」

「なに?ドリルだと?」

神惠はその太もも部分の骨を机上で一度裏返し、その証拠を刑事二人に確認させる。

「ね?ざっくりあいてるでしょ?」

その骨には、三ヵ所小さな口径の穴がかなり深くあいている。一体どういうつもりでこんなことをしたのだろう?猿渡と斉藤は不思議で仕方なかった。猿渡は白化した骨たちを見て、またまた再度神惠に問う。

「やはり、だいぶ前に殺されたやつなのか?」

「いえ、それはないと思われます」

「なぜだ?」

「だって普段人通りの多い場所なんでしょ?それじゃあ通行人が気づきますよ。隅は隅でも普通に発見できる場所にあったんだし」

そう言うと、神惠は玄関前の冷蔵庫の前まで移動し、中から青汁を取り出す。それを机上まで慎重に持っていき、置く。

「またそれか、気持ち悪くないのか?」

「いいえ、むしろ僕は大好きです。青汁とミミズの奇跡の融合じゃないですか。そこに僕はまた違ったエロスを感じるんです」

神惠は極度の変態のようにそう短く説明する。この青汁は神惠特製で、朝、昼、晩と毎日欠かさず飲んでいる。材料は市販の青汁と山で採取してきた大量のミミズをミキサーでぐちゃぐちゃにして、そのエキスで作られている。当然そのエキスは市販の健康的な青汁に投入される。

「お二人もいります?」

「いやいらん!」

「てかなんですかそれ?おいしいんですか?」

「斉藤、やめておけ、それはミミズ入りだ」

そう言われた瞬間、斉藤は恐ろしいものでも見るかのような表情で神惠を見る。神惠は今も奇妙な笑みをキープしたままだ。

「僕もやめておきます」

「二人とも僕の青汁の良さを、エロスを理解してくれないようですね」

「誰がそんな気持ち悪い飲み物に興味を示すか!」

そうきつく怒鳴って言うと、猿渡は立ち上がる。

「斉藤、今日のところはこれで引き返すぞ」

「え?引き返すんですか?」

「やはり居心地が悪い」

猿渡にもついに限界が来たようだ。二人が帰ることを悟った神惠は、本棚から一冊、エロ本を取り出す。

「あ、ちょっと待ってくださいよ、僕おすすめのエロ本でも見てってくださいよ。特に斉藤警部」

「いや結構です。これから署に戻って仕事があるので」

斉藤は冷たくそう言い放った。神惠は帰ろうとする斉藤の腕を掴む。

「斉藤警部にはぜひおすすめの一冊ですからね、えへへ」

神惠は今にも口からよだれが垂れそうな感じで微笑む。その時の眼はまさに常人には理解しがたい変人そのものである。

「いつになったらお前の性癖とか変態とか治るんだ」

「すいませんね。わかりました。まだ話すことがあるので少しだけ待ってくださいよ」

「どうせまたエロスについて熱く語るんだろ」

「いいえ、違います、一つ言い忘れてたことがありましてね」

二人は帰る足を止め、もう一度神惠の方を振り向く。

「今度はなんだ?」

「これを見てください」

そう言って神惠は、ズボンのポケットから自分のスマートフォンを取り出す。ホームボタンを押し、画像を保存しているフォルダを開き、一枚の画像を二人に見せる。

「なんだこれ?」

「今ネット上で話題の未確認生物ですよ」

真っ暗な夜と家々をバックに一体の人間の形をした鳥のような怪物が写っている画像を、斉藤と猿渡は怪しげに見ている。それから四秒後、

「バカバカしい、ツチノコさえいまだ発見されてないのにそんなものあるわけない!どうせただのCGだ」

猿渡は斉藤とともにすぐさま署に戻るために奇妙な研究所から出ようとする。しかし、神惠に腕を掴まれ、一度立ち止まってしまう。

「どう見てもCGじゃないですよ。これは確実に本物だと思います」

「そんなもん、ありえない。アニメやゲームでの世界でしかないただの空想の生物だ。それと、今回の事件とは何の因果関係もない。よって帰るぞ」

今度こそ斉藤と猿渡は駐車場に停めているパトカーの所まで逃げるように向かい、署に戻るのだった。

研究所の玄関の前で外の景色を奇妙な笑みで眺めながら、神惠はぼそりと呟く。

「ま、僕みたいにいつまでも暇じゃないですもんね」

神惠が眺めている景色は殺風景な空の色とシンプルな家々である。






閃獅岳高等学校、放課後(部活終了)

流斗は部活を終え、額から汗を流しながら自転車を停めている学校の駐輪場に向かっている。周りは結構騒がしく、友達と帰るものや、一人で帰るもの、親の車に乗って帰るものなど様々だ。歩いている途中、流斗の左横を、走っている賢治が通る。

「なんで走ってんだ?」

「いやぁ、このままじゃバスに乗り遅れるかもしれねーからよ」

「バス通学って大変なんだな」

「まあな。そんじゃあな」

「おお、また明日」

そんな短い会話の後、賢治はクールにダッシュで校門を通り抜けていく。賢治は家から電車とバスで約40分かけて登校しているのだ。そしてバスはたとえ一本でも逃すと帰宅がかなり遅れるので、登下校はまさに戦いなのである。

 流斗は、ポケットから自転車の鍵を取り出し、ロックを解除し、賢治と同じくクールに校門を通り抜けていく。



それから10分後、流斗はある一つの駄菓子屋さんでおり、自転車を駄菓子屋の前に停める。駄菓子屋「ワクワク商店」、流斗が8歳のころから週2,3回以上は通っている駄菓子屋である。ワクワク商店の前にはたばこと100円均一のジュースの自動販売機が稼働している。流斗はワクワク商店の入口のスライド式の扉を開ける。

「よ、ばあちゃん」

そう言うと、レジの奥の一室から背の低い元気なおばあちゃんが出てくる。このワクワク商店はここの店主のおばあちゃんの家でもある。

「やあ流斗、相変わらず汗まみれだねぇ」

「ははん、そうかなぁ」

流斗は手で汗を拭いながらそう言った。そのおばあちゃんの名前は三根紀子、80歳である。

「やはり、若さってのは元気の源なんだねぇ」

「ばあちゃんもまだまだ元気じゃないか」

「んなこたないよ、あたしの命もそろそろ尽きるかもしれないんでね」

流斗は80歳でも元気なおばあちゃんを見て内心ホッとする。そんな時、さらにレジの奥の一室から一人の女の子が出てくる。

「あ、流斗くん、部活お疲れさま!」

「よぉ杏奈!お前もバレー部頑張ってるか?」

「あったりまえじゃないの」

女の子の名前は三根杏奈、14歳。中学二年生だ。賢治とは小さい頃から仲が良い。杏奈は現在中学校の制服を着ながら流斗と会話をしている。

「いつもうちに来てくれてありがとね」

「小さい頃から世話になってるしな。ここは俺にとって大事な場所だ」

「大事な場所・・・ははぁ、そんなこと言われると照れちゃうなぁ」

「はは、照れるか」

流斗と杏奈は笑いながら会話をしている。次に流斗は商品が並べられている棚の、黄な粉棒と、ソーダ味の3つ入りの風船ガムと、小型サイズのヨーグルトのお菓子を取り出し、レジの台に置く。

「70円ね」

店主のおばあちゃんにそう言われ、流斗は黒の男物のおしゃれな財布をカバンの中から取り出し、そこから百円を抜いておばあちゃんに渡す。

「30円のお釣りね。いつもほんとにありがとね」

購入した三つのお菓子をカバンに収納した後、杏奈とおばあちゃんの方に振り向く。

「じゃあな杏奈、また明後日寄ってくわ」

そう言って流斗が扉を開けて外に出ようとしたとき、杏奈に両肩を掴まれる。

「ん?なんだ?」

「もう結構暗くなってきてるから帰り気をつけてね。じゃあね流斗くん」

杏奈は笑顔で流斗に少し心配しながら言う。

「いつもありがとな」

流斗はポンと杏奈の頭に大きな右手を置き、その後に外を出る。杏奈の顔は流斗の大きな手の感触、体温で赤く染まる。

「うれしいな」




帰り道、空はすでにほぼ暗くなっており、街灯も煌びやかに発光している。流斗は自転車を運転しながらもうそろそろ着く自宅に帰ろうとしている。自転車はもうだいぶ暗いので、かごの下のライトの電源を付け、視界が見えるように発光させている。

 自転車に乗っている流斗の近くに一体の飛行している影が現れる。羽こそはないものの、両手を横に垂直に開き、飛行している。その影はカァーッと甲高いカラスと低いゴリラの声が合わさったかのような鳴き声を発する。自転車を運転していた流斗は何事かと思い、瞬時に自転車の走行を止める。すると、流斗の横からその影は真っ直ぐに飛んできて、サドルに座っている流斗の体に強烈な体当たりを浴びせる。体当たりされた流斗は自転車と共に地面のアスファルトに体全体を少し強く打つ。その影は流斗の目の前に着地し、姿を見せる。それは人間のような体をした鳥、つまり鳥人間のような怪物であった。色は全体的に濃い赤であり、眼は黄金に輝いている。腕の手の指からはカッター並の大きさの刃が両方合わせて10本出ている。流斗は打撃箇所の痛みに耐えながらも、眼前の怪物を見る。流斗は見たことのない怪物を前に眼を大きく見開き、悲鳴を上げる。悲鳴を上げた直後、流斗はあることを悟ってしまった。そう、眼前の怪物は今日の朝に賢治に見せられた怪物と似ているのであることを。怪物はガッ!ギョッ!グエッ!ガガ!と意味不明なある言語を発している。流斗は立ち上がり、カバンを抱えて逃げようとするが、背後から怪物に首を掴まれる。前へ進めなくなる。怪物は奇声を発しながらも、どんどん首絞めの強度を上げていく。流斗は逃げるため、腕と足をひたすら動かし、抵抗する。両腕の肘と、両足のかかとが怪物の体に少しヒットし、怪物はつい流斗の首を手放してしまう。その隙を逃すことなく、流斗は再び逃げようとする。しかし今度は怪物に握りこぶしで思いっきり殴られ、再度地面に倒れる。そして、怪物の左手は平手になり、指先の刃で流斗の心臓を突き刺そうと腕を後ろに引き、前に突き出す。その瞬間、怪物の手に激しい光が僅か一秒だが現れた。怪物の手は先ほどの光の衝撃で切断され、斬れた部分からは大量の血が血しぶきのように流れ出ている。怪物はガァーッ!と悲鳴を上げる。流斗は閉じていた眼を開け、その光景を見る。流斗は何が起こったのか理解できず、驚いてしまう。すると、流斗の横に一人の鋼の鎧と兜を身にまとった騎士が現れる。流斗は横にいる騎士の存在に気づく。

「い、一体何なんだよ!何がどうなってんだよ」

その騎士はこちらを向く。その2秒後、騎士は流斗の胸に掃除機で吸い込まれる物質のように、流斗の体に憑りつく。流斗は自分の体内に騎士が入る光景を目の当たりにする。

「ひゃ!俺の体に、入りやがった!」

その瞬間、流斗は先ほどの騎士のような鋼の鎧と兜を身にまとった戦士に姿を変える。その戦士は眼は濃い青で鋭く、腰からは柄が黒で、刀身はメタルレッド(銀がかった赤)の片手剣が収められており、靴は先ほどの鋭い眼と同じ濃い青である。流斗は変わってしまった自分の姿にどういうことだよと内心思う。眼前の怪物はウギャー!と奇声を上げ、両手を上げて流斗に向かっていく。流斗は咄嗟に腰に収められている片手剣を抜き出し、それを怪物の腹に横なぎのようにして打撃を加える。怪物の切り裂かれた腹からも、先ほどの手と同様、血しぶきのように体内の血液が放出されていく。怪物はまたも悲鳴を上げるが、流斗は容赦せずに、バドミントン部で鍛えた跳躍力で高くジャンプし、片手剣を怪物の頭部めがけて叩き落すかのように、振り払う。刀身は怪物の頭上から股間下の地面まで走る。頭上から真っ直ぐ下に切り裂かれた怪物の体からは、先ほどのより大量の血しぶきが流れ出て、真っ二つになり、地面に倒れる。流斗の鎧の鋼の装甲は返り血を浴びる。倒された怪物はゲームの敵のように爆発して消え、流れ出た血も跡形もなく消えていく。流斗の体は元の制服を着た姿に戻る。

「怪物を倒した・・・・・・俺はなぜあんな姿になってたんだ?」

流斗は体全体を見渡しながら、そう呟いた。その後、流斗は独り言でこう言う。

「ブレイブゼロ、それはアンデッドを処刑するもの」




流斗はやっとのことで家に帰宅した。時刻は夜の8時、いつもなら7時前後であるが、今日はそこそこ遅れてしまった。玄関で母に出迎えられる。母は天城彩香という。

「お帰り流斗、今日遅かったのね」

「いやぁ、怪ぶ・・」

流斗がそう言った瞬間、母は首を斜めに傾ける。

「ん?なに?どうしたの?」

「あ、いやいやなんでもない!それよりさ、腹減ったよ」

我に返った流斗は話題を変えた。

「ふふっ!今日は流斗の好きなギョーザがあるわよ」

「よっしゃぁ!って買ってきたのか?」

「パパが仕事帰りにね」

流斗はリビングに一目散に向かっていく。今日は流斗の大好物の餃子が食卓に置かれているのだ。食べないわけにもいかないのである。



夕食を終え、流斗はすでに用意されている風呂へ行くことになる。

「じゃあ母さん風呂入ってくるわ」

「どうぞ」

「今日は先に帰ってきた俺が最初に入ったからぬるいと思うぜ、はは!」

流斗の父、天城和正は皮肉気に笑ってそう言う。

「最近それがパターンかしてるから、言われなくてもわかってるよまったく」

少々呆れつつ流斗はそう言った。

「だな、ははは!」

父は相変わらず笑い声が大きいなと流斗はしぶしぶ思うのであった。


流斗は風呂の中で湯船に浸かりながら、アンデッドと戦った時のことを振り返る。あの時なぜ自分に何かが憑りついたのか、なぜすぐに戦えたのか、なぜ怪物が現れたのか、流斗の頭の中はそれらの疑問でいっぱいである。流斗は改めて騎士が入っていった部位(胸)を見る。だが特に変わったところは見当たらない。自分は今生きているのかも不安になり、手の脈の動きを確かめてみるが、これも正常だ。やはり下校途中の怪物との戦闘はただの夢だったのか、流斗はそう思うしか他になかったのだ。

「この先俺はどうなるんだ?」

流斗はふとそんなことを呟く。







翌日の午前11時、猿渡と斉藤は捜査のため、トンネルミイラ事件の被害者、児嶋武彦の自宅を訪問することになっている。児嶋家は二階建てのシンプルな白をベースにした家である。

 猿渡は自宅付近の駐車場にパトカーを停め、ピンポンのボタンを押す。シンプルな効果音の後に、スピーカーから女性の声が出力される。

「どちら様ですか?」

「○○警察署の猿渡です」

「同じく斉藤です」

「今出ますので、少しお待ちください」

「「分かりました」」

そう言った10秒後、玄関の扉から一人の30代前半ぐらいの女性が出てくる。その女性は児嶋晶子といい、亡くなった児嶋武彦の妻であった。

「どうぞお入りください」

「「失礼します」」

そう言って猿渡と斉藤は自宅の中に入る。



猿渡と斉藤は綺麗なリビングの椅子に腰掛ける。リビングの椅子は全部で4つで、その中央に大きな白い机が設置されている。机の横には大きなブラウンのソファが設置されており、その前には45インチのテレビが置かれている。晶子は棚から紅茶専用の白いマグカップを二個取り出し、それに紅茶を注ぐ。猿渡は手を振りながら言う。

「奥さん、そんなに気を使われなくても」

「いいんですよ、これがお客様をもてなすやり方ですから」

「そうですか」

二つのマグカップが猿渡と斉藤の辺りに置かれる。斉藤はマグカップの持ち手を持つ。

「いただきます」

そう言って斉藤はマグカップの中の温かい紅茶を飲む。少し飲み、斉藤はため息をつく。

「美味しいです」

「喜んでもらえてうれしいです」

晶子は笑顔で言って返す。今まで立っていた晶子は猿渡と斉藤の向かいの席に腰掛ける。猿渡は黒のカバンから何冊かの書類を取り出す。

「亡くなった児嶋武彦についてですが、よろしいですね」

「はい、覚悟の上です」

「では、実は児嶋武彦さんの胸部分が何かで切られていたようです」

「何かとは?」

「それがまだわかっていません。現在調査中です」

次に斉藤が問う。

「児嶋さんは二日前のあの夜、何をしていたんですか?」

「主人は気晴らしに散歩をしてくると言って家を出ていきました。それきりです」

「たった一日でミイラ化するのか?」

斉藤は独り言のようにそう呟いた。

次に猿渡。

「その日は仕事は?」

「有給二日制のうちの一日だったので、休みでした」

「何か変わった様子とかはありませんでしたか?」

「いえ、特に変わったところはありませんでした。普通に元気でしたよ」

「斉藤が先ほども言っていましたが、受け止めるのは大変苦しいことかもしれませんが、実は武彦さんはミイラ化した遺体で発見されたのです」

「な!そんなことって!」

晶子は驚いて、思わず手元のマグカップを床に落としてしまった。マグカップが割れ、複数のかけらとなる。

「あ、すいませんまったく」

「いえいえ、奥さんが驚かれるのも当然です。でもたった一日でなぜミイラ化するのか、我々も不思議でなりません」

「夫はやはり死んでるのですよね?」

「はい、残念ながら」

「武彦さんか奥さんのどちらかが、武彦さんの亡くなる前に誰かに何か怨みを持たれるようなことをしたとかってありますか?」

斉藤が言った。猿渡は斉藤に向けて顔をしかめる。

「斉藤、お前何を言ってるんだ!」

「いや、何かつながると思いまして」

「いえ、全く身に覚えがありません」

「そうですか、いや、うちの斉藤が失礼なことを言ってすいません」

「いえ、いいんですよ」

晶子は刑事二人にそうやさしく接した。すると、床に置いているカバンを持って、刑事二人は立つ。猿渡は晶子の顔を真っ直ぐに見る。

「ありがとうございました。また何かありましたら後日お伺いしますのでその時はよろしくお願いします」

「わかりました。捜査頑張ってください」

「犯人は必ず見つけ出して捕まえて見せますよ!」

猿渡はそう言って児嶋家を出ていった。





閃獅岳高等学校の休み時間、流斗は教室の天井を眺めながらぼーっとしていた。そこに賢治が現れ、話しかけてくる。

「おーい流斗!何ぼーっと天井なんか見てんだよ」

だが流斗はそのまま一ミリも動かず、ただぼーっと天井を見ている。

「どうしたんだよ!まさかお前天井見ながら睡眠か?」

そんな冗談を言った後、流斗は天井見ながら睡眠から眼を覚ます。

「あ、あ、ごめん、え、なに賢治?」

「あ、いや、お前どうしたんだよ」

「あぁ、いや、なんかさ最近おかしなことがあってさ、まぁ信じてもらえないだろうけど」

「なんだ?」

賢治は興味津々で流斗に接近する。

「昨日さ、お前の言ってたその怪物みたいなのをみたかもしれないんだよなぁ」

「え!まじかよ!?」

賢治は驚き、教室中に響き渡るような声を出した。

「お前うるさい!」

「ああ、すまんすまん」

流斗は誰にも気づかれないように賢治を隅の方に寄せてから、話題を再開する。

「下校途中にその怪物が飛行してるのが確かに見えたんだよ」

「うっそだろ、やっぱいたのか」

「お前信じてるんだろ」

「ああそうだった」

「それが結構不気味でさ、鳴き声なんて気持ち悪かった」

「鳴き声まで聞かせてもらえたのかよてめぇ」

「聞きたくて聞いたわけじぇねえよ」

「とにかく、怪物のあの画像と動画は本物だったんだな」

「まぁそれはまだわかんねえけどな」

流斗は怪物を目撃したことは話したが、自分が鎧&兜を身にまとった戦士となって戦ったことについては話そうとは思わなかった。そのことを話すと、馬鹿にされそうだったからである。





高校付近の桜金川という名の川で、一人のベージュの渋い帽子をかぶった中年男性が釣竿をもって釣りをしている。なかなか引き上げのチャンスがこないなと心配している中年男性、それから8秒後、釣竿の先端に魚の重みを感じた。中年男性は顔をニヤリとさせ、腕の力を込め、釣竿を引き上げる。逃がすことなく釣れた。釣れた魚はコイであった。中年男性は釣れたコイを水の入った大きな透明のケースに入れる。そしてもう一度釣竿の先端を川の中に入れる。その2秒後、またも釣竿の先端で重みを感じた。だが中年男性はやけに重いような気がした。それでも必死に力任せに引き上げようとする。その直後、川から何かが男性のいる方めがけて飛んでくる。男性はそれを見て、口をあんぐり開けながらびっくりする。そう、その何かは得体のしれない怪物である。その怪物は顔面がナイフ何かの刃先で切り刻まれた後から濃い赤の触手がでているかのような全体的に黒色の配色になっている。その怪物の頭部は男性の腹部に当たる。男性はその打撃で後方に倒れる。次に怪物は男性に馬乗りになる。男性は起き上がろうとするも、馬乗りをされている状態で動けなくなっている。怪物は鋭いナイフのような爪を動けなくなっている中年男性の顔面に向ける。その鋭い爪を見て、男性は戦慄し、体が一時停止されたビデオのように完全に硬直する。そして怪物は鋭い爪を男性の顔面に突き刺し、顔からは大量の血しぶきが流れ出て、男性を川の方へ片手で投げる。川へ投げられた男性は一度少し沈んでから仰向けになって浮き上がり、川の流れに沿って真っ直ぐ流れていく。

 殺人を終えた怪物は右手を開け、前に出し、眼前に紫の魔法陣のようなものを作り出すと、その中に入り、姿を消した。



○○警察署。猿渡はトンネル付近に設置されていたカメラの映像データを映像分析兼解析専門の工藤祐介に渡した。工藤祐介、29歳、警察歴は8年になる。

 工藤はさっそく映像データを自分の机に置かれている自分専用のデスクトップパソコンを起動させ、取り込む。まずは映像を再生させ、どのような状況だったのか確認する。トンネル付近での映像、午後十一時、トンネルに入っていく男性や女性が映し出されている。それから10分が経過し、一人の背の高い男がトンネルに入っていく。工藤は猿渡に映像データを渡される前に渡された被害者の児嶋武彦の写真を映像データの男と見比べる。似ている、工藤は比較しながら見ているとふとそう思った。だがトンネルの中の様子までは筒状のコンクリートによって確認することができない。工藤は少し悔しい気持ちになる。実際の被害者の写真と映像データの男は個人的に似ていると思ったのに、これ以上は調査できない。そう思っている時、一つの案を思いつく。工藤は椅子から立ち上がり、部屋を出る。小走りで猿渡のいる第六係へ向かう。第六係の扉を開け、猿渡に話しかける。

「猿渡さん、少しでいいから映像データを見ていただけます?」

「工藤、どうした?」

「いえ、ちょっと相談事のようなものでして」




猿渡は先ほどの男が移っているシーンの映像データを見る。

「なるほど、被害者の児嶋武彦かもしれないんだな」

「そうですが、トンネルの内部が見えないですよね」

「そうだな、事件はトンネル内部で起こった可能性があるからな。そこが確認できないのはまずいなぁ」

「可能性って?」

「いや、もしかしたらトンネル内部での事件じゃないかもしれないんだよ」

「遺体がミイラだったからですか」

「そうだ」

「でも、ミイラ化した遺体をトンネル内部の隅に移動させるにも、このトンネルは毎日人通りが多いですし、他人に怪しまれますよ」

「あ、そうだな」

「次また殺しが起こる前に、トンネル内部にカメラを設置するのはどうでしょうか?」

「残念だが予算の都合上、それは無理だと思うな」

そう猿渡に宣告され、あっさりと工藤の案は消えてしまった。工藤はがっかりして、顔を下に向ける。

「まあそう落ち込むなって、犯人は絶対に見つけ出してやれるさ」

「そうですかね」

「だが、トンネルに監視部隊を要請することはできるかもしれない」

「それって?」

「少し手間はかかるが、俺があいつらに説得してみるよ」




高校での五時限目、流斗らのクラスの男子は体育の授業で持久走をしていた。現在、流斗は額から大量の汗をかきながらグラウンド十周を終わらせるために走っている。現在走っている生徒以外の生徒たちと体育教師は待機場所で仲間を応援しながら持久走の様子を眺めている。流斗はあと2周走れば終わる。もうすぐだ、若干辛いがあと少し乗り越えれば終わる、そう思いながら残り1周ということがわかるスタート時の白い粉で描かれた線(待機場所の前)を踏み越えた瞬間、流斗の頭の中に昨日遭遇したのとは違う別の怪物が浮かぶ。流斗は幻覚を見た感じがして思わず「あっ!」と叫んでしまった。前を走っている4人の同級生が一瞬後ろを振り返り、流斗に視線を向ける。その直後、流斗は我に返り、少し休めていた足を再び動かし、最後の1周を線を通り越して終えた。そして、待機場所に歩きながら戻る。だが、完走しても別の怪物の姿が頭に浮かんでいる。持久走の疲労よりも、怪物の姿が強く表れているようだ。次は親友の賢治が走る番、だが流斗にとってはそれどころではなく、怪物のほうに意識が向いてしまっている。すると、その怪物がどこかで人間を殺そうとしている様子が突然頭に浮かんできた。その怪物は後ろ走りで逃げる女性を早歩きで追いつめているようだ。だがそれがどこかはまだわからない。流斗は持久走よりも怪物の殺戮シーンに意識を向ける。流斗は頭で背景を強く念じる。それから5秒後、今まで真っ黒だった背景がだんだん煙のように消えていき、そして現れる。それはどこかの川のようだ。流斗はもう少し頭で背景を強く念じる。ついに、その川が何なのか、一体どこの場所の川なのかが頭の中で明らかとなった。

「桜金川に怪物が、危ない」

流斗はそう独り言を呟いて、立ち上がる。突然立ち上がった流斗を見て、同じ待機場所にいる体育教師と同級生が視線を向ける。体育教師は気になり、流斗に接近してくる。

「天城、どうかしたのか?」

そう言われ、流斗は体育教師に真っ直ぐに視線を向ける。

「先生、ちょっと失礼します!」

そう言って流斗は校外に出るため、グラウンドを囲っている一部の網状の柵を、足を引っかけながら登っていき、途中でブレイブゼロのものであろう跳躍力を使って大ジャンプする。

「おい天城どこへ行くんだ!?ちょっと待て!」

体育教師のその声に気付いたのか、現在持久走をしている同級生たちは足の動きを止め、流斗が学校脱出のために使った柵に視線を向ける。賢治も同じく視線を向ける

「どうしちまったんだよ、あいつ」

と、賢治は親友の流斗を心配しながらそう呟いた。流斗はもともと正義感が強い、このまま人を殺めようとしている怪物を放っておけないのだ。




高校から出た流斗は体操服姿のまま現在怪物がいると思われる桜金川に向かって全力疾走中である。閃獅岳高校から桜金川は互いに近所で、徒歩で約十分で行ける距離になっている。流斗は桜金川までの距離にいる自転車、車、バイクなどの通行人には一切視線を向けずに走っている。そう、先ほどの持久走の疲労を忘れるぐらいに。頭の中のイメージを地図にしながら走り続け、ようやく流斗は怪物を見つける。

 流斗は息を荒げながら言う。

「やっぱりいたのか」

流斗の視線の先には頭の中に浮かんでいた怪物(顔面から赤い触手が出ている)とそれに襲われている女性がいる。立っていた女性は怪物に勢いよく蹴られ、後方に吹き飛び、芝生の地面に倒れる。そして怪物は鋭い爪で女性の胸を突き刺そうとした直後、流斗が怪物に向かって叫ぶ。

「お前に人間は殺らせない!」

直後、怪物は女性に向けていた視線を流斗に変えた。流斗は左腕を勢いよく上げる。

「チェンジ!ブレイブゼロ!」

そう叫んだ直後、流斗は上げていた左腕を腹の前に勢いよく戻した。すると、流斗の身体は複数の緑の光エネルギーに包まれ、その光エネルギーがパッと消えた後、戦士ブレイブゼロに姿を変えた。その戦士の姿を見て、怪物は攻撃の構えに入る。流斗も攻撃の構えを一度とり、怪物に向かって全速力で走っていく。流斗はまず怪物に右手の拳を怪物の硬そうな胸に当てる。だが怪物も負けず劣らず、左腕の爪で流斗の右肩を引っ掻く。引っ掻かれた後からは少しだが血しぶきが流れ出る。肩から出血しても流斗は気にせず、両手の拳を交互に怪物の胸、腹、顔面に当てていく。そうやって攻撃していってる途中で、流斗は両方の脇腹を怪物の両手に下から入れられ、川の方に勢いよく投げられる。投げられた流斗は川の中に入り、流斗の周りから少しの間だが川の水が強く弾かれる。それでも流斗はあきらめず、川から顔を出し、再度怪物の方へ全速力で向かっていく。こちらに向かってくる流斗に気付いた怪物は、両手の爪を構える。先ほどの少しの間の戦闘でパターンを読んだ流斗は、怪物の両爪は自分の肩、あるいは胸を切り裂くと予想し、怪物にたどり着く直後に両足のかかとでスライディングキックを放ち、怪物を前へ転倒させる。怪物の背後に移動できた流斗は、腰から片手剣を抜き、怪物が立ち上がる前に背中に斬撃を放つ。怪物はわけのわからない悲鳴をあげ、素早く立ち上がる。そして、片手剣と爪とで激しい殺し合いが開幕する。怪物の爪であらゆる箇所を切り裂かれてきたが、だんだんパターンが読めてきて、片手剣で左手の爪を破壊することができた。怪物は再度わけのわからない悲鳴をあげる。もう怪物は片手の爪だけで流斗と戦わなければいけなくなってしまったのだ。だがそれでも怪物はあきらめることなく、キックと爪の斬撃で間合いを詰めていき、片手の爪で流斗の横腹を切り裂く。横腹からは先ほどと同じように血しぶきが流れ出る。それでも流斗もあきらめず、片手剣を怪物の顔面めがけて振り払う。その片手剣の刀身は怪物の片手の爪に阻止されるが、流斗は右足で怪物の腹にキックし、怪物を後方へ転倒させる。チャンスと悟った流斗は日ごろ活動しているバドミントン部で鍛えた跳躍力で団ジャンプし、片手剣の刃先を怪物の心臓がある辺り、つまり真下に向け、そのまま着地する。心臓が片手剣の刃先によって破壊され、怪物の心臓がある部分からは大量の血しぶきが流れ出る。怪物は先ほどよりも高い5倍の悲鳴をあげ、絶命する。そして、前回戦った鳥の怪物と同じく爆発して消える。流斗は爆風によって後方に吹き飛んだが、命までは奪われておらず、幸い軽傷で済んでいそうだ。辺りを見てみると、すでに女性はどこかへ逃げたようだ。

 ブレイブゼロの姿が自動的に解除され、流斗はもとの体操服姿に戻る。そして、急いで学校へと戻るのだった。

 近くの草がたくさん生えた床に、一人の眼鏡をかけた女性がカメラを持っている。そのカメラでSDカードに保存されている一枚の写真を見る。

「これは大スクープだわ」





ある一つのビル、その屋上に銀髪の美少年と、虎の描かれたTシャツをきた金髪の青年が地上を見ている。美少年はゆっくりと両眼を閉じる。

「やつが現れたみたいだ」

金髪の青年は美少年の方に振り向く。

「あぁ、そりゃどういうことだ」

チャラい感じでそう問うた。銀髪の美少年はゲルヴァイドといい、アンデッドの一体である。もう一方の金髪の青年は郷秀哲といい、ゲルヴァイドに雇われている連れ、ボディガード的存在である。ルアギスは閉じていた両目を開く。

「そういえばお前は知らないな。戦士だよ」

「戦士だと?」

「ああ、ブレイブゼロ、やつがこの世に現れてしまった」

「へんてこな名前だな」

「だがやつは危険すぎる、早めに抹殺せねばいかん」

そう言った直後、いままで晴れていた空が一気に曇り空へと変貌する。

「おやおや、雨が降るのかね。めんどいな」

「だがブレイブゼロ、やつがどこにいるのかわからん」

「あんたもあんたでいろいろ大変なんだな」




流斗はケガこそはしているものの、普通に学校に戻ってきた。そして、自分のクラスに入る。現在自分のクラスは終学活をやっていて、一日の振り返りを行っている最中だ。その途中に、流斗は教卓付近の左の扉から入ってくる。担任と生徒は終学活の途中だが流斗の方へ視線を向け、いくつもの傷を見て驚愕する。まず、担任が問うてくる。

「天城、今まで何してたんだ!体育の時間にいきなり外に出て」

流斗は返事に悩む。

「いや、ちょっと」

「なぜ出ていったんだ!答えなさい!」

流斗はさらに返事に悩む。本当のことを言うべきか、いやしかし信じてもらえないだろう。人の命がかかってたなんて言ってしまえば笑われてしまう。怪物を倒すためなんて言ってしまえば中二病だと馬鹿にされてしまう。どうすればいいのか、でももう手遅れだ、停学か退学をくらってしまうのも時間の問題なのだろう。だが俺はここであきらめるわけにはいかない。

「あ、あの、じつは家に忘れ物したのを思い出しまして」

「なに?忘れ物だと?」

「はい」

「そんなものを授業中に取りに行って」

「すいません」

「まあいい、一度保護者を呼ぶことにする」

しまった。流斗は嘘をつくことに失敗をしてしまった。これ以上はさすがに嘘はつけない、退学でもなんでも受け入れるしか策はない。そんな時、流斗は脳内でもう一つの使えそうな嘘を思いついた。

「あ、その件なんですけど、母は現在病気で入院中で、父は仕事が忙しくて家にはなかなか帰ってこないんです」

「なに、それじゃぁ仕方がないか。いや、でも最低反省文は書いてもらうからな」

「はい。ご迷惑をおかけしました」

そう言って流斗は自分の席に戻る。




放課後、現在誰もいない体育館の倉庫で、流斗と賢治が冷たいコンクリートの床に座りながら会話をしている。

「なぁ、流斗、お前体育の途中にどうしちまったんだよ」

「いや、その、なんかさ」

やはり賢治にも怪物と戦った一件を説明することができない。賢治の場合、今度はごまかしようがなさそうだ。

「家で、途中でやらなきゃいけないこと思い出してさ」

「担任との会話とは異なってるなぁ」

「ああ、すまん」

「それと、母ちゃん入院してんのと、父ちゃん仕事で忙しいってことなんて嘘ってことは俺はわかってんだぜ。まぁ黙っておいたけどよ」

「ありがとう」

「でも本当に家の用事で学校抜け出しちまったのかよ?」

「それはちょっとお前にも言えないんだよ」

「俺親友だぜ?隠し事はなしだろ?」

「すまん、お前にもいえない」

「ならいい!俺は練習してくる!お前とは少し距離を置いた方がいいのかもしれねぇな」

「いやちょっとそうじゃなくて!」

流斗が言い終えるうちに、賢治はイライラしながら倉庫から出ていった。流斗はひどく落ち込む。親友である賢治にも怪物との戦闘のことなんて話せるわけがない。そんなことを話してしまえば馬鹿にされるか、あるいはさらに嫌われてしまう。流斗はそれが恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。流斗は立ち上がって、積まれているマットを三発素手で叩く。





夜の八時、事件があったトンネル内部、そこで4人の監視部隊と猿渡、そして工藤がいる。

「よし、これでトンネルで犯人が現れても十分に対処できるな」

「猿渡さん、ありがとうございます」

「いやいや、これも人々の安全のためだろ。もう犠牲者は増やさない。そのためにもこうやって監視部隊を設けるのも悪くはないということだ」

そう言った後、猿渡は工藤に手を上げ、「よし!戻るぞ」と言って工藤をトンネル付近に停めているパトカーに誘い、共に乗って署に戻る。

それから30分後、4人の監視部隊は突如現れたタコ型の紅色の怪物に腕から伸びた触手によって殺され、トンネル内部は血まみれの遺体がまっすぐ並ぶ形になった。





一方、流斗は現在風呂上がりで自室のおり、机のデスクトップ型パソコンで怪物、または未確認生物について調べている。流斗の頭の中はいまだに葛藤だらけであり、親友の賢治や駄菓子屋の杏奈との友情をとるべきか、それとも怪物に襲われている人間を助けるべきか、流斗はどちらをとればいいかいまだ決断できていないのだ。普通の人間ならば今ある普通の生活を優先するのが当たり前なのだろうが、流斗は生まれながらにして強い正義感があり、襲われている人を見過ごすわけにはいかないのである。流斗はブレイブゼロになる前に賢治に見せてもらった鳥の怪物の画像をパソコンのネット上でもう一度見る。

「賢治や杏奈との友情、普通の生活を優先するべきなのかもしれないけど、やっぱりあんな怪物によって人が次々と死んでいくのを見過ごすわけにはいかないんだよ」

流斗は独り言でそう呟いた。今日は流斗は杏奈の駄菓子屋には寄らなかった。理由は、杏奈と会うとブレイブゼロの自分を隠し通せる自信がないからである。昔から杏奈は何かを見抜いていそうなやつだった。そして俺のもう一人の姿が知られてしまうことに恐怖を感じてしまう。




深夜の12時、ある一つのビルで、またゲルヴァイドと郷秀哲が深夜の街並みの風景を眺めている

「殺す、何もかも」

「なんだなんだ?」

「お前には関係のないことだ」

「一葉あんたのボディガードなんだからさ、教えてくれてもいいじゃねえかよ」

「無職だったお前を救ったのは誰だと思ってる」

そう言ってゲルヴァイドは鋭い赤い眼光で秀哲を睨む。

「ああ、すまんすまん、悪かったよ」

秀哲は両手を眼前に上げながらそう言った。

「とにかく、やつに出撃命令を出す時が来たようだ」

「へぇ~、すげーな」

秀哲は理由を聞くのを我慢しながらそう言った。秀哲は、ボディガードとして働かせてもらえる代わりに、ゲルヴァイドの関連している事柄には一切触れないというのが条件である。

「やつを、ブレイブゼロを早めに処分せねば」







朝、流斗はいつも通り閃獅岳高校に登校して、自分の教室に入る。中に入ると、賢治とそのほかの生徒がおり、賢治は一度流斗の方を振り向くが、視線を再度机に移す。賢治は今何かの勉強中のようだ。流斗は賢治が朝から勉強なんて珍しいと思っているが、気にせずに自分の机に座る。そして流斗がカバンから筆箱を取り出そうとしたとき、隣の男子生徒がもう一人の男子生徒に喋りかけているのに反応する。

「お前これすごいと思わない、現実に怪物がいたんだぜ」

「どうせ着ぐるみか何かだろ」

「いや本物っぽいじゃんかよ」

流斗は男子生徒が手に持っているスマートフォンに視線を向ける。そのスマホの画面には昨日の桜金川での自分とアンデッドとの戦闘が写っていた。流斗は慌てて男子生徒の方へ寄る。

「お前、この写真をどこで入手した!?」

「な、なんだよ天城、ただのサイトにあった画像だよ」

「ま、今日の新聞に大スクープとして載るらしいけどな」

流斗はあの戦いの場面が何者かに撮られていた事実に驚きを隠せずにいる。誰がいつの間に撮ったんだ、流斗はさらに思い悩む。

「でもなんでそんな過剰に反応すんだよ?」

「あ、その、いや、なんでもない」

そう言って流斗は再度自分の席に戻る。




神惠の研究所、そこに再度、猿渡と斉藤が訪問している。猿渡は昨夜のトンネル内部のそれぞれの角度から撮影した監視部隊4人の死体の写真(合計4枚)を見せる。いままでニヤニヤしていた神惠の表情が真顔になる。

「これはもはや人間業ではないでしょう」

「は?どういうことだ?」

「つまり、人間以外の何者かの仕業だということです。今回に関してはそれしかありません。いや、前回もそれしかありえなかったのかも」

「またバカげたことを」

「そうおっしゃってますが、何か証拠でもあるんですか」

神惠は左手を平手にして前に出す。

「そんなもん、あるわけもないだろ」

「そうだ、猿渡警部に見てもらいたいものがあるんですよね」

そういって神惠は近くの机のノートパソコンを開き、ある一つの画像を見せる。その画像は昨日のブレイブゼロとアンデッドとの戦闘の写真、つまり怪物が実在するという証拠だった。

「これです」

「なんだこれは?」

猿渡と斉藤は同時に画像を凝視する。

「昨日、桜金川でおきていたヒーローと怪物の戦闘シーンの画像です。ちなみにこれは特撮ヒーローものの撮影とかではなく、れっきとした本物です」

「あ、これってきょうの新聞に載ってた」

斉藤が言った。

「そう、それです」

「斉藤知ってるのか?」

「はい、今日の朝の新聞に載っていました。まあ僕の場合は半信半疑ですけどね」

「何を言っている!こんなものは全部暇人が作った偽物だ!最近の若い奴はすぐにこんなものを信じてしまう」

「あらら、猿渡警部、あなたにこの画像が偽物だとはっきり言い切れるのですか?」

「うるさい!監視部隊はその画像の怪物に殺されたって言いたいんだろ!ふざけるのもいい加減にしろ!」

「ならあなたは監視部隊の方々を殺害した犯人を捜せるとでもいうのですか?」

「ああ!捜査なんて慣れている!俺の手にかかれば犯人なんてすぐに捕まえられる!」

「ははは!」

「何がおかしい!」

「あなたはバカですねまったく」

「貴様ぁ!誰がバカだと!ふざけるなぁ!」

猿渡はそう怒鳴り、神惠を一発素手で顔面を殴る。顔面を殴られた神惠は後ろに倒れるが、痛みに耐え、すぐさま起き上がる。猿渡は2発目を放とうとするが、斉藤に止められる。

「猿渡さん止めてください!いくらなんでも暴力に身を任せるのはだめですよ!」

「猿渡さん、あなたは自分さえいれば犯人なんてすぐに捕らえられると、どんな事件も解決に導くことができると信じています。でもそれはただの勘違いです。まったくの偽物なんですよ。そして、人間業ではないような事件、つまり人間以外の存在が行った事となってしまうとあなたはすぐにそんなものあるわけがないと事件から逃れようとする」

「そんなこと、当たり前だ!怪物がこの世にいるなんて信じている奴のほうが少ないんだ!」

「そうやっていつまでも言い訳ばかり言ってできないことから逃げるおつもりですか?それでも刑事なんですか?ふざけんなよくそ野郎!」

今度は神惠が猿渡に怒る。猿渡はそんな神惠を一度見て少し恐れる。

「ああ、すみません、つい素人のお説教が入っちゃいましたね」

「神惠、その画像を俺のメールに送ってくれないか?」

「いきなりどうしちゃったんですか?」

「少し捜査の参考にしようと思ってな、いっとくがこんなもん1パーセントも信じてないからな!」

「ふふっ、まったく猿渡警部は素直じゃありませんね。いいですよ」




新聞記事制作会社ワンダフルテキスト、そこで社長と昨日のブレイブゼロとアンデッドと戦闘シーンを激写した大野梨香が会話をしている。

「大野君、あの写真は今注目を浴びているようだね」

社長はたばこを吸いながら大野にそう言う。

「ええ、喜ばしい事です」

大野はクールにそう返す。

「ところで、一体どんな戦闘だったのかね?」

「はい、戦士のような鎧と兜を身にまとった者と、空想の世界に出てくるような怪物とが激しい殴り合いをしていました」

「なるほど、そんなことがありえるんだな」

「私も驚きました。まさか本当にあんなことが現実でもあり得るだなんて」

「最近の殺人事件も、その戦士と怪物が拘ってたりするのかもな」

「ですね、引き続き追っていきます」

「任せたよ」



放課後の部活動が終わり、流斗は自転車で帰ろうとしている。今日はワクワク商店にもよろうと思っていたが、今はおばさんと杏奈に会いたい気分ではないのでそのまま自宅に直帰する。自転車を走らせている途中、またも頭の中で怪物が現れた。今度はどこかの超高層ビルの屋上のようだ。また誰かを殺そうとしているのも浮かぶ。流斗はすぐさまその思い当たる超高層ビルに向かう。そしてそのビルの前に自転車を停める。だが、屋上に向かうにしても、中に入らなければいけない。自分ののようなただの学生が入ってしまえばたちまち怪しまれるに決まっている。それか、もしくはここからジャンプするか、いやいやスパイダーマンでもないのに高く飛べるわけがないだろう、ん?もしかしたらブレイブゼロに変身すればそれももしや可能かもしれない。流斗はそんな希望を持って、かけ声とともにブレイブゼロに変身して、屋上めがけて飛ぶ。すると、屋上まで高く飛べてしまったのだ。流斗は内心驚きつつも、屋上に着地する。屋上にはやはりアンデッドといま殺されようとしている男性がいた。ブレイブゼロの存在に気付いたアンデッドとは、ブレイブゼロの方を振り向く。そのアンデッドは、昨夜4人の監視部隊を殺害したタコのようなアンデッドである。そのタコアンデッドは手にそれぞれ八本の触手をぶら下げている。それを見た流斗は腰から片手剣を抜き、タコアンデッドに向かっていく。タコアンデッドも不気味な奇声をあげ、流斗に向かっていく。そして、片手剣と触手の激しい戦いが始まる。流斗は片手剣でまずは触手の根元である腕を切り裂こうと腕に刃先を当てていこうとしているが、片方の触手にはじき返されてしまう。どうやらタコアンデッドの触手は柔らかくなく、硬いようだ。はじき返された後、タコアンデッドのキックを胸に受け、後方に倒れる。次にタコアンデッドは硬質な触手を流斗の顔面めがけて当てようとするが、直後流斗の片手剣が弾き、タコアンデッドは一度後ろに退く。その隙を逃すまいと流斗は立ち上がり、ジャンプキックを放つ。今度は触手にははじき返されず、タコアンデッドの胸部に強烈に命中する。次にとどめとして流斗は柄を両手で握りしめ、タコアンデッドの腹に突き刺そうとしたが、またも触手によってはじき返され、その衝撃が強かったせいか、今度は片手剣は後方に飛んでしまった。そして流斗はタコアンデッドの触手を顔面に浴び、脚部に浴び、強烈なキックを浴びせられ、後方に倒れる。このような戦闘を続けること約1分、ついに流斗は床に落ちた片手剣を拾って、それを投げてタコアンデッドの心臓のある部分に突き刺し、勝利した。かと思いきや、付近で5発の銃声が鳴り響く。流斗は何事だと周りを見渡すが、特に何も存在しない。すると次の瞬間、戦闘前に襲われていた男性が突如銃声と共に胸部から血を吹き出し、倒れる。何者かが男性を射殺したようだ。流斗は再度周りを見渡すが何も存在しなければ、何の気配も感じない。だが突然、頭上で鈍いエンジン音が鳴る。流斗は頭上を見た。なんと頭上には一台の円形のボードがあり、そこには別のアンデッドが乗っている。ボードに乗っているアンデッドはメタルレッドの鎧を身にまとっており、名はガルシャクといい、流斗と視線を合わせる。

「ヒャハハハハハハッ!どうだ!驚いたか!」

なんとそのアンデッドは今までのとは違い、言葉を話せるようだ。流斗はアンデッドをキッと睨む。

「こんなことをして、お前らは一体何が目的なんだ!」

「この世にいる人間を殺す!それにもはやターゲットなんて関係ない!自由殺戮なんだよ!」

「もうこれ以上お前らにそんなことはさせない!」

「ほほう!威勢がいい!なかなかに威勢がいいぞ!ブレイブゼロ!」

「なぜ知っている!?」

「ゲルヴァイドがお前を狙っているからなぁ!」

「ゲルヴァイド?」

「お前は俺たちにとっての邪魔な存在!消してやるぅ!」

そう言ってガルシャクはボードに八枚マウントされているうちの一枚のブレードを取り外し、流斗のいる位置に投げる。流斗は即座にジャンプで避ける。ブレードは激しい音を鳴らし、突き刺さる。

「なかなかの身体能力を持っているようだな」

「だまれ!これ以上好き勝手できないよう、この俺が処刑してやる!」

流斗はそう怒鳴って、上のボードのアンデッドにジャンプして向かっていく。まずはパンチを浴びせようとしたが、ガルシャクの強烈なキックによって失敗し、後方約5メートルにまで吹き飛ぶ。流斗は体全体を強く地面に打ち付ける。ガルシャクはボードを脳内で操作しながら流斗の方へと近寄ってくる。

「ヒヒッ!ナイトヒーローもこれまでか!そんなんじゃ人助けなんて無理だぜぇ!ヒャヒャヒャ!」

そうアンデッドに憎たらしく言われるが、流斗はあきらめず、立ち上がってガルシャクの方へ再度飛んで向かい、今度はギリギリで片手剣を縦に振りかざす。がしかし、これも読まれていたのか今度はアンデッド自身が跳ね避け、地面に着地する。流斗は片手剣の斬撃を空振りさせ、ボードに乗る。次にアンデッドは脳内でボードを異なるイメージで操作し、ボードをジェットコースターのように建物の範囲内で高速移動させる。流斗はそのスピードについていけなくなったのか、途中で地面に落とされる。その落ちた瞬間を狙って、ボードに残っている七枚中のブレードの五枚が流斗の方へ一直線に向かっていく。それに気づいた流斗はまだ持っている片手剣の刀身で防ごうとするも、またも見事にはじき返され、三枚のブレードが腹に突き刺さる。流斗は痛みに必死に耐えながらも、そのブレードを力任せに抜いていく。一方残る二枚のブレードはボードの元の位置に戻っていった。ガルシャクは再度脳内操作でボードを自分の横に来させ、再び乗る。

「じゃあなへなちょこ戦士!傷はせいぜいママに手当てしてもらうといい!」

そう言ってガルシャクはビルの屋上を去っていく。腹の痛みはまだあるため、なかなか立ち上がれずにいる。

「くそっ・・・・・あい・・・・つ・・・・」

そしてブレイブゼロの姿が静かに解除される。




猿渡と斉藤は、神惠にメールで送られてきた画像を確認して、捜査を始めることとなった。その捜査として現在の夜の桜金川を貸し切っている。地面の草は、所々血痕が残っている。だが争いがあったとされる証拠はいまのところそれだけである。

「猿渡さん、やはり血痕が残っているだけですね」

「いや、まだあきらめるわけにもいかん。あんな真剣な神惠は初めてだったのだからな」

「真剣?」

「いつもなら冗談話ならクスクス笑う癖があるが、あの時は妙に真剣だったんだよ」

「それが演技だとしたら?」

「いや、あいつは演技なんてものは下手すぎてまともにできやしない。すべて本心であるはずだ」

そんな風に会話を混ぜながら捜査をしていると、普段は全く外に出ない神惠がこちらに向かってくるのが見えた。猿渡は向かってくる神惠に視線を向ける。斉藤も何かと思い、猿渡と共に視線を向ける。神惠は歩を止め、ニヤリと笑みを浮かべる。

「ふふっ、約二年ぶりに外出ちゃいましたよ」

「お前、なぜここに?」

「いやぁ、猿渡警部がなんか突然あの写真を信用してくれていたのでね、まさかと思って来たらビンゴでしたね」

「外出は嫌いじゃないのか?」

「ええ、大嫌いですよ。でもなんとなく興味が沸いてきました。僕も捜査に協力してあげますよ」

「その必要はいらない」

猿渡はきっぱりと断る。今のところは二人で十分だからだ。それと神惠がいれば、なんとなくややこしくなりそうだからだ。

「相変わらず辛口なところは変わっていませんね」

「まったくしょうがない、捜査には協力させてやれないが、見学ならいいだろう」

「いえーい!見学だけでもうれしいもんです。まあ川にエロ本落ちてるか探したいってのもありますけどね」

「ああ、勝手に探しておけ」



久々の部活休みの土曜日、流斗はもう一つの姿のブレイブゼロの事を忘れ、一人で買い物にでも出かけようと自転車に乗ってまずは家から20分かかる大型書店に向かうことにした。最近は部活動や親友の賢治との遊び等が忙しく、集めている漫画や小説が購入できていなかったため、今日は前から買おうと思っていた漫画や小説を買うことにしている。漫画2冊、小説2冊を買い終えた流斗は書店を出て、次に気分的にゲームセンターに寄ることにした。なぜゲームセンターなのか、それは彼自身、いま無性にシューティングゲームがしたいからだ。もちろん今は共にプレイできる相手はいないが、たまには一人でゲームをするのも悪くない、そう思いながら流斗は大型書店から自転車で約7分のゲームセンター「マジカルワールド」に向かった。そこは建物自体はそこそこ大きく、全てが青みがかった透明のガラスでできている。まず流斗は当たり前だが中に入り、入り口付近のゾンビを撃って倒しながら進んでいくゾンビシューティングゲーム「ダーク・デッド・ゾーン」をプレイする。一プレイ百円なので、流斗は財布の小銭が入っている所から百円玉を取り出し、投入口に入れる。ゲームが始まり、画面前にマウントされているハンドガンを手に持ち、次々と襲い掛かってくるゾンビを撃っていく。それから14分後、中ボスのゾンビの会心の一撃によって、ゲーム内の自分は体力を失い、ゲームオーバーとなる。そうしていろいろとゲームセンターで一人でゲームセンターに没頭することができた。気づけば夕方の5時だった。特に門限が設定されているわけではないのだが、空は少し夕焼け空が見えているので、ゲームセンターから出て、帰ろうとした。が、いきなり、カバンの中に入っているスマホの着信音が鳴る。流斗は誰だ?と思いながらも、カバンからスマホを取り出し、まずは画面を見る。画面は「杏奈」と記されていた。それを見て、流斗はなぜか少し戸惑ったが、電話に出ることにした。

「もしもし杏奈、どうした?」

「あ、流斗くん、今からあたしの家に来てほしいの」

「え?ワクワク商店に?」

「うん、そういや最近流斗くんの顔見てなかったからなんか久しぶりに見たいなっていうか、とにかく会いたいなっていうか・・・やっぱダメかな?」

「わかった。突然で少しびっくりしてるけど、いますぐ行くよ」

「いいの?ありがとう。なんかごめんね、いきなりこんなこと言ってきちゃって」

「心配するなって」

「じゃあ、あたし待ってるから」

「おう、じゃあな」

そう言って流斗は電話を切る。杏奈が会いたいと言って電話をかけてくるなんて珍しいなと内心思いながらも、流斗は自転車を走らせ、ワクワク商店に向かう。それから18分後、ワクワク商店に着き、いつものように自転車を停め、扉を開けて中に入る。まずは杏奈のいらっしゃいませという声が聞こえてきた。その杏奈に流斗は手を上げる。

「よ!久しぶりだな」

「流斗くん、来てくれてありがとう。さあさあ中に入って」

そうやって杏奈に誘導されながら、流斗は二階の杏奈の自室に入る。杏奈の自室は服が床に散らばっていることはなく、非常にきれいで、本棚もきちんとした並べ方がなされている。流斗は杏奈に促され、ベッドに腰かける。杏奈は流斗の横にいる。

「なんか、ものすごく久しぶりって感じがするね、こうやって流斗くんと会うなんて」

「そうか?俺はけっこう頻繁に会ってる気がするけどな。まあ、感じ方は人それぞれか」

「でも、なんで昨日はうちに寄ってこなかったの?」

「いや、まぁ、それはいろいろ事情があってだな」

事情、それはもう一人の自分がブレイブゼロであることだ。だが賢治同様、今は杏奈に話すことなんて到底できない。話せば馬鹿にされるか、怒られるかだ。なのでこの話題だけでは今は絶対に出せない。

「事情ってなに?私に話せない事情?」

「いやそうじゃないんだ。親友の賢治にも話せない事情なんだ」

「私にだけでもいいから教えてよ」

「たとえ昔からの仲良しであるお前にも教えられない、本当にすまん」

「そんなに隠さなきゃならないことなの?」

「どういえばいいんだろ、とにかく今は話すことはできない」

「そうか、残念だなぁ」

「本当にすまない。でも杏奈を嫌っているわけじゃないんだ。むしろ好きだ」

あ、なんて言葉を放ってしまったんだとまたも流斗は内心でそう思う。今の最後の発言は本当に失敗だ。下手をすれば彼の黒歴史として残ってしまうかもしれない。だが時すでに遅し、杏奈は顔を赤くしながら、流斗を見つめている。

「え?あたしのことが好き?」

「いやいや、好きって言っても友人関係のことで、決して恋愛とかじゃなくて」

「でも、なんだか嬉しいな」

「ほんと、ほんとに悪かったごめん。今の言葉はなかったことにして」

「本気で嬉しいよ」

そうして流斗は杏奈と様々な話をしてかれこれ40分ほどが経過した。空の色は夕焼けに染まっている。流斗には家に帰れば晩飯が待っている。

「俺はもう帰るよ」

「来てくれてありがとう、流斗君」

「また遊びにくるよ」

「うん」

「なにかあったらいつでも相談に乗ってやるぜ。俺で良ければな」

「うん、ありがとう」

最後にそんな会話をして、流斗はワクワク商店から出て、自転車で自宅に帰っていった。




午後9時、勤務が終わり、猿渡は斉藤と帰る途中であった。猿渡は自分の黒の車を運転している。助手席には、斉藤が乗っている。斉藤は猿渡の妻の猿渡絵美子の夕食をごちそうになるため、猿渡の車に乗っている。夕食を食べ、猿渡の車でアパートの自宅まで送ってもらう予定だ。

「いやぁ~、絵美子さんの料理久しぶりだからめちゃくちゃ楽しみですよ」

「そんなに楽しみにしているのか」

「だって絵美子さんの料理は絶品ですもの。猿渡さんが羨ましいぐらいですよ」

「それはちと大げさすぎだろ」

その会話の後、前面のガラスに、一体の全身が赤い鉄でできているかのような生物が写る。猿渡はスピードを下げ、運転を止める。

「なんだあいつ?」

「どうしたんでしょう?」

「とにかく降りてみよう」

「そうですね」

猿渡と斉藤は車から降り、前に立っている鉄人間に見て、声をかける。

「おい、車が前から来ているのに危ないじゃないか」

猿渡はそう注意したが、相手は無視をする。

「猿渡さん、逃げましょう」

「なぜだ?」

「怪物かもしれませんよ」

「そうかもしれんが、人間である可能性も否定できない」

そう言って猿渡は鉄人間に寄っていく。

「あ、猿渡さん危ないですよ!」

猿渡が鉄人間の眼前に来た瞬間、鉄人間は右手で猿渡の首を掴み、絞める。

「う・・うぅ・・・あぁ・・・・斉藤・・・・逃げろ!」

「そ、そんなわけにはいきませんよ!」

そう言って斉藤は腰にマウントされているハンドガンを取り出し、銃口を鉄人間の顔面に向け、三発発砲する。顔面には鉛の弾が三発とも見事命中して、緑の液体が流れ出てくる。恐らく血液だろう。鉄人間は血が流れ出ている顔面を、掴んでいた首を離し、右手でおさえる。猿渡は首絞めから解放される。

「やはり、怪物はいたのか」

「速やかにこの怪物を撃破しましょう」

「ああ、そうだな」

そう言って、猿渡と斉藤はハンドガンの銃口を、鉄人間に向けて乱射する。鉄人間の様々な部位から緑の血液が流れ出る。そして鉄人間はアンデッド特有の奇声を上げ、約100キロメートルはあるかと思われるスピードで遠くへ逃げていく。

「猿渡さん、大丈夫ですか?」

「ああ、こんなくらいどうってことない」

「やはり神惠さんの言っていたとおり、怪物はいましたね」

「つまり、神惠は嘘をついてなかったことになるな」

「ということで明日から捜査はさらにやっていきましょう」

「だな、あの怪物は何なのかもはっきりさせんとな」

そして二人は運転を止めていた車に再び乗りこみ、猿渡家に向かう。






翌日の朝、流斗は1週間後に行われるバドミントンの大会に向けての朝の部活動のため、学校へ向かっている途中である。流斗はいつものように自転車を走らせながら学校に向かっているが、辺りはまだ午前の8時であり、人こそはあまりいないものの、ラジオ体操をしている人や、ゴミ出しに行く人などはちょくちょく見かける。あと50Mで学校の校門前にたどり着くという瞬間、どこかから爆発音が鳴り響く。流斗は即座に自転車の運転を止め、爆発した場所を見る。爆発地点はどうやらどこかの工場のようだ。さらに脳内でまたもアンデッドが浮かび上がり、すぐさまそこの工場だということがわかったので、流斗はもうまもなくでたどり着く学校には行かずルートを変え、工場の方へ自転車を走らせる。部活動かアンデッドとの戦闘かで迷ったが、今回ばかりなにか危ない気がしたので、流斗はアンデッドとの戦闘を選ぶことにした。自転車で工場に向かうこと12分、ようやく工場の入り口前にたどり着き、流斗は自動ドアをくぐり中へ入る。工場内は一階から五階が見える構造になっており、爆発が起きた後で、たくさんの炎が燃え上がっている。工場の社員は一目散に外へ逃げようとしている。炎が燃え上がっている所は、なんと前に高層ビルの屋上で戦ったボードを操っていたアンデッドであった。今回はボードはなく(どこかに置いてあるのかもしれないが)、代わりに細長い片手剣を装備している。流斗とガルシャクはお互いに強くにらみ合う。

「ここにガキがいたとはな!」

「今回は例のボードはないようだな。喧嘩でもしたのか」

「まさかお前、ブレイブゼロか!?」

「そうだ。お前を、いやアンデッドを処刑する者だ!」

「ハハハ!そんなことを言ってられるのもせいぜい今のうちだぜ!」

「死ぬのはお前の方だ!」

「そりゃあどうかなぁ!」

そういってガルシャクは腰にマウントされている10枚のナイフのうち、2枚を流斗に向けて投げてくる。流斗はジャンプで2枚を避ける。そして掛け声とともにブレイブゼロに変身する。まず、ガルシャクが手に持っている片手剣を流斗に向かって振りかざす。流斗はその片手剣の斬撃をぎりぎりの地点で避け、全身タックルを放つ。ガルシャクは後ろによろめく。その隙を狙って流斗は腰から片手剣を取り出し、ガルシャクに向けて縦に振るが、相手の片手剣の刀身によってはじき返され、強烈なキックを浴びせられる。足には爆薬が仕込まれていたのか、蹴られた瞬間、一度爆発した。そのキックからの爆発によって、後方へ吹き飛ぶ。地面に倒れるが、流斗は立ち上がる。だが立ち上がったその時、背後からガルシャクの脳内操作によってボードと共にブレードが流斗の背中に真っ直ぐ向かってくる。流斗はそれに気づかず、背中に4本のブレードが刺さる。流斗の背中から大量の血しぶきが流れ出る。悲鳴をあげるが、辺りはガルシャク以外誰の姿も見当たらず、誰にも助けてもらえないまま激痛に耐えることになる。流斗は必死に両手で背中に突き刺さった4枚のブレードを抜いている。だが眼前からはガルシャクが片手剣の刀身を上に出したままこちらに向かってくる。そして片手剣の斬撃が当たろうとした瞬間、流斗はタイミングよく右横に倒れ、斬撃を回避する。ようやく背中のブレードが全て抜け、いまだに血液こそは流れ出ているものの、そんなことは気にせず再び片手剣同士の激しい戦いが始まる。戦闘途中、外からパトカーのサイレン音が聞こえる。流斗は何事かと思い、一瞬後ろを振り返る。後ろには、二人の黒いスーツを来た刑事二人と、警官5人がいた。刑事二人は、猿渡と斉藤である。

「あれは、画像の戦士じゃないか!」

「あ、ほんとだ!」

その瞬間、流斗はガルシャクの片手剣の斬撃を受け、後ろによろめくが、あきらめることなく、必死に片手剣の刀身を相手にぶつけていく。離れたところから見ていた警官5人は手に持っているハンドガンを、ブレイブゼロとガルシャク交互に撃っていく。ブレイブゼロとガルシャクにはそれぞれ弾丸が当たる。弾丸の威力を感じたガルシャクは脳内操作でボードの下部に取り付けられている機関銃を警官5人に向けて発射する。その機関銃の弾丸は警官5人の胸部に当たり、警官5人は胸から血しぶきを流して前に倒れる。どうやら5人全員死亡したようだ。

「なぜ殺した!」

流斗は片手剣同士で撃ち合いながらそう強く怒鳴った。

「邪魔だったからだ!」

そう言った後、ガルシャクはさらに間合いを詰めて、片手剣の会心の一撃を放つ。それが見事流斗の胸部にヒットして、流斗は後方に回転しながら倒れる。ガルシャクは倒れている流斗を立った状態で見ている。

「これがお前の実力か!よくそんなもので英雄が名乗れるもんだな」

そう言ってガルシャクは片手剣の刃先を流斗の心臓部に突き刺そうとしたが、流斗の手に握られている片手剣によってはじき返され、ガルシャクの片手剣は5M先に飛び、一度手から離れる。流斗はその隙を逃すことなく、倒れたまま、片手剣の斬撃を横方向で放つ。斬撃を浴びせた腹部からは、大量の人間と同様の色をした血液が流れ出る。だがその流れもすぐに止まり、すぐさまガルシャクは脳内操作で、もう2本のブレードを流斗に向けて飛ばす。流斗はぎりぎりで2本のブレードの存在に気付き、ジャンプで避けるが、刃先が少し横腹をかすめる。ただ少しかすめただけなのだが、なかなかの威力だ。流斗は少し横腹に痛みを感じる。そして次に総攻撃としてガルシャクはボードの機関銃を脳内操作で流斗に向け、発射する。それに気づいた流斗は手に持っている片手剣で弾丸を弾こうとする。発射された30発中、20発をはじき返すことができたが、もちろん残る10発は身体のあらゆる部位に直撃し、傷口ができそこから血が流れる。機関銃の総攻撃の痛みを気にしている余裕もなく、ガルシャクはさらに流斗に向かっていた。再度片手剣同士の打ち合いが始まる。

 激しい金属の音が鳴り響く中、猿渡と斉藤はそれぞれデジタルカメラとスマホのカメラで証拠とするため、戦闘シーンを撮影していた。

 片手剣同士の打ち合いが少し止んだ後、ガルシャクは脳内操作でボード本体を流斗のいる位置に向かわせる。ボードの装甲は流斗の全身に強く当たり、流斗の体はコンクリートの壁に強くぶつかり、2度目のアタックで2階のフロアに吹き飛ぶ。

ガルシャクは敵が二階に移動したのを確認して、猿渡と斉藤を殺そうとする。

「これで俺の敵はいなくなった。あとはお前らが死ぬまでだ」

「ふざけるな!」

猿渡は激怒して、ハンドガンの弾を発砲する。弾丸が当たった後は血液こそは流れるものの、ガルシャク自身は特に痛みなど感じてもいないようだ。

「そんなもので俺に致命傷を与えられるとでも思っているのか。そんなもので俺を殺せるわけがない」

「だまれ!だまれ!だまれ!だまれ!だまれぇ!」

次に斉藤が激怒し、ハンドガンの弾を5発発砲する。しかしそれでもガルシャクには無効であり、全く持って痛みなど感じていない。

「雑魚が!消え失せろ!」

ガルシャクがその言葉を発した瞬間、二階から流斗がジャンプして降ってきて、片手剣を縦に振り払う。それに気づかなかったガルシャクは片手剣の縦の斬撃を防御、回避すらできず、浴びてしまう。ガルシャクの全身からは大量の血液が流れ出る。ガルシャクは必死に悲鳴を上げる。この隙は逃すわけにはいくまいと、流斗は次に脳を片手剣で突き刺し、破壊して脳内操作ができなくなるようにする。だがそれでもガルシャクはあきらめることなく、必死に片手剣をこちらに向かって振り続けてくる。流斗はそれをあらゆる方向で打ち返し、15回目で隙ができた瞬間に会心の一撃で心臓部分に横の斬撃を浴びせる。二度目に生命の源といっても過言ではない心臓が破壊され、背後に倒れ、爆発する。脳が全体的に破壊されているので、狂ったのかボードの機関銃はいたるところに乱射し、ブレードは空中を縦横無尽に動き回っている。ボードとブレードの暴走を止めるため、流斗はまず斜め上に位置するボードに向かって跳ぶ。ボードに触れるというその瞬間、ボードはひょいと避け、流斗はそのまま地面に倒れる。倒れた流斗に暴走状態の機関銃は銃口を向け、発砲する。その数およそ30発。流斗の体は今は鎧で包まれているので機関銃の威力は生身に比べると痛さは少ないが、30発となると結構な量であり、やはり結構痛い。流斗は倒れたまま転がりながらも機関銃の発砲を避けていき、再度立ち上がり、今度は片手剣をボードに向けてフリスビーの感覚で投げ、見事直撃させ本体を落下させる。その後、爆発し、片手剣を取り戻す。ボード本体が破壊され、ブレードは即座に動きを止め、地面に高い金属音を立てて落下する。ガルシャクとの戦いがついに終わり、流斗は出口を振り返ると、猿渡と斉藤がこちらにハンドガンの銃口を向けていた。

「動くな!近頃の数々の殺人事件、お前らの仕業なのはもうとっくにばれている!」

「そうだ!これ以上はお前の好き勝手にやらせるか!俺たちが豚箱に入れ、葬り去ってやる!」

猿渡と斉藤に罵声を浴びせられるが、流斗は何も反応せず、ただその場でぼーっと立っているままである。

「だまってないでなにかはいたらどうなんだぁ!」

「・・・・・・・」

「こうなったら、この場で貴様を粛正するまでだぁ!」

猿渡は流斗にそう怒鳴って、ハンドガンの弾丸を流斗の心臓部分を狙って発砲する。発砲音がした瞬間、その場の時が突然止まる。流斗は何が起こったのかわからず、辺りを見渡す。先ほど発砲された弾丸は空中で制止し、猿渡と斉藤は口をあんぐりと大きく開けたまま止まっている。もちろん、周りの雑音も一切聞こえない。一体何が起こったのか。流斗にはまるで意味不明な現象である。そんな矢先、耳元で一つの声が聞こえる。

「私が時を止めた」

「誰だ?」

流斗が問う。

「ブレイブゼロ、貴様はこの人類において極めて危険な存在だ。この世で生きる価値など微塵もない」

「どういうことだ!」

「貴様はこれからの新世界開発において不必要な存在。人類は我々アンデッドを求めている。なぜならこの腐りきった世界に革命をもたらすからだ」

「さっきから一体何をいっているんだ!そしてお前は何者だ!」

「いづれ分かるだろう。だが会うときには戦わなければいけなくなる。それが運命だ。宿命だ。未来は誰の手にも変えられない」

「だがお前らによってこの世界の未来を穢すわけにはいかない!何としてでも俺が処刑してやる!」

「なるほど、それが貴様の正義か、実にノーマルな正義を持っているものだな」

「ならお前らの正義ってなんだ!」

「我々の正義は我々が理想とする新世界を創ること。つまりは今の腐敗した世界を修正することだ」

「そんなこと絶対にさせない!お前らのやり方は正義なんかじゃない!」

「ふん、どうとでも言えばいい、それはそうと、すみやかにこの場から離れたどうだ?せっかく時を止めてやっているのだ」

「俺がここからいなくなって、何かやらかそうってのか」

「心配はいらない。そこまで我々とてせっかちではないのでな」

「最後に言わせてもらう、お前らは絶対にこの俺が消してやる!」

ブレイブゼロの姿が解除される。

 流斗は時が止まっている間に、外に出て停めてある自転車に乗り、再び学校へと向かう。本当は今の気分は行きたくないのだが、大会も近づいているし、今日練習しないわけにもいかないので、学校に向かうことになった。

 工場内の時間停止が解除され、猿渡と斉藤は再び動き出す。

「あれ?あの戦士がいないぞ」

「あ、逃げられたのかもしれません」

「やつめ、いつの間に逃げたんだ!」

「追いますか?」

「いや、今日のところは引き上げよう。遠くへ逃げたのなら探してもほぼ無意味だろう」

「ですね」

そう言って猿渡は、斉藤と共に工場前に停めてあったパトカーに乗り込み、署に戻る。





学校に到着した流斗は急いで体育館に向かった。体育館の扉の前で、バドミントン部の顧問のガッチリ体型の男教師が腕立て伏せをしていた。男教師はようやく来た流斗の存在に気づく。

「天城、遅いじゃないか。何してた?」

「あぁ、ちょっと寝坊しちゃって」

「お前にしては寝坊なんて珍しいな。いま中であいつら練習やってる頃だ。お前も混ざってこい」

「はい、わかりました」

そう言って流斗が体育館の扉を開けて中に入ろうとした時、男教師に声をかけられる。

「そういや天城、お前中村と何かあったのか?」

「どういうことですか?」

「なんか最近いつも仲のいいお前ら二人のコンビ見なくてな」

「まぁ、いろいろありまして」

「そうか、相談事なら俺で良ければいつでも乗ってやるぞ」

「ありがとうございます!」

流斗がそう元気よく言った後、男教師は笑顔を見せる。そして流斗は体育館に入っていく。






神惠の研究所、神惠は自分の勉強机の椅子に座りながら、日課になっている自分特製の青汁を飲みながら、携帯ゲーム機でアクションゲームをしている。他の三人は床で倒れたような態勢で熟睡している。3人中、2人がいびきをかいている。アクションゲームのプレイヤーが敵にやられ、「GAMEOVER」の画面が現れる。

「ああ、くそっ」

神惠はそうぼやいた後、猿渡から電話で聞いたアンデッドとブレイブゼロの情報を思い出す。

「まだまだ調べる必要がありそうですね。特に戦士の方は」




ある一つの小規模な廃墟、中には一人の女性が太い縄でパイプ椅子に縛られており、口と目には黒のテープが貼られている。それを女性の目の前で少し微笑みながら観察している一人の少年がいる。その少年は高校生くらいの美少年で、頭髪の色は黄土色で、両耳にはどくろのピアスが飾り付けられている。ポケットにはハンドガンとスタンガンが入れられている。

「さぁて、7人目に殺されることになった気持ちはどうかなぁ」

「ヴヴヴヴウヴ!」

女性は口に三重にしてテープを貼られているため、まともにしゃべることができず、このようにしてうめき声をあげることしかできない。

「ああそっか、僕に拘束されてるからまともに喋ることすらできないんだよね」

「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!」

「そんなにこの僕に殺されるのが怖いんだねぇ。でもすぐに楽になれるからね。だから安心して」

「ヴヴヴヴうヴヴヴヴ!」

その後、美少年はズボンの右ポケットからハンドガンを取り出す。

「あ、でも殺しちゃう前にちょっとした拷問でもやっておきたいんだよねぇ。あなたがどんな感じでもがき苦しむか、どんな感じで怒りを表すか、普通の人間観察には飽きちゃったからそこは見ておきたいのだけど、時間がないから、もうとっとと殺すことにするよ」

「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!」

「じゃあね、ばいば~い」

そう言って美少年は右手に持ったハンドガンの弾丸を、拘束されている女性に発砲する。弾丸は女性の胸部にヒットし、大量の血しぶきが流れる。

「今日の任務はとりあえず完了だな」

そう言って美少年はハンドガンを元のポケットに戻し、その場から去っていく。


一方、流斗は部活から帰り、自分の部屋のベッドに座っている。座りながら、天井をぼーっと眺めている。

「アンデッド、やつらは俺が処刑しないといけない。俺はもう普通の人間には戻ることはできないかもしれない。それでもいい、覚悟はできている。もう誰かが殺されないように、自分という存在を捨ててでも必ずややつらを処刑する。待っていろよ!」

流斗は独り言でそう言った。


続く

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この小説を書くきっかけとなったのは自分で何かオリジナルの物語を創りだしたい(すでにオリジナル作品はありますがなんでもあり設定の短編か未完結の小説なので)と思ったのと、仮面○イダーが好きで、仮面○イダーのようなヒーローが活躍する小説を書きたいなぁと思ったからです。まぁ仮面○イダーのようなとはいいますが、この作品は小さい子供向けに描いたわけではないので、戦闘シーンなどでばんばんバイオレンスな描写が見られます。個人的には特撮ヒーローものにバイオレンス、サスペンス、ホラー等をミックスさせたものとしています。また特撮ヒーローものに警察が絡んでくるのも面白そうだなと思い、警察関係者も物語の中に重要な存在の一つとして混ぜてみました(とはいっても警察の組織においての文章が本当に幼稚ですいません)本編は読まず、あとがきだけ読んでくださっている方もいると思いますが、最後まで読んでいただいた方には本当に感謝します。もちろん、あとがきだけ読んでくださった方にも感謝しておりますよ。

また、今回の鋼の戦士ブレイブゼロのサブタイトルはエピソード1ということで、続編があるのかと思っていただけたかと思いますが、はいあります。最後のシーンは続編があることを匂わすものでしたからね。てか最後の一文に「続く」って書いていますね。ちなみに「エピソード」といったサブタイトルはスター○ーズから真似た部分もあります。


最後に、エピソード2も今後投稿予定なので、ぜひともよろしくお願いします!

そして、二度目ですが最後まで読んでいただきありがとうございました。












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